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映画『リリイ・シュシュのすべて』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『リリイ・シュシュのすべて』の概要:いじめや援助交際などをテーマに、思春期の子供達の心の闇を描く。中学生の主人公は優等生の生徒会長と親しくなるが、次第に変貌していく友人に困惑する。それぞれに鬱屈した気持ちを発散出来ず、苦悩する様が美しい音楽と共に描かれている。

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映画『リリイ・シュシュのすべて』の作品情報

リリイ・シュシュのすべて

製作年:2001年
上映時間:146分
ジャンル:ラブストーリー、青春
監督:岩井俊二
キャスト:市原隼人、忍成修吾、伊藤歩、蒼井優 etc

映画『リリイ・シュシュのすべて』の登場人物(キャスト)

蓮見雄一(市原隼人)
男子中学生。リリイ・シュシュのファンで、リリフォリアという掲示板の管理人をしている。中学2年の夏休みまでは何事もなく学生生活を楽しんでいた。剣道部。
星野修介(忍成修吾)
優等生で生徒会長を務める男子中学生。剣道部。中学2年の夏休みをきっかけに突然、豹変。不良達を束ねる存在へと成り上がる。雄一を徹底的に追い詰める。
津田詩織(蒼井優)
雄一のクラスメイト。星野の命令で援助交際をやらされている。明るい性格だが、内に抱え込むタイプで、闇から抜け出せずに自殺してしまう。
久野陽子(伊藤歩)
雄一のクラスメイト。清楚で可憐。ピアノが上手でアレンジしたりもするが、女子内でいじめられている。やり返す賢さと、強さを兼ね備えた女の子。

映画『リリイ・シュシュのすべて』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『リリイ・シュシュのすべて』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『リリイ・シュシュのすべて』のあらすじ【起】

蓮見雄一は悪友2人と見知らぬ大人の鞄を盗んだり、CDショップでCDを盗んで売り捌いたりして、小遣い稼ぎをしている。CDを売りに来た店で、リリイ・シュシュのポスターを見つけた雄一は、店員からそのポスターを貰い受けた。自分の身長程もあるポスターを眺めては悦に入る。リリイ・シュシュとはシンガーソングライターで、彼は彼女の熱狂的なファン。否、信奉者だった。リリイファンなら一様に発する言葉。それが“エーテル”という言葉だ。彼らに言わせればエーテルとは、精神や心を満たすエネルギー、或いはオーラのようなものらしい。

雄一の母親は妊娠しつつも美容院を営んでおり、再婚しようとしていた。相手は1児の子持ちだが、悪い人ではなく雄一にも優しい。母親は夜間に息子が出歩いても、怒ったりするような人ではなかった。

雄一はリリイ・シュシュのファンが、書き込みをする掲示板『リリフィリア』を持っている。管理人としてのハンドルネームはフィリア。ある日、そこに青猫という人物がやって来た。彼は青猫を歓迎する。その後、リリイの新譜が発売し、掲示板は新譜の話題で賑わった。

そんなある日、雄一はリリイの新譜を万引きして、店員に捕まってしまう。呼び出されたのは中学校の女性教師。彼女は雄一の代わりに謝罪し、そのCDを購入。帰りの電車で聞かせてくれた。万引きのせいで、学校に母親が呼び出される。教師たちが擁護する中、母親は雄一を厳しく叱った。母子の間には会話というほどの会話はなかった。

その日の夜、友人の呼び出しで廃車場へと出掛けた雄一は、優等生で生徒会長の星野修介率いる不良少年達にいじめられる。2人の友人達は助ける事もせず、後方でそれを見ているだけだった。雄一は現実世界から逃亡するかのように、掲示板へ言葉を書き続ける。

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映画『リリイ・シュシュのすべて』のあらすじ【承】

星野と雄一は同じ剣道部だった。彼らは少しずつ仲良くなり、自宅へも遊びに行ったり泊まったりするような間柄になる。剣道部の1年生部員は全部で5人。彼らは青春を謳歌。友情を育み1年が経ち、3年生の先輩を見送った。そして、2年生へと進級。ようやく剣道着を着る事が許されてより一層、仲間意識を強めていく。

夏、仲間達と沖縄へ旅行に行こうと計画。だが、資金がない。他校の不良共が大人を脅して大金を奪っている場面に遭遇し、星野が機転を利かせて、それを盗む事に成功。5人は晴れて沖縄へ向かった。

島の案内をしてくれる女性4名の迎えと島の説明をしてくれるおじさん。移動の為に車へ乗り込むと、そこへ島巡りをしているという男性が相乗りして来る。途中で下車した男性とは、川下りの途中で再び遭遇。彼は島の事や動物、植物の事などを詳細に語り去って行く。不思議な男性だ。

その日の夜、花火を楽しんだ後、亀の産卵を見に行った一行。しかし、いつまで待っても亀は現れず、待ちきれなくなった星野が帰ると言い出し、懐中電灯を灯してさっさと行ってしまう。追いかけた友人だったが突然、何かが飛んで来る。よく見るとそれはトビウオのような魚だ。この魚は明かりに反応して飛んで来るらしい。下手をしたら星野に刺さり、命を落としていたかもしれないと言われる。

次の日は海で泳いだ。そこへも島巡りの男性が現れ、魚の事などを笑って語って行く。そうしていると星野が溺れる。発見したのは島巡りの男性だった。星野は人工呼吸で復活。帰りに島のおじさんが言う。沖縄では人の魂は7つまであって、星野は2つ落としたから、あと5つしかない。だから、命は大切にしないといけないよと。帰路の途中で道路に人だかりがあった。行ってみると島巡りの男性が、頭から血を流して倒れている。どうやら飛び出して車に轢かれたらしい。皆で意識のない男性を抱えて、救急ヘリで病院へ搬送した。男を轢いた現地の夫婦は、しきりに自分達は悪くないと言っていた。

旅行中の雰囲気は一変。海からの帰り、星野が突然立ち上がってお金を海へ投げ捨てた。仲間達が呆気に取られている中、1人で笑みを浮かべる星野。

映画『リリイ・シュシュのすべて』のあらすじ【転】

雄一はリリフォリアに書き込む。1999年の夏休みで、もしも地球が滅亡していたら、その方が幸せだったかもしれない。その書き込みに青猫が返信した。人類は滅亡した。今の世界はマトリックスなのだと。

新学期。あの日を境に雄一の世界は灰色になった。星野が突如豹変し、同じクラスの不良をやりこめてしまったのだ。彼の様子がどこかおかしかった。部活にも来なくなり、不良達を配下に収めてやりたい放題。荒んでいくばかり。

星野の命令で、同じクラスの津田詩織を尾行する事になった雄一と悪友2人。津田詩織は援助交際をしていると、専らの噂だった。スーツを来たおじさんと待ち合わせ、触らせてお金を貰う詩織。貰ったお金は星野へ。分け前はちゃんとあったが、彼女の表情は暗い。同じクラスだからと、雄一が彼女を送って行く事になった。田園風景の中を黙々と歩く。詩織は現状の鬱憤を晴らすかのように、雄一へと暴力を働く。分け前で貰った金を踏み躙る彼女。そして突然、川へと飛び込む。詩織はずぶ濡れになりながら泣いていた。

雄一にとって今やリリイだけが現実。彼にとって、彼女が醸し出すエーテルだけが、生きている証だった。だが、それも徐々に間に合わなくなっている。雄一は掲示板で青猫にリリイの話を願い出る。

世界が灰色のまま、季節は秋へと移り変わる。クラスで合唱コンクールの練習をする事になった。ピアノを弾く女子が辞退。代わりに久野陽子が弾く事になったが、クラスの優位に立つ女子達が、陽子がピアノを弾くなら歌わないと練習をボイコット。女子内でもいじめがあるようだ。陽子はピアノを弾かなくてもいいように、曲をピアノ無しでアレンジした。生徒が歌う中、陽子はピアノの横に立ったままで合唱は終わった。

いじめていた女子を通して雄一に星野から命令があった。久野陽子を廃工場へ連れて来いと言うのだ。雄一は逆らう事が出来ず、彼女を連れて行った。1人で工場へ入って行く陽子を、沈んだ表情で見送る雄一。そこでいじめ女子から、夏休みに星野の父親の会社が倒産した事を知る。彼が荒れた理由は、それだったのかもしれない。陽子は必死の抵抗を試みるも、レイプされてしまう。雄一は何も出来ない自分が情けなく、悔しくて泣いた。

映画『リリイ・シュシュのすべて』の結末・ラスト(ネタバレ)

詩織とはあの一件以来、仲良くしていた。星野の支配は未だ続いており、2人は言わば同志のような関係だった。彼女は雄一が陽子へと、恋心を寄せている事を知っており、雄一を励ます。陽子はあれ以来、学校を休んでいた。そんなある日、丸刈りになった久野陽子が登校。クラスメイト達はそんな彼女を、唖然として見つめるだけだった。

雄一は掲示板で息が詰まる思いを吐露。何度も何度も、死のうと思ったと書き込む彼に、青猫はエーテルの素晴らしさを、一番分かっているのは君だと励ます。自分も君と同じだと。リリイを通して、2人は意気投合して励まし合った。

12月。詩織が自殺した。雄一はどうにもならなくなり、授業中に嘔吐。教師に星野からいじめられている事を白状した。
そんな中、リリイ・シュシュのライブが開催。雄一もライブへ向かった。そこで星野を見つける。彼も雄一を見つけて寄って来る。星野の言いなりになる雄一。彼は青林檎を持っていた。掲示板で青猫がライブで会う為の目印にと、青林檎を指定していたのだ。林檎には青猫のアドレスが書いてあった。青猫は星野だったのだ。人でごった返す中、星野は雄一のチケットを捨ててしまう。雄一は結局、リリイのライブを見る事が出来なかった。ライブが終わるまで会場前に立ち尽くす雄一。ライブが終わって星野が出て来る。だが、彼の態度はそっけないものだった。私生活だけではなく、掲示板にまで入り込んで自分をいじめるのか。もう、どこにも行き場がない。雄一は大声でリリイがいたと叫ぶ。ファンでごった返す中、星野の背後についた雄一は彼を刺した。そうして、星野は死んだ。

後日、騒動のせいでリリイには、不吉な女というレッテルが貼られてしまった。あの日の犯人は、まだ捕まっていない。
中学3年。雄一の日々は代わり映えもなく、過ぎて行く。もう掲示板には、書き込まなかった。

映画『リリイ・シュシュのすべて』の感想・評価・レビュー

痛くて残酷な青春。
うまく波に乗れた子は楽しい中学生生活だけど、波に乗れなかったり、星野みたいな権力を持った意地悪がいると暗黒になってしまうよね。
観ていていたたまれない気持ちでいっぱいになった。
自分で命を終わりにするか、元凶の命を終わらせるか、それしかないと思わざるをえない。リアルな感情だと思った。

伊藤歩ちゃんの坊主は衝撃的でした。
ポリポリと頭を掻くシーンがやけにリアルでした。
リアリティ溢れる映画、さすが岩井俊二監督。(女性 40代)


岩井俊二監督ファンとしては大満足の作品である。映像美もさることながら、インターネット社会における現代の若者の葛藤をうまく表現している。逃げ場のない現実、ネットへの逃避……窮屈な世界を生きる子供たちの姿は、現代社会へ警鐘を鳴らしている。いじめ、援助交際、殺人と、実に後味が悪い。しかし、「現実」というものを考えさせられるのだ。
大人は絶対に観てほしい作品である。
今ではすっかり筋肉バキバキの市原隼人の弱々しいキャラクターも見応えがある。(男性 40代)


思春期の生きづらさやモヤモヤした気持ち、田舎の閉塞感がリアルに表現された作品だと思います。映像の美しさ、綺麗な音楽との調和が素敵で、さすが岩井俊二監督です。市原隼人さん、蒼井優さんなど現在も活躍されている俳優さんも多く、幼い姿を見られるのも見どころのひとつです。
明るい前向きなストーリーではないので、好みは分かれるかもしれませんが、辛い気持ちや憂鬱な気持ちを抱えながら青春を過ごした人にとっては、強く刺さる作品だと思います。(女性 20代)

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