
結論から言うと、「MERCY マーシー AI裁判」は“AIは敵か味方か”という単純な問いを拒否する映画です。
2026年1月23日、日本の劇場で本作を鑑賞したMIHOシネマ編集部の映画専門ライターとして、鑑賞後に最も強く残ったのは、正義を委ねた先にある“人間の責任”でした。
本記事では、「MERCY マーシー AI裁判」をネタバレありで整理しながら、感想レビューとして本作が投げかける問いを丁寧に掘り下げていきます。
まず結論|「MERCY マーシー AI裁判」はAIを断罪しない映画
本作はAIが暴走する物語ではありません。 むしろ描かれるのは、AIを「便利な裁判官」として採用した人間社会の姿です。 AIはあくまで“道具”として描かれ、真に問われるのはそれを使う人間の選択です。 この前提を理解すると、物語の印象は大きく変わります。 次に、ネタバレありであらすじを整理します。
「MERCY マーシー AI裁判」のあらすじ(ネタバレあり)
AI裁判「マーシー・コート」の世界
近未来、犯罪率の上昇と司法制度の限界を背景に、AIによる裁判制度「マーシー・コート」が導入されます。 AI判事“マーシー”は、証拠映像、通信履歴、監視カメラの記録を瞬時に解析し、わずか90分で被告の有罪・無罪を判断します。 これまで18件の裁判はすべて有罪判決。 制度は“成功”しているように見えました。
開発者が被告になる第19の裁判
19件目の被告として裁かれるのは、元刑事であり、マーシー制度の開発にも関わったクリス・レイヴン。 彼は妻殺害の容疑をかけられ、90分以内に自らの無実を証明しなければ即座に死刑が執行されます。 皮肉にも、彼はかつてこの制度を支持していた人物でした。
揺らぐ正義と観客の視点
裁判が進むにつれ、クリスの過去──アルコール依存、家庭内暴力、警察としての過ち──が次々と明らかになります。 観客は次第に、「彼は本当に無実なのか?」と疑い始めます。 AIの判断だけでなく、人間の感情と先入観が、無意識に判決へ影響していく構造が浮かび上がります。 次は、この展開を踏まえた感想レビューです。
「MERCY マーシー AI裁判」の感想レビュー
AIは冷酷ではなく、正確すぎる
本作で描かれるAIは、感情を持たないがゆえに残酷なのではありません。 「与えられたルールを忠実に遂行しているだけ」という点が、逆に恐怖を生みます。 判断が速く、合理的で、情状酌量を挟まない。 それは本当に“間違い”なのか、という問いが残ります。
90分という制限が生む緊張感
物語は、ほぼリアルタイムで進行します。 制限時間が刻々と減っていく構成は、観客を被告席に座らせるような感覚を生み出します。 テンポは速く、やや駆け足に感じる場面もありますが、裁かれる側の焦燥感としては効果的でした。
評価が割れる理由
本作は、明確な勧善懲悪を提示しません。 AIも万能ではなく、人間も完全な被害者ではない。 この曖昧さこそが、本作を「考えさせられる」と感じるか、「スッキリしない」と感じるかの分岐点になります。 次に、どんな人に向いている作品なのかを整理します。
「MERCY マーシー AI裁判」はどんな人におすすめ?
- AIや監視社会をテーマにした映画が好きな人
- 正義の定義について考えたい人
- 一筋縄ではいかない主人公像を受け入れられる人
- 近未来SF×法廷ドラマに興味がある人
次に、正直におすすめしにくい人も挙げます。
「MERCY マーシー AI裁判」をおすすめしない人
- 明確なヒーロー像を求める人
- AIが完全な悪として描かれる作品を期待している人
- 説明不足や曖昧な余韻が苦手な人
それでも本作が刺さった人に向けて、次はおすすめ映画を紹介します。
「MERCY マーシー AI裁判」が刺さった人におすすめの映画3選
マイノリティ・リポート
この映画を一言で表すと?
未来予測が正義を揺るがすSFサスペンス。
どんな話?
犯罪を予知して犯行前に逮捕する社会で、一人の刑事が追われる側になる物語。
ここがおすすめ!
「予測」と「自由意志」というテーマが本作と強く重なります。
エクス・マキナ
この映画を一言で表すと?
AIの知性と倫理を静かに切り刻むSF。
どんな話?
人間そっくりのAIと対話する実験を通じて、本質が露わになります。
ここがおすすめ!
AIを“人格”として見る危うさを考えさせられます。
コンタクト
この映画を一言で表すと?
科学と信念が衝突する知的SF。
どんな話?
宇宙からの信号を巡り、人類が選択を迫られる物語。
ここがおすすめ!
合理性だけでは割り切れない判断の重さが共通しています。
まとめ|「MERCY マーシー AI裁判」は人間を裁く映画
「MERCY マーシー AI裁判」は、AIの恐怖を描いた作品ではありません。 AIに正義を委ねたとき、人間は責任から逃げていないか──その問いが最後まで残ります。 観終わった後、誰かと議論したくなる。 そんな余韻を持つ一本でした。






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