この記事では、映画『成れの果て』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『成れの果て』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『成れの果て』の作品情報
出典:https://video.unext.jp/title/SID0067644
製作年 | 2021年 |
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上映時間 | 81分 |
ジャンル | ヒューマンドラマ |
監督 | 宮岡太郎 |
キャスト | 萩原みのり 柊瑠美 木口健太 田口智也 |
製作国 | 日本 |
映画『成れの果て』の登場人物(キャスト)
- 河合小夜(萩原みのり)
- 8年前のある事件にまだ囚われている女性。あすみという姉がいる。姉とは離れて暮らしている。
- 河合あすみ(柊瑠美)
- 小夜の姉。大きな家で、友人らと暮らしている。布施野という男性と婚約をした。
- 布施野光輝(木口健太)
- あすみの婚約相手。8年前の小夜の事件に関わっている。
- 野本エイゴ(後藤剛範)
- 小夜と一緒に家を訪れた男性の友人。メイクの仕事をしている。
- 今井(花戸祐介)
- 布施野の職場の男性。布施野とは古くからの知り合いのようで、8年前の事件にも関与している。
映画『成れの果て』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『成れの果て』のあらすじ【起】
画面にカップスイーツを食べている女性が映る。部屋にひとりぼっちの女性・あすみは、妹の小夜へ電話をかける。
結婚をしようと思っていること、その相手の男性が布施野であることを伝えると、小夜は電話越しに呼吸が荒くなる。そして挨拶なしに姉からの電話を切った。
後日、あすみが友人らと暮らしている家を小夜が訪ねてくる。
友人であるエイゴを連れてきた小夜は、あすみやあすみの友人らと険悪な雰囲気になった。
あすみが一緒に暮らしているメンバーには小夜を知っているものも多く、久しぶりの面々へ小夜は攻撃的に話しかける。
夜、小夜とあすみは姉妹二人きりで会話をする。
小夜が昔デザインをしたカーディガンを羽織っていたあすみは、他にプレゼントした服をきてみるようにとリクエストを受ける。
小夜はかつて服飾の仕事をしていたが、デザインした服が思うように商品化されなかったのだ。
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映画『成れの果て』のあらすじ【承】
あすみは布施野との再会について小夜に話す。
図書館で働くあすみの元を訪ねてきたという布施野は小夜の連絡先を尋ねてきたのだという。しかし教えないでいると小夜がどうしているのか近況を知りたがったという布施野は、毎日のようにあすみを訪ねて図書館へやってきたのだそうだ。
そこへ家の玄関のチャイムが鳴る。
あすみの婚約者である布施野が会社から帰ってきた。酔った布施野を抱えている今井という男性も一緒だ。
玄関を開け彼らを出迎えたあすみに小夜もついていく。
再び攻撃的な視線で今井と布施野に話しかける小夜。今井は話をせずに怒って飛び出していってしまった。
別の日、あすみの仕事中に小夜とあすみの友人らは自宅で一悶着を起こす。
互いの8年前や過去をぶつけ合い攻撃しあうルームメイトたち。
小夜はあすみの友人に、高校時代にあすみの彼氏を横取りしたらしいじゃないかと問い詰められた。
映画『成れの果て』のあらすじ【転】
けんか後にひとりで今に座り込む小夜の元へ布施野が謝りにやってくる。
小夜は8年前、布施野に乱暴をされるも和姦とされた過去を持つのだった。
謝罪をしてくる布施野に、私と一緒に暮らして、目の前で不幸になってくれるよう頼んだ小夜。彼女は自分が苦しんだ8年の間で布施野が会社に勤め、結婚目前まで幸せになっていることが許せなかった。
別の日、今井が恋人を連れてあすみと布施野の家を訪ねてきた。
小説家をしているという今井の恋人は、布施野とあすみの過去を知りたがる。興味本位でなく小説のネタにするためだと言いながら、どうやってレイプをしたのか、妹をレイプした人とどうして結婚しようと思ったのか問い詰められ、布施野は怒り、お菓子を今井と今井の恋人へ投げつけた。
今井たちを追い返したところに電話がかかってきた布施野はあすみを家に残して出かけていく。
映画『成れの果て』の結末・ラスト(ネタバレ)
布施野を呼び出した電話の相手は小夜だった。
やはり小夜とは一緒に暮らせないと伝える布施野に、ならば自分と同じ目にあってもらうしかないと伝えた小夜。そこにエイゴが現れ、布施野を取り押さえ乱暴しようとする。
その様子を見ていた小夜は次第に苦しそうな表情をみせ、エイゴに乱暴を止めるようにと伝える。復讐を果たそうと手を止めないエイゴに小夜は殴りかかって止めさせる。
そして泣きながら布施野に謝罪をした。
恐ろしい気持ちをした布施野もまた、8年前のことを改めて小夜に謝罪をする。
別の日、布施野は出張に出かけるためあすみの家を出る。
送り出した後、出張は嘘で、布施野は会社もすでに辞めていたことを知らされたあすみ。「あの人なら取られないと思ったのに」と泣きながら、家の中をぐちゃぐちゃに荒らしひとり悲しんだ。
映画『成れの果て』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
妹をレイプした男と結婚するという姉・あすみの行動に、最初は怒りすら感じました。しかし、物語が進むにつれ、あすみの中にある小夜への強い嫉妬心と、人生を奪われたという感覚が浮き彫りになり、その苦しさが伝わってきました。加害者・布施野の反省の見えない態度や、被害者・小夜の周囲の無理解も相まって、ただただ苦しく、不快で、でも目を離せない映画でした。心がえぐられるような重さが残ります。(20代 女性)
本作は、正直に言って「観てよかった」とは簡単に言えない作品です。しかし、それだけ人間の本質に迫る鋭さを感じました。姉のあすみが妹を傷つけるために加害者と結婚するという行動は、理解を超えていましたが、それほどまでに彼女が苦しみ、歪んでいたのだと感じます。登場人物すべてにモラルがなく、誰にも救いがない。それでも、目を背けられないものが確かにここにありました。(30代 男性)
『成れの果て』は、あまりにも生々しく、観終わった後に沈黙しか残らない作品でした。あすみの狂気はもちろんですが、小夜自身もまた完全な被害者ではなく、どこかで加害者と向き合うことを選んだようにも見える複雑な心理描写に、心がざわつきました。悪意が連鎖し、誰もが誰かを傷つける。まさにタイトル通りの「成れの果て」だと痛感しました。怖いけど、忘れられない映画です。(40代 女性)
姉妹の関係が、あまりに歪で、胸が苦しくなる映画でした。特にあすみの行動の裏にある「愛されなかった記憶」や「奪われた人生」への執着には、同情すら覚えてしまいます。布施野の存在は不快でしかなく、なぜあんな人物を招き入れるのか理解できない……でも、それがリアル。現実もまたこんなに不条理だと思わされました。後味は最悪。でも、それがこの映画の正解だと思います。(50代 男性)
静かに心を壊していくような映画でした。登場人物それぞれが抱える傷と歪みが絡み合い、ひたすらに陰鬱な空気の中で進む展開は、観ていてとてもつらかったです。それでも、小夜の最後の選択にはわずかながら希望を感じました。全員が間違っていたわけではない。だからこそ、この物語には意味があったと思います。重く、苦しいけれど、観てよかったと思える作品でした。(60代 女性)
映画としての完成度は高く、俳優陣の演技も素晴らしかったですが、内容の陰鬱さには精神的に相当くるものがありました。姉・あすみの執念深さと、小夜の弱さ、そして布施野の無神経さ。それぞれがぶつかり合いながらも、確かにリアルな人間ドラマがそこにありました。この映画を勧めることは難しいけれど、観たこと自体には意味がある。そう思える一本です。(20代 男性)
途中で何度も目を背けたくなりました。レイプというテーマを扱っているだけに、その描写も衝撃的です。けれどこの映画は、ただの問題提起では終わっていません。人間がどれほど醜く、誰かを傷つけながらしか生きられないのかという真実を突きつけてきます。特に、あすみの内面に潜む怒りと悲しみには胸が締めつけられました。苦しいけれど、価値のある作品です。(30代 女性)
舞台劇のような台詞回しが多く、会話劇としても見ごたえがありました。心理描写の丁寧さ、そして静かに狂気が滲み出すような構成に引き込まれました。あすみと小夜、そして布施野の三角関係が異様で、どこにも救いがないのに、そこにしか答えがないような錯覚を覚えました。人の弱さとずるさを、ここまで真正面から描いた映画はそうありません。衝撃作です。(40代 男性)
正直、好みが分かれる映画だと思います。私も最初は「ただ不快なだけの作品では?」と感じていましたが、鑑賞後、ずっと心に残っています。人はここまで傷つき、歪んでしまうのか。あすみの狂気にすら、どこか「わかってしまう」自分がいることに驚きました。この映画に正解も救いもないけれど、それでも向き合う意味はあると感じます。(50代 女性)
『成れの果て』というタイトルが、これほどまでに作品を象徴している映画はないと思います。あすみ、小夜、布施野、それぞれが「どうしようもない成れの果て」に落ちていき、その姿を突きつけられることに耐えられない気持ちになりました。美しくはない。でも確かにリアル。この映画を観るには覚悟が必要です。けれど、観た人の心に必ず何かを残す作品です。(60代 男性)
映画『成れの果て』を見た人におすすめの映画5選
冷たい熱帯魚
この映画を一言で表すと?
善人の皮を被った狂気が暴走する、実話ベースの戦慄サスペンス!
どんな話?
冴えない熱帯魚店の店主が、あるカリスマ的な男と出会ったことから、次第に犯罪に巻き込まれていく物語。実在の事件をモチーフにしており、人間の本性や狂気がじわじわと描かれていく展開が衝撃的。
ここがおすすめ!
徐々に壊れていく主人公の精神状態、そして暴力と狂気に満ちたストーリー展開は、観る者の感情をかき乱します。人間の裏側を描く描写が濃密で、後味の悪さすら芸術と感じさせる問題作です。
告白
この映画を一言で表すと?
静かなる復讐の美学が、心に深い傷を刻む衝撃作。
どんな話?
中学校の女性教師が、娘を殺された事件の犯人が教え子だと知り、緻密かつ冷静な方法で復讐を遂げていく物語。ミステリーとしての完成度も高く、語り口が独特で観る者を引き込む。
ここがおすすめ!
中島哲也監督によるビジュアルと音楽の演出が非常に印象的で、静かな怒りが全編に漂います。単なる復讐劇ではなく、人間の罪とその責任を問う深いテーマに心を掴まれます。
渇き。
この映画を一言で表すと?
愛と暴力が入り乱れる、予測不能のサイコスリラー。
どんな話?
元刑事の父親が、失踪した娘を探す中で、次々と娘の恐るべき裏の顔に直面していく。狂気、暴力、嘘、裏切りが加速し、やがて人間の底なしの欲望と狂気にたどり着く。
ここがおすすめ!
疾走感のある演出と容赦ない展開が特徴で、エンタメ性とダークさを両立させています。『成れの果て』のように人間の心の闇をえぐり出すような映画が好きな方にぴったりの一作です。
ヒミズ
この映画を一言で表すと?
破壊された日常から立ち上がる、魂の再生ドラマ。
どんな話?
震災後の日本を舞台に、暴力的な父と貧困に苦しむ少年が、葛藤と絶望の中でもがきながら自分の存在意義を模索する物語。人間の弱さと希望を丁寧に描いた作品。
ここがおすすめ!
染谷将太と二階堂ふみの鬼気迫る演技が圧巻。極限状態に置かれた若者たちの苦悩と、それでも光を求める姿が、観る者の心に深く刺さります。静かに心を揺さぶる一本です。
ミスミソウ
この映画を一言で表すと?
極限まで追い詰められた少女の、血にまみれた復讐譚。
どんな話?
いじめによって家族を殺された少女が、理性を捨て復讐へと走る。田舎町で起こる残酷ないじめの実態と、それに対抗する少女の変貌を描いたバイオレンス・ドラマ。
ここがおすすめ!
過激な描写に目を奪われがちだが、そこに込められた怒りと絶望、そして失われたものへの想いが痛いほど伝わってくる。『成れの果て』のような心の闇と対峙する覚悟が求められる一作。
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