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映画『パレード』あらすじとネタバレ感想

映画『パレード』の概要:2010年に公開された行定勲監督・脚本の作品で、ベルリン国際映画祭で国際批評家連盟賞を受賞した。原作は吉田修一の小説。ルームシェアをする5人の若者たちの生活を描いた。

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映画『パレード』 作品情報

パレード

  • 製作年:2010年
  • 上映時間:118分
  • ジャンル:サスペンス
  • 監督:行定勲
  • キャスト:藤原竜也、香里奈、貫地谷しほり、林遣都 etc

映画『パレード』 評価

  • 点数:65点/100点
  • オススメ度:★★★☆☆
  • ストーリー:★★★☆☆
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★☆☆☆
  • 演出:★★★☆☆
  • 設定:★★★☆☆

映画『パレード』 あらすじ(ストーリー解説)

映画『パレード』のあらすじを紹介します。

大学生の良介、無職で俳優の丸山友彦と交際中の琴美、映画配給会社に勤める直樹、イラストレーター兼雑貨屋店員の未来は4人でルームシェア中。
近所では連続通り魔事件が発生していた。

大学の友人が事故死したと知った良介は、思い切って先輩の彼女に告白をし、付き合うことになる。
翌日、琴美が目を覚ますと、見覚えのない少年サトルがシャワーから出てきた。
誰かの友人だと思い込んだ琴美はさして気にも留めず、彼氏の丸山と会うために出掛ける。
帰宅すると、サトルが泥棒ではないかと話し合われていた。
そこにサトルがやってきて、酔って記憶が曖昧になっていた未来が連れ込んだと判明。

男娼として稼いでいたサトルもルームシェアに加わることに。
やがて未来は、連続通り魔の犯人がサトルではないかと疑い始めるものの、直樹に一蹴されるだけだった。
隣室で売春が行われていると勘ぐっていた良介と琴美だったが、良介が潜入を試みると占い屋だったとわかる。

会社を休んだ直樹は、不審な行動をとるサトルを街中で見かけ、探りを入れようとする。
やがて良介が、大学を卒業したら部屋を出て田舎に帰るつもりだと直樹に言う。
サトルに私物をいじられた未来は激怒し、彼を部屋から追い出せと直樹に命令するのだが、自分も部屋を出ようと思っていると言い出す。
丸山の子供を妊娠した琴美は直樹に協力を頼む。
精神的に疲れた直樹はランニングに向かった先で、サトルに重大な秘密を知られてしまう。

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映画『パレード』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『パレード』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

ちょっと怖いストーリー

人間の心の中にある、”自分さえよければそれでいい”という利己主義な部分をひっそりと浮き彫りにする設定の作品。
”通り魔事件の犯人の正体”以外は何も明らかにならず、5人の若者たちが居心地のいい距離で、生活を送っていくというもの。
琴美曰く、みんなが楽しく過ごせるチャットルームのようなルームシェアをしているが、調和を乱すような自分の都合は持ち込まないという、暗黙のルールが成り立っているのがわかる。
最初はそういう仕組みが気に入らないと言ったサトルも、付き合いたくない人種ではあるが落ち着くから住むことにした、と男娼仲間に言うくらいだ。

隣室の前で女子高生が泣いていて、その後に大物政治家が出てきたことから、隣の部屋では売春が行われていると想像するが、結局占いをしていただけという琴美と良介の的外れな心配には笑ってしまう。
しかし移動しているシーンを無駄に長く撮ったり、直樹がサトルの後を付けるシーンが長すぎる。

キャストの熱演っぷり

ルームシェアしている5人の名前、年齢、職業が区切りのように出てくるが、だからといってその人物にフォーカスされるわけでもなく、見ていて混乱を招く元になってしまっている。

キャスティングが素晴らしく、お気楽な大学生の良平役に小出恵介、恋愛中の丸山君が全てだがゴシップも好きな琴美役には貫地谷しほり、常に強気だが心に闇を抱える未来役に香里奈、家出少年と思われるサトル役の林遣都、唯一の会社員で他の住人から頼られたり愚痴を聞かされることが多い直樹役に藤原竜也。
この5人の演技が見事にハマっていて、特に自分が連続通り魔だとサトルにばれたが、「みんな知っていること」と衝撃発言を受けた直樹が部屋に戻ると、他の4人が無表情というか、目だけ笑っていない恐ろしい笑顔で出迎えるラストシーンの演技が上手い。

映画『パレード』 まとめ

映画「悪人」、「横道世之介」などの原作小説を手がけてきた吉田修一の小説が原作だが、そちらのほうが登場人物たちの心境がわかりやすく描かれており、映画では想像するしかないために、ラストはご想像にお任せという映画以上に考えるものを与えられる作品。
直樹が犯行に至った理由も数通り考えられ、エンディングの4人の表情にもそれが当てはまる。

全篇にわたって生活風景を描いた作品になっており、行定勲監督作品に多くみられる独創的な美しい描写は見受けられないが、その代わりに毒が詰まっている。
表情豊かなキャラクターだった琴美や良介までもが、ラストで恐怖すら覚えるほどの無表情を見せ、演技派の役者の手腕を見せている。

思わず原作も読みたくなるような作品だ。

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