映画『新少林寺 SHAOLIN』の概要:1912年、中国各地の軍閥は、列強諸国と手を組み激しい内戦を繰り広げていた。そんな中、軍閥の将軍である侯杰は、少林寺に逃げ込んだ登封城の将軍である霍龍を射殺した。侯は冷酷で、情け容赦ない人物であった。
映画『新少林寺 SHAOLIN』の作品情報
上映時間:131分
ジャンル:アクション
監督:ベニー・チャン
キャスト:アンディ・ラウ、ニコラス・ツェー、ファン・ビンビン、ジャッキー・チェン etc
映画『新少林寺 SHAOLIN』の登場人物(キャスト)
- 侯杰 / 浄覚(アンディ・ラウ)
- 読み名:こうけつ / じょうかく。軍閥の将軍。冷酷で残忍な性格。部下に対しても容赦がない。
- 曹蛮(ニコラス・ツェー)
- 読み名:そうばん。侯杰の腹心の部下。自分を利用するだけ利用し、意見も聞いてくれない侯杰に愛想を尽かす。
- 額夕(ファン・ビンビン)
- 読み名:がんせき。侯杰の妻。侯との間に、勝男(しょうだん)という名の娘がいる。心優しく、控えめな性格。
- 悟道(ジャッキー・チェン)
- 読み名:ごどう。少林寺の厨房係。剽軽で明るい性格。幼い頃に武術を習っていたが、戦うことは嫌い。
映画『新少林寺 SHAOLIN』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『新少林寺 SHAOLIN』のあらすじ【起】
1912年、中国各地の軍閥は列強諸国と手を組み、激しい内戦を繰り広げていた。少林寺の僧侶である浄能は、難民のために食料を分け与え、寒さを凌げるように僧坊を貸そうとしていた。僧侶の浄空が自分達が凍え死ぬと訴えても、浄能は考えを変えなかった。
登封城の将軍である霍龍は、軍閥の軍人に追われ少林寺へと逃げ込んだ。浄能達は霍龍を守り、寺を荒らす軍閥と戦った。すると、そこに軍閥の将軍である侯杰が現れる。侯は銃を取り出した部下の曹蛮を諌めた。霍龍は潔く負けを認め、侯に登封城を明け渡した。そして、財宝の在処が書かれた地図を渡し、命乞いをした。侯はそれを受け取るが、霍龍が油断した隙を突いて射殺した。浄能達は寺を守るために侯に棍棒を向けるが、師である方丈に諌められる。
侯が祝賀行進を行っていると、義兄の宋虎将軍が現れる。宋は戦いの場に出ず、戦利品だけかすめ取っていく人物だった。宋は行進に参加していた侯の娘の勝男を見て、自分の息子の万山と婚約させることを思いつく。侯は戸惑うが、断れば戦争を起こすと言われ、反論することができなかった。そんな時、西洋人の軍人であるピーターが、ガトリング砲を持って取引に現れる。ピーターは代金を要求しない代わりに、登封に鉄道を敷設させて欲しいと話を持ち掛けた。侯が断ると、ピーターは宋に話を持ち掛けに行った。曹は取引に応じるべきだと訴えるが、侯に首を絞められ反論するなと怒鳴られる。
侯は宋が財宝ごと登封城を奪おうとしているのではないかという疑いを持っていた。そこで、勝男の婚約式に乗じて、宋の暗殺を行うことを決断する。妻の額夕は思い留まるよう説得するが、侯の意思は変わらなかった。一方、難民達は食糧難に陥り、少林寺の僧侶達も空腹を抱えていた。そこで、浄空を始めとした僧侶達は、義賊として軍の倉庫から食料を盗み、難民達に配ることにした。
映画『新少林寺 SHAOLIN』のあらすじ【承】
勝男の婚約式が行われた。そこで、登封城の分け前の話になり、侯は宋から全てを託すと言われる。宋は足を怪我してから上手く戦えず、隠居を考えていた。しかも、子供達が婚約したため、いずれは万山が引き継ぐので宋が損をすることはなかった。その時、部下が宋に密書を渡した。それを見た宋は、妻や額夕達をトイレに行かせた。侯は暗殺がバレたことを悟り、小声で額夕に「逃げろ」と囁いた。
侯は宋を射殺した。すると、窓を突き破り何者かが攻撃を仕掛けてきた。曹が侯を裏切ったのだ。侯は必死に戦った。殺されそうになったとき、瀕死の宋に助けられる。宋は侯に「逃げろ」と伝えた。同じ頃、額夕達も侵入者に襲われていた。額夕は勝男を守るために必死に戦うが、気絶してしまう。勝男は恐怖を抱きながらも必死に逃げた。だが、侯の目の前で馬に撥ねられてしまう。
侯は勝男を抱え、追手と戦いながら必死に馬車を走らせた。だが、その間に、勝男を乗せた馬車が崖から落ちそうになってしまう。侯は走り、勝男を抱えながら崖から転げ落ちた。その頃、浄空達は倒れている額夕を発見し、少林寺まで連れて帰った。そして、ドアを叩き、寺の中にいる僧侶に額夕の存在を知らせた。夜が明けた。侯は勝男を抱え方丈に助けを求めた。だが、治療の甲斐なく、侯と額夕の前で亡くなってしまう。額夕はあなたのせいだと、侯を詰った。侯は娘の死を受け入れられず、治療を止めた僧侶達を責めて暴れ回った。
少林寺の厨房係である悟道が、少林寺を離れるべきか悩んでいると、助けを求める声が聞こえてきた。外に行くと、侯が猪を捕まえるための罠に落ちて、身動きが取れなくなっていた。悟道は侯を落ち着かせるため、そのまま放っておいた。
映画『新少林寺 SHAOLIN』のあらすじ【転】
悟道は侯を助け、食事を与えた。額夕が出て行ったため、侯が勝男の葬儀をあげる必要があった。悟道は土葬と火葬のどちらがいいか尋ねるが、侯は何もしゃべらず聞いていた。一方、曹は自分に刃向う部下達を射殺していた。
侯は指名手配され、賞金までつけられていた。魅力的な金額だったが、悟道にも慈悲の心はあったため候を売る気はなかった。侯は少林寺に留まることを決め、自ら髪の毛を切った。悟道はそんな侯の姿を優しく見守った。そして、切れていないところを手伝った。侯は方丈に寺に置いて欲しいと頼んだ。他の僧侶達が反対する中、方丈は侯を受け入れた。その後、侯は悟道の下で働くことになった。
侯は浄能や方丈から、武術や医療術などを学んだ。夜、悟道と方丈は、子供と共に武術の型を練習する侯の姿を見ていた。方丈は侯が武術を通じて憎悪を無くし、執着を捨てたことを悟る。悟道にはよく分からなかったが、方丈から武術も料理も修行だと諭される。方丈は寺を出て外の世界を見てくることを勧めた。だが、外に出れば自分は役立たずだからと、悟道は出ていくことを嫌がった。
曹は鉄道の敷設を行おうとしていたが、それは口実で、本当は遺跡の宝物を発掘しようとしていた。そして、掘り起こした遺物と、西洋人の武器を交換していた。遺物の発掘後、曹は口封じのために人夫を射殺していた。現在残っている人夫も、明日には処刑される予定だった。侯はそのことを知り、自分のせいだと心を痛めた。そして、遺体になった人夫を荷台に乗せ、街へと戻った。殺された人夫の家族は、遺体に縋り咽び泣いた。
曹が侯を捕まえるため、部下を引き連れ少林寺にやってきた。侯は囮役になる代わりに、捕らわれている人夫を救出するよう浄空や浄能達に頼んだ。浄能達は固い握手を交わし、その申し出を受け入れた。侯は曹と会い、一緒に行く代わりに兵士を撤退させた。
映画『新少林寺 SHAOLIN』の結末・ラスト(ネタバレ)
曹は額夕を捕らえていた。侯は自分が間違っていたと、額夕に謝罪した。2人は泣きながら抱き締め合った。曹はそんな2人を蹴りつけ、侯の目の前で額夕を殺そうと水の中に落とした。その時、兵士が慌てた様子で部屋に入ってきた。少林寺の僧が人夫を解放し、出土品を奪っているのだ。曹は侯が囮役だと気づき、部下に射殺命令を出して部屋を出た。だが、侯は仲間の僧侶に助けられる。同じ頃、浄能は仲間を守るため、たった1人でドアの前に立ち塞がっていた。曹はそんな浄能をドアごと貫いて殺した。
吊るされた方丈を助けるため、子供の僧侶達が見張りの兵士に助けを乞うた。食料を渡し家族の元に帰るよう諭すが、銃で撃たれ攻撃されてしまう。それを見ていた悟道も、戦いに巻き込まれる。子供の僧侶達は料理を思い出せと悟道に呼びかけた。悟道は小麦を練っているときを思い出しながら、敵を翻弄して倒した。子供の僧侶達と悟道は、方丈を助け寺に戻った。
方丈達は難民達を少林寺から逃がすことにした。しかし、難民達は行く当てなどなく、戸惑いを隠せなかった。侯はそんな難民達に、どうか生きてくれと声を掛けた。そして、悟道に難民達の引率を頼んだ。悟道は不安を抱きながらも、侯に励まされ、引率役を引き受けることにした。
曹達が少林寺を破壊し、攻撃を仕掛けてきた。僧侶達は傷つきながらも必死に戦い、迎え撃った。侯は殺戮を止めるよう曹を説得するが、曹の答えは否だった。2人が戦いを繰り広げているとき、西洋人が攻撃を仕掛けてきた。盗掘の証拠を残さないためだった。
戦いに準じた、多くの僧侶達が亡くなった。方丈も門の前に立ち塞がり兵士を倒していくが、銃で撃たれて亡くなってしまう。侯達が戦っていた場所も砲弾で攻撃された。侯は最後まで、「己の罪を悔い改めろ」と説得を諦めなかった。そんな時、屋根が崩れてきた。侯は曹を庇い、梁の下敷きになってしまう。曹は梁を動かし助けようとするが、自分の力ではどうすることもできなかった。その時、爆弾が打ち込まれた。爆風によって梁が動き、侯の体が弾け飛んだ。侯の体は大仏にぶつかり、大仏の手に滑り落ちていった。曹はその姿を呆然と眺めた。曹は部屋の外へと歩いて行った。そして、寺の周りに倒れている僧侶や兵士の遺体を見て、自分の過ちに気づく。一方、西洋人達は少林寺の僧侶によって倒された。
悟道や難民達は、煙が上がる寺を見て壊されたことを悟る。涙を流して悲しんだ。そこには、額夕の姿もあった。出立する前、額夕は侯から勝男の遺灰を受け取っていた。額夕は侯に二度と会えないことを悟り、今の改心したあなたが好きだと告白した。
映画『新少林寺 SHAOLIN』の感想・評価・レビュー
多くの作品が作られている「少林寺」ですが、ジャッキー・チェンやアンディ・ラウがキャスティングされていたので何となく選んだ今作。結果的には大当たりでした。ただのカンフーやアクション映画では無くて、人間ドラマはもちろん、シリアスな展開や滅んでいくことの美しさなど、美学と呼ぶべきものが描かれていました。
ストーリー的には体を張ったアクションよりも、人間の精神の部分を強く描いているので、見ていると自分まで何か諭されているような気持ちになり、女性でも見やすい作品かなと感じました。(女性 30代)
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