映画『持たざるものが全てを奪う HACKER』の概要:貧しさからハッキングにて大金を稼ぐ事に、夢中となる主人公とその仲間達。ハッカー組織統率者の思想を信奉する主人公は、彼の目に留まろうと壮大な計画へ乗り出す事になる。ネットを利用した闇ビジネスに染まっていく若者達の末路を描く。
映画『持たざるものが全てを奪う HACKER』の作品情報
上映時間:107分
ジャンル:サスペンス
監督:アカン・サタイェフ
キャスト:カラン・マッコーリフ、ロレイン・ニコルソン、ダニエル・エリック・ゴールド、クリフトン・コリンズ・Jr etc
映画『持たざるものが全てを奪う HACKER』の登場人物(キャスト)
- アレックス(カラン・マッコーリフ)
- 18歳、独自でハッキングを勉強。母を解雇した銀行を憎んでおり、同じ思想を持つダークウェブの統率者ゼッドを信奉している。悪に染まり切れない好青年。
- キーラ(ロレイン・ニコルソン)
- 謎の叔父を持つ女性。交渉術に長けており、優秀なハッカー。美人でやり手。
- サイ(ダニエル・エリック・ゴールド)
- 裏社会で生きるバイヤーでアレックスの親友。酒と女と遊びが大好きだが、性格は悪くない。慎重さに欠ける面がある。
- ゼッド(クリフトン・コリンズ・Jr)
- ハッカー組織ダークウェブの統率者。銀行を憎んでいる。失敗を絶対に許さない、冷酷無比な面を持つ。車椅子で顔面には焼けただれたような醜い痕がある。
- カーティス(ザカリー・ベネット)
- サイバー犯罪対策室の捜査官。ゼッド捕縛の為にアレックスを利用する。キーラの謎の叔父。
映画『持たざるものが全てを奪う HACKER』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『持たざるものが全てを奪う HACKER』のあらすじ【起】
これは実話から生まれた物語。
幼いアレックスを連れたダニリュク夫妻は、東欧からカナダのロンドンへ移住して来た。貧乏で両親はいつも喧嘩ばかり。アレックスの母親は友人のつてで銀行へ勤めたが、稼ぎはほとんどがローンの返済へ回り、アレックスの遊び相手は母親が所持するパソコンだけだった。
彼は独自にコードの書き方を勉強し、ネット上で大学進学の学費を稼ぎ始めた。徐々に資金を増やしていくアレックス。彼は次第に金の動きに興味を持つようになる。
一方、両親仲も悪化。アレックスは自分がいる世界を変えたかった。
その頃、ダークウェブというハッカー組織が、政府と銀行をサイバー攻撃したと報道されていた。ダークウェブの統率者はゼッドという人物だった。
ある日、自宅へ帰ると母親が銀行から解雇され泣いていた。不甲斐ない父親は何もせず寝ているだけ。アレックスは自分が貯めていた、進学資金を母親へ渡した。今すぐにでも金が必要だった。
アレックスはそこで、ダークウェブの存在を思い出す。幸いサイトは健在で、すぐに登録。実績を作り、仕事の斡旋をしてもらう事になった。
初仕事は功を奏し大金を稼げた。彼は新しいパソコンを購入し、仕事を続ける。安く買って高く売る商売。扱う商品は携帯、宝石、時計、パソコンなど。4年かけて貯めた3万ドルを1カ月で取り戻したアレックスは、両親を置いて都会へ向かう。
トロントへ来たアレックスはいつものように生活費を稼ごうとしたが、都会では皆警戒心が強く、購入者を探すのは困難を極めた。質屋などを何店舗も回るが、商品は一向に売れなかった。そこで、サイという男と出会う。彼は売り捌くプロだった。
アレックスが商品を仕入れてサイが売る。2人は数カ月で6万ドル稼いだ。
ある日、ダークウェブがまた声明を出した。銀行を非難するものだった。それを聞いたアレックスは、大学へ行くのをやめた。
映画『持たざるものが全てを奪う HACKER』のあらすじ【承】
とあるクラブから裕福なコロンビア人が忘れていったという、ブラックカードを手に入れたアレックスとサイ。そのカードから偽造IDで、大金の入手に成功した。
アレックスはネットを見ていて興味深い情報を仕入れる。母親を解雇した銀行は、セキュリティーが甘い。彼は母親の復讐をする事にした。
カナダ国際銀行へ。システムを破壊して倒産へ追い込むのが目的だった。しかし、ウィルスを入れたUSBが見つかり、アレックスとサイは銀行にて捕縛される。
そこで、セキュリティー責任者のカーティス会話をする。アレックスは、銀行のセキュリティーシステムを強固に書き直す代わりに、自分達を見逃すよう説得。カーティスは口角を上げた。
アレックスの復讐は失敗したが、ダークウェブでは拍手喝采の称賛を得る。更にはゼッドからも“いいね”が送られた。銀行へのハッキングは通常、遠隔操作で行うが、アレックスの場合は金目的ではなく、自らが乗り込み倒産させようとした。それが良かったらしい。
そんなある日、サイのお膳立てで、キーラという女性と会った。彼女もハッカーで、サイはキーラと組んで仕事をしようと提案。すると、彼女もアレックス達と組みたいと考えていた。
彼女は優秀だった。偽造カードの複製で大金を稼ぐ。商品の質も量も上がった。だが、あまりにも次々と大金を持って来るので、サイは次第に彼女を疑い始める。手堅い相手ばかりを紹介する叔父という存在も怪しい。
そんなある日、キーラが大口の取引を持って来た。サイと彼女は口論となる。取引先は業を煮やしサイ達を銃で脅した後、取引はご破算となった。雰囲気は最悪である。
その夜、3人は反省して仲直りする。そして、以前からキーラが勧める香港へ移ることにした。
映画『持たざるものが全てを奪う HACKER』のあらすじ【転】
新天地、香港。拠点を築き、3人は高級品を大量に扱って荒稼ぎした。
彼らは金を持っていた。金は人を変えないが、本性を剥き出しにする。
その夜は、サイの誕生日だった。クラブへ行った3人だったが、女の取り合いで乱闘騒ぎとなり、アレックスとサイが捕まった。キーラの叔父の計らいで留置所から出られたが、翌朝になってサイが詫びのしるしだと言い、例のブラックカードで稼いで来た。
アレックスは激怒し、サイを追い出してしまう。出て行ってすぐ後悔したが、追いかけはしなかった。
その後、アレックスとキーラは、香港中のATMから大金を根こそぎ奪い、ダークウェブの名刺を残した。混乱を目的とした犯行で、ゼッドの気を引く為だった。
その日の夜、キーラが仕事をやめたいと言い出す。だが、アレックスはやめるつもりなど毛頭ない。ゼッドから連絡が入り仕事を褒められた。交渉の末、2人は念願叶ってゼッドと直接会う事になった。
ダークウェブの首謀者は、車椅子で酸素を付けた男だった。ゼッドの顔は火傷の痕なのか、酷く醜い。そして、彼はアレックスとキーラに完璧を求め、失敗は死を意味すると言った。
会談後、サイからの伝言を聞いたアレックス。サイはまた3人でやり直したくて、ホテルで2人を待っているとの事だった。だが、ホテルに戻った2人を待っていたのは、息を止めたサイの死体だけだった。
サイを殺したのは、例のカードの持ち主であるコロンビア人だった。コロンビア人はずっと彼らを狙っており、サイがいなければアレックスとキーラが殺されていただろう。
映画『持たざるものが全てを奪う HACKER』の結末・ラスト(ネタバレ)
株式市場取引終了45分前、ゼッドが用意したチームを引き連れ、アレックスとキーラは計画を遂行。連邦準備理事会の議長射殺を偽装し、株式を一気に暴落させ数十億ドルの大金を手に入れる計画だった。キーラが土団場で怖気づいたが、どうにか説得して計画は成功。チームは即座に解散した。アレックスは去り際に、コロンビア人を計画に加担していたように操作する。サイの敵討ちだった。
しかし、アレックスとキーラは建物から出て乗車するとすぐ、何者かに拉致されてしまう。キーラと離されたアレックスは、何かの薬物を注射されて意識を失った。
気が付いたアレックス。拘束は外されており、残っていたのは偽装パスポートと現金の抜かれた財布だけ。パソコンは破壊されていた。彼は状況が掴めず、ひとまずは何かあった場合に集合場所と決めていた、タイのバンコクヘ向かう事にする。キーラとゼッドには連絡がつかなかった。
タイ、バンコク。アレックスは待ち合わせ場所で数日待ったが、キーラは現れなかった。彼はインターネットカフェに入り、情報を得ようとする。ネットニュースではゼッドが逮捕され、共謀していたとされるキーラは射殺。コロンビア人も逮捕されたとの事だった。
キーラの死亡が信じられないアレックスだったが、偽装カードがばれ警察に逮捕されてしまった。
それから2年、彼は刑務所で過ごした。様々な事を考え、孤独を痛感。刑期を無事に終えて釈放されたアレックス。そこへ、信じられない人物が彼を迎えに来る。
キーラだった。彼女は事の真相を明かす。
カーティスはサイバー犯罪対策室の捜査官だった。キーラの犯罪歴を免責する代わりに、アレックスを利用してゼッドの逮捕を計画。彼女の謎の叔父がカーティスだったのだ。そして、計画は無事に成功。ゼッドは逮捕され、キーラはアレックスの免責を望む代わりに再び、刑務所へ戻ったのだった。
彼女は釈放後、アレックスを探した。偽造パスポートによりすぐに発見出来たが、釈放は難しかった。キーラはアレックスに本当のパスポートを渡し、故郷に帰る手助けをすると言う。彼は笑って彼女の車に乗り込んだ。
映画『持たざるものが全てを奪う HACKER』の感想・評価・レビュー
貧乏な青年がハッキング能力を生かし天才詐欺師へと成長を遂げ、闇ビジネスに関わって壮絶な結末を迎えるという内容。
実話を基に制作された作品であり、こういった犯罪は近年増加している。ハッキングは最早、高度化されハッカーの能力も向上しているだろう。主人公の青年は上手く立ち回っていたが、ブラック・マーケットに参入し組織のトップであるゼットと関わったことで悲惨な末路を迎える。彼の能力に目を付け、大物を引っ張り出すという計画を立て、見事に成功させた捜査官がやり手だと思った。主人公は囮として利用されたのだろうが、その代わりに刑期を短縮できたので、それだけでも良かったのかもしれない。(女性 40代)
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