映画『ザ・タンク』の概要:火星探査のシミュレーションのため、6人の宇宙飛行士候補がタンク施設の密室実験に参加した。471日間、一歩も外に出られないという密閉状態で実験が行われ、メンバーは徐々に精神のバランスを崩していく。
映画『ザ・タンク』の作品情報
上映時間:85分
ジャンル:サスペンス
監督:ケリー・マディソン
キャスト:マーガリート・モロー、ブラッド・ウィリアム・ヘンケ、クリストファー・レッドマン、ジャック・ダヴェンポート etc
映画『ザ・タンク』の登場人物(キャスト)
- ジュリア(マーガリート・モロー)
- 実験に参加する宇宙飛行士候補の地質学者。夫と2人の子供がいる。密閉空間での過酷な実験で心が折れそうになるが、子供たちからの動画メッセージを心の支えにする。
- ウィル(ジャック・ダヴェンポート)
- 元空軍パイロットでこの実験のリーダー。ひとり娘が事故で死亡し、それを苦にして妻が自殺するという悲しい過去がある。
- トム(クリストファー・レッドマン)
- 社会学者。子供の頃から発作の持病を抱えている。神経質な性格で、自分のチョコレートを誰かが食べたと言って、むきになって犯人捜しをする。
- ルーク(エリック・キング)
- 生体工学士。熱心なキリスト教信者。長期に渡る密室生活で徐々にバランスを崩し、大声の独り言を言い始める。
- ネリー(アンナ・リース・フィリップス)
- 医学博士の女性。長期の密閉生活中にデーンと男女の関係となり、個室で声を潜めて抱き合っている。
- デーン(ブラッド・ウィリアム・ヘンケ)
- 元海兵隊員。訓練中に仲間に気付かれないよう、ネリーと肉体関係を持つ。訓練中の骨折で足首に重傷を負う。
映画『ザ・タンク』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ザ・タンク』のあらすじ【起】
宇宙飛行士候補6人が、南極でのある実験に参加した。それは火星探査機をイメージしたタンク型の密室施設“ICE-SAT5”に入り、外部との接触を一切絶って471日間の共同生活を送るというもの。地質学者や元空軍パイロット、生体工学士などあらゆる分野の専門家たちが実験に参加することになった。
実験開始当初は宇宙食でパーティーを楽しむなど、チームの雰囲気は和やかだった。数日が過ぎ、社会学者のトムが自分のチョコレートが無くなったと犯人捜しを始めた辺りから、嫌な空気が流れ始める。さらに、6週間のトイレ掃除を掛けたポーカーゲームで生体工学士のルークが負けて激怒したことで、チームは益々気まずいムードになった。
医学博士のネリーと元海兵隊のデーンは、皆に隠れて男女の関係になっていた。ある夜、個室で声を潜めて抱き合っている最中に停電が発生する。本部と連絡が絶たれ、タンク内の酸素が残り16時間分しかないという危険な状態に陥った。トムがストレスで発作を起こして倒れてしまい、メンバー同士で小競り合いも始まった。
映画『ザ・タンク』のあらすじ【承】
ウィルたちはようやく本部との連絡に成功し、停電は非常事態にチームが耐えられるかを試すストレステストであったことを知らされる。抜き打ちテストとは言え、命を危険に晒されて納得のいかないメンバーたち。しかし、ここまで頑張ったから続けようと言うリーダーのウィルの説得もあり、彼らは任務を続行することに承諾した。
しかしそれ以来、メンバーは顔を合わせないようお互いを避けるようになった。日中は各自の実験に黙々と取り組み、任務が終わると口も聞かずに個室に閉じ籠るという毎日。そんな日々が続き、一部のメンバーに被害妄想や幻覚などが増幅するようになる。
殺伐とした共同生活で地質学者のジュリアは憂鬱な気分になるが、家から届く子供たちのメッセージ動画を励みに実験を続けた。月日は流れて大晦日の夜。ジュリアとネリーは宇宙食での新年パーティーを楽しんだ。信仰心の篤いルークは神に祈りを捧げ、今の状況を打開して欲しいと願うのだった。
映画『ザ・タンク』のあらすじ【転】
数か月が過ぎた頃、重い宇宙服で実験をしていたデーンが転倒し、足首の骨が見えるほどの怪我をしてしまう。ルークは作業場に引き籠り、独り言を言いながら何かを作るようになった。ジュリアはウィルとお互いの家族の話をした。ウィルが娘を事故で失っていたことを知ったジュリアは彼に同情し、その場の雰囲気に流されて口づけをした。
471日目となった任務最終日。メンバーたちは安堵の表情で帰り支度を始める。本部の迎えが来る予定時刻まで残り数時間となった時、ルークが妄想に取り憑かれたような表情で皆の前に現れ、「タンクを出たら僕たちは死んでしまう」と騒ぎ始める。彼は作業場で作ったと思われる手作り銃をメンバーたちに向け、指を滑らせて発砲してしまった。弾はジュリアの心臓付近に命中。ジュリアは大量出血によりみるみる顔が青ざめていく。ネリーは必死で止血を試みるが、血は止まりそうになかった。
ルークはさらに騒ぎを続け、トムがメンバーの部屋を覗き見したことを皆にばらした。トムは秘密をばらされたショックで発作を起こし、そのまま死んでしまう。
映画『ザ・タンク』の結末・ラスト(ネタバレ)
トムを殺したとウィルに責められたルークは、手作り銃を自分に向けて自殺を図った。トムとルークが死亡し、ジュリアは瀕死の状態、さらにネリーはどこかにいなくなっていた。
ウィルとデーンは本部からのメールに気付き、暴風雪の影響で迎えが数週間遅れることを知る。2人は緊急SOSを発信するが、暴風雪のせいで届いたかどうか分からなかった。細長い形状のタンクは突風で横転し、ジュリアは衝撃で絶命してしまう。
デーンは足首の怪我が悪化して敗血症寸前となり、菌が心臓に至る前に切断してくれとウィルに頼んだ。ウィルはデーンの足を電気のこぎりで切断し、デーンはしばらく眠り続けた。ウィルは防寒用に宇宙服を着ようと実験室に行くと、宇宙服を着たまま死んでいるネリーを発見する。
残されたウィルとデーンは救助を待ち続けたが、デーンは死ぬのを予感して涙を流しながら息を引き取った。ウィルは夢の中で死んだ娘に出会う。娘から諦めないでと言われて目覚めると、目の前の天井がこじ開けられ、ようやく救助が到着するのだった。
映画『ザ・タンク』の感想・評価・レビュー
タンク状の密室空間で男女6人が共同生活を送るという実験を描いたスペンス映画。事故調査委員の報告という形で、密室で起きた事件の様子を描いている。面白そうなテーマだがエイリアンが出てくるわけでもなく、殺人鬼が出るわけでもなく、人間関係のこじれも微妙な感じで、いまいち盛り上がりに欠けてしまったように感じる。突っ込みどころがいくつかあるが、中でも不思議だったのがネリーの死。なぜ突然いなくなり、宇宙服を着て死んだのかがさっぱり分からなかった。(MIHOシネマ編集部)
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