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映画『地獄門』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『地獄門』の概要:平家と源氏が入り乱れる戦場で出会った盛遠と袈裟。戦で武勲を立てた盛遠はその褒美として、清盛に袈裟との結婚を願い出る。清盛も快く応じようとする。しかし、袈裟には既に夫がいた。

映画『地獄門』の作品情報

地獄門

製作年:1953年
上映時間:89分
ジャンル:時代劇
監督:衣笠貞之助
キャスト:長谷川一夫、京マチ子、山形勲、黒川弥太郎 etc

映画『地獄門』の登場人物(キャスト)

盛遠(長谷川一夫)
平家の兵。源氏に寝返った兄と違い、清盛への忠義を最後まで貫く。戦場で出会った袈裟に恋をし、彼女に執着する。
袈裟(京マチ子)
平家の武士の妻。源氏に襲われていたところを盛遠に救われる。

映画『地獄門』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『地獄門』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『地獄門』のあらすじ【起】

平清盛は、一門を率いて厳島詣での折、源義朝と藤原信頼は後白河上皇三条殿に不意打ちをかけ、政権の転覆を図った。世に言う、平治の乱が起こったときのこと。奇襲に怯える使用人たち。敵は源氏の兵はもうすぐそこにきており、屋敷の中にまで矢が届いた。押し入った源氏の兵が逃げ惑う使用人を追い立てる。家臣たちは、どうにか上皇だけでも無事に逃がせないかと策を練る。敵の目を欺くために囮を立てることに決め、身代わりになる者を探す家臣。名乗り出たのは袈裟という名の女だった。上皇の牛車が屋敷を出て行くのを見つけた源氏の兵は、揃って後を追う。しかし、その牛車に乗っていたのは、袈裟だった。追いついた源氏の兵は牛車を包囲する。囮の牛車を護衛していた上皇の家臣は、少しでも長く上皇が逃げるための時間を稼ごうと、懸命に敵ともみ合う。人間同士の争いの中、牛を引っ張って、牛車を連れ出す男がいた。男の名は盛遠と言い、彼は牛車の中から袈裟を降ろすと、自分の家に連れ込み、彼女を介抱した。袈裟が目を覚ますと、男は戦場に戻ると言ってその場から去ろうとした。しかし、盛遠の兄を探しに源氏の六郎が訪ねてきた。盛遠は、兄はいないと伝えるが、六郎は居座ろうとする。袈裟の存在に気づく盛遠。着ていた服から彼女が後白河の者だと気づいた六郎は、盛遠を問い詰める。対して、盛遠は六郎に斬りかかった。そこに、盛遠の兄がやってきて、二人を仲裁しようとする。源氏に着いた盛遠の兄は、平家に着いた盛遠に、負け戦をしてどうなると説く。それでも、一度仕えた以上は主君だと反論する盛遠。二人は仲違いしたまま別れてしまう。

屋敷での騒動は収まったが、上皇が源氏の手に落ちてしまったという知らせを受ける盛遠。

地獄門という、敗れた兵や罪人の生首が晒される門。門の周りには野次馬が集まっていた。現場に駆けつけた盛遠は、そこで平家の家臣に会う。家臣は、盛遠が兄と同様、源氏にくだったのではないかと疑っていた。疑惑を晴らすために清盛を探しに行く盛遠。

神社の一角にある舞台の上で舞が行われていた。家臣と共にそれを観ていた清盛の下に部下が知らせを持ってきた。源氏の不意打ちに憤る清盛。情報を持ってきた盛遠に、清盛は「裏切り者は誰か」と問い詰める。盛遠は渋々ながらも、兄のことを打ち明けた。清盛に命じられ、部屋を後にした盛遠は、清盛の家臣が自分の馬に細工をしようとしているところを目撃する。何をしているのかと盛遠が家臣に尋ねると、家臣は盛遠に向かって刀を抜いた。応戦した盛遠は、家臣を殺してしまう。

清盛は一門を率いて都に攻め入る。信頼、義朝勢を破り、平家が再び政権を築く。

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映画『地獄門』のあらすじ【承】

地獄門の前で晒された首を前に、どれを誰が討ったかと盛り上がる平家の兵たち。兄の首が晒された門の前で、盛遠は立ち尽くしていた。そんな盛遠に、手向けを促す友人。祈りを済ませた盛遠が振り返ると、そこに袈裟の姿を見つける。再会を喜びあう二人。袈裟は盛遠に叔母を紹介する。用があるらしい袈裟を見送った盛遠は、脇で見ていた友人に笑われる。

勝ちを収めた清盛は、戦果を挙げた家臣たちに褒美を与えていた。何でも願いを聞いてやるという清盛に、盛遠は仲人を頼む。快諾する清盛。しかし、袈裟は他人の妻であることが発覚する。そうと知っても諦められない盛遠は、食い下がる。強情な盛遠に、他の家臣は困惑する。

盛遠が清盛に仲人を頼んだことが、袈裟にも伝わる。彼女の周囲の者は盛遠を非難する。袈裟は夫に、盛遠のことは自分の振る舞いに責任があると謝る。夫はそれを許した。

清盛に呼ばれて六波羅に訪れた袈裟は、彼の前で琴を弾く。袈裟の美しさを見て、盛遠の執心を理解した清盛。清盛は盛遠に袈裟と会う機会を設けるため、彼女を呼んだのだった。彼女の真意を聞いてこいと言う清盛。言われた通り、盛遠は袈裟に会いに行く。袈裟の演奏を止め、愛の告白をする盛遠。しかし、袈裟はそれを拒んだ。

盛遠のことを話題に友人と酒を酌み交わす袈裟の夫。友人たちとの会話の中で彼は、盛遠が競べ馬への出馬を志願し自分と競い合うつもりでいることを知る。競べ馬は神に奉納するもの。勝ち負けはあるが互いが全力を尽くせばそれでいいと言う。

帰ってきた袈裟に、六波羅はどうだったと聞く。彼女は夫に清盛の呼び出しは、自分の心を試すためだったと語る。こんなに悔しい思いをしたことはないと泣く袈裟を、夫は優しい言葉で労う。それから夫は袈裟を競べ馬に誘った。心配する袈裟に夫は自信を見せる。

映画『地獄門』のあらすじ【転】

競べ馬当日。会場は、大勢の見物人で賑わっていた。袈裟の夫を前に意気込む盛遠。袈裟の夫も盛遠と目を合わせるが、馬の手入れを済ませると、何も言わずに行ってしまった。馬に跨った盛遠は、見物席に袈裟の姿を見て立ち止まる。それから盛遠は、意を決してスタート地点へと進んだ。

出走の合図と共に馬に跨った武士が一斉に走り出す。事情を知る者たちは、競り合う盛遠と袈裟の夫の姿に一層盛り上がった。二人の行く末を見守る袈裟。軍配は盛遠に上がった。仲間から勝ちを賞賛される盛遠と、敗けを責められる袈裟の夫。

競い馬の勝負忘れの儀式が済み、酒を酌み交わす両陣営。袈裟の夫の友人は、妻に頼まれて盛遠に勝ちを譲ったのだろうと、彼を笑う。袈裟の夫は、技量の差だと言って場を収めようとするが、その様子を見ていた盛遠は腹を立てる。ならば、真剣勝負でも構わないと刀を構える盛遠を見て、説得は無理だと悟った袈裟の夫は、自分が部屋を出て事を落ち着かせようとする。冷静な袈裟の夫の振る舞いに更に腹を立てる盛遠。騒ぎを聞いてやってきた重盛は、盛遠を叱りつける。渋々部屋を出て行く盛遠。しかし、彼は帰らず袈裟に会いに行った。使用人は「彼女は叔母の家に行っている」と嘘を吐き、盛遠を追い返す。叔母の家まで行った盛遠だが、そこに袈裟の姿はない。叔母に袈裟を呼べと強要する盛遠。嫁いだ娘を自分の気ままにはできないと言って叔母は拒んだ。病になったと嘘を言えと盛遠は更に詰め寄る。始めは断る叔母だが、盛遠に斬って捨てると脅され、渋々従う。

叔母の病気の知らせが袈裟に届く。叔母の身を案じる袈裟とその夫。自分もついていこうかと提案する夫に、袈裟は一人で行くと言う。叔母の家に向かう袈裟。叔母の家に着くと、そこには盛遠がいた。盛遠は袈裟に自分の思いを聞いて欲しいと頼む。袈裟はその必要はないと拒んだ。拒む袈裟に、盛遠は断れば叔母も夫も、お前も殺すと脅す。袈裟は渋々従い、盛遠に夫を殺して欲しいと頼む。

映画『地獄門』の結末・ラスト(ネタバレ)

家に戻った袈裟は、使用人に酒の用意をさせる。準備のために部屋を出ていこうとする使用人を呼び止め、袈裟は盃を託した。睡魔と戦いながら自分の帰りを待っていた夫に挨拶をする袈裟。そして、彼女は使用人に用意させた酒を夫に注ぐ。袈裟に琴を弾いてくれと頼む夫。袈裟は悲しみを堪えながら夫に一曲聞かせる。涙を流す袈裟に、夫は酒を勧めた。袈裟の疲れを察して彼女に寝るよう言った夫だが、袈裟はもっと聞いてくれと彼に頼む。頼んだものの、袈裟は琴を弾けなかった。

その場で眠ってしまった夫の世話を済ませた袈裟は、彼の部屋に行き、夫の服に着替え布団にこもる。夜明けを告げる寺の鐘の音が響く。外には袈裟に言われたとおり袈裟の夫を殺しに来た盛遠がいた。刀を抜き、盛遠は屋敷に忍び込む。盛遠は家主の部屋で人影を見つけ斬りかかった。夫を殺したはずだった。しかし、彼が斬ったのは袈裟本人だった。袈裟の悲鳴を聞いてやっと我に帰った盛遠。一頻り泣いた後、盛遠は袈裟の夫を探す。騒ぎに目を覚ました夫が立ち上がると、そこには盛遠がいた。自分の首を斬れと頼み込む盛遠。しかし、夫は盛遠を無視して妻の元に駆けつけた。涙を流しながら、夫はどうして自分を信用して打ち明けてくれなかったのかと妻の死体に聞く。しかし、袈裟はもう何も答えない。

盛遠の元に戻ってきた袈裟の夫。盛遠は再び自分の首を斬れと言う。だが、袈裟の夫はそれでどうなると問う。首を斬られたお前はそれで終わりだが、自分は妻を失い、彼女の信用も得られなかったことを悔やみながら生き続けなければならない、と。袈裟の夫の言い分に納得した盛遠は地獄の呵責に苦しみながら生きることを彼に誓う。

映画『地獄門』の感想・評価・レビュー

映画を見ていると、どんな作品でも「今こんなことしている場合じゃないだろう」と思うシーンってありませんか?アクション映画でもホラーでも歴史物でも今必要なの?ってシーン見たことありますよね。それらに共通するのが「恋」や「愛」だと思うんです。命の危険が迫っている時に口づけあったり、敵から追われているのに愛する人との別れを惜しんだり。そういうシーンを不満に思っていましたが、今作を見るとどんな時代、場所、状況でも関係なく「愛」は必要不可欠なものなのだと感じます。それが破滅への道だとしても簡単に切れるものでは無いのでしょう。(女性 30代)

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