『フレンジー』あらすじ&ネタバレ考察・ストーリー解説

奇妙な殺人事件の犯人として追われる羽目になった元イギリス空軍少佐と、真犯人である友人の変質的な殺人行動を追ったサスペンスミステリー映画。疑惑をかけられた主人公は果たしてどういう行動をとるのか、また刑事は真犯人を捉えることができるのか3人の男性の行動に目が離せない作品。

あらすじ

フレンジー』のあらすじを紹介します。

舞台はイギリスのロンドン。ある日、運河に全裸姿で首を絞められた女性の遺体が発見させられた。その首にはネクタイが巻かれており、「ネクタイ殺人事件」と世の中で報道されていた。殺された女性は殺害される前に犯されていたようで、司法解剖をした医者の間では、犯人は欲望を押さえきれない子どものような奴であろうと見解が出ていた。

職場のバーテンダーとして働いていたディック・ブレイニーはオーナーと喧嘩になり突然無職となった。ディックは元イギリス空軍少佐であり、その功績を表彰されるほどの腕を持っていた。しかし、今となっては飲むと大声をだして荒れ狂い、感情の抑揚が激しく、友人ラスクと競馬に打ち込む生活をしていた。

ディックの元妻のブレンダは結婚相談所を経営しており、結婚相手を紹介する仕事をしていた。ある日、ブレンダの元に友人のラスクが女を紹介しろと乗り込んできた。しかし、彼の目的はブレンダ本人であり、紹介を断固として断るブレンダに暴行をし殺害する。

ラスクが彼女の事務所を離れた後、タイミング良くディックが事務所を訪れる。事務所には入らず、すぐさま立ち去ったディックであったが、その姿を秘書に見られてしまう。この事件の前に事務所でディックとブレンダが言い争っていたのを聞いていた秘書は警察にディックが犯人であると証言する。メディアで指名手配されるディック。

はたして、ディックの疑惑は解かれるのか。そして真犯人ラスクの存在に刑事やディック自身も気付くことができるのか。

評価

  • 点数:90点/100点
  • オススメ度:★★★★★
  • ストーリー:★★★★★
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★☆☆

作品概要

  • 公開日:1972年
  • 上映時間:116分
  • ジャンル:サスペンス
  • 監督:アルフレッド・ヒッチコック
  • キャスト:ジョン・フィンチ、バリー・フォスター、アレック・マッコーエン、バーバラ・リー=ハント、アンナ・マッセイ etc…

ネタバレ考察・ストーリー解説

『フレンジー』について、2つ考察・解説します。※ネタバレあり

ヒッチコックは時間に厳しい?!

本作品の監督、アルフレッド・ヒッチコックがロンドンのコヴェント・ガーデン(中心部シティ・オブ・ウェストミンスターに存在する地区)で撮影する際、撮影時間は朝の8時から夜の6時までというルールがあった。ある日、仕上げの中盤に差掛かり、撮影を続けていたヒッチコックのもとに労働組合の代表者が撮影を辞めるよう忠告に来た。時刻は夜の6時15分。たった15分しか経っていないのにルールだと言い張る代表者にヒッチコックは大激怒し、撮影を取りやめハリウッドに帰国してしまった。それ以来、代表者が撮影現場に現れることはなくなったそう。

違和感のない撮影技術

物語の中盤、ラスクがバブス(ディックが働いていたバーの元同僚)を殺害するため自分の部屋へ招き入れるシーンがある。
このシーンでは、ラスクがバブスを口説きながら自分のアパートへと導いていく様子をカメラで撮影している。

コヴェント・ガーデンの市場を抜けて、ラスクのアパートに到着し、入り口から2階の玄関へと進む2人。2人が部屋に入るのを見届けた後、カメラ映像はのぼってきた階段を下り、アパートの外へと移動する。その後、アパートのドアを撮影し続けるこのシーンは、不気味な雰囲気に包まれており、まるでアパートの中で繰り広げられるラスクの暴行と殺害を現しているかのようである。

一見、ワンカット映像に見えるこのシーンだが、実はワンカットではない。アパートの外に出てきて間もなく、通行人が通る瞬間がある。そこで一旦、撮影が区切られており、後に2つの映像をつなげているのである。

言われてみると、たしかに通行人が通った後、アパートの中が一瞬で暗くなったような、建物のドアの色が変わったような感じがある。しかし、言われてみないと気がつかない撮影技術は一見ものである。

まとめ

犯人による殺害模様や暴行模様がリアリティに容赦なく表現されており、とても恐ろしく感じた。自分の思い通りにならないことに対する強い不満を、残忍な行動によってでしか発散できない犯人の様子は、現代でも見られる変質的な凶悪犯罪を彷彿させる。本作品は被害者が女性であったが、子どもや女性といった自分よりもか弱いものに対する暴力的かつ非道な行為は、犯人の心の弱さを映し出しており、恐怖を感じる一方で強い虚しさも感じられる。
また、犯人だけではなく、主人公もまた自分の感情を抑えられない性格であり、自分の納得いかない事に対し声を荒げる。自分の感情をコントロールできないのだ。

作品全体を通して、大人になりきれない大人、いわゆるアダルト・チルドレンの男性を世にも恐ろしく描いているといった印象である。

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