『グランド・ブダペスト・ホテル』あらすじ感想とネタバレ映画批評・評価

グランド・ブダペスト・ホテルの概要:ウェス・アンダーソン監督の世界観を存分に楽しめる最新作。第87回アカデミー賞にて、副主要部門の作曲賞、衣装デザイン賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞、美術賞の計4部門の受賞をもたらした必見の映画。主演は英国俳優のレイフ・ファインズ。

グランド・ブダペスト・ホテル

グランド・ブダペスト・ホテル あらすじ

映画『グランド・ブダペスト・ホテル』のあらすじを紹介します。

架空の国、旧ズブロフカ共和国。オールドルッツ墓地にて、一人の少女が小説片手に現れた。その本の名は『グランド・ブダペスト・ホテル』今は亡き著者の前で、少女はそれを読み始める。小説の物語は実話だが、どことなく奇想天外で、ブラックユーモアがふんだんに盛り込まれたサスペンス小説。その本の作家が、若かりし頃に訪れた廃れたホテル『グランド・ブダペスト』かつて、そのホテルでロビーボーイとして雇われたゼロ・ムスタファと遭遇。彼がなぜ、御曹司になれたのか?彼はなぜ、閑散期に屋根裏部屋のような狭い部屋で寝泊まりしているのか?その真相を、彼の口から聞かされる。それは1930年代のこと。戦争が始まる少し前、ホテルも繁栄を誇っていた頃、一人の名の知れたコンシェルジュ、グスタブ・H。そして、彼に仕えるロビーボーイのゼロ。ある日、グスタブ・Hと仲のよい老婆マダム・Dが何者かによって殺された。彼女は死んだ時は、グスタブ・Hに『少年とリンゴ』と言う絵画を渡すことを遺言に残していた。それをよく思わない、彼女の一人息子ドミトリーが、グスタブを犯人に仕立てあげようと企てる。グスタブとゼロは、ドミトリーの家から何とかして、例の絵を盗みだし、ホテルに運ぶのだったが、ついにグスタブは警察に連行されてしまう。刑務所に入れられた彼は、コンシェルジュ時代に培った人柄のよさで、ここでも仲間を作り、脱獄の計画を図るのだった。無事、脱獄に成功し、ゼロの助けを借りて、自身の汚名を晴らし、絵画の謎を突き止めようとするも、その一方では、マダム・Dの遺言を預かる弁護士コヴァック、同僚のセルジュ・Xの姉、そしてセルジュ・X自身も、ドミトリーと手を組む殺し屋ジョプリングに殺されていた。グスタブとゼロは無事、絵画を取り戻せるのか?事件は解決するのか?

グランド・ブダペスト・ホテル 評価

  • 点数:75点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★★
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★★★

作品概要

  • 公開日:2014年6月6日
  • 上映時間:100分
  • ジャンル:ファンタジー、コメディ、ミステリー
  • 監督:ウェス・アンダーソン
  • キャスト:レイフ・ファインズ、F・マーレイ・エイブラハム、エドワード・ノートン、マチュー・アマルリック etc

グランド・ブダペスト・ホテル 批評 ※ネタバレ

映画『グランド・ブダペスト・ホテル』について、2つ感想批評です。※ネタバレあり

今年のアカデミー賞最多4部門受賞した驚異の世界観

次世代の映画界を担う時代の寵児こと、ウェス・アンダーソン監督の最新作。彼は『アンソニーのハッピー・モーテル』で監督デビューした後、長編2作目『天才マックスの世界』でも軒並みならぬ世界観を発揮し、全世界を驚愕の渦に巻き込んだ。現在この作品は、カルト映画と呼ばれている。若き天才、ウェス・アンダーソンはその後も『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』『ライフ・アクアティック』『ダージリン急行』アニメ製作の『ファンタスティック Mr. Fox』『ムーンライズ・キングダム』実写6本とアニメ作品一本。その内、初期2作以外は日本での劇場公開がさている。アカデミー賞では『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』と『ムーンライズ・キングダム』の2作品で、両作品とも脚本賞止まり。その上、どちらも受賞ならず。ここまで、注目されながら、本年度のアカデミー賞にて初めて最多ノミネート、最多受賞を果たした。若き天才の存在感を見せつけた。ただし、作品賞も監督賞も受賞は逃した。主要部門は獲れなかったのは、残念だが、私が思うに、これはアカデミー賞会員の優しさでもあり、愛情だろう。ここで受賞してしまえば、彼はきっとここ止まりのまま、満足するだろうと。そうではなく、今まで以上のいい作品を製作出来ることをアカデミー賞会員は皆、分かっているから、敢えて彼に賞を贈らなかった。だからこそ、次の彼の作品がどんなアプローチで完成させるのかが、今から楽しみなのだ。

オタクが魅せる拘りの数々

本当にウェス・アンダーソン監督の演出は、目を見張るものが多い。例えば、左右対称のシンメトリーが取り入れられていたり、原色とも言える色をふんだんに使い、まるで異世界にいるような錯覚に陥れられる。また彼の撮影技術は独特で、多数のカメラを使わずに、一つのカメラを動かしながら、長回しを行ったり、撮りたい角度のポイントを一つのカメラの視点から順々に撮影していたり、また鏡のトリックを駆使し、敢えて演者が鏡を通して話すのを、まるで私たちが第3者の視点から観るのも楽しい。よく固定カメラでの撮影が見られ、右から列車がフェームインしたかと思えば、次に左から車がフェームインするような演出が数多く見られる。低予算でありながらも、映画そのものに拘り抜いた演出力を発揮し、まるでおもちゃ箱を開けたような、世にも奇妙な不思議な世界が広がる。それが、ウェスワールドの真骨頂だろう。また面白いのは、脚本の所々に、言葉遊びが含まれている点だ。例えば、本作では主人公のゼロ・ムスタファ。初登場シーンでは、グスタブ・Hから色々質問攻めにされるシーンがあるが、家族の有無に答えられなかった時のグスタブ・Hの返答が『ゼロ(0)か』と言う答えるシーン。まさに計算されたネーミングと台詞とシーンだろう。他に、ゼロが恋に落ちる少女の名がアガサだ。ゼロが彼女にプレゼントを贈る時、Z~Aに、とわざわざ言わせているが、これも何かの言葉遊びだろう。

また、ウェス・アンダーソンは、若手からベテラン、大物からトップスターの役者の使い方が実にスマートだ。まるで、ウッディ・アレンのようだ。日本で言うと三谷幸喜あたりだろうか?脚本を書きながらイメージするのか、それとも脚本が出来上がってから役者をオファーするのか?私はきっと、前者だと思う。執筆段階から演じて欲しいキャラクターと役者をイメージしながら執筆していたのだろう?そんな彼の、ヴィジョンが我ながら気になる。本作も、類を観ないトップスターが勢揃いした。総勢16人の新旧のスターばかりだ。フランス人に、イギリス人に、アメリカ人と、国籍もバラバラだ。ただウェス・アンダーソンは、まったくブレない人間だ。これだけの有名人がいても誰一人欠けることもなく、存在感を発揮している。どこのシーンに誰が出演しているのか、探しながら鑑賞するのも、彼の作品を観る上での楽しみの一つだ。まだ未見の方は、これらを踏まえて鑑賞すると、この映画の楽しみが一つ見えてくるだろう。

グランド・ブダペスト・ホテル 感想まとめ

基本、人が映画を選ぶものだが、時に映画が人を選ぶことがある。ウェス・アンダーソン監督の作品郡は、どれも映画が人を選ぶ。正直、私は彼のことも、彼の作品も苦手だった。ただ、ここまで整理すると、やはり彼の作品はオタク傾向の強い作品であるのは間違いないが、私がこの作品で最も好きなのは、師弟関係の描き方だ。グスタブがゼロに対する絶対なる信頼感。そこに、いつも心が揺れ動く。親子以上に結ばれた師弟関係の美しさ。その対照した映画の色彩と小道具の繊細を兼ね備えた芸術性の高い一本だ。

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