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映画『長靴をはいた猫』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『長靴をはいた猫』の概要:1969年「東映まんがまつり」で公開された長編アニメーション。後に二度リバイバル上映された人気作。シャルル・ペローの名文学を原作にした、歌あり笑いありのドタバタ冒険活劇。東映長靴猫シリーズ三部作のうちの、第一作。

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映画『長靴をはいた猫』の作品情報

長靴をはいた猫

製作年:1969年
上映時間:80分
ジャンル:ファンタジー、コメディ、アニメ
監督:矢吹公郎
キャスト:石川進、藤田淑子、榊原るみ、水森亜土 etc

映画『長靴をはいた猫』の登場人物(キャスト)

ペロ(石川進)
長靴をはいた猫。猫の国で、ネズミを助けるというタブーを犯し、死刑判決を受ける。脱獄し、殺し屋に追われながら逃亡中。陽気な楽天家で、お調子者。
ピエール(藤田淑子)
田舎の農家の三男。心優しいが気弱で、兄達から虐められている。自己主張はあまりしないが、内心では曲がった事を嫌う正義感の持ち主。
ローザ姫(榊原ルミ)
王国の姫。美しく、穏やかな娘。地位や財産に惑わされず、人の本質を見る目がある。父である王が金持ちを婿に望んだ事から、気乗りしない見合いを強要される。
ルシファ(小池朝雄)
魔王。通常は大男の姿をしている。魔法で変身したり、人に幻覚を見せたりする事ができる。粗野な暴君だが、美しいローザ姫の事は気に入っている。

映画『長靴をはいた猫』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『長靴をはいた猫』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『長靴をはいた猫』のあらすじ【起】

長靴をはいた猫・ペロは、ネズミを助けた罪で、猫の国から追われる身だ。雨の夜、死刑場から逃げ出したペロは、一軒の農家に辿り着いた。その家の優しい三男ピエールは、雨に濡れるペロを家の中に招き入れる。しかし、彼は意地悪な二人の兄からいじめられ、父の遺産も横取りされそうになっていた。

ペロを追ってきた三匹の猫と、家の中で大立ち回りをするペロ。それが兄達の怒りを買い、ペロもピエールも家から追い出されてしまった。持たされた荷物は、ジャガイモ一袋だけ。それでも、陽気なペロと優しいピエールは良い旅の仲間となり、二人は楽しく城下町を目指す。

城下町は、王様からのお触れが出て、賑わっていた。この世で一番の金持ちで武勇に優れる者を、ローザ姫の婿にするという。ピエールに立候補するよう、勧めるペロ。もちろん、世界中の貴公子達も駆けつけている。さらに、魔王のルシファまでもが城に乗り込んできた。確かに、ルシファの魔力は金銀財宝を生み出し、城をダイヤモンドで埋め尽くすことだってできる。しかし、ローザ姫は怯えるばかり。これに機嫌を損ねたルシファは、3日後に姫を自分の城まで連れてこなければ、この国を亡ぼすと宣言して帰って行った。

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映画『長靴をはいた猫』のあらすじ【承】

星空を眺めて、己の悲運を嘆くローザ姫。姫の美しい姿と歌声に、ペロもピエールもうっとりだ。ルシファを倒せば、王は姫とピエールの結婚を許すに違いない。ペロはネズミの盗賊団を手下に迎え、ピエールを王子に仕立てようと決意した。

ネズミ達が、姫の婿候補となるため町に来ていたピエールの兄達から、上等な服を盗んできた。それを着て、ローザ姫の前に姿を見せるピエール。口下手なピエールの代わりに、ペロが口説き文句を並べ立ててやった。再び猫の追手に邪魔されるが、追われて運よく辿り着いたのは、王様の部屋だった。

ペロは、自らを世界一の大金持ち・カラバ侯爵の家来と名乗る。カラバ侯爵とは、もちろんピエールの事だ。王は喜び、ローザ姫の元にもネズミがカラバ侯爵の名を告げに行く。しかし、その作戦を受け入れられないのはピエール自身だった。彼は、姫を騙す事ができず、ローザ姫の前から走り去ってしまう。そして、城下町に出たところを、兄達に見つかり身ぐるみはがされてしまうのだった。

翌日、姫の元へ贈り物を運ぶ兄達を騙し、荷馬車いっぱいの農作物を手に入れるペロ。それをカラバ侯爵の名で王へ献上し、王様も姫もすっかりペロを信用する。大金持ちのカラバ侯爵が、ルシファを倒してくれると信じているローザ姫。

ペロの工作は、まだまだ続く。王の一行が通る道沿いの農民に、この土地はカラバ侯爵の領地だと言わせるのだ。手下のネズミ達を使って脅かせば、作物を守るため、農民も協力するしかない。そしてみすぼらしい身なりのピエールは、裸にして川に入らせた。乗馬でかいた汗を川で流していたら、盗人に服を盗られたという設定だ。こうしてピエールはまんまと城に迎えられ、王の手配した衣装で本物の貴族のように仕立て上げられるのだった。

映画『長靴をはいた猫』のあらすじ【転】

いよいよ、ルシファの城に行く期限の夜がやって来た。実は、ペロにはルシファを倒す策はない。そして、ピエールもこれ以上ローザ姫に嘘をつきたくないと言う。それでも、何とかなるだろう、と楽観的なペロ。彼にとっては、ピエールがローザ姫を好きだと思う気持ちだけが重要だった。

一方、ルシファもまた、城でローザ姫の到着を待ち焦がれていた。ご馳走を用意し、我慢できずに魔法の水で姫の様子を映し出す。すると、姫は城の庭で男と会っているではないか。怒り狂ったルシファは、水盆を叩き割るのだった。

そして、庭で姫と会ったピエールは、ついに自分がカラバ侯爵ではない事を打ち明けてしまう。ただの百姓の倅だと知り、驚くローザ姫。しかし、ローザ姫はピエールを許した。彼の真心を知っていた姫は、ピエールの素性など気にならないのだ。

ようやく心の通じ合った二人の間に、邪魔に入るルシファ。彼は姫をさらい、風と共に空に消えてしまった。ピエールは姫の名を叫ぶが、涙をぬぐって立ち上がると心を決めた。白馬を駆り、魔王の城を目指すピエール。

城では、ルシファが嫌がる姫に無理やり花嫁仕度をさせていた。そこへペロが現れ、ルシファをおだてて変身の術を披露させる。象、ライオン、猫と化けていき、とうとう小さなネズミに化けさせる事に成功したペロ。魔王のドクロのペンダントさえ外させれば、これ以上変身の術は使えない。すかさず、ピエールとペロ、そしてペロを追ってきた猫の追手が襲い掛かる。

しかし、ルシファはすばしこく、ペンダントも奪い返されてしまう。彼は元の大男の姿から、巨大なドラゴンの姿に化けた。あまりの恐ろしさに、失神するローザ姫。ルシファは火を噴き、皆揃って逃げ惑うしかない。吊り橋に追い詰められたペロとピエール。ルシファは人の姿に戻って姫を連れ出し、改めて結婚を迫る。それでも姫が嫌がるので、ルシファは吊り橋を切り離し、ピエール達をピンチに追い込んだ。そして、姫はとうとう、結婚を承諾してしまうのだった。魔王の力で、門の外まで運ばれていくピエール。

勝利に酔ったルシファは、姫の機嫌を取ろうとペンダントを貸してやる。しかし、ローザ姫はそれを振り払い、ペンダントは城壁に引っかかる。夜だから良いものの、これが昼だったら大変な事になったと姫を叱るルシファ。焦ってペンダントを取りに行くが、一足先にネズミ達がペンダントを拾い、ルシファとの追いかけっこが始まった。

映画『長靴をはいた猫』の結末・ラスト(ネタバレ)

一方、門の外ですっかり弱気になったペロ。魔王退治を諦めようとした彼を見捨て、ピエールが一人城壁をよじ登っていく。その姿を見て、ペロも心を入れ替え、ピエールを追っていくのだった。

二人は助け合い、何とか姫の元までたどり着く。ペロが偽のドクロを手にルシファをおびき寄せ、ピエールは姫を救い出した。姫の話を聞き、ペンダントは日の光に弱いはずだと考えたピエール。日の出はもうすぐだ。

本物のペンダントのドクロは、追手の猫の頭にすっぽりと被さっていた。ペロを追い、猫を追い、混乱するルシファ。ペロが無理やり外してやったドクロは宙を舞い、姫の元に転がり込んだ。そのペンダントを手に取った姫は、とっさに駆け出し高い塔を上っていく。

ネズミ達に助けられ、塔のてっぺんで朝日を待つピエールとローザ姫。しかし、それを黙って見ているルシファではない。彼は、塔の中でハンマーを振り回し、姫ごと塔を崩してしまおうと躍起になる。とうとう壁が崩れ、塔と共に落ちていく二人。それでも、ピエールは諦めず、ペンダントを白み始めた地平線にかざし続けた。すると日の光がようやく届き、ルシファは苦しみながら本来のコウモリの姿に戻ってしまう。

地面に向かって落ちていくピエールとローザ姫を救ったのは、魔力が解け白い鳩に変身した城のカラス達だった。そして、魔王だったコウモリは朝日を浴びて砂になる。こうして、王国は平和を取り戻した。ピエールは姫の婿に迎えられ、二人の結婚式を見届けたペロは、再び逃亡の旅に出るのだった。

映画『長靴をはいた猫』の感想・評価・レビュー

最近はクオリティが高くワンカットがそのままポスターにできそうな、きれいな絵のアニメが多いですが、「古い作品もそれなりの味があって良いな」と思いました。ルシファが「これが正統派の悪役!」と見本のようでその点も良かったです。
実はこの作品、猫とネコの違いで「長ぐつをはいたネコ(2011)」と間違えて借りたDVDでしたが、ギャグあり、アクションありで、間違えたガッカリを覆してくれてとても楽しめました。(女性 40代)


小さいころに絵本で読んだきりで、最近はなかなか見る事が無かったのですが、親戚の子どもが見たことが無いという事で、借りてみました。こんなにコミカルな映画だったのか!と驚くほど、子どもにとっては飽きないようなテンポの良い場面展開となっており、ピエールの勇気と、ペロのいつも陽気な姿に元気付けられました。こんなに長いお話だったかな?とも思いながらも楽しんで見ることが出来ました。ペロが映画の中で、かなりの策士であって、どんどんピエールを雄豪に仕立てあげていく様が見物です。また、ルシファの悪役っぷりも、クスッと笑ってしまうようなかわいらしさ(お姫様欲しさに躍起になるところなど)があります。(女性 20代)


昔のアニメ映画だが味があって良い。
コミカルで陽気なキャラクター達が愛嬌があってとても可愛らしい。
ペロもピエールもアイデアを捻り一生懸命で子供と一緒に応援したくなる。
原画スタッフに宮崎駿の名前があるが、なるほど彼らしいシーンが見れて楽しい。
「びっくりしたニャー」
裏切りや複雑な関係などの背景もなく、子供とはこういう作品を見せたいと思う。(女性 40代)


東映動画(現アニメーション)の看板キャラであるペロの劇場デビュー作。
きめ細かな動きを見せるアニメーション、ミュージカルシーン、ギャグとドラマのコントラストが面白く、当時の東映動画の気合いの入れようが伺われる。
若かりし頃の宮崎駿がアニメーターとして参加しており、随所に後のジブリ作品の片鱗がみられるのも、本作をはじめとした、東映動画長編の見どころといえ、こういった点からも、親子で楽しめる作品であると考える。(男性 20代)

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