映画『男はつらいよ』あらすじネタバレ結末と感想

男はつらいよの概要:全部で48作も製作された「男はつらいよ」シリーズの記念すべき第1作目。20年ぶりに柴又へ帰ってきた寅さんがあれこれ騒動を巻き起こしながら妹・さくらと博のキューピット役を務める。1969年公開。

男はつらいよ あらすじネタバレ

男はつらいよ
映画『男はつらいよ』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

男はつらいよ あらすじ【起・承】

東京は葛飾柴又、帝釈天の祭りの日。中学の頃家出をしてそれっきり音沙汰のなかった車寅次郎(渥美清)が20年ぶりにふらりと故郷へ帰ってくる。参道でだんご屋「とらや」を営む親代わりのおいちゃん(森川信)とおばちゃん(三崎千恵子)は大喜びで寅さんを迎え、寅さんは腹違いの妹・さくら(倍賞千恵子)とも感動の再会を果たす。

翌日はさくらの大事な見合いの日だったが、付添人のおいちゃんは二日酔いで布団から出られず、寅さんが代わりに行くことになる。見合い相手は大企業に勤めるさくらの上司が紹介してくれた下請け会社の御曹司で、場所は高級ホテルだった。

慣れない席に緊張した寅さんは、大酒を飲んでへべれけになり、さくらに大恥をかかせる。寅さんのせいでこの話は流れてしまい、おいちゃんたちを失望させる。

謝りもせず、舎弟の登まで連れてきた寅さんにおいちゃんは激昂し、2人は大喧嘩となる。隣のタコ社長(太宰久雄)の印刷工場で働く諏訪博(前田吟)が止めに入り喧嘩は収まるが、翌朝寅さんは登を置いて旅に出てしまう。

1ヶ月後。奈良で静養をしていた御前様(笠智衆)の娘・冬子(光本幸子)からとらやに絵葉書が届く。御前様と奈良観光をしている時、偶然寅さんに会ったというのだ。ちょうど噂をしているところへ、奈良から帰った冬子がとらやを訪れ、なんと寅さんも冬子について帰ってくる。

機嫌よく帰ってきた寅さんは、中庭でさくらと一緒にいた博や工員たちに“さくらは大学出のサラリーマンと結婚させるんだから気安く近寄るな”と暴言を吐く。

男はつらいよ あらすじ【転・結】

寅さんの暴言に怒った工員たちは博をリーダーとしてストライキを起こし、社長を慌てさせる。寅さんと博は子分たちに見張りをさせて、2人で話をつけることにする。

2人で話しているうちに博がさくらに惚れていることがわかり、寅さんは博の力になってやると言い出す。寅さんはさくらの会社を訪ね、さくらに何も詳しく話さないまま博に見込みはないと判断してしまう。それを聞いた博は落胆し、工場を辞めると言い出す。

出て行く前に博は茶の間にいたさくらへ愛の告白をし“さくらさん幸せになってください”と言い残して去っていく。寅さんから事情を聞いたさくらは怒り出し、博を追いかけて出て行ってしまう。

夜、さくらのことでおいちゃんたちと寅さんが喧嘩をしているところに、さくらが帰ってくる。“博さんと結婚する”というさくらの言葉を聞いて、一同は安堵し、また涙する。

さくらと博の結婚式の日がやってきた。顔見知りばかりの気さくな結婚式になる予定が、北海道から博の両親が姿を見せ、おかしな雰囲気になる。博は大学教授の父と8年前に衝突し、その後一度も両親と会っていなかった。寅さんも沈黙を続ける博の両親を警戒する。

結婚式の終わりに、博の父(志村喬)から挨拶がある。いけ好かない気取り屋だと思っていた博の父は涙を流しながら会場にいる人々にお礼を述べ、深々と頭を下げる。それに感動した寅さんはさくらのもとへ行き、泣き出す。そして会場は拍手に包まれる。

さくらが嫁いでしまい、なんとなく気の抜けた寅さんは冬子に慰めてもらう。「寅さんの寺通い」と近所の人たちが面白がって噂をするほど、寅さんは冬子に惚れ込んでいた。

ところが冬子にはちゃんとした婚約者がいることがわかり、寅さんはあっさり振られてしまう。寅さんの失恋はあっという間にとらやにも伝わり、いたたまれなくなった寅さんは出て行く。自分を慕う登のことも“まともになれ”と突き放し、寅さんは男泣きをしながら旅に出るのだった。

1年後、さくらとおばちゃんは生まれたばかりの満男を御前様に見せに来て、寅さんの噂話をしていた。寅さんは旅先で登とともに、笑顔で商売に励んでいた。

男はつらいよ 評価

  • 点数:90点/100点
  • オススメ度:★★★★★
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★★☆

作品概要

  • 公開日:1969年
  • 上映時間:91分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ、コメディ
  • 監督:山田洋次
  • キャスト:渥美清、倍賞千恵子、光本幸子、笠智衆 etc

男はつらいよ 批評・レビュー

映画『男はつらいよ』について、感想と批評・レビューです。※ネタバレ含む

初代おいちゃん森川信

26年もの長きにわたって48作も続いたこのシリーズの1作目ということで、主人公の寅さんを演じる渥美清はもちろんのこと、さくら役の倍賞千恵子も博もおばちゃんもタコ社長も御前様もみんな若い。主要なキャスティングはこの1作目でほぼ固まっており、これ以降も変わることはない。

しかしおいちゃんだけは本作で登場する初代の森川信、2代目の松村達雄、3代目の下條正巳と3人の役者が演じている。松村達雄も下條正巳もそれぞれに味のあるおいちゃんを演じているが、やはり森川信のおいちゃんは絶品で別格だ。

森川信のおいちゃんの魅力を一言で言うと「粋」。これに尽きる。渥美清の職人芸のような寅さんに対抗できるだけの存在感を放つ粋なおいちゃんを演じられるのは、森川信以外に思いつかない。本人さえ元気なら、山田洋次監督もおいちゃんはずっと森川信でいきたかっただろう。

劇場で鍛え上げた素晴らしい滑舌の台詞回しといい、ちょっとした間の取り方といい、渥美清と森川信のやりとりには心底惚れ惚れする。この作品はシリーズの中でも柴又でのシーンが多く、森川信のおいちゃんをたっぷり堪能できるのがまたいい。

森川信のような粋で色気のある役者はそうそう出てこないと思うので、皆さんにもぜひ森川信のおいちゃんを一度見て欲しい。

さくらと博の結婚式

本作の山場はやはりさくらと博の結婚式。柴又の料理屋で開かれたこじんまりした結婚式に出席しているのは、気心の知れた馴染みの人ばかり。可愛い妹の結婚式とあって寅さんも大はりきりだ。と思っていたら、そこに突如として博の両親が現れる。

披露宴の間も博の両親は何も話さず、料理にも手をつけず、じっと沈黙している。寅さんのようなお祭り野郎にはそんな2人が全く理解できない。大学教授をしているお堅い父親を博は嫌っているし、難しい漢字の名前も読めないしで、誰もがこの両親に困惑している。

そんな雰囲気の中で迎えた新郎の父の挨拶。博の父を演じる志村喬のグッと抑えた演技が印象的だ。長い時間わかりあうことのできなかった父と息子。8年ぶりに会った息子は、賑やかで心温かい人たちに囲まれて、小さくても幸せな自分の世界を作っている。隣には息子を愛してくれる女性も座っている。そんな息子の姿を見て、親として思うこと…それは感謝の気持ちしかないだろう。深々と頭を下げるこの両親の気持ちが痛いほどわかる。

そこからの寅さんがまたいい。両親にかけよりお礼を言い、さくらのところへ走っていく。“さくら、よかったな”と言って泣き出す寅さん。さくらも博も泣いている。

飾り気のない、こんなにも温かな気持ちになれるさくらと博の結婚式こそ、結婚式の理想形ではないかと個人的には思う。

男はつらいよ 感想まとめ

この1作目を見ると、これから続いていくシリーズのベース部分がほぼ完成していることに気づく。車寅次郎という類まれなる個性を持った主人公とそれを取り巻く人々が、帝釈天の参道で今日も賑やかに生きているのだと自然に思える。だからファンは「今頃とらやの人々は何をしているか」が知りたくなり、続編を求め続けたのだろう。

さくらの縁談がメインで寅さんの恋が多くは描かれていないのも1作目ならでは。何しろみんな若いので、とにかくパーっと明るい気持ちになれる。日本人ならこの良質な人情喜劇の面白さをぜひとも味わってほしいものだ。

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