映画『ゼロの焦点(2009)』あらすじとネタバレ感想

ゼロの焦点(2009)の概要:松本清張生誕100年を記念し、2009年に犬童一心監督、広末涼子主演でリメイクされたミステリー映画。第33回日本アカデミー賞で、11部門ある優秀賞を12賞も受賞した異例の作品。

ゼロの焦点 あらすじ

ゼロの焦点
映画『ゼロの焦点(2009)』のあらすじを紹介します。

昭和32年。
10歳年上の鵜原憲一とお見合い結婚した禎子。
しかし式の一週間後、夫の憲一が金沢へ出張したまま行方がわからなくなる。
不安に駆られた禎子は金沢へ向かうが、1年半前からの彼の行動は会社にもわからない事だらけだった。

懇意にしていた取引先の社長の後妻、室田佐知子から話を聞くために屋敷へ向かうが、その屋敷の写真が憲一の荷物の中にあった写真と同じ事に驚く禎子。
憲一の兄、宗太郎も金沢へ駆けつけるが、金沢から1時間の距離にある鶴来で、何者かと待ち合わせ中に毒殺される。
その外見が戦後の東京でアメリカ人相手の娼婦をしていた“パンパン”に似ていた事と、室田の会社で受付嬢をしていた田沼久子の使う英語が本場のものだと気が付いた英語が得意な禎子は、引っ掛かりを覚えていた。
憲一の部下の本多に探りを入れることを頼むが、彼も殺害されてしまう。

禎子が指名手配された田沼久子の行方を探るうち、自殺した内縁の夫の正体が、偽名を使っていた憲一だったとわかる。
そして、田沼久子の自宅の写真も憲一の荷物の中にあった。
落ち込む禎子を見た佐知子は、実家へ戻るよう諭す。

しかし禎子は、東京の立川で憲一が警察官をしていた過去を知り、当時の上司に会いに行く。
当時の田沼久子をはじめとした“パンパン”たちが下宿していたという場所へ向かった禎子は、1枚の写真を見て衝撃を受ける。
犯人がわかった禎子は、再び金沢へ向かう。

ゼロの焦点 評価

  • 点数:75点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★☆☆

作品概要

  • 公開日:2009年
  • 上映時間:131分
  • ジャンル:ミステリー
  • 監督:犬童一心
  • キャスト:広末涼子、中谷美紀、木村多江、杉本哲太 etc

ゼロの焦点 ネタバレ批評

映画『ゼロの焦点(2009)』について、感想批評です。※ネタバレあり

女性差別発言が多すぎるストーリー

戦後という時代背景、戦争の傷跡が見えない部分で燻っていた時代から現代への強いメッセージ性というのは量産されており、ありふれた印象を受ける設定。
原作の設定やミステリーの“謎解き要素”を考えると仕方無いが、女性差別的な台詞の多さも気になる。

取り締まる側の警察官だった憲一と、アメリカ軍人相手の娼婦だった佐知子と久子の出会いのシーンでは、女性を軽視した罵声が飛び交っている。
憲一の兄、宗太郎が下心ありきで鶴来の旅館の中で佐知子に“パンパン”の話を振るシーン。
警察で宗太郎の遺体確認を終えた禎子と本多を車で送る途中、わざわざ佐知子に“パンパン”の話を「知っているのが当たり前」という表情で語るシーンでの本多の表情など、役者の演技が上手いと言えばそれまでだが、女性目線では「配慮が足りない」としか思えない場面も多い。

長編小説が原作だが、終始、禎子視点で進むストーリーで簡潔になっている。謎解きのシーンも、列車の中での禎子の推理と共に、佐知子と久子が逃亡しようとする車内での会話がピッタリとリンクしつつ進むので、禎子の推理だけでは説得力が足りない部分を上手く補っている。

独特な映像演出に引き込まれる

宗太郎の葬儀に出席するために東京へ戻った禎子へ連絡をする本多が、電話を借りた相手の顔を映さずにスクリーンに向かって「どうも」と言うシーンなど、見ている側もストーリーに引きずり込むような映像演出がなされている。

日本初の女性議員誕生の記者会見の場で陰ながら支えてきた佐和子が挨拶をしていると、禎子が佐知子の源氏名を叫ぶという“報復”のシーンでは、シャッターの光にあわせて、禎子の表情が微妙に違って見えるのが面白い。
信じていた佐知子に裏切られたという怒り、夫を奪われた悲しみ、久子に対するやり場のない感情、そして全てを忘れてしまったという佐知子が公共の場で自我を失った事で復讐をやり遂げたという喜びのような感情。
喜怒哀楽の全てが一瞬一瞬に現れていて、広末涼子の演技もあいまって迫力のあるものになっている。

だが、憲一が命を落とす崖のシーンが、2009年の作品にしてはチープな合成になっているのは残念だ。

ゼロの焦点 感想まとめ

松本清張生誕100年を記念して作られているが、2009年前後にはこの手の映像作品が多く、1961年に一度映画化、そして連続ドラマ化もされているので、記念作品と言われてもピンと来ない。
日本アカデミー賞を総なめにした事で当時話題になったが、それ相応の面白さがある作品。

戦後を舞台にした作品にありがちな、ありふれたメッセージ性や、女性差別に近い発言が気になるが、ミステリー映画としての先の読めない展開や原作を読んだことが無くても理解しやすいトリックなど、様々な工夫がなされている。
広末涼子、中谷美紀、木村多江の3人が作り出すそれぞれの世界観や、独特なキャラクター性も魅力的。
まるで映画の中に半分入り込んだような気分になる映像演出も面白く、宗太郎殺害現場から逃げる赤いコートの女性の姿が、鏡に映って一瞬3人に見えるなど、細かい部分でも驚かされる。

Amazon 映画『ゼロの焦点(2009)』の商品を見てみる