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映画『十三人の刺客(1963)』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『十三人の刺客(1963)』の概要:弘化元年、ある一人の武士が自決をする。そこには明石藩主松平斉韶の乱暴狼藉への訴状が残されていた。徳川将軍と血縁関係にある斉韶を暗殺するよう命を受けた十三人の刺客が、その命を賭して斉韶を討つ。

映画『十三人の刺客』の作品情報

十三人の刺客

製作年:1963年
上映時間:125分
ジャンル:時代劇、アクション
監督:工藤栄一
キャスト:片岡千恵蔵、里見浩太郎、内田良平、山城新伍 etc

映画『十三人の刺客』の登場人物(キャスト)

島田新左衛門(片岡千恵蔵)
目付・直参旗本。老中の土井利位の命で斉韶を討つ。刺客十三人の長。好機をじっと待つ粘り強い性格。常に侍としてどうあるべきかを考える。
倉永左平太(嵐寛寿郎)
徒目付組頭。友人である新左衛門の頼みで、家来の日置八十吉・大竹茂助・石塚利平を連れて暗殺計画に参加する。
三橋軍次郎(阿部九州男)
小人目付組頭。家来の樋口源内・堀井弥八を連れて計画に参加する。
平山九十郎(西村晃)
島田家に剣の腕を買われている食客。寡黙に新左衛門への忠義を尽くす。
島田新六郎(里見浩太朗)
新左衛門の甥。芸者のヒモで、侍として生きることを諦めている。
佐原平蔵(水島道太郎)
再若手の小倉庄次郎と時を同じくして、新左衛門の計画に参加する。参加条件に200両を要求するが、そのほとんどを迷惑をかけた周囲のものへ配る。
古賀小弥太(山城新伍)
落合宿で新左衛門一行の暗殺計画を知り、参加志願する。理由は、結婚したい相手の親に認めてもらうため、手柄を立てたいから。
松平左兵衛督斉韶(菅貫太郎)
明石藩主。十二代将軍徳川家慶の弟。プライドが高く、性格が歪んでいる。人を殺すことをなんとも思っていない非情さがある。
鬼頭半兵衛(内田良平)
斉韶の忠実な家臣。斉韶の言動を良くは思っていないが、忠義を尽くす。新左衛門とは昔からの知り合い。

映画『十三人の刺客』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『十三人の刺客(1963)』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『十三人の刺客』のあらすじ【起】

弘化元年、時は江戸幕府十二代将軍徳川家慶の頃、幕府に切なる訴えを届けるため、一人の男が老中の土井邸門前で自決する。その訴えは、明石藩主松平斉韶の悪逆非道ぶりを伝えるものであった。

斉韶は家慶の弟にあたり、幕府重役に間もなく就任する。その地位の高さゆえに簡単には裁けない。しかし、命をかけた訴えを受けた土井は、斉韶の暗殺を島田新左衛門に命じ、彼斉韶暗殺のために腕の立つ仲間を集める。島田家食客平山九十郎をはじめとし、倉永左平太率いる5人、島田家家臣の石塚利平を合わせて刺客は8人となる。

一方、明石藩の鬼頭半兵衛は使いを出して、新左衛門の企みに気づく。斉韶の暴虐ぶりに心を痛める半兵衛であったが、侍としての忠義を尽くし、斉韶を守る旨を新左衛門に伝えに行く。昔話に過去を懐かしむ二人であったが、それぞれの立場の違いとその覚悟を確認し合う。新左衛門は平山の弟子である小倉庄次郎、200両が参加条件である佐原平蔵を仲間に加える。最後まで参加を拒んでいた甥の新六郎は、侍の道を貫こうとする新左衛門の姿に心を打たれ、参加を決心する。新左衛門は彼を含む合計12人で斉韶を討ちに行く。

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映画『十三人の刺客』のあらすじ【承】

斉韶率いる明石藩は江戸から明石に向かい、参勤交代の列を連ねる。その道中を襲おうと新左衛門らは画策し、見晴らしのいい川沿いで一行を待ち伏せする。しかし、半兵衛の策により藩主の場所を特定できず、実行を躊躇する。とにかく今討とうと息巻く者もいたが、冷静に構えていた新左衛門は機を改めて伺うことを決める。

新左衛門らは作戦を練り直し、美濃国落合宿で斉韶を討つことに決める。斉韶を罠にはめるためには、尾張藩を通らせないことが必須条件であるため、斉韶に恨みがある尾張藩の牧野に協力依頼をする。

尾張通行ができないことを知った斉韶は激怒し、家臣の説得に耳を貸さずに尾張領入口の橋を突き進む。しかし、牧野が立ちはだかり斉韶は尾張藩の通行を諦める。

半兵衛はこれを新左衛門の計らいだと察し、それを考慮して新たな道を考えるが、斉韶は思案する半兵衛を一笑に付し、自分が通りたい道を選ぶ。しかし、斉韶が選んだ道はまさに新左衛門らが待ち伏せる落合宿へ続く道であった。

映画『十三人の刺客』のあらすじ【転】

落合宿では斉韶一行を迎え討つため、新左衛門らは作戦を練り、落合宿総出でその準備を急ぐ。その最中、新左衛門のもくろみを盗み聞いて知った古賀小弥太は、これを機に結婚を認めてもらうために手柄を立てたいと参加を申し出て、新左衛門はこれを受け入れる。合計13人となった刺客が斉韶の到着を待つ。

準備は着々と進んでいたが、斉韶の行方を見失っていた彼らの間には、斉韶が落合宿に立ち寄らないのではという不安が広がる。しかし、新左衛門は慌てずに、ただじっとその時を待つ。

初霜の11月16日、早馬が駆けて斉韶一行が間もなく落合宿に着くことを知らせる。彼らは何も知らずに落合宿に向かい、刺客たちは覚悟を決めて配置につく。

斉韶らは落合宿内を進んでいくが、感の鋭い半兵衛はその異様な雰囲気から罠だと気づく。しかし、時すでに遅く、周囲を刺客たちに囲まれる。彼らは形勢不利とみて退却しようとするが、その退路は断たれ、家来たちは混乱しながら右往左往するばかりである。

映画『十三人の刺客』の結末・ラスト(ネタバレ)

斉韶を討つために準備された落合宿は、どこも袋小路となっていて要塞化されている。どこを通っても行き止まりで焦る彼らを、刺客は屋根の上から次々に槍で仕留めていく。さらに、仕掛けた罠をいくつも作動させ、斉韶一行を追いつめる。

刺客たちは頃合いを見て、屋根から降り、刀で大勢に切りかかる。しかし、攻撃は最大の防御とばかりに斉昭の家来たちが立ち向かい、斉昭を生きながらえさせるべく、元来た道を戻ろうとする。そうはいかせまいと刺客も奮闘するが、一人、また一人と息絶える。

斉韶は一人はぐれて宿の奥へ奥へと迷いこみ、新左衛門と対峙することになる。喚き立てる斉昭を新左衛門は静かに追いつめる。背を向けたところに一太刀受けた斉韶のもとに半兵衛が駆けよる。半兵衛と島田の一騎打ち。しかし、島田は戦わずにその刀を身体で受け止め、半兵衛は残った刺客に刺される。

全てが終わり、新左衛門は最後に無益な争いを辞めるように刺客らに伝え、終わりを告げる鐘の音が鳴り響く。

映画『十三人の刺客』の感想・評価・レビュー

初めて観た白黒映画かもしれない。俳優の声が低くて、聞き取るのに苦労した。
一人も知らなかったが、そうそうたる顔ぶれだそうで、それぞれ演技が光っていた。
特に、最後のシーンが印象的だ。
これまで驚異的な生存率を誇っていたのに、恐怖に取りつかれた藩士に殺されてしまった剣豪。
藩士はそのまま笑い転げて、狂気の沙汰だ。
ここだけが妙にリアリティがあって、他の作品にはない魅力を放っていると思う。(女性 30代)


時代劇をよりエンターテイメントに昇華するための試みで作られた作品。大ヒットして類似の作品も多く作られた。その中でもやはり第一作のこちらが絶品でスペクタクル満載の映画になっている。宿場での決闘は20世紀の邦画では際立って盛り上がるシーンだろう。類似作品を作りすぎて寂れてしまったジャンルではあるが、時を現代や未来に変えてまだまだ作品を生み出せる素地はあると思う。リメイクも作られたが現代版もぜひ考えてほしい。(男性 30代)


工藤監督による実録集団抗争時代劇の代表作。
役所広司主演によるリメイクもされているが、本作も武士の生き様を優れたエンターテインメントで描いている。個人的にはこちらの方が、武士たちの威厳や活力がみなぎっていて好みである。
見どころは言わずと知れた、クライマックスの30分以上に及ぶ殺陳シーンだ。
白黒の画面が映し出す、真に迫る迫力に圧倒された。
そして何と言っても、役者たちの顔つきや目力には現代の俳優にはない力強さを感じ、まるで本当に武士の魂が宿っているようでとても引き込まれた。(女性 20代)


白黒の時代劇は誰が誰か分からなかったり、声が聞き取りづらかったりしますが、今作は特にそれを感じました。丹波哲郎だけは他とは違う存在感があり、彼にばかり目がいってしまいます。
2010年に三池崇史監督によってリメイクされた今作ですが、正直リメイク版のほうが面白く見られました。この作品が公開された当時は、白黒の描写や役者のそのままの音声、カメラワークなどとても良い作品だったのだと思いますが、現代の迫力のある作品のほうが私は見やすかったです。(女性 30代)

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