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映画『蘇える金狼(1979)』のネタバレあらすじ結末と感想

この記事では、映画『蘇える金狼(1979)』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『蘇える金狼(1979)』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。

この記事でわかること
  • 『蘇える金狼(1979)』の結末までのストーリー
  • 『蘇える金狼(1979)』を見た感想・レビュー
  • 『蘇える金狼(1979)』を見た人におすすめの映画5選

映画『蘇える金狼』の作品情報

蘇える金狼

製作年:1979年
上映時間:131分
ジャンル:アクション、フィルムノワール
監督:村川透
キャスト:松田優作、風吹ジュン、佐藤慶、成田三樹夫 etc

映画『蘇える金狼』の登場人物(キャスト)

朝倉哲也(松田優作)
東和油脂経理部勤務の会社員。鍛え上げた強靭な肉体と、冷徹で明晰な頭脳を併せ持つ。普段はメガネをかけ、七三分けのカツラを被り、真面目で謙虚な会社員を演じる。
永井京子(風吹ジュン)
朝倉の上司である小泉の愛人。朝倉に惹かれ、彼のために小泉から聞き出した情報を流す。
小泉(成田三喜夫)
東和油脂経理部部長。会社の不正会計に関わる。京子のパトロン。
金子(小池朝雄)
東和油脂経理部次長。桜井が東和油脂を脅迫するきっかけを作る。
磯川(南原宏治)
市会議員。麻薬の元締めで、暴力団も言いなりになる力を持つ。
桜井光彦(千葉真一)
東洋経済研究所所長である鈴本光明の甥。東和油脂の秘密を握り、それをネタに会社を脅迫する。
石井(岸田森)
東和油脂に雇われた探偵。依頼があれば、脅迫や殺しも厭わない。

映画『蘇える金狼』のネタバレあらすじ(起承転結)

映画『蘇える金狼(1979)』のストーリーをネタバレありの起承転結で解説しています。この先、結末までのネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『蘇える金狼』のあらすじ【起】

雨が降りしきる中、共立銀行の現金運搬係が白バイ隊員に扮するものに射殺され、現金1億円が奪われる。東和油脂経理部でもそのニュースが話題になるが、社員朝倉の足元には風呂敷に包まれた大きな荷物が置かれていた。

一見真面目な朝倉だが、会社の後に通うボクシングジムでは鍛え上げられた肉体をのぞかせ、ジムの人間にはプロにならないか誘われるほど腕が見込まれている。帰宅後、大きな荷物をほどくと、ベッドの上に現金の束が積み重なる。メガネを外し、カツラを取り現金を眺める様はまるで別人だった。

夜の街へ足を運ぶ朝倉は、チンピラに因縁をつけられるが一瞬で叩きのめすと、麻薬の仕入れ先がどこかを問い詰める。聞き出した情報をもとに手掛かりになるクラブへ移動すると、後ろから男に銃を突きつけられ、人気のないビルの一角へ連れ出される。

朝倉は「薬がほしい」という言葉の後に暴力団員の隙を見て形勢逆転する。市会議員の磯川が麻薬取引の胴元だと聞き出した朝倉は、暴力団員に目的の意図を伝える。それは、銀行から強奪した現金の資金洗浄のために麻薬を買うというものだった。

一方、朝倉は東和油脂上層部を探るために、経理部部長小泉の愛人である京子を尾行し、偶然を装い知り合う。食事を共にした朝倉は京子の飲み物に薬物を混入し、足元もおぼつかない京子をホテルに連れ込み一夜を共にする。朝倉は京子に清涼剤だと偽り、薬を与える。

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映画『蘇える金狼』のあらすじ【承】

麻薬取引の胴元である市議会議員の磯川の自宅へ、朝倉は新聞記者だと偽り、潜り込む。新聞記者ではないことを磯川に見破られた朝倉は、麻薬取引を磯川に持ちかけるが断られる。しかし、ナイフを磯川に突きつけ、麻薬取引の交渉を成立させる。

朝倉を警戒した磯川は、麻薬取引で指定した場所に部下を先回りさせる。しかし、朝倉は軽快な身のこなしで部下を次々と始末していく。船で取引場所に乗りつけた磯川は、朝倉が部下を全て始末したことに気づき、命乞いをする。朝倉は取引は取引だと言い、麻薬の入ったケースだけを持ち去る。

一方、浮気現場の写真をネタに呼び出された金子が、東和経済研究所所長の使いだという桜井に東和油脂の横領行為の証拠を元に脅迫され、5000万円を要求される。会社の不正を表沙汰にしたくない東和油脂上層部は、逆に桜井を脅迫するように興信所の石井に指示する。

しかし、桜井は逆に東和油脂に乗り込み、脅迫した事実を突きつけ2億円を要求する。桜井との交渉は不要だと考えた東和油脂は石井を通じて殺し屋を雇い、桜井とその恋人を葬る。

映画『蘇える金狼』のあらすじ【転】

殺しの依頼を逆手に取った石井が、東和油脂に1億円を要求する。東和油脂社長らは石井を消すために、社員の朝倉がボクシングの腕が立つことを知り、白羽の矢を立てる。石井らの殺しを依頼された朝倉は、成功報酬に重役のポジションを約束させる。

石井と殺し屋を始末しに彼らのアジトに向かった朝倉だが、逆に捕らえられる。しかし、彼らが油断したところで3人とも倒し、アジトに火をつけて証拠隠滅する。

朝倉は東和油脂社長の別荘へ招かれるが、その道中で金子に始末されそうになる。金子を簡単に返り討ちにした朝倉は、別荘に集まる重役らに殺しを依頼した証拠を突きつけ、東和油脂の株200万株を要求する。警察を恐れた社長らはその要求を呑む。

大株主になった朝倉は社長宅で社長の娘と出会い、デートを重ねて婚約する。東和社長一族の一員になることも確定し、地位も金もすべて手に入れた朝倉は狂喜乱舞する。

映画『蘇える金狼』の結末・ラスト(ネタバレ)

京子はずっと朝倉のために、愛人の小泉から東和の情報を聞き出してきた。しかし、同時に朝倉からもらう薬に依存し、小泉ともども薬漬けにされていた。それでも朝倉を愛した京子だったが、朝倉から多量の薬を売りつけられ喜んでいる小泉の姿を見て、絶望する。

鐘が鳴り響く石造りの廃墟を二人で歩いていたが、抱きしめられた京子は朝倉を刺し、朝倉は驚いた顔で京子の首を絞める。京子が息絶えた後、朝倉は本当に手に入れたかったものを失ったがごとく、悲しみに溢れた叫び声をあげ、こと切れた京子のそばで泣き崩れる。

京子の亡骸を虚ろな瞳で眺めながら、朝倉は京子に渡すはずだった飛行機の搭乗券を破り捨てる。

致命傷を負った朝倉はフラフラになりながら飛行機に乗る。血の気が引いている顔色から添乗員に体調を心配されたが、朦朧とした意識の中で意味不明なことをつぶやき続ける。そして、「木星には何時に着くんだよ」という言葉を最後に彼は息絶える。

映画『蘇える金狼』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)

松田優作の圧倒的な存在感に惹きつけられた一本でした。昼間は地味なサラリーマン、しかし夜になると企業乗っ取りを企てる“金狼”に豹変する朝倉哲也という二面性のあるキャラクターに、観る者はどんどん引き込まれていきます。全体的にバイオレンスやセックス描写も多く、当時の日本映画の限界に挑んでいたような意欲を感じました。最期の銃撃戦はまさに“死に場所を選ぶ男”の美学を見せてくれました。(30代 男性)


物語の緊張感と松田優作のカリスマ性に終始圧倒されました。企業社会の矛盾や欲望を背景に、冷酷に計画を進める朝倉の姿は、ただの悪ではなく理知的でどこか哀しさも感じます。最後のシーンで朝倉が撃たれながら笑う姿には、彼の生き方と死に様の矛盾が凝縮されていて、胸が締め付けられました。決して正義のヒーローではない、孤高の存在を描いた傑作です。(40代 女性)


松田優作=“金狼”というイメージが自分の中で強くなりました。徹底的に孤独で、どこか死に場所を探しているような男の姿がリアルで、アクション映画でありながら人間ドラマとしても見応えがありました。原作のハードボイルドさも映像でしっかり表現されていて、暴力や裏切りの中にも一本筋が通っているのがかっこよかったです。(20代 男性)


松田優作の危うさと色気が詰まった作品だと思います。登場する女性たちとの関係も印象的で、特に中島ゆたか演じる真理子とのシーンは、愛と裏切り、信頼と利用という複雑な感情が交錯していて印象深いです。朝倉の目的が金でも名誉でもなく、何かを“壊す”ことそのものだったと気づいた時、その虚無感に打ちのめされました。(30代 女性)


70年代後半の日本映画の中でも特に尖った1本。企業というシステムへの復讐や、成功の裏にある虚しさなど、現代にも通じるテーマが描かれていると思います。松田優作の演技はもちろん、脇役たちも個性的で、特に敵役がただの悪人ではないのも魅力のひとつ。最終的に朝倉は目的を達成するも、命を代償にする姿に男の美学を感じました。(50代 男性)


松田優作ファンとして見逃せない一作です。彼が演じる朝倉は、冷酷なだけでなくどこか切なさを持っていて、観ていて心がざわつくキャラクター。特に最後のシーン、すべてを手に入れた直後に銃弾に倒れる結末は、彼自身が選んだ破滅であり、だからこそ美しく感じました。音楽や照明の使い方も秀逸で、非常に映画的な作品です。(40代 女性)


暴力と欲望が渦巻く企業社会の中で、一人の男が突き進む姿はまさに“野獣”。松田優作の演技は緊張感に満ちていて、一挙手一投足に説得力がありました。計画が成功していくほどに、朝倉自身が壊れていく様子が痛々しく、エンタメでありながら非常に哲学的です。日本映画にここまでの野心があった時代を再評価すべきだと感じました。(30代 男性)


正直に言って、女性の視点からはやや過激すぎると感じる部分もありましたが、それでも物語の構成やキャラクターの濃さに引き込まれました。特に朝倉の複雑な心理描写は見応えがありましたし、現代のヒーロー像とはまったく異なる“孤高の反逆者”として魅力的です。ラストの破滅的な展開も含め、強く印象に残る映画です。(30代 女性)


暴力的で性描写も激しいですが、それ以上に「会社」という巨大な存在に一人で挑む男の姿がとても印象的でした。自分が何者かになるために、あるいは何者かとして死ぬために、彼は企業の頂点を目指したのかもしれません。ネオンが反射する夜の街や、アングルの効いたカメラワークが70年代映画ならではで、今の映画にはない迫力がありました。(20代 男性)


会社勤めをしている自分としては、どこか共感してしまう部分もありました。上司に媚びを売るだけの毎日に反発し、自由と自分の正義を貫こうとする朝倉の姿には、現代人の心にも刺さるものがあります。全編を通じて漂う破滅願望と、暴力による解放の描写には戸惑いもありますが、だからこそ最後まで目が離せない一作でした。(40代 男性)

映画『蘇える金狼』を見た人におすすめの映画5選

累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『蘇える金狼(1979)』を見た人におすすめの映画5選を紹介します。

野獣死すべし(1980)

この映画を一言で表すと?

松田優作が放つ狂気と知性――復讐に取り憑かれた男のサイコロジカル・ノワール。

どんな話?

元戦場カメラマンの伊達邦彦は、ある日を境に冷酷な殺人鬼へと変貌する。社会に復讐するかのように犯罪を重ね、狂気と計算で警察を翻弄。やがて彼の過去と目的が明かされていく――静かに、そして凄まじく。

ここがおすすめ!

松田優作の異常とも言える演技が光る一本。知的で非情な犯罪者像は『蘇える金狼』の朝倉哲也に通じる冷たさと孤独をまとっています。映像、演出、心理描写のすべてが緊張感に満ちた“攻めた”作品です。

殺人遊戯(1978)

この映画を一言で表すと?

アウトローが社会をぶった斬る!アクションと皮肉が効いたハードボイルド快作。

どんな話?

元刑事の鳴海昌平が、不正まみれの企業と警察の癒着にメスを入れる。自らの流儀で悪を裁く男の姿を、テンポの良いアクションとユーモアで描いた「遊戯シリーズ」第1作。社会の矛盾を鋭くえぐる痛快作。

ここがおすすめ!

松田優作の軽妙かつ鋭いアクションが魅力。『蘇える金狼』と同様に“個人 vs 組織”の構図を描きながら、よりエンタメ性が強く、スタイリッシュな演出が特徴です。破天荒な正義感にしびれること間違いなし。

復讐するは我にあり(1979)

この映画を一言で表すと?

人間の悪が静かに暴かれる――実在の殺人鬼を描いた衝撃の犯罪映画。

どんな話?

実在の連続殺人犯をモデルに、犯行から逃亡、そして内面にある狂気までを描く。殺人の理由が明確に描かれないことで、かえって人間の深い闇が浮き彫りになる社会派サスペンスの傑作。

ここがおすすめ!

主人公が“悪そのもの”でありながらどこか人間臭く、『蘇える金狼』における主人公の反道徳性と共通しています。無慈悲な犯罪描写と、それを通して描かれる日本社会の病理は、観る者の神経を逆撫でします。

ブラック・レイン(1989)

この映画を一言で表すと?

アメリカ×日本、正義×暴力――異文化と暴力が交差するクライム・アクション。

どんな話?

ニューヨーク市警の刑事が、大阪でヤクザの抗争に巻き込まれる。文化の違いや信念の対立を乗り越えながら、男たちが激突するバイオレンス・アクション。高倉健や松田優作らが脇を固めた日米合作の話題作。

ここがおすすめ!

松田優作が演じる冷酷で凶暴なヤクザが圧巻。『蘇える金狼』で見せた危険な魅力が、ハリウッドの洗練された演出の中で際立っています。日本の闇と暴力を海外からの視点で描いた点も新鮮です。

天使のはらわた 赤い淫画(1981)

この映画を一言で表すと?

愛と性と死が交錯する、官能と虚無のネオ・ノワール。

どんな話?

ピンク映画の脚本家として落ちぶれた男が、ある女優との出会いをきっかけに再起を試みるが、過去と欲望に飲み込まれていく。ロマンポルノながらも深い内面描写と美学を持つ異色の作品。

ここがおすすめ!

性と暴力を通して描かれる孤独と破滅――『蘇える金狼』にも通じる退廃的な空気感と“死に場所を求める男”の描写が秀逸です。映像美と心理のダークさが融合した、隠れた名作ノワールです。

この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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