映画『48時間』の概要:囚人のギャンズが先住民の青年の手を借りて脱走した。刑事のジャックは無線で事件だと連絡を受け、現場のホテルに向かった。そこにいたのは、ギャンズ達だった。ギャンズ達は刑事2人を射殺し、逃走した。
映画『48時間』の作品情報
上映時間:96分
ジャンル:アクション、コメディ
監督:ウォルター・ヒル
キャスト:ニック・ノルティ、エディ・マーフィ、アネット・オトゥール、ジェームズ・レマー etc
映画『48時間』の登場人物(キャスト)
- ジャック・ケイツ(ニック・ノルティ)
- 刑事。一匹狼だが、仲間の警官のことは大切にしている。粗野で乱暴者。仕事にかまけて、恋人のイレインとの関係が悪化している。
- レジー・ハモンド(エディ・マーフィ)
- 泥棒。お調子者。仲間と共に賭博場の金を盗む。仲間だったギャンズに裏切られ、刑務所に収監されていた。
- アルバート・ギャンズ(ジェームズ・レマー)
- レジーの泥棒仲間。自分の邪魔をする人物は、警官だろうと容赦しない。冷酷な人物。
- ビリー・ベア(ソニー・ランダム)
- ギャンズの相棒。先住民の青年。ギャンズの脱獄の手助けを行う。
映画『48時間』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『48時間』のあらすじ【起】
囚人達が土に埋もれた線路を掘り起こしていると、先住民の青年が水を分けて欲しいと言ってやって来た。すると、1人の囚人(アルバート・ギャンズ)がその青年に絡み始めた。怒った青年はギャンズに掴みかかり、揉み合いの喧嘩になった。看守が制止しようとすると、2人は銃を発砲した。2人は仲間だったのだ。ギャンズ達は撃ってきた看守を射殺すると、車に乗って逃走した。
刑事のジャック・ケイツは無線で事件だと聞きつけ、現場に向かった。だが、そこには既に2人の刑事がおり、ジャックが首を突っ込むことを嫌がった。ジャックは気にせず、事件について尋ねた。アル刑事はポルソンという男の盗難カードで、車を借りた人物を追っていることを明かし、ジャックにロビーを見張るよう指示した。刑事達はポルソン名義で借りている部屋を訪ねるが、撃たれてしまう。ジャックは犯人の男達(ギャンズ達)を追った。ギャンズ達は女性を人質に取っており、ジャックの背後には瀕死のアルがいた。ジャックはアルを見捨てることができず、ギャンズに命令されるまま銃を手放した。だが、ギャンズはアルを殺し、女性1人を人質に取ったまま逃走した。
ジャックは同僚からギャンズについての調査結果を教えてもらう。ギャンズは3年前に強盗で捕まり、2日前に看守2人を殺して脱獄していた。ギャンズの相棒のビリーは東部出の先住民で、脱獄を助けた男だった。他にも強盗仲間がいたが、公園で遺体となって発見されていた。
映画『48時間』のあらすじ【承】
ジャックは刑務所内にいる、ギャンズの強盗仲間のレジーに話を聞きに行った。レジーは後半年で出所できるため協力することを嫌がるが、ギャンズが脱走したと知り考えを改めた。レジーはギャンズから守りたいものがあったため、ギャンズを捕まえたかったら自分を牢屋から出すよう取引を持ち掛けた。ジャックは結論を保留にし、その場を立ち去った。
ジャックは書類を偽造し、レジーを牢屋から出すことにした。しかし、期限は48時間だけだった。ジャックはレジーを車に残し、強盗仲間のルーサーに会いに行った。ルーサーは逃げようとするが、レジーに車のドアをぶつけられ、追いかけてきたジャックに捕らえられる。ルーサーが何も話そうとはしなかったため、ジャックは拳銃の不法所持で逮捕した。
ジャックは恋人のイレインに連絡を取り、仕事で忙しくて会いに行けないことを伝えた。イレインは約束をすっぽかされたことに腹を立てており、電話を切った。ジャックは苛々した気持ちを抱えながらも、ギャンズを捕まえるため、レジーを連れ次の行動に移った。
映画『48時間』のあらすじ【転】
ジャック達はビリーがかつてバーテンダーとして働いていたバーを訪れた。ジャックは刑事としての長年の経験から、危険な場所だと判断した。レジーは上手くことが運べば、30分だけ女性を口説かせてくれとジャックに頼んだ。ジャックはその代わり、もし失敗すればギャンズの脱獄理由を白状するよう持ち掛けた。レジーはそれを了承し、警察バッジを借りた。
バーはカントリーの客達で溢れており、黒人のレジーは浮いていた。レジーは強気な態度でバーテンダーに話し掛け、ビリーのことを質問した。だが、バーテンダーが何も話そうとしなかったため、店内の物を破壊した。バーテンダーは店の物を壊されるのを嫌がり、ビリーが女性といることを話した。女性の居場所は、中華街入口の宝石店の上だった。
バーテンダーから教えてもらった部屋に行くと2人の女性がいて銃を突きつけてきた。ジャックは警察であることを話し、銃を下ろさせた。だが、女性はビリーと縁が切れており、何も情報を持っていない様子だった。ジャック達は早々に部屋を出た。
ジャックはギャンズとの繋がりについてレジーに尋ねた。なかなか吐かなかったため殴り合っていると、警官に見つかり逮捕されそうになる。ジャックは場所を移すと、改めてレジーに尋ねた。レジーは仕方なく仲間と一緒に賭博場を襲い、50万ドルを奪った話をした。それは、盗難届の出ない金だった。しかし、レジーは仲間の1人に裏切られ、逮捕されていた。それが、ギャンズだった。レジーは金を自分の車に隠していることを明かした。
映画『48時間』の結末・ラスト(ネタバレ)
ジャック達が駐車場を見張っていると、ルーサーがレジーの車に乗って立ち去るのが見えた。ジャック達はルーサーを追跡した。すると、ルーサーは金を持って地下鉄に向かった。尾行しながら様子を伺っていると、ギャンズが現れる。ジャックは静かに近づきギャンズを捕らえようとするが、警官がギャンズの異変に気づき銃を向けてしまう。ビリーが警官に発砲し、ギャンズと女性を連れて立ち去った。女性はルーサーの恋人で人質に取られていた。ジャックがギャンズ達を追い、レジーがルーサーを追った。ジャックは警官に邪魔され、ギャンズ達を取り逃がしてしまう。
ジャックが署に戻ってレジーからの電話を待っていると、イレインから電話がかかってくる。ジャックは仕事で行けないことを説明するが、イレインは激しく怒っていた。何とか宥めようとしていると、レジーから電話があったことを同僚から教えられる。ジャックは急いでレジーに電話を掛けた。
ジャックはレジーが待っているバーに急行した。レジーはギャンズを捕まえるため、ルーサーから金を奪わず、居所だけを確認していた。ジャックはそんなレジーに、感謝の言葉を伝えた。レジーは今なら許可してくれると思い、女性とホテルに行くためのお金を貸してくれと頼んだ。ジャックはくしゃくしゃの紙幣を渡した。レジーが女性を伴ってホテルに行こうとしたとき、ルーサーがどこかに行こうとしている姿を目撃する。急いでジャックの元に戻り、ルーサーの後を追いかけた。ルーサーはバスに乗り込み、ギャンズに金を渡した。しかし、ギャンズに撃たれてしまう。ジャック達はバスを追うが、見失ってしまう。
ジャックは上司に叱られ、レジーを刑務所に連れて行かなければならなくなる。だが、バスが中華街に乗り捨てられているとの報告を受け、ジャック達はビリーの恋人の元に向かうことにした。恋人に銃を突きつけて脅すと、ビリー達がいることを白状した。ビリーにナイフで襲われそうになったため、レジーは銃を撃った。その後、ジャックの後を追いかけるが、人質に取られてしまう。ジャックはギャンズを射殺し、アルの敵を取った。
ジャックは50万ドルを奪わなかった。だが、法を破るなと忠告した。レジーはそれを受け入れた。
映画『48時間』の感想・評価・レビュー
エディ・マーフィのコミカルな演技が相変わらずおもしろく、彼が演じるレジー・ハモンドの女性にだらしなくてダメ男なのに憎めないキャラクターが良かった。その一方で、脱獄犯に警官が殺されるというシリアスな展開もあり、笑いと真面目な部分が絶妙に組み合わされた作品だと感じた。
始めは全然馬が合っていなかった刑事のジャック・ケイツと泥棒のレジーが、事件を通して次第に信頼関係を築いていく様子が描かれているのが良かった。(女性 20代)
軽快なアクションとともに、オールドアメリカンの雰囲気を楽しめる映画だ。
白人の刑事と、その刑事に協力することを条件に一時的に刑務所を出る黒人の囚人。
良いコンビとなるわけだが、当たり前のように差別シーンも描かれている。白人だらけのバーに入店したエディ・マーフィー演じるレジーに対する店員や客の、虫けらを見るかのような態度は見ていて少々気分が悪かった。
若かりしエディ・マーフィーの演技は躍動感に溢れ輝いており、スターの素質が存分に発揮されていた。(女性 40代)
みんなの感想・レビュー
小学生くらいの頃は本当に何度もテレビで繰り返し放送されていた印象の作品で、エディ・マーフィーの芸達者ぶりが国境を超えた子供をも笑わせることを十分に証明した映画。今見ると少々ニック・ノルティの顔が古すぎるかもしれない。もちろん黒人と白人の刑事バディとしてはありきたりなシーンや差別を笑いのエッセンスにしているところもあるので現在の価値観では相いれない部分もあるのだろうが、この作品を足掛かりにエディが主演を張れるようになったと考えればそれは責められることでもない。
ウォルター・ヒル監督の作品には共通するアメリカの背景が見えてくる。アンダーグラウンドな世界に描かれる街の風景、登場する人物、流れる音楽からもアメリカ独特の文化が浮かび上がる。48時間が過ぎ事件が解決したラストシーンでは、ジャックの愛用するジッポーライターで彼のタバコに火を点けた後、レジーがさも自分のものであるかのように胸ポケットに入れようとするやりとりからも、さりげない喫煙具の輝きにアメリカ文化が映し出されているかのように見えてくる。この48時間という映画からも、長い時間掛けて煮込まれた料理のようなアメリカの香りが、腹を空かせて作品を待ち焦がれる我々の前に漂って来るのだ。ニック・ノルティやエディ・マーフィというアクの強い俳優を材料にし、見事な作品に仕立てたウォルター・ヒルというシェフの、アメリカンテイストが堪能できる爽快な映画は病みつきになる。
エディ・マーフィの人を食った演技と、ニック・ノルティのぶち切れ演技が見もの
映画デビュー作とは思えないエディ・マーフィの人を食ったようなチャラい犯罪者役が、ニック・ノルティのむっつりしたイカつい刑事役のデコボココンビと相俟って、今までになかった刑事アクションの設定に異様な緊張感を漂わせている。黒人のエディ・マーフィが黒人差別を取り上げ笑いに繋げてゆくという掟破りのトークなど、「サタデー・ナイト・ライブ」で披露していたような芸風も織り込まれ、1982年の当時としては相当センセーショナルな内容だったのではないだろうか。
そして何よりもニック・ノルティの演じるジャック刑事のキレ方がとにかく痛快である。場所をわきまえることなく神経症みたいにタバコを吹かし、ポケットに常時携帯しているウイスキーの詰め替えボトルを呷っては、ボロボロのオープンカーから犯人に向かい市街地で拳銃をぶっ放す。
一見素っとぼけたタフガイだが、本来は繊細な男がアメリカの闇社会と向き合う内に豹変してしまった見本みたいなキャラクターである。彼の出演する多くの映画でも、このジャックという刑事が一番嵌り役ではないだろうか。
しかし個性の強い二人のキャラクターをストーリーの妨げにせず、決してコミカルな路線に脱線する事もなく、良質のハードボイルドアクションに仕上げているところはウォルター・ヒル監督の手腕の高さだろう。