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映画『60歳のラブレター』あらすじネタバレ結末と感想

映画『60歳のラブレター』の概要:2009年公開の日本映画。三井住友信託銀行主催で行われていた、「長年連れ添った夫婦が口に出して言えない感謝の気持ちをハガキに綴る」企画で応募作品を書籍化したものを映画化した作品である。

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映画『60歳のラブレター』 作品情報

60歳のラブレター

  • 製作年:2009年
  • 上映時間:129分
  • ジャンル:ラブストーリー
  • 監督:深川栄洋
  • キャスト:中村雅俊、原田美枝子、井上順、戸田恵子 etc

映画『60歳のラブレター』 評価

  • 点数:75点/100点
  • オススメ度:★★★☆☆
  • ストーリー:★★★☆☆
  • キャスト起用:★★★☆☆
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★☆☆
  • 設定:★★★☆☆

映画『60歳のラブレター』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)

映画『60歳のラブレター』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

映画『60歳のラブレター』 あらすじ【起・承】

定年を迎えた橘孝平(中村雅俊)は、惜しまれながら社員に送り出された。
彼は大手建設会社の重役にまで出世したほどの能力のある人材であったが、会社に残ることはせず潔く第二の人生を始めようとしている。
彼には若い愛人がおり、彼女が経営するベンチャー企業の共同経営者になることが決まっていた。
それと同時に妻とも離婚することにもなっている。

愛人の家に寄ってから帰宅した孝平を待っていたのは、ギクシャクしていた娘(星野真里)だった。
彼女のお腹には予定日間近の子供がおり、腹の子の父親では無いが現在付き合っている男性を同伴させている。
二人とも絵描きのようなことをして、好きに暮らしていた。
そこで両親が離婚することを知った娘だった。

今まで仕事もしたことがない妻のちひろ。
夫の孝平は父親の元部下であり、薦められるがまま結婚した。
孝平が自分に気持ちが無いのは知っていたが、ちひろは孝平を愛していた。
亭主関白で仕事人間の孝平を影ながら支えて来たのだ。

しかしそれも終わり。
ちひろは専業主婦の経験を活かして、家政婦の仕事をすることにした。
雇い主はベストセラー翻訳家の麗子(戸田恵子)だった。
料理上手なちひろを気に入った麗子はちひろの魅力に気がつき、最高にオシャレさせて作家仲間・麻生(石黒賢)のパーティーに連れて行く。
パーティーではちひろの美しさに魅了された麻生が、ちひろをデートに誘った。
戸惑うちひろだったが、新しい人生を歩もうと前に進むことにする。
一方で愛人の若い会社に中々馴染めない孝平は、自分の意見がすでに時代遅れであり、今までの権力は会社に所属していたからこそのものだと気がつかされる。
社員に溶け込む愛人の姿を見て、自分の居場所を見失い始めた孝平。
中々家に戻らない愛人の代わりに家事をするが、それまで料理などしたことのない孝平は魚も満足に焼くことが出来なかった。

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映画『60歳のラブレター』 結末・ラスト(ネタバレ)

そんな時、娘の出産の連絡でちひろと再会する。
病院で会ったちひろは昔よりも綺麗で魅力的だった。
帰り道、車で送ってもらったちひろは、孝平が腹を空かしていることに気がつく。
自宅に入れ、魚をおかずにした食事を出してあげると孝平は初めて「上手いな」と実感を込めて褒めた。
その後急な仕事の電話に急いで帰ることになった孝平に背広を着せ、いってらっしゃいと声をかけるちひろ。
いつもと変わらない光景だった。

ある日、ちひろが気になり自宅に寄った孝平だが、中々家の中に入ることが出来ない。
そんな時、1台の車が家の前に停まった。
中からはちひろと麻生が出てくる。
玄関前で麻生は「明日北海道の富良野に行こう」と誘った。
富良野のラベンダー畑は、ちひろが結婚当初孝平と行きたかったが叶わなかった場所なのである。

麻生が帰った後、ちひろは孝平がいることに気がついた。
孝平に「あんなろくでもない奴」と麻生のことを悪く言われ腹を立てた彼女は、「ろくでも無い奴というのは30年間妻を放ったらかし、外に愛人を作る人のことを言うのだ」と言い返す。
今まで言い返したことなどないちひろだったので、孝平はびっくりした。

娘の子供に会いに行った孝平は、病院で自分を探している四国から来た青年に会う。
彼の祖父は四国で写真館を経営していた。
そして昔、30年後の相手に手紙を送り写真を撮影してあげるというイベントを行っていたのだという。
その中に橘孝平という名前があり、わざわざ写真と手紙を届けに来たのだというのだ。
しかし孝平には手紙を書いた覚えは無い。

映画『60歳のラブレター』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『60歳のラブレター』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

現実的ではない60代の作品

素敵な映画である。
映画としては十分な娯楽作品に仕上がった。
しかし中村雅俊と原田美恵子だからであると、どこかのめり込めない自分がいる。

実際に原田美恵子にアプローチしていたのも石黒賢であるわけで、60歳としては全員華やか。
強いて言えば魚屋役のイッセー尾形と綾戸智恵の夫婦はリアリティがあったくらいで、井上順も戸田恵子も演じているのは素敵な大人だ。

こんなに美しい60代の夫婦、そりゃぁどこかを探せばいるのだろうが中々周りにはいない。
そのため現実感が無く冷めてしまう。

内容は魅力的

この物語は主に定年退職した出来る男の末路を描いている。
仕事が出来、専務までいった男が退職し離婚。
若い愛人が経営する会社に共同経営者として人生をやり直すのだ。
しかし現実はうまくいかず、若い会社には若い 社員ばかり。
しきたりやルールを重視する年配者とは意見もやり方も合わないのだ。

そこで次第に自分の存在の意義を見つめ直すのであるが、この辺りは切なさもありリアリティがあって良い。
自分は違うと思っていても結局老年であり、必要も無くなってしまうのだ。

それと相反して良いエピソードが魚や夫婦の物語。
悪態をつきながらも長年連れ添い、地味だけどコツコツ生活してきた夫婦が病気を通して、お互いの大事さに気がつき、さらに今のこの当たり前の生活の大事さに気がついていくという素敵な話だ。

そして出世街道から外れてしまった名ばかりの優しい医者と、売れっ子の翻訳家の恋愛。
様々なリアルな苦悩を通して大人の恋愛は難しいことを描いている。
今まで暮らして来た生活が違いすぎることから生じるすれ違いをどうやって乗り越えていくかがポイントになるわけである。

どのエピソードをとっても年齢を関係無く素敵だと素直に思えるものであり、非常に気持ちの良い作品に仕上がっている。

映画『60歳のラブレター』 まとめ

意外にも面白い作品に出会えたものである。
出演俳優を見たら何となくだがありふれた大人の恋愛というようなイメージで、きっとその想像を大きく超えることは無いだろうと勝手に思っていた。

しかし内容、構成共に魅力的で実にすっきり見やすくまとめられている。
余計なエピソードが無く、飽きずに最後までのめり込めた。
しかも物語の伏線が上手に張り巡らされており、鑑賞者に良いきっかけを与えてくれるのも上手いのだ。

さすがの大物俳優の貫禄で、見事な群像恋愛劇を見ることが出来た。
ぜひ大人の皆様には鑑賞して欲しい作品である。

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