今回は、映画『野球ユーチューバー有矢』について紹介します。本作はまず、野球とYouTuberという組み合わせの珍しさに目を引かれますが、それだけでなく主人公たちの人生の再起をかけた物語として、秀逸な仕上がりになっています。もちろんメインとなる野球シーンもリアルな臨場感が満載で、見ごたえ十分な作品です。
人生の「戦力外通告」から立ち上がれ!

⒞2023 ANYK Pictures 坪井昭久
映画『野球ユーチューバー有矢』とは?
映画『野球ユーチューバー有矢』は2023年製作の作品で、監督・脚本・編集を手掛けた坪井昭久さんが自身の体験を元に物語を構成、映画化した作品です。40代後半を迎えて人生に行き詰まりを感じた主人公が、趣味の草野球とYouTubeを融合して新たな目標を見出し、再出発にチャレンジする。そんなストーリーがリアルな野球シーンとともに描かれている、魅力的で見どころ満載な映画になっています。
現在本作品は、Amazonプライムビデオなど複数の動画配信サイトで視聴することが可能です。配信先は映画の公式HPに記載されていますので、ぜひそちらをご参照下さい。
映画『野球ユーチューバー有矢』公式HPはこちら
映画『野球ユーチューバー有矢』の予告編動画
存在価値を否定された男の再起 ~あらすじ~
40代半後半、結婚もせず1人暮らしをしている主人公・大谷昇司は、映画監督になろうという夢を描いていたが叶わず、クライアントの要望に応える映像制作で生計を立てていた。思いを込めた仕事のコンペでも落選して落ち込んでいた時、趣味で運営していた草野球チーム「Minors(マイナーズ)」に、達磨有矢という才能ある若手選手が入団。持ち前の明るさでチームを盛り立てる有矢を見て、大谷は有矢を起用した野球専門のYouTube動画の作成を思いつく。
草野球とYouTube、この2つの要素を元に大谷は、人生の再出発を目指して奮闘を始める。有矢の活躍もあってマイナーズは地区大会の決勝に進出、動画運営も軌道に乗り、明るい兆しが見えたかに思えたが。有矢には、大谷やチームメイトに明かしていない、ある「秘密」があった・・・。
これまでの野球映画にはない、リアルな臨場感!
「野球とYouTuber」というのは珍しい組み合わせにも思えますが、実は監督・脚本を手掛けた坪井さんの「実話」を元にしているそうです。坪井さんは実際に「Minors」という草野球チームを作り、チームに所属していた向さんという選手を使って「野球YouTuber向」というYouTubeチャンネルを立ち上げました。野球YouTuber向はチャンネル登録数35万人を超える人気ユーチューバーになりますが、その後向さんとの関係がうまくいかなくなって袂を分かつことになった・・・という経過も、映画の内容にそのまま反映されています。実在するユーチューバー向さんと坪井さんとの関係が、そのまま「野球ユーチューバー有矢」のモデルになっているわけですね。
坪井さんは野球にかけた思いと、そして自分を熱くさせてくれた草野球への恩返しの意味を込めて、この映画を作りました。劇中の野球シーンにもリアルさを持たせるため、野球の実力で配役を決めたそうです。そんな本作が、リアルな臨場感に満ちているのも当然と言えますね!
再起をかける男たちの情熱!

⒞2023 ANYK Pictures 坪井昭久
40を過ぎた男の再出発!
映画の主人公・大谷は、映画監督になりたいという夢を抱きつつも、それは叶わず。40歳半ばになって、クライアントの依頼に要望に応えるだけのCM撮影などを仕事にしていました。その傍ら、子供の頃から好きだった野球の世界に飛び込み、趣味が高じて実力者を集めた草野球チーム「マイナーズ」を率いることになります。そこに新加入してきたのが、若手選手の有矢でした。
大谷は、持ち前の明るさでチームを盛り上げる有矢を見て、YouTubeの動画を作ることを思いつきます。
主人公の大谷は年齢とともに映像監督の仕事が減り、クライアントからの発注が減る中でも、自分の作りたい映像で生計を立てる仕事へと転換したいという思い は消えませんでした。そこで、自ら作り上げる映像で収益を増やせる、YouTubeの可能性にかけたのです。夢の叶わなかった映像の分野でもう一旗あげてみたい、新たな人生を歩みだしたい・・・!そんな思いが、大谷を突き動かしていきます。
一方有矢の方も、野球の才能には恵まれているものの、実は「大事な場面で萎縮し、結果を出せない」という欠点を抱えていました。マイナーズに入団して主力選手となり、ユーチューバーという活躍の場を与えられた有矢もまた、肝心なところで失敗を繰り返してしまうこれまでの人生をやり直そうと決意します。
そう、この映画は「再起をかけた男たち」の物語なのです。
ライバルチームとの熱き戦い!
大谷と有矢が所属するマイナーズのライバルとなるのが、草野球の強豪・クーマンズ。そして、クーマンズの代表者である通称「クーマン」は、すでにYouTubeの世界でも「野球ユーチューバー」として名を馳せていました。大谷が有矢を使ったYouTubeを始めようと思ったのも、クーマンの動画を見たことがきっかけだったのです。
そして、有矢は以前クーマンズに所属していたのですが、「大事なところで萎縮する」悪いクセが出て、クビになっていました。クーマンズとの決勝戦で、キャッチャーのクーマンは囁き戦法のように、有矢の「以前のミス」をチクリチクリと突いてきます。マイナーズにとってクーマンズは、地区大会の優勝を争うライバルというだけでなく、大谷と有矢には「因縁の相手」だと言えるでしょう。そんなライバルチーム同士の火花散る熱い戦いが、野球経験者である俳優の手でリアルに描かれています。
監督自身の思いが込められた、熱き物語
監督の坪井さんは映画の主人公と同じく、40歳を過ぎてから草野球を始め、やがて年間200試合をこなすほどのめり込んだそうです。「憧れの落合選手のように、右にも左にもホームランを打ちたい!という思いで、手がボロボロになるまでバッティングセンターに通い練習に励んだ結果、坪井さんの周囲に実力のある野球経験者が集まるようになったとのこと。情熱が人を動かす、まさに映画のストーリーを地で行っていたわけですね。
40歳で始めた草野球にいつの間にかのめり込み、軟式野球に全てをかけた人生を送っているうちに、実力者の集まり出したチームは強豪になっていったそうです。そして、ネットの掲示板を通じてチームに応募してきたのが前述の向選手。向選手との出会いが、「野球ユーチューバー」を立ち上げることになった。そんな監督の熱い思いや情熱が、たっぷりと詰め込まれた映画なのです。
野球ユーチューバー有矢のテーマソングは、あの名曲「君に捧げる応援歌」
野球を愛する者なら、一度はその旋律に魂を揺さぶられたことがあるのではないでしょうか。シンガーソングライター・HIPPYの代表曲「君に捧げる応援歌」。この楽曲は、今やプロ野球界の定番登場曲という枠を超え、YouTubeという新たなフィールドでも熱い絆の物語を紡いでいます。
象徴的なのが、野球ユーチューバーの先駆者・向(むこう)とHIPPYの深い繋がりです。二人はこの楽曲を通じて共演を果たし、泥臭く挑戦し続ける者の背中を押すメッセージを共有してきました。その熱量は、次世代を担う野球ユーチューバー・有矢にも受け継がれています。
この映画にとってこの曲は、単なるBGMではありません。映画の情熱を象徴するテーマソングとして視聴者の心を鼓舞し、歌詞に込められた「諦めない」という不屈の精神が、彼らの発信する生き様と完璧に共鳴しているからに他ならないのです。
HIPPYと向、そしてこの映画。プラットフォームを超えてリンクする彼らの物語の背景には、常にこの名曲が流れています。これは、現代の野球カルチャーが生んだ、最高にエモーショナルなサウンドトラックなのです。
映画『野球ユーチューバー有矢』の感想・レビュー(ネタバレなし)

⒞2023 ANYK Pictures 坪井昭久
ガチの草野球映画!
監督が草野球への思いを込めて、「野球経験の実力を踏まえてキャスティングした」と仰っているように、臨場感あふれる野球シーンは見ごたえ満点です。例えば、「ピッチャーが投げる→キャッチャーが受ける→キャチャーが2塁に送球する」といった連続した場面を、カットなしのワンシーンで描いているところなどは、さすが野球経験者!と思わず唸りたくなるほどの出来栄えになっています。
これが他の映画の場合、野球シーンになると俳優さんではなく「野球の上手い人」が代役として出ていることがわかるようなカットがあったりします。そういった場合は、少し興ざめになったりもするのですが、この作品に関しては、役者さんたちが本気で野球をしている「ガチの野球映画」だと断言できます。野球好きな人にとっては、たまらない映画ではないでしょうか。
主人公と同世代には刺さる映画!
本作は野球シーンの見ごたえだけでなく、「中年男性の再起をかけた物語」という大きなテーマがあります。特に、「若い頃に見ていた夢が叶わず、食うための仕事に甘んじている」大谷の状況は、大谷と近い世代の人たちには、男女問わず「刺さる」設定ではないかと思います。
40歳を過ぎて、もう夢がどうのなどと言っている年齢ではないのかも。でも、もしやり直せるとしたなら・・・!それは、現実を生きている多くの中年男性・女性が抱えているテーマではないでしょうか。本作の主人公・大谷は、草野球とYouTubeという二つのファクターを通じて、人生の再起を目指します。その姿に、いつの間にか声援を送っている自分に気が付くかも・・・?
元プロ野球選手も絶賛!
「臨場感溢れる野球シーン」は本作の見どころのひとつですが、映画の公式HPでは、元プロ野球選手の田尾さんと笘篠さんも「こんな野球映画を待っていました」「クオリティの高い俳優陣のプレーの素晴らしさ」と、絶賛するコメントを寄せています。
元プロ野球選手が太鼓判を押しているくらいですから、野球好きな人にとって「最高の映画」になっていることは間違いありません。また、野球が好きだけど自分でやるのは・・・とためらっている人も、「こんなに楽しいなら、自分もやってみようかな」と考えたりするのではないでしょうか。
もし近所に草野球チームがあったら、その試合などを見に行って、そしていつか自分も・・・と、見ている人の「再起」をも促してしまうような、そんな魅力に溢れた映画だと思います。
映画『野球ユーチューバー有矢』はどんな人におすすめ?

⒞2023 ANYK Pictures 坪井昭久
人生をやり直したいと思う人に!
人生をやり直したいと思いつつも、そんな機会はなかなか訪れない。そのまま諦めてしまう人が多いかもしれませんが、この映画はそんな人の「背中を押してくれる」作品だと思います。映像の世界や草野球だけでなく、どんな場面においても。人との出会いなど何かのきっかけで、やり直しは可能になる。心の内に眠っていた、再起に必要な情熱や熱意を、呼び覚ましてくれる映画ではないでしょうか。
草野球がたまらなく好きな人に!
野球は好きだけど、俳優がプレーを演じている「なんちゃって野球映画」にウンザリしている人もいるかもしれません。本作はそんな不満を一掃して、田尾さんが仰っているように「こんな映画を待っていた!」と言いたくなるような作品になっています。映画を見ながらのめり込んで、思わず「ナイスプレー!」と口にしたくなるくらい、その面白さは折り紙つきです。そして、野球に興味のなかった人も、「草野球ってこんなに面白いのか」と虜にしてしまうような、そんな可能性を秘めています。
アラフォー、アラフィフの男性に!
人生をやり直したいという思いは若い世代にもあるかもしれませんが、主人公と同年代の、それも「野球好きな男性」にとっては、我が身のことのように感じる映画ではないでしょうか。いい年をしたオジサンが野球なんてと言われたりもするかもしれませんが、「それでも野球が好きなんだ!」という熱い思い。そして、「この年でも、まだやり直せるかもしれない」という願い。本作は、夢を諦めきれない全ての中年男性に捧げる映画と言っても過言ではないでしょう。
まとめ
今回は、2023年製作の映画『野球ユーチューバー有矢』を紹介しました。
人生の再起にかける思い、野球への熱き情熱。そんな魅力に溢れる、秀逸な作品です。
本作は現在、複数の動画配信サービスで視聴することが可能です。配信先は映画の公式HPに記載されていますので、気になった方、興味を持たれた方はぜひご覧になってみて下さい。きっと、自分の中の「熱い思い」を呼び起されるのではないかと思います。
映画『野球ユーチューバー有矢』公式HPはこちら


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