映画『アウトレイジ』の概要:山王会の会長に村瀬組との関係に誤解を招いた池本は、傘下の大友に村瀬組との問題を演じるように依頼する。大友は池本の頼みを聞き、村瀬組を襲撃するが、それからというもの、彼には損な役回りばかりが与えられていく。
映画『アウトレイジ』の作品情報
上映時間:109分
ジャンル:フィルムノワール
監督:北野武
キャスト:ビートたけし、椎名桔平、加瀬亮、小日向文世 etc
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映画『アウトレイジ』の登場人物(キャスト)
- 大友(ビートたけし)
- 池本組傘下の大友組組長。昔気質のヤクザで、兄貴分の命令には忠実に従い、部下への思いやりも忘れない。
- 池本(國村隼)
- 大友の兄貴分。兄弟の杯を交わした村瀬組との関係を会長に疑われ、会長の疑念を払拭するために大友に仕事を依頼する。
- 山王会会長(北村総一朗)
- 山王会の会長。傘下の池本が薬物の売買に手を染めている村瀬と組んでいることを快く思わず、彼の排除を画策する。
映画『アウトレイジ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『アウトレイジ』のあらすじ【起】
会合の終わり、池本は加藤に最近、村瀬と良く会っていることについて問われる。昔仕事を一緒にした中で兄弟の盃を交わした仲だと池本は説明した。会長は池本のことを心配している。兄弟の絆は大事だが、親子の絆はもっと大事だから誤解されるようなことはするなと加藤は村瀬に釘をさした。
池本は会長からの誤解を解くため、舎弟の大友に自分たちが池本との間に問題を抱えているような演出をしてほしいと頼む。
大友は村瀬組の若い連中が経営する、ぼったくりバーに自分の組員を通わせ、金銭的な問題を起こす。それから、大友は金と舎弟の指を持参して詫びにきた村瀬組の若頭の顔をカッターで切り刻み、追い返した。村瀬は池本と直々に会い手打ちの話を持ちかけた。池本は村瀬と会った途端、池本は好意的に振る舞う。池本は村瀬に部下たちが勝手にやったことだと言った。池本の命令通りに動いたのに、それを無かったことのようにされたことで、大友は、貧乏くじを引かされたと嘆いた。
映画『アウトレイジ』のあらすじ【承】
ぼったくりバーに通った組員が村瀬組の若頭たちに襲撃を受ける。会長は面汚しと蔑み、池本たちに村瀬組の連中とけじめをつけろと迫る。大友は部下にバーを経営していた若い連中を殺す。村瀬は再び池本に会い、会長に謝る機会をくれと頼んだ。村瀬は会長に謝罪するが、会長はチンピラを殺したくらいでは納得せず、池本に村瀬組を襲えと命じる。池本は大友にそれを伝える。大友は村瀬が歯医者に通っているところを襲った。謝罪は済んでいるはずだと村瀬は会長に訴えるが、加藤は村瀬に引退するよう勧め、追い払った。
村瀬は会長に歯向かうことができず、あがりの分け前をもらう代わりに、自分のシマを池本に明け渡すことで手打ちにする。しかし、村瀬の若頭は納得していなかった。大友の車を尾行してけじめをつけさせようとするが、返り討ちに合ってしまう。
大友組は村瀬から奪ったシマの薬の売人を襲い、薬物の温床になっていたグバナン大使館をカジノに変えた。シマの収益化は着々と進み、大友組は勢力を強め始めた。
映画『アウトレイジ』のあらすじ【転】
大友組の儲けを聞き、池本はカジノに入り浸るようになった。そんな池本を煩わしく思っていた矢先、池本組の若頭は、大友組のやっているカジノについて話があると会長に呼び出された。会長はカジノが盛況であることを喜ぶ一方、薬物の売買で儲けていたような村瀬とつるんでいた池本のことを面汚しのように感じていた。会長は若頭に、そろそろ池本には引退してもらって、若頭が後を継ぐようにと耳打ちする。
大友組は自分のシマの中で未だに薬が流通していることを察知して、出所を探ると、引退したはずの村瀬の関与が発覚した。報告を聞いた池本は大友に村瀬を殺すように命じる。カジノに入り浸るだけで、命令だけは一人前にする池本のことを、大友は疎ましく思い始めていた。大友はサウナに通っていた村瀬たちを襲撃し、部下も含めて全員銃殺してみせた。
事件を大きくしたことで会長は大友を破門するよう池本に命じる。シマも名誉も奪われた大友は腹を立てた。小指を詰めて会長に直訴しに行く。会長は破門については池本の独断だと嘘を吐いた。池本組の若頭に言ったように、会長は池本を下ろしてお前が組を盛り上げろと大友に言う。
映画『アウトレイジ』の結末・ラスト(ネタバレ)
大友は破門しておいてカジノに入り浸る池本を殺す。池本組の若頭は会長に池本の死を報告する。すると、会長は親の仇を取れと大友殺害を若頭に促す。若頭は大友の部下を殺すために刺客を送った。大友は若頭の思惑を察し、会長が若頭にも同じことを言ったのだと気付く。大友は自分が一番可愛がっていた部下と愛人を逃がし、覚悟を決めた。
買収した警官との密会の場に爆弾を投げ込まれたり、事務所を襲撃されたり。孤立無援となった大友は生き残った部下に逃げるよう言う。しかし、生き残った僅かばかりの部下も次々と殺されていってしまう。
大友は買収した警察に部下の様子を確かめさせる。大友は完全に孤立してしまった。警察は大友に刑務所に逃げ込むことを勧め、大友はそれを受け入れた。
池本の件が完全に片付いたと報せを受けて会長は喜んだ。会長は池本の若頭を呼び、後継ぎになるよう言って油断させ、加藤に若頭を殺させた。加藤は池本の若頭を殺した直後、会長を殺し、池本の若頭の仕業に見せかけて、自分が会長の座に成り上がった。
一方、刑務所に収監された大友は、野外での運動の時間中、同じく収監されていた村瀬の若頭の凶刃により倒れてしまった。
映画『アウトレイジ』の感想・評価・レビュー
怒る演技は残酷なほど役者の力量や監督の演出力をさらけ出す。そういう意味で「アウトレイジ」はほぼ完璧といっていいほど隙が無く、物語に、そして何よりそのクリエイティビティ溢れる殺し方に没頭させてくれる。この映画の荒唐無稽さは設定でも展開でもなく、バリエーション豊かと言う他無い殺しの方法の数々だ。それだけでも見る価値が十分にあるように思う。
主人公が悪人の場合は観客に共感させるためにもっと悪い奴を作る、というのが鉄則だが、この映画は変わった映画のように見せて、そういう基本はきっちり押さえている。その辺も黒澤明の影響を受けた北野監督ならではと感じる。(男性 30代)
えげつないシーンもあらわにしており、好きと嫌いがはっきり分かれる映画であるが、ぐっと集中して見てしまった。表面と裏面の表情や行動、絶対的に従わなければならない人への態度や言葉遣いなど、様々な顔が見られて楽しかった。また、悪人の中の悪人と善人が垣間見れ、深いところまで掘り下げて見れることができた。公開されるまで、数々のメディアから注目されていた意味がかなり理解できた。人間の素の部分が見られて、考えさせられる映画だと感じた。(女性 20代)
余すことなく俳優陣の魅力が引き出された映画。その中でも北野武の存在感は群を抜いている。もはや、お笑い芸人という認識の方が薄れるほど世界的に評価されるのも頷ける、文句なしの作品。元来の、Vシネなどとは一線を画す現代的な裏社会の描き方。
その世界に共通に流れる組織の姿や衝突などがとてもリアルに感じられ、裏社会では本当にこういうことが繰り広げられているのかもしれない、と思わせてくれる緊迫感や脚本の妙が随所に漂う。
俳優陣の力演はすさまじく、ラストに向けての破滅的なストーリーの流れが不思議な切なさすら生み出す。
北野武の真髄が詰まった作品。(女性 30代)
北野映画ということで興味があって見に行ったが、良い意味で裏切られた作品だった。
普段芸人として、バラエティで笑いを取っている人が撮ったとは思えない仕上がりだった。
この手の反社会的な映画は普段から好き好んで見ているが、ここまで視聴者に緊張感を持たせてくれる映画は今まで無かったと思う。
嘘や騙し合い、いつ誰が殺されてもおかしくないこの世界で上り詰めるということは生半可な人間では無理だということを改めて思い知らされた。
この作品からアウトレイジのファンになったのは言うまでもない。(男性 20代)
バイオレンスな演出が目立つが、ストーリーは細かく丁寧に作られている印象を受けた。裏切りや騙し合いが横行する中でも上の命令に忠実な大友組に対しては、どうしても感情移入してしまう。
この手の映画は誰か1人でも下手な俳優がいると安っぽく見えて白けてしまうが、今作は全員が完璧と言っていいほど素晴らしい演技を見せていた。監督・北野武のこだわりや丁寧な仕事ぶりには感銘を受ける。
一般人とはかけ離れた極道の世界を描いたものだが、とても人間臭さを感じる映画であり、バイオレンスな演出が苦手ではない人ならばとても楽しめる作品となっていた。(男性 20代)
本物感がすごい。皆、俳優が演じているはずなのに本物のヤクザに見えてしまう貫禄。
仲間を簡単に裏切り、敵かと思っていたら裏で繋がっている。容赦のない拷問や殺し。観ていて飽きません。インパクトの強いキャラクターが揃う中、椎名桔平演じる水野は一際クールでかっこいい。怖い存在なはずのヤクザがかっこよく見えてしまいました。
無駄な音楽が一切無いので、それが更に重厚感を出しています。
バイオレンスなシーンがとても多いので苦手な方にはおすすめ出来ません。(女性 30代)
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次作 アウトレイジ ビヨンド
みんなの感想・レビュー
世界の北野武監督による映画15本目にして、初のヤクザ映画である。
「全員悪人」というキャッチフレーズも文字通り。クセの強いキャラクターたちがあーだこーだと勝手な自論を言いながら大暴れする姿は、どこか清々しさを感じる。
裏切りに次ぐ裏切り。因縁に振り回されながらも、男たちは自分のメンツを通すために意地を張るのだ。時には強がり、くだらないと言われながらも己を突き通す姿は、男性はより共感してしまうだろう。
北野武の独特の深みを持った怖さは、もはやホラーにも匹敵する。
「全員悪人」というキャッチコピー通り登場人物が本当に悪い奴ばかりだったので逆に感情移入することなく観れて暴力シーンに過剰に反応せず済んでよかったかもしれない。
ただ登場人物が皆似たような容姿だったので見分けがつくまでに少し時間がかかってしまった。
ストーリーのテンポがすごく良かったので飽きずに観ることが出来たが元々グロテスクなシーンは好きではないので目をつぶってしまうことも多かった。
戦国時代をそのままヤクザ界に持ってきたような構図が印象的である。
一見バイオレンスで痛々しいのだが、次第に戦国武将が闘っているように見えてくる。
段々と誰派につくかという感情移入具合にはまり、客観的に映画を楽しむことが出来るのだ。
北野映画は意外にもメッセージ性が強く、観たままの男くさい暴力映画では無い。
女性からするとこのようなジャンルは毛嫌いする人も多いだろうが、実際によく観るとその作品の陰に隠れた真実の重さが見えてくる。
それに気がつくとまた北野映画を観たいという中毒性が出てくるのだろう。
キャスティングの豪華さも北野映画ならでは。
誰をとっても脇役ではなくメイン。
武だけが目立つわけでもない。
それどころかドラマの中にはまってしまうと存在感すら他に混ざる。
このあたりの演出はさすがだと感心する。
北野武映画は最初から注目を浴びていた。
しかし初期作品は誰もが受け入れる娯楽映画かというと少し違う。
好きな人は好き。
バイオレンスなものが好きな人は好き。
そのような趣向の人ははまったかもしれないが、最初はやはり芸人ビートたけしが作った映画というイメージが強かった人も多い。
しかしアウトレイジの存在感は大きかった。
この映画は北野武映画に興味が無い人も宣伝文句が気になり観たという人が増えたのだ。
北野武映画をある意味で広めたきっかけになった作品と言っても過言では無い。
この映画の全員悪人の宣伝キャッチフレーズはかなりぐっとくるものがある。
今まで観た映画の中で悪びれもせず全員悪人だなんて言ったものは無い。
善人が映画として主役になるべきと、勝手に先入観を持ってしまっていたからだ。
しかし実際観ると、確かに悪人だが善人もいるというのが正直感想だ。
つまり全員悪人になると、その中で良い人間を作り上げてしまうということである。
大友組も他の組に負けないくらい酷いことをしているのだが、上に忠実な分、悲壮感を感じさせられる。
特に大友の部下たちが善人に見える。
最後の大友殺しが始めると、大友組のメンバーだけは殺さないでくれという気持ちになるのが笑えてくるほど面白い。