映画『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』の概要:若きドンに率いられたマフィア立ち向かうのは、ベトナム帰還兵の刑事。非合法の頂点を極める若きドンの野望を止める事は出来るのか。『ディア・ハンター』のマイケル・チミノ監督作。
映画『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』 作品情報
- 製作年:1985年
- 上映時間:134分
- ジャンル:アクション、フィルムノワール
- 監督:マイケル・チミノ
- キャスト:ミッキー・ローク、ジョン・ローン、アリアーヌ、ヴィクター・ウォン etc
映画『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』をフルで無料視聴できる動画配信一覧
U-NEXT | ◯ |
---|---|
Hulu | ◯ |
Amazonビデオ | × |
dTV | × |
TELASA | × |
TSUTAYA DISCAS | × |
ビデオマーケット | ◯ |
Netflix | × |
※動画の配信情報は2022年5月時点のものです。配信状況により無料ではない場合があります。最新の配信状況は各動画配信サービス(VOD)の公式サイトでご確認ください。
映画『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』 評価
- 点数:90点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★★
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★★
映画『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』 あらすじ【起・承】
時は’80年代前半、NYダウンタウン。
リトル・イタリーと、きびすを接するチャイナタウンのレストランで、マフィアのドン、ジャッキー・ワンが殺され盛大な葬儀が行なわれた。
チャイナタウンの大通りで行なわれた葬儀の先頭を歩くのは、若き幹部で、勢力を拡大しつつあるジョーイ・タイ(ジョン・ローン)だった。
ジョーイは、新旧マフィア勢力が対立する中で、急進的なやり方で、麻薬組織を変えようとしていた。
そんな葬儀の様子を斜に構えてみていたのが、NY市警のスタンリー(ミッキー・ローク)だった。
ベトナム帰りのポーランド人であるスタンリーは、マフィアへの憎悪だけでなく、戦争のトラウマから、東南アジア人を憎む様になっていた。
ワン殺害事件を皮切りに、スタンリーは、ジョーイの組織の捜査に乗り込む。
スタンリーの組織を無視したスタンドプレイに、彼の同僚ビューコワスキ(レイ・バリー)は心配する。
そんな荒んだ彼の心を捉えたのが、ワンの葬儀の時に葬儀の模様を伝えようとレポートしていた中国系アメリカ人トレイシー(アリアーヌ)だった。
スタンリーは、トレイシーを組織の息がかかる高級レストランに招き、その席で、メディアの力を借りて
組織を壊滅出来ないかと取引を持ちかけた。
その時レストランに突然覆面の男が乱入し、機関銃を乱射する。
トレイシーを庇い、防戦するスタンリーだが、明らかにジョーイの手先と判る犯人グループには逃げられてしまう。
スタンリーはジョーイの経営するレストランに乗り込み宣戦布告を言い放つのだが・・・。
映画『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』 結末・ラスト(ネタバレ)
スタンリーは、中国系刑事アルバートを潜入捜査官として潜り込ませ、捜査を続けるが、
アルバートの身分はすぐに割れ、殺されてしまう。
それだけでなくスタンリーの別居中の妻・コニー(カロライン・カヴァ)が、
ジョーイの手先により殺され、トレイシーはジョーイの手下に襲われレイプされた。
コニーの葬儀に泣き崩れるスタンリー、若きドンとして世界を凱旋するジョーイ。
ジョーイは東南アジアの麻薬の三角地帯に潜り込み、麻薬王バンと取引を成功させた。
怒り狂ったスタンリーは、帰国したジョーイを叩きのめし鼻をへし折る。
逃げるジョーイを追ったスタンリーは、アルバートが死に際に残した言葉から、
埠頭で、ジョーイの麻薬取引が行なわれるという手がかりを掴み、最期の望みをかけてジョーイを探す。
ブルックリン橋の上で、麻薬取引をするはずのジョーイだったが、並み居る長老を押しのけ
トップに立とうとするあまりに無謀な賭けに出て、取引の土壇場で長老たちに裏切られる。
そしってスタンリーが、ジョーイを追いつめ脇に逃げる道もない線路で、一騎打ちとなり、
ジョーイは逃げ場がないと悟ると、スタンリーの前で自ら命を絶つ。
映画は、ジョーイの葬儀が華々しく行なわれる所で終わる。
映画『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
映画監督マイケル・チミノを救った作品
業界無二の完璧主義者で知られ『天国の門』で映画会社の屋台骨を揺るがす程の大損害を与えたとして、映画界から追放されたのが、
この映画の監督、マイケル・チミノ。
そんな彼に手を差し伸べた製作者は、かつてイタリア映画界で活躍し、’70年代以降はハリウッドに拠点を移した、
ディノ・デ・ラウレンティスである。
チャイナタウンで撮影が不可能だったこの作品の為に、本物のチャイナタウンのセットを作り、その総額が
映画制作費の3分の1にあたる20億になったという。
という事は、総製作費用は60億円。
チミノにしてはこの費用は少ない方だというのだから、もしも共同脚本のオリバー・ストーンの力がなければ、
この映画、興行的に失敗に終わり、チミノは二度と映画を作れなくなっていたかもしれない。
ジョーイは、何故最後に裏切られたのか
ジョーイは、頂点を極める為に計算して人生を生きている男である。
印象を良く見せる為に一部のスキもないスーツに身を包み、髪を整え、権力あるマフィアの娘婿となり、義理の父親を殺す。
自分の利に叶わないものであれば虫けらの様に殺すが、その一方で他人を見捨てられない温情も持ち合わせているという
矛盾したパーソナリティを持つのがジョーイだ。
義理の父であるマフィアのボス、ワンや役立たずの部下は平然と殺すが、タイの麻薬取引で、かつての取引相手の老将軍の命には
温情をかけて金で買う。
しかし彼のこの『かつての友情を重視し血縁を軽視する』という矛盾したパーソナリティが、最後の最後で、長老たちから背を向けられる事となる。
主演俳優2人の絶頂期の演技
なんと言っても、この映画最大の見所は、ミッキー・ロークとジョン・ローン、2人の最盛期の演技が見られる事にある。
この映画の数年後を境にして、2人のキャリアは、下降線を辿る事となる。
良質な作品であれば出たいが、なるべく孤独を選びたいというジョン・ローンは、殆どメディアに出る事がなく、
ミッキー・ロークもまた、格闘技乱入や、整形依存から自殺未遂までと波乱万丈の人生。
そういった意味でも見る価値はある。
若き日のミッキー・ロークがとんでもなくかっこよくて驚きました。私が知っている彼は『アイアンマン2』や『アレックス・ライダー』に登場するちょいワル親父風な姿。しかし、今作でミッキー・ロークが演じたのは愛するものを殺された復讐を誓う警官・スタンリーでした。スタンリーのやり方は破天荒で敵を作りやすかったかもしれませんが、彼の怒りや執念はジョーイを追い詰めるまで変わることなく勇ましかったです。
全てを手に入れたかに見えたジョーイでしたが、最後に待っていたのは裏切り。きっと自分が今までしてきたことを後悔したでしょう。(女性 30代)
映画『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』 まとめ
米国の犯罪組織の内幕に言及する事は、米国社会の社会構造、都市生活そのものを語る事とも言える。
様々な血脈のマフィアが非合法のビジネスが移民によって成立ち、しのぎを削っているからだろう。
『ディア・ハンター』、『天国の門』など、エスニックならではの生き辛さを映画にしてきたマイケル・チミノ
ならではの題材といえばそうなる。
映画の中で、ジョーイとスタンリーは、全く違う立場の人間だが、お互い所属する組織から、はみ出して行き場がない事は共通している。
そんな2人が、自分の生きた証を示すかの様に、クライマックスで橋の上で一騎打ちとなるシーンは、
人生に悩みを抱えたものなら共感出来るのではないだろうか。
みんなの感想・レビュー