映画『猿の惑星 新世紀(ライジング)』の概要:大人気SF映画「猿の惑星」新シリーズで、「猿の惑星 創世記(ジェネシス)」の続編。進化を続ける猿たちの確執、高い知能を持つエイプのシーザーと人間マルコムとの友情、そして戦争の始まりを描いた。
映画『猿の惑星 新世紀(ライジング)』の作品情報
上映時間:131分
ジャンル:SF、アクション、アドベンチャー
監督:マット・リーヴス
キャスト:アンディ・サーキス、ジェイソン・クラーク、ゲイリー・オールドマン、ケリー・ラッセル etc
映画『猿の惑星 新世紀(ライジング)』の登場人物(キャスト)
- シーザー(アンディ・サーキス)
- 高い知能を持つチンパンジーで、エイプ(猿人)のリーダー。人間よりもエイプが優れていると思っていて、「エイプは仲間を殺さない」という決まりを作った。手話の他に、人間の言葉を上手く話すこともできる。コバやモーリスは人間にひどい扱いを受けてきたが、シーザーは愛情を持って育てられたため、人間に対して寛大な態度を示す。結婚していて、2人の息子がいる。
- ブルーアイズ(ニック・サーストン)
- シーザーの最初の息子。多感な時期で、父シーザーに反発したがる。序盤で熊に襲われ、肩から胸にかけて大きな傷跡ができる。ロケットの息子アッシュと行動することが多い。
- コバ(トビー・ケベル)
- シーザーの部下。人間の実験台にされた過去があり、体中に傷跡がある。人間を憎んでいて、信用する気もない。マルコムたちの作業を快く思わず、それを許したシーザーに対しても攻撃的な態度を取る。エイプは人間を憎むべきだという思想を広めていて、人間との戦争のきっかけを作ろうとする。
- ロケット(テリー・ノタリー)
- シーザーの忠実な部下。アッシュという息子がいる。
- モーリス(カリン・コノヴァル)
- シーザーの部下であり、よき友。幼いエイプたちに言葉を教えている。人間からひどい扱いを受けたが、コバのような考えは持っていない。マルコムの息子アレクサンダーと親しくなり、本を一緒に読んだり、助け合ったりする。
- マルコム(ジェイソン・クラーク)
- 人間のコロニーのリーダー。猿インフルエンザに対して抗体があり、パンデミックの中を生き延びた数少ない人間。妻を猿インフルエンザで失っている。エリーとは再婚。猿インフルエンザによる地獄を目撃した、息子アレクサンダーの精神面を心配している。
- エリー(ケリー・ラッセル)
- マルコムの妻。猿インフルエンザへの抗体を持つ。疾病センターに勤めていたことがあり、医療の知識を持つ。サラという幼い娘がいたが、猿インフルエンザが原因で命を落としている。アレクサンダーが自分に心を開かない事を気にしている。
- ドレイファス(ゲイリー・オールドマン)
- 人間のコロニーの、もう一人のリーダー。猿インフルエンザの抗体を持っているが、感染への不安は隠せない様子。演説がうまく、コロニーのメンバーのまとめ役として表に立つことが多い。エイプを嫌悪していて、全面戦争も覚悟している。
映画『猿の惑星 新世紀(ライジング)』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『猿の惑星 新世紀(ライジング)』のあらすじ【起】
アルツハイマー治療薬が原因で、実験台にされていたチンパンジーたちが狂暴化した。
そして、猿インフルエンザの世界的大流行が起こった。
人類は滅亡の危機に晒され、猿は高い知能を持ち進化していった。
その中心にいたのは、チンパンジーのシーザーだった。
インフルエンザの流行から10年が経った。
結婚したシーザーにとって、考えなしに行動する息子ブルーアイズが悩みの種だった。
2人目の息子が生まれ、シーザーは人間の事を忘れかけていた。
ある日、人間たちが森へとやって来る。
ロケットの息子アッシュが銃で撃たれ、シーザーたちは激怒し、人間を森から追い出した。
後をつけて棲み処を見つけ出すと、武装して人間のコロニーへ向かう。
それぞれの領域に立ち入る事をやめるよう宣告し、出来ないなら戦争だと告げた。
しかし、森の中のダムを使って水力発電を再開したい人間たち。
コロニーのリーダー、ドレイファスは、武器を集めてエイプとの闘いに備え始める。
マルコムは、妻エリー、息子アレックス、仲間たちを連れて森に向かう。
アッシュを撃ったカーヴァーは、エイプをひどく憎んでいたが、専門知識を持つ唯一の人物だったため同行せざるを得なかった。
映画『猿の惑星 新世紀(ライジング)』のあらすじ【承】
マルコムは、命の危険を覚悟の上で、単身シーザーに話をつけに行く。
言葉を話すシーザーに驚きつつ、水力発電所のダムを復旧させ、電力を復活させたいと説明するマルコム。
銃を持ち込まない事を条件に、シーザーは立ち入りを許可した。
その時持っていた銃は、シーザーたちが取り上げた。
コバは猛反対するが、シーザーはコバを抑え込んだ。
ダムの復旧作業が始まる。
シーザー、モーリス、ロケット、幼い弟を連れたブルーアイズも同行した。
コバは狩りに行くと嘘を付き、人間のコロニーに忍び込んだ。
そして、銃を集めている人間たちを見つける。
人間に見つかっても無知なフリをしてやり過ごした。
ダムでの作業中、マルコムとカーヴァーが落石によって地下に閉じ込められる。
助けたのはシーザーたちだった。
しかし、カーヴァーが隠し持っていた銃が見つかってしまう。
約束を破った人間たちを、シーザーは追い出すことにする。
何も知らなかったと弁明するマルコム。
シーザーの妻が病気だと知り、エリーは薬を処方する。
それを見たシーザーは、エイプが手を貸す代わりに、あと1日で森から出ていくよう命じる。
映画『猿の惑星 新世紀(ライジング)』のあらすじ【転】
ダムでの作業中、コロニーで見たことを報告しようとするコバ。
だが、暴力的になっているコバの言うことを、シーザーは聞こうとしない。
アレクサンダーとモーリスは、いつの間にか仲良くなっていた。
電力は復旧し、ダムでの作業は終わった。
マルコムとシーザーの間には、信頼関係が生まれていた。
コバは暴走を始め、コロニーの武器庫の人間を殺害。
車に軟禁されていたカーヴァーも殺害した。
そして人間の仕業に見せかけて銃でシーザーを暗殺し、家に火を放った。
ブルーアイズにシーザーの仇を取ると告げ、コロニーへ攻め入るきっかけを作る事に成功。
危険を察したモーリスは、マルコムたちを逃がした。
人間のコロニーへ攻め入ったエイプたちは、武器を手に入れ、コロニーを制圧。
一方、山から逃げたマルコムたちは、怪我を負ったシーザーを見つけて保護する。
そしてシーザーから、撃ったのはコバだと聞かされる。
シーザーが育った家に身を隠すマルコム、エリー、アレクサンダー、そしてシーザー。
撃たれたシーザーを救うためには、手術道具が必要だった。
コロニーで手術道具を手に入れたマルコムは、ブルーアイズに会う。
映画『猿の惑星 新世紀(ライジング)』の結末・ラスト(ネタバレ)
ブルーアイズを連れて戻ったマルコム。
そして、シーザーを撃ったのはコバだと聞かされる。
手術は無事に終わり、ブルーアイズから状況を聞いたシーザーは、コバを止めようとする。
手伝いを買って出たブルーアイズは、コバに従わないため監禁されていたモーリス、ロケットたちを助け出す。
そしてシーザーの育った家に集まった。
地下鉄のあったトンネルを通り、マルコムとシーザーたちはコバの元へ急ぐ。
マルコムは、逃げ延びていたドレイファスたちと合流。
ドレイファスは、エイプに占領されたタワーを爆破しようとしていた。
シーザーとコバは、一騎打ちの対決を始める。
マルコムはドレイファスを説得し、タワー爆破を止めようとする。
しかしドレイファスは、自らの命を犠牲にして爆弾のスイッチを押す。
戦っていたシーザーとコバは爆風に巻き込まれる。
タワーから落ちかけたコバは、シーザーに助けを乞う。
シーザーは、コバを見捨てた。
マルコムとシーザーは再会する。
そしてシーザーは、連絡を受けた軍が向かってきている事を知らされる。
コバが仕掛けた戦争は、エイプと人間の戦争になっていった。
マルコムとシーザーは、お互いを友として認めながら、別の道を歩み始めた。
映画『猿の惑星 新世紀(ライジング)』の感想・評価・レビュー
猿の頭にまで成長したシーザーがこの作品の中心だけあって、とても印象的な存在でした。
猿であることに誇りを持っていて、人間とは違い猿は猿同士で殺し合いをしないことを人間よりも良い生き方と感じているのが伝わってきた。人間を愚かと思っている部分はありながらも、人間の中にも理解力のある人はいると言う姿勢をきちんと持っていて、戦いが起きそうになってもきちんと話し合いで解決しようとするあたりは見習いたい行動でした。
それだけに人間の悪行や、仲間からの裏切りでシーザーにどんどん諦めに近い感情が芽生えて行ってしまうところがもどかしいと感じる作品でした。(男性 40代)
初期の『猿の惑星』と比べると、その映像のクオリティーは目を見張るものがある。
チンパンジーたちの毛並みや、人間のような繊細な表情の差まで読み取ることができ、圧巻である。
前作は、人間の視点を中心に物語が進行していたが、今作はチンパンジーたち寄りの視点で描かれており、猿たちが地球を支配しつつあることを示唆している。
シーザーたちとマルコムたちが徐々に信頼関係を築いていく過程に感銘を受けた。
一方で、両サイドに仲間割れが発生し、とうとう人間とチンパンジーたちの戦争が始まってしまう。
未来で両方が共存できることを願うばかりだ。(女性 20代)
映像技術の進化により、前作である「猿の惑星」よりも迫力があり、何よりも映像が綺麗だ。しかし、前作の衝撃を超えることはなかった。
ただ、脚本はよく作り込まれていて、十分楽しめた。猿側の視点という新たな着眼点が面白い。人間も猿も同じようなもので、人間だからと驕り高ぶってはいけないんだと、改めて考えさせられた。ラストシーンの衝撃という意味では前作の方が優っていたが、胸を打たれるのは今作だったかもしれない。(男性 20代)
猿の惑星ジェネシスの続編。知性を持った猿・シーザーがリーダーとなり、国立公園で平和に暮らしているも、ちょっとしたきっかけから、人間との争いが始まってしまう。
今回は前作よりも、猿側のドラマが描かれており、人間だけではなくどこにも対立はあると表現している。そして、それぞれの価値観の相違が大きな戦いに発展してしまうという悲しさ。この物語はまさに人間そのものを映し出しているのである。
これまでのシリーズでは人種差別のテーマが濃かったが、今回はより人間の弱さを見せつけられているような気がした。(男性 40代)
前作で人間への憎しみや怒りの感情を持ち、人類を滅亡の危機まで陥れたエイプたちのリーダーとなったシーザー。猿は人間よりも強い、偉いと考える彼の表情や圧には恐怖を感じます。しかし、反抗期の息子に対して手を焼く様子など人間の父親のような苦悩がある点についてはチンパンジーの世界でもこうなのかなと可愛く思えてしまいました。
エイプの中での上下関係も丁寧に描かれていて、シーザーの右腕であるコバが闇と優しさ、忠誠心を持ち合わせた憎めないキャラクターでうるっと来てしまうシーンもありました。
人間よりも猿の方が…というのはあながち間違っていないのかもと思ってしまいます。(女性 30代)
全三部作の二作目となる今作だが、人間とエイプがどのように争いあうようになるのかが丁寧に描かれており、その様子は今の混乱した社会とダブって見える。
その中で、確かにあるシーザーとマルコムの間の友情。でも、事態はそれを許さず、というところが切ない。争いたくなくても色々な背景や事情によってそうならざるを得ないとうところが、人間のこれまでの歴史を考えさせられた。
猿がどうみても猿にしか見えないので、過去作と比べて技術の進歩にびっくりした。(男性 30代)
みんなの感想・レビュー
前作に引き続き、脚本が素晴らしいですね。猿側の葛藤と人類側の葛藤が上手く描かれており、表情一つで感情を全て表現するシーザーに泣かされました。
ストーリーはケチのつけようが無いです。シーザーが追い込まれる過程はコレ以外にないし、人類側の決断も理解できます。パニック演出を得意とするマット・リーヴスが監督を務めたこともプラスに働いているのでしょう。なかなか腕のある監督です。
面白いことはまちがいないです。見て損はしないし、前作を見ている人は絶対に見に行くべき。
ただ、相変わらずCG技術を上手く使いこなせていないハリウッドの実態が見えてきて、ちょっとがっかりしましたね。
表現する技術ばかりが向上していく一方で、演出が技術に追いつかない。というか、育てるつもりがないのかな。
『GODZILLA』を参考にするべきですね。あの映画は、ガッツリ計算されたCGを採用していません。
特撮映画にありがちな不自然さを残しています。それが逆にリアルに見えてくる。ハリウッドのCGは、計算され尽くしているから。面白く見えないんです。
今こそ、特撮映画の時代の演出法に学ぶべきでしょう。魅力的な映像とは何かを再確認することで、新たなCGの演出を考えるべきだと思います。