この記事では、映画『グラスホッパー(2015)』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『グラスホッパー(2015)』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『グラスホッパー』 作品情報
- 製作年:2015年
- 上映時間:119分
- ジャンル:アクション、サスペンス、フィルムノワール
- 監督:瀧本智行
- キャスト:生田斗真、浅野忠信、山田涼介、麻生久美子 etc
映画『グラスホッパー』 評価
- 点数:60点/100点
- オススメ度:★★★☆☆
- ストーリー:★★☆☆☆
- キャスト起用:★★★★★
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★☆☆☆
- 設定:★★★☆☆
[miho21]
映画『グラスホッパー』 あらすじネタバレ(起承転結)
映画『グラスホッパー』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『グラスホッパー』 あらすじ【起・承】
中学で理科を教えていた虫も殺せないような男、鈴木。
彼は、薬物中毒者の起こした事件で、婚約者の百合子を失った。
「本当の犯人はフロイラインの寺原親子」という手紙を受け取った鈴木は、怪しげなダイエット商品販売会社「フロイライン」に入社。
街中で偶然話しかけてきた元教え子を名乗る少女が、フロイラインの危険なダイエット商品に引っかかり、社長の息子「ジュニア」のオモチャとして引き渡されることになってしまう。
しかし鈴木の目の前で、ジュニアは「押し屋」という殺し屋に殺害されてしまう。
鈴木は押し屋を尾行するように上司の比与子から命令されるが、家族までいる普通の男が殺し屋だと知って驚く。
一方、自殺屋と呼ばれる殺し屋「鯨」は、その目を見ただけで自殺してしまうという、不思議な能力を持っている。
その日も彼は、完璧と称される仕事をしていた。
その一方で、ナイフ使いの金髪の少年の殺し屋「蝉」と相棒の岩西は、ジュニアを通して寺原会長から、知りずぎた「鯨」殺害の依頼を受ける。
寺原会長の元に謎のタレコミが入り、鈴木が復讐のために押し屋にジュニア殺害を依頼した事になってしまう。
濡れ衣を着せられたことを知った鈴木は、行き場もなくさまよううちに、押し屋に忠告をするべく見つけていた家の前に立っていた。

映画『グラスホッパー』 結末・ラスト(ネタバレ)
押し屋の家で火事騒ぎが起こり、助けた鈴木は一家に気に入られてしまう。
寺原から逃げるようにと押し屋に忠告した鈴木は、自分の命と引き換えに教え子を開放させると、比与子と約束を取り付ける。
岩西と蝉は、依頼してきたジュニアが死んで依頼主の会長が生きているという状況に戸惑い、鯨は自分が殺した人間の幻覚が見えるようになっていた。
やがて岩西は、鯨と争った末に自殺させられてしまう。
岩西の亡霊に、父親から虐待され殺してしまった過去を指摘された鯨は、全てを終わらせるために寺原会長を消そうとする。
蝉は岩西の敵をとるため、鯨の居場所に向かっていた。
鈴木が殺されるという瞬間に寺原会長の前に現れた鯨。
慌てて逃げ出した寺原会長と比与子だったが、鈴木の教え子を装って潜入していた殺し屋に命を奪われる。
鯨と、彼を追ってきた蝉は乱闘になり、最後は2人一緒に命を落とす。
途中で気絶していた鈴木が目覚めると、すべてが終わった後で、逃げるようにその場から去っていった。
その足で押し屋の家に行くが、もぬけの空。
鯨と蝉は亡霊になるが、意気投合して去っていった。
1年後。
押し屋の妻から真相を聞かされる鈴木。
彼らは寺原親子を抹殺すべく寄せ集められた人々で、押し屋一家は家族でもなく、鈴木の教え子と名乗った少女もそのメンバーだった。
すみれと一緒にやってきた少年が、事件の時に百合子に命を救われた子供と知った鈴木は涙を流した。
映画『グラスホッパー』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『グラスホッパー』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
原作とは別物の作品
伊坂幸太郎の小説の世界観を、そのまま映像化した「アヒルと鴨のコインロッカー」などの中村義洋監督の作品とは違い、オリジナルの世界観でキャラクターたちを動かしている本作。
しかし原作の完成度が高いため、原作を読んでから映画本編を見ると拍子抜けしてしまう。
主人公の鈴木が婚約者を亡くし、偶然拾った手紙から怪しい会社「フロイライン」に転職するという無理やり感が否めない始まり方だが、“一般人”の鈴木が裏社会の騒動に巻き込まれていく様子は面白い。
また、最後まで鈴木が中心人物になるのではなく、一歩下がった場所から見ているようなストーリー。
そしてラストでピエロの恰好をしながら、「道化だった」と悟る部分はよくできている。
しかし“蝉”の物語、“鯨”の物語が表面的にしか映し出されておらず、“押し屋”や寺原会長を殺害した鈴木の生徒を名乗る女性に関しては、すみれの口から話されるだけなので、いまいちスッキリせず強引さすら感じる。
別の視点から見たストーリーが、最後にうまくつながるのが面白い伊坂幸太郎の原作なのだが、本作ではそれがまったく機能していないのも残念。
配役がピッタリ
キャスティングが上手く、“押し屋”を演じた吉岡秀隆の影のある演技は秀逸。
“鯨”役の浅野忠信の、自殺したくなるような空っぽな目や表情はさすが。
“蝉”役の山田涼介のアクションには目を引かれるが、切羽詰まった狂気やうるさいセミという印象は薄い。
岩西役の村上淳の飄々とした演技や、比与子役の菜々緒の全力でキレた演技は見ていて清々しい上に、似合っている。
どこまでも普通にこだわった鈴木役の生田斗真は、濃いキャラクターの中だからこそ浮いた演技になっていて、見ものになっている。
伊坂幸太郎作品が好きな方にはおすすめできない作品です。彼の小説の面白いところは、自分が見ていたストーリーは一つの視点から偏った部分を切り取ったもので、別の視点から見るとこう見えてるんだよと教えてくれるようなシナリオだと思います。
映像化された彼の作品は沢山ありますが『ゴールデンスランバー』などでも最後に驚きの展開が待っていて、観客を興奮させてくれました。
しかし、今作はそういった魅力や驚きがありません。原作を読んでいる方にとっては、ものすごく平坦でつまらない作品に感じてしまうのではないでしょうか。(女性 30代)
伊坂幸太郎の原作ファンとして期待していたが、映画版は独特の空気感と重厚な映像美で別の魅力を感じた。特に生田斗真が演じる鈴木の復讐心が、後半に進むにつれて揺らいでいく過程にリアリティがあった。蝉(山田涼介)と鯨(浅野忠信)のキャラが思った以上に存在感を放っていて、裏社会の中の倫理観が見え隠れする展開も見応えがあった。エンタメ要素とシリアスさが絶妙。(30代 男性)
原作未読で観ましたが、まるで小説を読んでいるような台詞回しや静かな演出に惹かれました。特に浅野忠信演じる鯨がとにかく印象的で、死を望む人間の“最期”に寄り添うという、独特の倫理観に引き込まれました。生田斗真の鈴木が復讐の中で「人を殺す覚悟」と向き合う姿にも胸を打たれました。ラストの淡々とした余韻が逆に心に残ります。(40代 女性)
序盤はやや静かで退屈に感じたが、中盤以降から三者三様の物語が交差していく流れが一気に面白くなる。特に蝉が少女と交流する中で見せる心の揺らぎが良かった。裏社会の殺し屋という設定でも、どこか人間らしさを残しているのが伊坂作品らしい。映画全体に漂う静謐さと乾いたユーモアも、好き嫌いは分かれそうだけど自分には刺さった。(20代 男性)
女性目線で言うと、暴力的な描写が多いわりに、どこか詩的で繊細な部分が多く、殺し屋たちの中にある“人間らしさ”が丁寧に描かれていて引き込まれた。特に鯨の語りは印象的で、死をもって人を救うという彼の歪んだ正義感には考えさせられた。物語のテンポはゆったりだけど、その分余韻が深く残る作品だった。(30代 女性)
原作をかなり前に読んでいたが、設定や世界観はほぼそのままで、キャスティングもハマっていた。個人的には山田涼介の蝉がとても良かった。殺し屋なのにピュアで、ラストにかけての心の変化がとても自然だった。映画自体は派手なアクションは控えめだけど、登場人物の心理描写に重きを置いているのが印象的。地味だけど心に残る作品。(50代 男性)
殺し屋たちが主役の映画だけど、実際は生きること、死ぬこと、人を許すことがテーマになっていて、とても深い映画でした。とくに生田斗真さん演じる鈴木が、最初は復讐一筋だったのに、だんだんと殺しの世界に違和感を抱く姿がリアルで共感しました。映像も音楽も雰囲気があって、心に染みる作品でした。(20代 女性)
伊坂作品らしい哲学的なセリフと、シュールな展開が絶妙でした。人を殺すことの意味、命の軽さ重さが、さまざまな登場人物の視点で描かれていて、ただの殺し屋映画じゃない。特に浅野忠信の演技力が素晴らしく、鯨の静かな狂気と悲しさがにじみ出ていました。映像が美しく、シリアスな題材でも品があるところが良い。(40代 男性)
原作小説の構成の巧妙さがそのまま映画に生きているとは言えませんが、映画は映画として独特の空気感があり、充分楽しめました。とくに、鈴木・蝉・鯨の3人が交差していく描写は見ごたえがあり、緊張感が持続します。派手さはないが、どこか現実味のある裏社会の描写がリアルで、むしろ静かな狂気が恐ろしかったです。(50代 女性)
復讐劇かと思いきや、最後には“復讐から降りる”という選択をする鈴木の姿が印象的でした。ただのエンタメではなく、倫理や選択というテーマがちゃんとあって、それを無理なく描いているところが素晴らしい。派手なアクションに頼らない緊張感が全編に漂っていて、観終わったあとにじわじわくる映画でした。(30代 男性)
映画『グラスホッパー』を見た人におすすめの映画5選
マリアビートル
この映画を一言で表すと?
殺し屋たちが東海道新幹線で命の読み合いを繰り広げる、疾走系クライムサスペンス!
どんな話?
新幹線という密室空間で、あるブリーフケースを巡って複数の殺し屋が交錯する。スピード感ある展開の中で、過去や因縁が複雑に絡み合っていき、やがて意外な真実へとたどり着く。『グラスホッパー』の続編にあたる作品。
ここがおすすめ!
『グラスホッパー』に登場した殺し屋「檸檬」と「蜜柑」が主役として登場し、前作の空気を受け継ぎつつも、よりポップでエンタメ色の強い作風に。スリルとユーモアの絶妙なバランスがクセになる快作です。
藁の楯 わらのたて
この映画を一言で表すと?
「命を守る任務」が「命を狙われる恐怖」に変わる逆転サスペンス!
どんな話?
大富豪が殺人犯に懸賞金10億円をかけたことで、日本中から命を狙われる犯人と、それを護送するSPたちの死闘が始まる。極限の状況で、正義と職務の狭間で揺れる警護官たちの葛藤が描かれる。
ここがおすすめ!
倫理観や正義の在り方を問いかける作品で、『グラスホッパー』のような「善悪の境界が曖昧な世界観」が好きな人に刺さるはず。スピーディーな展開と心理戦が続き、手に汗握るサスペンスです。
告白
この映画を一言で表すと?
復讐の連鎖は、静かに、しかし確実に心を壊していく――。
どんな話?
中学校教師が生徒に我が子を殺されたことをきっかけに、独自の“告白”によって静かに復讐を始める。衝撃的な語りと映像で、善悪の境界を揺さぶる心理スリラー。
ここがおすすめ!
『グラスホッパー』と同様、静けさの中に潜む狂気が見どころ。美しい映像と独白調の構成が印象的で、心に深い傷跡を残すような余韻が魅力。登場人物全員の思惑が絡み合う展開は息を呑む緊張感です。
22年目の告白 -私が殺人犯です-
この映画を一言で表すと?
“告白”から始まる、殺人犯と報道と正義のメディアミステリー!
どんな話?
22年前に起きた連続殺人事件の犯人を名乗る男が突然メディアの前に現れ、ベストセラー本を出版して話題に。彼の登場をきっかけに、事件の関係者たちの心が再びかき乱されていく。
ここがおすすめ!
復讐、正義、虚構といったテーマが『グラスホッパー』と通じる本作は、二転三転するストーリーが見どころ。犯人の動機や真相が次第に明らかになる過程で、観る者の予想を何度も裏切ります。
スマグラー おまえの未来を運べ
この映画を一言で表すと?
裏社会を駆け抜ける“死体運び屋”の、命がけの宅配人生!
どんな話?
借金返済のため、裏社会の“死体処理請負人=スマグラー”になった青年が、非合法な世界で様々な危険な依頼に巻き込まれていく。スタイリッシュな映像とアクションで魅せるバイオレンス劇。
ここがおすすめ!
『グラスホッパー』のような裏社会×異色の職業という組み合わせが魅力。テンポの良さ、クセのあるキャラ、暴力の中に垣間見える人間ドラマなど、見どころ満載。邦画クライムアクションの隠れた秀作です。
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