映画『プラットフォーム(2019)』のネタバレ・あらすじ・考察・解説

この記事では、映画『プラットフォーム(2019)』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説し、この映画の疑問や謎をわかりやすく考察・解説しています。

映画『プラットフォーム(2019)』の作品情報

出典：U-NEXT

映画『プラットフォーム(2019)』の登場人物（キャスト）

ゴレン（イバン・マサゲ）

自ら”穴”の中に入った男。

トリマガシ（ソリオン・エギレオル）

ゴレンと最初に同室になった老人。

ミハル（アレクサンドラ・マサンカイ）

“穴”の中で息子を探す女。毎月プラットフォームに乗って下の階へ行く。

イモギリ（アントニア・サン・フアン）

トリマガシの次にゴレンと同室になった女。元”穴”の管理職員。

バハラト（エミリオ・ブアレ）

イモギリの次のゴレンと同室になった男。”穴”からの脱出を目論む。

映画『プラットフォーム(2019)』のネタバレ・あらすじ（起承転結）

映画『プラットフォーム(2019)』のあらすじ【起】

ある日、ゴレンは目を覚ますと”穴”と呼ばれる建物の中の一室にいた。そこは部屋が階層に連なっており、真ん中に四角い穴が空いている場所であった。ゴレンは”穴”を半年間耐え抜いた証明書を貰う目的で、自ら”穴”に入った。同室の老人はトリマガシという男で、人を死なせてしまった結果ここに来たと話した。トリマガシは、ここではひと月ごとに人々の階層が変えられ、上下の部屋での会話は厳禁であり、食事は”プラットフォーム”という部屋の真ん中の穴を通過する台座の上にあるものを食べるのだと説明した。台座には豪勢な食事が用意されているが、一番上の階から順に食べた食べ残しがやってくるため、階層が低ければ低いほど飢えに苦しむのであった。

残飯を食べることに抵抗があったゴレンは食事を拒否するが、空腹に耐えかねてリンゴを一つ台座から取った。しかしゴレンがリンゴを食べずに持っているうちに、室温がどんどん上昇し、食べ物を保存しておくことも死に繋がることがわかった。

映画『プラットフォーム(2019)』のあらすじ【承】

“穴”には一つの物だけ持ち込みが許可されており、ゴレンはドンキホーテの本、トリマガシはナイフを持ち込んでいた。

ある日、”プラットフォーム”に乗ってミハルという女性が降りてきた。ミハルは自分の子供を探していると言うが、ミハルを襲う男がいれば彼女は相手を殺してでも反撃していた。ゴレンは彼女を助けたいと思ったが、自分に出来ることは何もなかった。

一ヶ月後、ゴレンとトリマガシが目を覚ましたのは171階であった。目を覚ましたゴレンは、ベッドに縛り付けられていた。171階来る食料はほとんど残らず飢えを待つだけだと思ったトリマガシは、ゴレンの体を食べようとしていた。トリマガシが死なない程度に切り取ると言いゴレンにナイフを突き刺そうとした瞬間、”プラットフォーム”に乗ってきたミハルが現れ彼を助けた。ゴレンはトリマガシを殺し、ミハルは171階に残って怪我を負ったゴレンを看病した。しかし二人は餓えによる命の危機を感じ、殺したトリマガシを食べることにした。

映画『プラットフォーム(2019)』のあらすじ【転】

再び気を失って目を覚ましたゴレンは33階にいた。同室にはイモギリという女性がおり、彼女は飼い犬を持ち込んでいた。イモギリは自分は元々ここの管理職員であり事情に詳しく、階層は200階まで存在していることを話した。そして与えられる食事は一人一人が適切な量だけを食べることで、最下層まで行き渡ることができると言った。

そこに再び”プラットフォーム”に乗ったミハルが降りてくるが、イモギリはここに16歳以下は入れず、そもそも彼女に子供はいないということをゴレンに教えた。

そして次に目を覚ましたゴレンがいたのは202階であった。イモギリの言う200階よりさらに下の階層が存在したことに絶望したゴレンは、首を吊ったイモギリの死体を見つけた。ゴレンは飢えに苦しみ、持ち込んだ本をちぎって口に入れるが飢えを凌げなかった。ゴレンは生き延びるためにイモギリの死体を食べることにした。

映画『プラットフォーム(2019)』の結末・ラスト（ネタバレ）

次にゴレンが目を覚ますと、そこは6階であり同室はバハラトという男であった。”穴”からの脱出を試みようとするバハラトに、ゴレンは下の階の人々に均等に食事を分け与えようと提案した。了承したバハラトとゴレンは”プラットフォーム”に乗り階下へと進んでいくが、二人を攻撃してでも食事を奪っていく者もいた。その中で出会ったある男が、誰も手をつけていない食事を一品でも一番上に返すことができれば、”穴”の管理者へメッセージとして送ることができると言った。それを聞いたゴレンはパンナコッタを一品隠し持った。

ゴレンは途中の階で重傷を負ったミハルに出会うが、彼女は死んでしまった。
そしてゴレンは最下層である333階に着いた。そこは暗闇が続く何もない空間であった。途中で致命傷を負ったバハラトは死んでしまった。333階には一人の子供がいた。お腹を空かせていた子供にゴレンはパンナコッタを与えた。ゴレンはそこで、子供を一番上の階まで戻すことが真のメッセージになるという幻覚を見た。ゴレンは”プラットフォーム”に子供を乗せると上に行かせ、ただ一人最下層に残ることを決意した。

映画『プラットフォーム(2019)』の考察・解説（ネタバレ）

映画『プラットフォーム(2019)』に出てくるパンナコッタの意味とは？

映画『プラットフォーム』に登場するパンナコッタは、物語全体を通して重要な象徴的役割を担っています。それは、ゴレンたちが上層階の管理者に向けて送ろうとする「メッセージ」として選ばれたデザートなのです。この映画では、縦穴の中を上から下へと食べ物が運ばれるプラットフォームという構造が描かれており、下層階に行くほど食べ物が残らず、そこにいる人々は飢えに苦しんでいます。

パンナコッタが重要視されているのは、それが無傷のまま上層階に戻されることで、プラットフォームの仕組みを変えることができるのではないかと期待されているからです。パンナコッタは、食べ物が公平に分配されていないシステムへの抗議であり、同時に人々が一致団結すれば秩序を取り戻せるかもしれないという希望の象徴でもあるのです。ゴレンたちは、傷一つないパンナコッタが上に戻ることで、上層の管理者たちが現状に気づき、何らかの行動を起こしてくれることを願っていました。

しかし、物語の中でパンナコッタに髪の毛が入っていたことが示唆され、完璧なメッセージとして送ることができなくなってしまった可能性が残されています。結局のところ、パンナコッタは理想的なメッセージとはならず、物語は「あの子」を新たなメッセージとして選ぶ方向へと進んでいくのです。

映画『プラットフォーム(2019)』は何が言いたい映画だったのか?

『プラットフォーム』は、社会的・経済的格差や不平等に対する鋭い批判を込めた映画です。物語の舞台となっているのは、食料が上から下へと配給される「垂直型の刑務所」です。上層階に住む者は豊富な食べ物を手にする一方、下層階に行くほど食べ物は残らず、人々は飢えに苦しめられるという設定になっています。この構造は、現実の社会における富の偏在や格差の問題を象徴的に表現しているのです。

映画が訴えかけているテーマの一つは、「分かち合い」の大切さです。上層の人々が必要以上に食べ物を取らなければ、下層の人々にも行き渡るはずなのですが、利己的な行動や欲望がこの秩序を乱してしまいます。登場人物の中には、他者と助け合おうとする者もいれば、自分の生存だけを優先する者もいます。この対比は、社会における人間性や道徳観の問題を浮き彫りにしているのです。

さらに、『プラットフォーム』は「システム」の非人道性に対する批判も込められています。人々を強制的に閉じ込め、食べ物を巡って争わせるようなプラットフォームのシステムそのものが、現代社会の不合理な仕組みや抑圧的な構造を表しており、誰かが変革に立ち上がらない限り、この状況は改善されないことを示唆しているのです。

映画『プラットフォーム(2019)』でパンナコッタに髪の毛が入っていたシーンの意味とは？

『プラットフォーム』の中で、パンナコッタに髪の毛が入っていたシーンは、登場人物たちのメッセージや計画の不完全さ、障害を象徴しています。ゴレンたちは、無傷のパンナコッタを上層に送り返すことで、管理者たちに「私たちは食べ物を分け合うことができた」というメッセージを伝えようとしていました。しかし、パンナコッタに髪の毛が入っていたことで、そのメッセージが完璧ではなくなってしまったのです。

髪の毛が入っていたことは、システムが完全に機能していないこと、そして人間が何らかの過ちを犯したことを象徴しています。ゴレンたちが懸命に用意したメッセージですら、思惑通りにはいかないという現実が描かれており、理想的な社会や秩序を実現することの難しさを物語っているのです。

また、髪の毛の存在によって、パンナコッタが「完璧なメッセージ」として成立しなかったことが強調されています。このことは、映画全体を通して描かれる人間の不完全さや限界を象徴しており、いかに努力しても予期せぬ出来事によって計画が頓挫してしまう可能性があることを示唆しているのです。

映画『プラットフォーム(2019)』に出てくる気持ち悪いシーンとは？

『プラットフォーム』には、観る者に不快感を与える「気持ち悪い」シーンが数多く登場します。それらのシーンの多くは、登場人物たちが食べ物や生存を巡って極端な行動に走る場面と関連しています。特に印象的なのは、上層階の人々が豪勢な食事を貪り食う一方で、下層階では食べ物が全く残らず、飢えに苦しむ人々が異常な行動に走るシーンです。

中でも非常に衝撃的なのは、登場人物たちが極度の飢餓から共食いに手を染めるシーンです。彼らは生き残るために他の囚人を殺害し、その肉を食べるという非常事態に追い込まれるのです。また、血まみれの死体や、僅かに残った食べ物を必死に奪い合う人々の姿も、強い不快感を引き起こします。

さらに、プラットフォームに載せられて運ばれる食事のテーブル自体も、気持ち悪さを演出する要素となっています。最初は美しい料理で溢れているテーブルも、下層に行くにつれて荒れ果て、汚れや虫が湧くような不衛生な状態へと変貌を遂げます。この変化は視覚的にも強烈なインパクトを与え、観客に不快感を植え付けるのです。

これらのシーンは、映画が扱うテーマである格差や人間の本性、極限状態での生存を印象付けるために、あえて視覚的に強烈な表現を用いているのです。

映画『プラットフォーム(2019)』のミハルについて考察

ミハルは『プラットフォーム』の中で非常に重要な役割を担うキャラクターであり、同時に物語の謎めいた存在でもあります。彼女はプラットフォームの中を上下に移動しながら、自分の子供を探し続けているとされています。他の囚人たちとは異なり、システムに従うことなく自由に行動するミハルの存在は、観客にとっても不可解で不気味な印象を与えます。

ミハルの行動は、物語全体の象徴的な意味を持っています。彼女はシステムの中を自由に動き回りながら、子供を探していると主張していますが、その子供が実在するかどうかは定かではありません。「子供を探す」という彼女の目的そのものが、プラットフォームというシステムの中で希望や目標を持ち続けることの象徴として解釈できるのです。

ミハルがどのようにしてシステムから抜け出し、自由に移動できているのかは明らかにされていませんが、他の登場人物にとっても謎に包まれた存在であり、特にゴレンに大きな影響を与えます。彼女の絶え間ない行動は、システムの中で「目的」を持ち続ける人間の象徴とも捉えることができるでしょう。

最終的に、ミハルの運命は悲劇的な結末を迎えますが、彼女の存在は物語にとって欠かせない要素となっています。彼女が本当に子供を探していたのか、それとも精神的な崩壊の表れだったのかは定かではありませんが、希望を求めてプラットフォームを彷徨い続けたミハルは、映画のテーマである「希望と絶望」の対比を体現しているキャラクターなのです。

映画『プラットフォーム(2019)』が意味不明と言われるのはなぜか？

『プラットフォーム』が「意味不明」と評される理由は、物語全体がシンボリズムや抽象的なメタファーに満ちているからです。この映画は明確な説明を提示するのではなく、観客に様々な解釈の余地を残すスタイルで進行します。そのため、ストーリーの背後に潜む深遠なテーマやメッセージが、一見すると理解し難いと感じられることがあるのです。

例えば、プラットフォームという垂直の構造は社会的な階層や格差を象徴していますが、上層階の人々が豊かさを享受し、下層階の人々が飢餓に苦しむという設定は、現代社会の不平等を反映しています。しかし、このメタファーについて直接的な説明がなされないため、物語の進行中にその意図を読み取ることができなければ、映画全体が難解に感じられるかもしれません。

また、登場人物たちの行動や動機も、しばしば謎に包まれています。彼らの中には明確な背景や理由が提示されず、観客にとって行動の意味が曖昧なままのキャラクターもいます。特にミハルのようにシステムを無視して行動するキャラクターや、ラストシーンでの「メッセージ」としての子供の登場など、物語の結末の解釈が観客の理解に委ねられている部分が多いのです。

このように、映画が多くの抽象的なテーマや象徴を扱っているがゆえに、解釈が困難な作品として評価されることがあるのです。

映画『プラットフォーム(2019)』の最後「あのこが伝言だ」の意味とは？

映画『プラットフォーム』の最後で、「あのこが伝言だ」という言葉が登場します。ここでの「あのこ」とは、物語の終盤でゴレンとバハラットが発見した少女のことを指しています。当初、彼らは食べ物を無傷で上層に届けることを目標としていましたが、最終的にはこの少女こそが管理者たちに伝えるべき本当の「メッセージ」だと悟るのです。

少女の存在は、プラットフォームのシステムの中では本来あり得ないものです。子供の存在自体がシステムの規則に反しているため、彼女が上層に送り返されること自体が異常事態であり、システムの欠陥や非人道性を訴える強力なメッセージになり得るという考えなのです。

「あのこが伝言だ」という言葉には、システム全体が破綻していること、そして食料の分配の不平等さが支配層に認識されるべき現実であることを突きつける象徴としての少女の存在意義が込められています。この少女を目にしたとき、上層階の人々が現実を直視し、システムを変革する可能性があるという希望が示されているのです。

映画『プラットフォーム(2019)』の「明らかだ」おじさんとは？

『プラットフォーム』に登場する「明らかだ」という言葉を頻繁に口にするおじさんは、物語の序盤でゴレンと同室になるトリマガシという人物です。彼は非常に風変わりな性格で、プラットフォームの中で生き抜くために自分なりのルールを持っています。「明らかだ」という言葉は、トリマガシが自分の理論や信念に基づいて結論を導き出し、それを他人に押し付ける姿勢を表しているのです。

トリマガシは、プラットフォームの非情な現実を受け入れている人物で、自分本位で生存のためなら手段を選ばないタイプです。彼はプラットフォームのシステムそのものを批判するのではなく、それを所与の現実として捉え、自分が生き延びるために全力を尽くしています。そのため、ゴレンが道義的な選択をしようとする際にも、「明らかだ」と言って自分の考えが正しいと主張するのです。

トリマガシの口癖である「明らかだ」という言葉は、物語の中で描かれるシステムや社会の冷酷な本質を暗示しています。トリマガシ自身は、そのシステムの一部として疑問を持たずに行動し、生き残ることを最優先にしている人物なのです。彼の言動は、過酷な環境の中で人間性が失われていく様子を象徴しているとも言えるでしょう。

映画『プラットフォーム(2019)』でゴレンは死んだのか？

映画の結末では、ゴレンの最期が明示的に描かれていませんが、物語の流れを踏まえると、彼が死亡したと解釈するのが自然でしょう。ゴレンはバハラットとともにプラットフォームの最下層まで降りていき、そこで一人の少女を発見します。しかし、その時点でゴレンは肉体的にも精神的にも限界に達しており、最後の力を振り絞って少女をプラットフォームに乗せ、上層へと送り出すのです。

物語の最後のシーンで、ゴレンは少女を上に送り出した後、自分は下層に残ることを選択します。彼が少女と一緒に上層に戻らなかったのは、自分の役目を全うしたと感じたからだと考えられます。また、ゴレンが過去に犯した罪や、プラットフォームの中で経験した出来事によって精神的に変化し、自己犠牲的な行動を取る覚悟を決めたとも解釈できるでしょう。

ゴレンのその後の運命は描かれていませんが、物語全体の雰囲気や彼の衰弱した様子を考え合わせると、下層で息絶えた可能性が高いと言えます。ゴレンの死は、非情なシステムに立ち向かい、希望を守り続けた人間の最期の犠牲を象徴しているのかもしれません。彼の最期は、悲劇的ではありますが、同時に尊厳に満ちた行為でもあったのです。

映画『プラットフォーム(2019)』に出てくる認定証とは？

映画の冒頭で、ゴレンがプラットフォームに入る際に、「認定証」を得るために自ら参加を決めたことが明かされます。この認定証は、社会で重要とされる資格や証明書のようなもので、ゴレンはそれを手に入れるためにプラットフォームでの過酷な生活に挑むことを選んだのです。

認定証は、現実社会における教育や就職の資格を象徴するものであり、それを得るためには厳しい試練を乗り越えなければならないという社会的なプレッシャーを表しています。ゴレンは認定証を取得することで、より良い人生を手にできると期待していましたが、結果的にはプラットフォームの非人道的な現実に直面することになります。

この認定証は、現代社会における成功や評価を得るための過度な競争や試練を反映したものと言えます。ゴレンはそれに挑戦することを選びましたが、物語の中で彼が辿るのは、物質的な成功ではなく、精神的な成長や人間としての倫理的な選択の道でした。認定証は、ゴレンの人生を大きく変える転機となった重要な要素なのです。

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2023.01.20