映画『TENET テネット』のネタバレ・あらすじ・考察・解説

この記事では、映画『TENET テネット』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説し、この映画の疑問や謎をわかりやすく考察・解説しています。

映画『TENET テネット』の作品情報

出典：U-NEXT

映画『TENET テネット』の登場人物（キャスト）

名も無き男（ジョン・デヴィッド・ワシントン）

ウクライナ警察の特殊部隊に紛れ、CIAの特殊任務に参加。それは謎の組織TENETの適性試験であり、そのまま組織の任務に参加する。

ニール（ロバート・パティンソン）

名も無き男に協力する男。名も無き男と初めて会った時から、彼の嗜好などを知っていた。

キャサリン”キャット”・バートン（エリザベス・テビッキ）

ロンドンで絵画の鑑定師をしているセイタ―の妻。彼から暴力的支配を受けているが、息子を人質同然にされ逃げ出せないでいる。

アンドレイ・セイター（ケネス・ブラナー）

在英ロシア人の大富豪であり、裏の顔は武器商人。未来人に協力し、世界の滅亡を目論む。

プリヤ（サンジェイ・シン）

サンジェイ・シンの妻で、夫の組織の実権を握っている。TENETの構成員の一人。

アイブス（アーロン・テイラー・ジョンソン）

プリヤ直属の実働部隊の隊長。

映画『TENET テネット』のネタバレ・あらすじ（起承転結）

映画『TENET テネット』のあらすじ【起】

ウクライナ・キーウのオペラハウスがテロリスト集団に襲撃される。それはプルトニウム241を奪取したCIAスパイを暗殺するための偽装工作であった。彼を救出するため、アメリカ人と呼ばれる通称“名も無き男”は、対テロ部隊に紛れ込み、オペラハウスに突入。スパイの救出に成功するが、直後何者かに捕らわれてしまう。拷問を受けた名も無き男は、一切自供をせず自殺を図るためカプセルを飲み込む。

名も無き男が目を覚ますと、そこは見慣れぬ船上だった。彼はフェイという男から、毒薬と思って飲んだカプセルは睡眠薬であり先の作戦は適性試験であったことを明かされる。名も無き男は第三次世界大戦を防ぐための組織“TENET”にスカウトされる。

船の施設内で彼は、オペラハウスでも見た、壁に撃ち込まれた弾丸が銃口へと戻っていく不可思議な現象を目の当たりにする。それは未来からもたらされた、「時間を逆行する」特殊な弾丸であると教えられる。そして、これを過去へと送り込んだ未来人こそ、第三次世界大戦を引き起こそうと企む組織の敵であった。

映画『TENET テネット』のあらすじ【承】

弾丸を調べた結果、インドの武器商人サンジェイへと辿り着いた名も無き男。ムンバイへ行き、組織の男ニールと合流する。ニールと名も無き男はサンジェイの住むビルへと忍び込む。サンジェイを問い詰めると、彼は単なる表の顔にすぎず、妻プリヤこそが裏で武器取引を取り仕切る黒幕であった。

プリヤからロシア人武器商人アンドレイ・セイタ―が未来人と関与していると聞かされた名も無き男は、彼の妻キャットに接触する。キャットの協力を得るため、夫に弱みを握られた彼女を救うことを決める。彼女は夫にゴヤの贋作を売りつけ、それをネタに脅迫されていた。

名も無き男はニールと共に、絵画を処分するためオスロ空港の保管庫へと侵入する。処分に成功した2人は、保管庫で回転ドアのような奇妙な装置を発見する。突然2人の男が飛び出してくる。名も無き男はその内の1人と揉み合いになるが、男の奇妙な動きに翻弄される。ニールはもう一方の逃げる男を追って行った。

その後、プルトニウム241が警察によってタリンに移送されることを知った、名も無き男とニール。ハイウェイで待ち伏せをし、プルトニウム241が入ったトランクの強奪に成功する。しかし、未来から逆行する車に乗ってきたセイタ―は、キャットを捕らえており、彼女の命とトランクの交換を要求する。

映画『TENET テネット』のあらすじ【転】

トランクに入っていたのは、アルゴリズムと呼ばれる装置で、全てのパーツを集めると全世界の時間が逆行、世界を崩壊させるものであった。

セイタ―により銃撃を受けたキャットの命を救うため、名も無き男は応援部隊のアイブスの協力のもと、逆行世界へと入る。名も無き男は、先ほどのハイウェイでセイタ―とのカーチェイスの末、車が横転し、火を放たれてしまう。

救出された名も無き男は、ニールと共にキャットを連れて、順行世界へと戻るため、回転ドアが有ったオスロ空港へと向かう。オスロ空港で名も無き男は、かつての自分と対峙する。以前、保管庫で戦った男は自分自身だったのだ。

セイタ―の目的は、アルゴリズムを起動させ、全人類を末期癌である自身の道連れとすることだった。アルゴリズムは彼の命と連動しており、彼が死んだ瞬間起爆スイッチが入る仕組みとなっていた。

アルゴリズムの起動を阻止するため、セイタ―のアジトであるスタルスク12での作戦を開始する。それはアイブス率いる順行の赤チームと、ホイーラー率いる逆行の青チームが敵を挟み撃ちにする“挟撃作戦”であった。名も無き男は赤チーム、ニールは青チームでそれぞれ作戦に参加する。

映画『TENET テネット』の結末・ラスト（ネタバレ）

キャットはセイタ―暗殺のためヨットへと向かう。スタルスク12での作戦完了の合図をまで、セイタ―の機嫌を取る。

スタルスク12では、アイブスと名も無き男が、激しい銃撃戦の中、アルゴリズムが保管されている施設へと辿り着く。しかし、装置まであと少しの所で施錠された鉄格子に阻まれてしまう。向こう側では、セイタ―の部下ボルコフがアルゴリズムを埋めようとしていた。なんとか阻止しようとする名も無き男に対し、銃を向けるボルコフ。すると、彼の足元にあった兵士の死体が逆行になり立ち上がる。名も無き男の身代わりの形で銃弾を受け、扉を開錠し、去って行った。名も無き男はその機を逃さずアルゴリズムの奪取に成功する。

一方、合図を待ちかねたキャットはセイタ―を銃撃。彼を海へと突き落とし、自身も海へと飛び込み逃亡する。

無事アルゴリズムを回収した名も無き男にニールは、自身の雇い主が実は未来の彼であったことを明かす。次の任務のため去って行くニールのバッグパックには、かつてオペラハウスで名も無き男を救った男、ボルコフの銃弾を受けた男と同じストラップが付いていた。

アルゴリズムについて知りすぎたキャットを殺害するため、プリヤとその手下は彼女を待ち伏せていた。そこへ名も無き男が現れ二人を殺害。キャットとその息子の姿を見守っていた。

映画『TENET テネット』の考察・解説（ネタバレ）

映画『TENET テネット』は、なぜ「難しい」と言われているのか？

『TENET テネット』が「難しい」と評される理由は、時間の逆行というコンセプトを扱っているためです。一般的な映画では、物語は過去から未来へと進みますが、『TENET』では、通常の時間の流れと、未来から過去に戻る「逆行」の時間が並行して存在しています。登場人物たちがこれらの時間軸を行き来しながら行動するため、観客にとって何が起きているのか理解するのが難しくなるのです。

さらに、映画の中では物理法則も通常とは異なります。逆行する人々は呼吸や動作も逆になり、一般的な感覚では理解しづらいシーンが多く登場します。例えば、逆行する時間の中で銃弾が「撃たれる」のではなく「戻る」描写や、逆行する自分と通常の時間の自分が同時に存在するシーンなど、複雑な映像表現が数多く使われています。

加えて、登場人物たちが時間に関する複雑な理論や戦略について議論を交わすため、これも観客の混乱を招く要因となっています。ストーリーの展開やキャラクターの行動が理解しづらいため、映画全体が難解だと感じられるのです。

映画『TENET テネット』のプリヤは、なぜ殺されたのか？

プリヤは、映画の終盤で主人公（プロタゴニスト）の手によって命を落とします。彼女は「テネット」という組織のメンバーであり、時間を逆行させる技術を使って未来から現在に情報をもたらし、未来の人類が現在の世界を破壊しようとする計画を阻止しようとしていました。しかし、彼女の行動は常に自分たちの利益を優先するものであり、主人公の信念や目的とは完全には一致していませんでした。

物語の終盤、主人公は未来の計画を阻止することに成功しますが、その後、プリヤがキャットという女性を殺害しようとしていることを知ります。プリヤは、計画の詳細を知っているキャットを生かしておくことで、未来に危険が及ぶことを懸念していたのです。

しかし、主人公はプリヤの行動が正義にかなったものとは言えないと判断し、キャットを守るためにプリヤを射殺します。プリヤは組織のルールと未来のために行動していましたが、主人公は個人の意志と正義感に基づいて彼女を止める道を選んだのです。これは、主人公が最後に「テネット」の真のリーダーとして、自分の信じる正義を貫いた瞬間でもあります。

映画『TENET テネット』の内容は「わからない」けど「面白い」のか？

『TENET テネット』は、「わからない」と感じても「面白い」と評される理由は、革新的な映像表現やスリリングなアクションシーン、そして独特のストーリー展開にあります。時間を逆行させるというアイデアは非常に複雑で理解が難しいものの、これを実際に映画の中で視覚的に表現することで、観客に驚きと新鮮な体験を提供しているのです。

本作には、時間が逆転する車のカーチェイスや戦闘シーンなど、通常のアクション映画では見られない場面が多数登場し、視覚的な面白さを感じることができます。また、謎が徐々に解き明かされていく構成や、過去と未来が絡み合うストーリー展開も、観客の興味を引き付けます。

さらに、クリストファー・ノーラン監督特有の緻密なストーリーテリングと視覚的な演出が巧みに組み合わされており、全てを理解できなくても、その世界観や演出の美しさに引き込まれる観客も多いのです。こうした要素が、内容が難解であっても「面白い」と感じさせる理由となっています。

映画『TENET テネット』に出てくるセイタ―は、どんな人物であるのか？

セイタ―は、『TENET テネット』の主要な敵役であり、ロシア出身の大富豪です。彼は未来からの指示を受け、現在の世界を破壊するために行動しています。セイタ―は、自分が死ぬと同時に世界を滅ぼす「アルゴリズム」と呼ばれる装置を使って、人類を絶滅させようと企んでいるのです。

セイタ―は幼少期にソビエト連邦が崩壊した時期に育ち、放射能汚染の影響で苦しみながらも、強い意志と野心によって成り上がってきました。彼は冷酷で自己中心的な性格の持ち主であり、自分の利益のためなら他人を容赦なく犠牲にします。特に妻のキャットに対しては、支配的で暴力的な態度を取り、彼女を思うままに操ろうとします。

セイタ―は、未来の人々から時間を逆行させる技術の提供を受け、自分の寿命が尽きるときに世界を終わらせることを計画しています。これは、彼が自分の死とともに全てが終わるという絶望感と、現代の人類に対する憎悪に起因しています。彼の行動は、極端な絶望と支配欲に突き動かされており、物語の中で最も危険で恐ろしい存在として描かれています。

映画『TENET テネット』の終盤でニールが死んだシーンの解説

映画の終盤、ニールは「テンポラル・ピンチ」と呼ばれる作戦の最中に命を落とします。主人公と仲間たちは、セイタ―が世界を滅ぼす「アルゴリズム」を起動させるのを阻止するため、時間が逆行するチームと順行するチームに分かれて戦いを繰り広げます。作戦の中で、ある地点に閉じ込められた主人公と仲間を救出するため、ニールは時間を逆行して行動するのです。

ニールは、主人公たちが閉じ込められている扉を開けるために、鍵を使いますが、その直後に時間を逆行してきたセイタ―の部下に撃たれてしまいます。ニールがいなければ主人公たちは命を落としていたため、彼は自分の命を犠牲にして仲間を助ける決断をしたのです。

物語の最後で、主人公はニールが彼の未来の友人であり、今まで彼を助けてくれていたことを理解します。ニールは未来の主人公からの指示を受け、彼を救うために幾度となく行動していたのです。ニールの自己犠牲は、彼が仲間や未来を守るためにすべてを捧げたことを示しており、彼の死は物語の中で非常に重要な意味を持っています。

映画『TENET テネット』は、なぜ「意味不明」と言われているのか？

『TENET テネット』が「意味不明」と評される理由は、物語が時間の逆行という複雑なコンセプトを扱っているからです。映画の中では、時間が通常通りに進む「順行」と、逆に進む「逆行」が同時に存在し、登場人物たちはこの二つの時間軸を行き来しながら行動します。そのため、どのシーンが過去で、どのシーンが未来なのか非常に分かりにくくなっているのです。

また、映画では「逆行」がどのように機能するのか、詳細な説明があまりなされないため、観客はその仕組みを理解するのが難しいです。逆行する世界では、呼吸や動きが通常とは逆になるため、視覚的にも混乱を招く要素が多く存在します。

さらに、登場人物たちの会話には専門用語や抽象的な表現が多く使われ、観客が話の内容を把握するのが難しくなります。物語の進行が速く、情報量が多いため、一度見ただけでは理解しにくい部分が多いのです。こうした要素が組み合わさり、「意味不明」と感じる人が多い理由となっています。

映画『TENET テネット』で死んだはずのセイタ―がなぜ生きているのか？

『TENET テネット』では、セイタ―は物語の途中で主人公によって倒されたように見えますが、逆行技術を利用することで再び登場します。時間を逆行すると、通常の時間の流れとは逆に動くことができるため、セイタ―が一度死んだ場所や時間から、時間を逆行して過去に戻ることが可能になるのです。

例えば、彼が一度死亡した後、時間を逆行することで、その死の瞬間の前に戻ることができるため、まるで生き返ったかのように見えます。これは、映画の中で何度も描かれる「時間の逆行」の仕組みを利用したものであり、時間が逆行している状態では、未来に起こる出来事を過去にいる人物が知ることもできるため、セイタ―はその知識を使って自分の目的を果たそうとしているのです。

セイタ―は、時間を逆行することで自分の行動を修正しながら、計画を進めていたため、彼が何度も登場するように見えます。つまり、彼が一度死んだとしても、別の時間軸から逆行して戻ってくることで、再び物語に関与することができるのです。これが、彼が生きているように見える理由なのです。

映画『TENET テネット』で世界を滅ぼそうとするセイタ―の真の目的とは？

セイタ―の真の目的は、自分の死とともに世界を滅ぼすことです。彼は致命的な病に冒されており、余命が限られているため、自分が死ぬときに全てを終わらせたいと考えています。セイタ―は「アルゴリズム」という装置を使って、現在の世界を破壊し、未来からの指示に従って行動しているのです。

未来の人々は、過去の人類が環境を破壊したことで、自分たちの世界が危機に瀕していると考えており、過去の人類を滅ぼすことで自分たちの未来を救おうとしています。セイタ―はその計画に協力し、自分が死ぬと同時に世界を終わらせることで、未来の人々の目的を果たそうとしているのです。

また、セイタ―自身、生きる意味を見失っており、自分の死とともに全てを終わらせるという極端な思想に取りつかれています。彼は自分を「神」のように見なし、全ての人々の運命を握っていると感じています。この自己中心的な考えが、彼を世界を滅ぼそうとする行動に駆り立てているのです。

映画『TENET テネット』がなぜ「つまらない」と言われているのか？

『TENET テネット』が「つまらない」と評される理由は、その複雑なストーリーと難解な設定にあります。この映画は、時間が逆行するという非常にユニークなコンセプトを扱っていますが、これが観客にとって理解しにくく、物語の全体像を把握するのが困難なのです。そのため、キャラクターの行動や動機が分かりづらく、感情移入しにくいという意見が出ています。

また、映画の展開が非常に速く、情報量が多いため、観客がついていくのが大変だと感じられます。登場人物たちの会話にも専門用語が多く、理解しにくい部分があります。さらに、アクションシーンは多く登場しますが、その中での動きや行動の意味を理解するのが難しいため、視覚的な楽しさを十分に感じられない場合もあるのです。

こうした理由から、観客によっては「つまらない」と感じることがあります。全てを理解するには、複数回の視聴や深い考察が必要であり、そうした要素を楽しめない人にとっては、この映画が面白くないものとなってしまうのです。

映画『TENET テネット』のタイトルの意味とは？

『TENET テネット』というタイトルには、複数の意味が含まれています。第一に、「TENET」という単語は英語で「信条」や「信念」を表し、映画の中で主人公が従うべき原理原則や、彼が守ろうとする世界の法則を象徴しています。主人公は「テネット」という組織のメンバーとして行動し、その信念に基づいてミッションを遂行するのです。

また、「TENET」はパリンドローム、つまり前から読んでも後ろから読んでも同じ綴りになる言葉です。これは映画のテーマである「時間の逆行」を表現しており、時間が逆方向に流れても同じ結果に到達するという意味を持っています。このタイトルは、物語の中で順行と逆行が交錯する複雑な時間の流れを象徴しているのです。

さらに、映画の中で「TENET」は重要な合言葉としても使われており、これを知っている者だけが特別な組織にアクセスできるという設定になっています。タイトルそのものが映画のテーマや構造を体現しており、観客に物語の核心を示唆しているのです。

このように、『TENET テネット』というタイトルは、単なる言葉遊びではなく、映画のコンセプトや世界観を巧みに表現する重要な要素となっています。観客はタイトルから、この作品が時間や因果律といった概念に挑戦する野心的な物語であることを察することができるのです。

映画『TENET テネット』はどこで見れる？フルで無料視聴する方法は？

映画『TENET テネット』を見逃した人やもう一度見たい人のために、以下の記事では映画『TENET テネット』のフルを無料視聴できる動画配信サービスと方法について紹介しています。

ぜひ、以下の記事もご覧いただき、映画『TENET テネット』をフル視聴してみてはいかがでしょうか。

映画『TENET テネット』を無料視聴できる動画配信サービスと方法

映画『TENET テネット』を無料視聴できる動画配信サービスと方法を分かりやすく紹介しています。

mihocinema.com

2024.09.09