この記事では、映画『スノータウン』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『スノータウン』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『スノータウン』の作品情報
出典:https://video.unext.jp/title/SID0071541
製作年 | 2011年 |
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上映時間 | 120分 |
ジャンル | ドラマ サスペンス |
監督 | ジャスティン・カーゼル |
キャスト | ルーカス・ピッタウェイ ダニエル・ヘンシュオール ルイーズ・ハリス |
製作国 | オーストラリア |
映画『スノータウン』の登場人物(キャスト)
- ジョン・バンディング(ダニエル・ヘンシャル)
- 小児性愛者と同性愛者を嫌悪する男性。
- ジェームズ・”ジェイミー”・ヴラサキス(ルーカス・ピタウェイ)
- 貧しい家庭で暮らす16歳の少年。
- ロバート・ワグナー(アーロン・ヴィアゲヴァー)
- ジェイミーの近所に住むバリーの恋人。ゲイの男性。
- バリー(リチャード・グリーン)
- ジェイミーの近所に住むゲイの男性。女性の格好をしている。
- エリザベス・ハーヴェイ(ルイーズ・ハリス)
- ジェームズの母親。
- ギャビン(ボブ・アドリアエンス)
- 麻薬中毒者の男性。ジョンの友人。
- デイブ(ボー・ゴズリング)
- ジェイミーの異母兄弟。
映画『スノータウン』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『スノータウン』のあらすじ【起】
オーストラリア南部、アデレード郊外。16歳のジェイミーは貧困で複雑な家庭に育ち、どん底の生活が当たり前の日常だと思っていた。ジェイミーの母親・エリザベスはシングルマザーで仕事をせず、弟は精神的な障害を持っており兄・トロイはジェイミーに暴力を振るうだけでなく彼をレイプすることもあった。さらには幼い赤ん坊も抱えていた。
母親は隣に住む太った男と付き合っていた。男は小児性愛者でありエリザベスに隠れてジェイミーや他の子供達に性的虐待をして、子供達の裸の写真を撮っていた。
しかし、ある日男の行動を知ったジェイミーの近所に住む同性愛者の女装家・バリーがエリザベスに真相を伝えたことで、男の犯行が明るみに出た。エリザベスは混乱するが、警察に連絡することを躊躇っていた。そこでバリーはジョンという男をエリザベスに紹介した。
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映画『スノータウン』のあらすじ【承】
ジョンは明るくて気さくな男で、隣人と別れたエリザベスはすぐにジョンと付き合い始めた。ジョンは同性愛者と小児性愛者を異常なほど憎んでいた。そのためジェイミー達に性的虐待をした隣人の男に嫌がらせを始めた。初めは男の家の窓ガラスにいたずら書きをしたり、ソフトクリームをぶつけたりする程度であったが内容は次第にエスカレートした。
ジョンは男の家の前でバイクのエンジン音を延々に聞かせ、ついにはカンガルーを殺して遺体をバラバラにすると男の家の庭に投げ込んだ。ジョンによる嫌がらせによって男は引っ越し町を出て行った。
その頃からジェイミーや子供達、エリザベスはジョンをヒーローとして尊敬するようになり、ジョンはいつの間にかジェイミーの家で父親のような役割を担うようになっていた。
その後、ジョンはバリーから近隣の地域に住む同性愛者達の名前と住所を聞き出すと、詳細をメモに記録していた。
映画『スノータウン』のあらすじ【転】
ある日、兄のトロイにジェイミーがレイプされていることを知ったジョンは、ジェイミーに立ち向かう力を持てといって銃を持たせると飼い犬のシェパードを撃つように命じた。ジェイミーは躊躇うが、ジョンの言う通りシェパードを撃ち殺した。ジェイミーはジョンの持つカリスマ性に惹かれ、精神的に支配されている状態になりつつあった。唯一トロイだけはジョンのことを嫌っている様子であった。
その頃にはジョンが同性愛者を嫌っていることにジェイミーやエリザベスまでもが感化されていた。ジョンがロバートを自分の味方に引き込んだ結果、バリーとそのボーイフレンドであったロバートを引き離した。そのことでバリーは傷つき、すぐに町から出ていってしまった。
ジョンは悪い奴を葬るという目的を掲げると、ジェイミーをその仲間として引き入れた。
ジェイミーの知り合いに麻薬中毒者のギャビンという男がいた。ギャビンはジェイミーに麻薬を教えるなど危険なことを吹き込んでいたが、ジェイミーに優しくしてくれて面倒を見てくれる数少ない存在であった。ジェイミーはジョンとともに彼のもとを訪ねたが、ジョンはギャビンを嫌っており彼を殺すことにした。
映画『スノータウン』の結末・ラスト(ネタバレ)
ある日の夜、ジョンはロバートとともにジェイミーを自宅の庭にある小屋に連れていった。そこにはバリーとギャビンの遺体があった。恐怖とギャビンを失ったことで泣きながらジョンを責めたジェイミーであったが、ジョンの「俺がいる」という言葉によって丸め込まれてしまった。
次にジョンとロバートは、トロイを殺害することを決意し、彼を浴室で拷問した。そしてジョンはジェイミーにトロイがレイプしたことを思い出させることでジェイミーをコントロールし、トロイを殺させてしまった。この頃にはジェイミーはジョンに精神的に完全に支配されており、その後も殺人の手伝いをすることになった。
その後、ジョンの命令でジェイミーは異母兄弟のデイブを廃屋になった銀行の建物内に誘い出した。ジェイミーはジョンの行動を予測して、自らデイブの部屋のドアを閉めたのであった。
1999年スノータウンの銀行の金庫で8人の遺体が発見された。翌日ジョンとロバートは逮捕されることになった。
映画『スノータウン』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
この作品はフィクションではないという事実が、観終わった後にずしりと響く。貧困と無関心、暴力が渦巻くコミュニティの中で、ジェイミーがジョンに支配され、加害者に変わっていく過程があまりにリアルで恐ろしい。映像は意図的に暗く、暴力描写も過度ではないが、だからこそ逆に心に刺さる。実話ベースの社会派サスペンスとして非常に優れている。(20代 男性)
観ていて何度も心が苦しくなった。少年ジェイミーの視点で物語が進むため、観客も知らず知らずのうちにジョンの価値観に引きずられていく。終盤、完全に感覚が麻痺したジェイミーが犯行に加わるシーンでは、もう手遅れだと感じた。オーストラリアの暗部を鋭く描いた作品であり、非常にショッキングだが忘れがたい映画。(30代 女性)
演出が静かで淡々としているぶん、暴力の不条理さが際立っていた。音楽も最小限で、登場人物の感情がひたひたと伝わってくる。ジェイミーがどうしてああなってしまったのか、責める気にはなれず、環境と人間関係の恐ろしさを突きつけられた。社会から見捨てられた人間の末路をここまでリアルに描いた作品は稀有。(40代 男性)
母親として、ジェイミーの無力感と孤独には胸が痛んだ。家族を守るために一線を越えたジョンを、最初は頼れる存在として見ていたのだろう。しかしその正義感が狂気へと転じた瞬間、ジェイミーの世界は閉ざされた。親の立場で見ると、もっと早く気づいてあげられたらと悔やまずにはいられない。(50代 女性)
10代の私にとってはとても衝撃的だったけど、それと同時に“人間は簡単に変わってしまう”という現実を学んだ。暴力に慣れてしまう感覚、相手を支配することの快楽、それに呑まれていく怖さがずっと残った。怖いけれど観てよかったと思える映画。簡単におすすめはできないけど、強く印象に残る。(10代 女性)
リアルすぎる描写と静かな演出で、じわじわと恐怖が広がるタイプの映画。血の描写よりも精神的な支配と洗脳がメインなので、サイコサスペンスとしての完成度が高い。特に、ジェイミーが初めて殺人に加担するシーンの演出は秀逸で、恐怖よりも哀しさを感じた。後味は最悪だが、それがこの映画の凄さだと思う。(30代 男性)
正直、観るのが辛かった。それでも最後まで観てしまったのは、演出の力と役者の演技が圧倒的だったから。特にジョン役の俳優は不気味で、恐怖を感じさせる存在感が凄かった。物語としては救いがなく重苦しいが、社会の底辺で起きた実話だからこそ目を背けてはいけないと思わせられた。(40代 女性)
ホラーよりもずっと怖い作品。人が人を支配し、正義という名のもとに殺人を繰り返す。ジェイミーのような若者がなぜ犯罪に巻き込まれていくのか、その答えがこの映画にある気がする。観終わったあと、しばらく無言になってしまった。決してエンタメではないが、観る価値のある一本。(50代 男性)
映像の質感がドキュメンタリーのようで、現実味がありすぎて怖かった。音楽の使い方も控えめで、逆にその静寂が不安を煽る。ジョンが「正義」を語る場面はすべて狂気に満ちていて、理屈ではなく暴力が支配する社会の怖さを感じた。耐性がない人にはきついけど、映画としての完成度は非常に高い。(20代 女性)
『スノータウン』は、単なる犯罪映画ではなく、社会の機能不全と個人の崩壊を描いた恐ろしい記録だった。実際の事件を基にしているからこそ、観ていて感じる重さが違う。ジェイミーの視点に寄り添うカメラワークも秀逸で、観客も無力感を味わわされる。後を引く映画体験だった。(60代 男性)
映画『スノータウン』を見た人におすすめの映画5選
ヘンリー ある連続殺人鬼の記録
この映画を一言で表すと?
静けさの中に狂気が潜む、実録風サイコホラーの金字塔。
どんな話?
実在の連続殺人犯ヘンリー・リー・ルーカスをモデルに、彼の冷淡な日常と、殺人を重ねる様子を淡々と描く。暴力や殺人の恐怖だけでなく、その背景にある無感情さや人間の狂気に焦点を当てている。
ここがおすすめ!
グロテスクな描写に頼らず、精神的に追い詰める演出が特徴。『スノータウン』と同じく実話ベースで、人間の恐ろしさを淡々と映す作風は圧倒的なリアリティを持つ。後味の悪さすらも作品の魅力として残る一作。
プリズナーズ
この映画を一言で表すと?
家族を救うための“正義”が、やがて狂気に変わる重厚なサスペンス。
どんな話?
娘を誘拐された父親が、法を超えて独自に捜査を始める。一方、警察の捜査も並行して進み、事件の深い闇が徐々に明らかに。どちらが正義かを問う、重く複雑な物語。
ここがおすすめ!
ヒュー・ジャックマンとジェイク・ギレンホールの熱演、そして陰鬱な映像美が物語を支える。『スノータウン』と同じく、人間の限界と暴力の境界を鋭く描く。観終わったあとに何度も考えたくなる深い作品。
マザー(2009年 韓国映画)
この映画を一言で表すと?
母親の愛が暴走するとき、真実が歪む—魂に突き刺さるサスペンス。
どんな話?
知的障がいを持つ息子が殺人事件の容疑者となり、無実を信じる母親が独自に真相を追い始める。だが、真実を知ったとき、母は想像を超える行動に出る。
ここがおすすめ!
親子愛というテーマを軸に、人間の倫理と狂気を描く名作。社会的弱者や貧困層が背景にあり、『スノータウン』と共通する社会派的側面も強い。ポン・ジュノ監督の緻密な演出が光る傑作。
ミスティック・リバー
この映画を一言で表すと?
過去に縛られた男たちが、悲劇の連鎖に飲み込まれていく哀しきクライムドラマ。
どんな話?
幼いころに誘拐された経験を持つ男が、成長後に娘を殺されたことから、事件の真相と向き合うことになる。少年時代の傷が、現在の悲劇へと繋がっていく構成が秀逸。
ここがおすすめ!
ショーン・ペン、ティム・ロビンスら名優による重厚な演技が圧巻。過去と現在が交錯する物語構造は、『スノータウン』と同じく「罪と無垢」の問題を問いかける。哀愁を帯びたラストは観る者を深く打つ。
イレイザーヘッド
この映画を一言で表すと?
不安と絶望を具現化した、悪夢のような実験的カルトホラー。
どんな話?
異形の赤ん坊を育てることになった男が、現実と幻想の境界を彷徨いながら精神を崩壊させていく。セリフは少なく、視覚と音で不快感と不安を徹底的に演出した前衛映画。
ここがおすすめ!
『スノータウン』同様、言葉では説明しきれない「感覚的な恐怖」が強烈。観る者に不安を植えつける空気感が圧倒的で、暴力や支配の暗喩も含まれている。異質ながら、通底するテーマに共鳴する人は多いはず。
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