この記事では、映画『JUNK HEAD』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『JUNK HEAD』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『JUNK HEAD』の作品情報
出典:https://video.unext.jp/title/SID0066858
製作年 | 2017年 |
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上映時間 | 100分 |
ジャンル | アニメ SF アドベンチャー |
監督 | 堀貴秀 |
キャスト | 堀貴秀 三宅敦子 杉山雄治 |
製作国 | 日本 |
映画『JUNK HEAD』の登場人物(キャスト)
- パートン(堀貴秀)
- 元々はバーチャルのダンス講師を生業としていたが、人口減少のため仕事がなくなり、地下世界の調査員に応募する。
- 3バカ兄弟(堀貴秀)
- アレクサンドル・フランシス・ジュリアンの3人。一見頼りないようだが、実は「地獄の三鬼神」と呼ばれる凄腕の地下生物ハンター。
- ニコ(三宅敦子)
- 赤いコートを羽織り、フードを深くかぶった少女型のマリガン。顔の上半分が硬質化している。
- ホクロ(堀貴秀)
- ニコと行動を共にする大型のマリガン。両手の指が触手のようになってる。
- ドクター・ルーチー(堀貴秀)
- 通称「博士」。パートンに身体を与える。
映画『JUNK HEAD』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『JUNK HEAD』のあらすじ【起】
遺伝子操作によって不老不死となった人類は、代償として生殖能力を失った。人類は地下開発の労働力として人工生命体マリガンを生み出す。しかし、マリガンは反乱を起こし地下世界に住み着いてしまう。
1600年後。新型ウィルスの蔓延により存亡の危機に陥った人類は、生殖能力を取り戻すためマリガンの生態調査を開始する。調査員として雇われたパートンは、ポッドに乗り込み地下世界へと向かう。
パートンが乗り込んだポッドを目撃した地下世界の警備員パンスマンは、ロケットランチャーでポッドを撃墜。パートンはバラバラになり、頭部のみ地下へと落下していく。
パートンの頭部を拾った、アレクサンドル、フランシス、ジュリアンの通称「3バカ兄弟」は、ルーチー博士の元へと持って行く。博士はそれを見て「我々の創造主。ある意味で神」だと語る。博士はパートンに機械の身体を与えた。意識を取り戻したパートンだが、彼には記憶がなかった。
しばらく地下で過ごすことになったパートン。3バカ兄弟とガラクタ集めに出掛けた彼は、デスワームに飲み込まれてしまう。しかし、パートンの身体が機械だったため吐き出される。
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映画『JUNK HEAD』のあらすじ【承】
パートンは吐き出された衝撃で記憶を取り戻すが、自らが機械の身体になっていることに気付きパニック状態に。3バカ兄弟は彼を博士の元へと連れ帰る。途中で野生動物「トロちゃん」を見かけたパートンは、自身の目的を思い出す。彼は地下に出発する前、トロちゃんの写真を見せられていたのだ。
パートンは、博士の元から逃げ出し、トロちゃんを探しに行く。しかし、トロちゃんを追い掛けるうち、デスワームの巣窟に迷い込む。デスワームに身体を食いちぎられたパートンは、頭部のみとなり、更なる地下へと落下する。
パートンの頭部は、バルブ村の技師に拾われ、ガラクタで組み立てた身体を得る。しかし、パートンは再び記憶を失い、しかも新しい身体には発声機能がなかった。
村で雑用をして過ごしていたパートン。ある日、彼は高級食材のクノコを買ってくるよう命じられる。
映画『JUNK HEAD』のあらすじ【転】
無事クノコを買ったパートン。帰りのエレベーターで、口の上手い詐欺師に騙されクノコを巻き上げられる。その直後、詐欺師は潜んでいたデスワームに食べられたので、パートンはクノコを取り戻し、その場から逃げ出す。
パートンがバルブ村に帰る途中、彼が落とした1本のクノコをホクロという大きなマリガンが拾い、子どもマリガンのニコに分け与える。ホクロとニコはパートンの後を付いて行く。村に帰ったパートンは、職長にクノコを渡すが、鮮度が落ちたクノコにはカビが生えてしまっていた。
その頃、獣の侵入を防ぐ電気柵が壊れたためトリムテが村に侵入。警備員2人が食べられる。
ニコは、村の子ども達にいじめられていた。彼女はマリガンを生み出す生命の樹になる母体「ヨーグル」だった。そのため周囲とは異なる風貌をしていたのが原因だった。そんなニコをパートンは、身を挺して守る。
映画『JUNK HEAD』の結末・ラスト(ネタバレ)
村人の前に現れたトリムテは次々と彼らを襲う。そこへ3バカ兄弟が現れる。彼らはパートンの頭部を元のロボットの身体に付け替え、パートンは記憶を取り戻す。
任務を思い出したパートンに村人達が言うには、かつての都市「カープバール」には、生命の樹があるということだった。
パートンは3バカ兄弟と共に、トリムテ退治へと向かう。彼らの後をホクロとニコがつけて来る。3バカ兄弟は、2人に帰るよう告げるが、ホクロがトリムテに襲われる。銃が効かないことを悟った3バカ兄弟は、身体に注射を打ち、急激に筋肉を増強させてパワーアップする。3バカ兄弟は善戦するもそのうち、アレクサンドルが負傷。残りの2人もパートンを助けるために崩落する天井の下敷きとなり、死んでしまう。
なおも生きていたトリムテにパートンは投げ飛ばされ、鉄骨に串刺となる。さらにアレクサンドルを襲おうとするトリムテを見たパートンは、自らの胴体を引きちぎり脱出。トリムテの頭部に鉄パイプを突きさして殺す。
パートンは、博士のところへ帰ると言うアレクサンドルに別れを告げ、ニコとホクロと共に先へと進む。
映画『JUNK HEAD』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
暗く狭い地下世界に潜入し、“新しい人類”と遭遇する終始不気味な展開に圧倒されました。主人公が掘った穴の先で見つけた“進化”と“崩壊”の果てしない螺旋には底なしの衝撃があり、過酷な世界の造形美にも引き込まれました。エンドロール後の希望の光が一瞬差し込む場面では、不思議な安堵感と余韻が残りました。(20代 男性)
徹底したストップモーションで作り込まれた世界観に、職人の執念を感じました。地下に棲む生物たちが“共食い”しながら生き延びる描写は、進化の残酷さと恐怖を突きつけます。主人公の主観で見せる奇怪な景色は、生物学的テクスチャとSF的暗喩の混ざり合いが見事。ラストの“手の共有”が次の展開を想像させ、心に引っかかります。(30代 女性)
洞窟奥深くで音もなく蠢く生体構造が、人体か昆虫かもわからない不気味さ。主人公が“奇妙な生命体”と交信しようとするシーンでは、その無力さと好奇心がせめぎ合うのが見て取れて、観客も手探りで状況を探す感覚になります。最後の光のシーンが象徴的で、観終わった後もずっと考えてしまう作品でした。(40代 男性)
小規模ながらスケールの大きさを感じる作品で、低予算を感じさせない密度の高さに驚きました。地下で“親指兵士”と名付けられる小さな存在に出会った瞬間、SFの枠を超えた寓話性が立ち上がります。構築したセットのリアルさとクリーチャーデザインには脱帽。最後に主人公が手を差し出す場面には、救いとも違う、何か根源的な意思を感じました。(50代 男性)
「人類が地下へ堕ちたら」という問いに、こんなにも重厚に答えを出したSF作品は珍しい。人の手の爪が分裂したようなクリーチャーの造形美、そしてその住処をゆっくり探索していく演出が、この映画の訴える“孤独と求め”を際立たせています。エンド近くで現れる光景に、不思議と救済と絶望が共存していました。(20代 女性)
まるでホラーと哲学が融合した見応えあるSF。地下深くに広がる人類の残骸と、新たな生命が蠢く景色は圧巻で、生命の儚さと執着を痛感しました。特に主人公が“幼い手形”を見つけた瞬間に胸がぎゅっと締めつけられ、何者にも代えがたい感慨が襲います。最後のやわらかな光に、言葉にはできない余韻が漂いました。(30代 女性)
圧倒的な“手作り感”が、逆にリアルな恐怖と生命感を醸し出す。背景も人型も小道具も全てが模型で、その微細な動きがリアルで、生き物のように感じられるからこそ恐怖も増します。最後に主人公が地上を目指したのか、それとも深淵へ落ちたのか分からない曖昧なラストが、心にずっと残ります。(40代 女性)
詞的なSFホラーとでも呼びたくなる異色作。ストーリーよりも“雰囲気”と“手の造形”で語る映画で、静かに、しかし確実に心を抉る力があります。主人公が光を見つけて手を伸ばす場面は、絶望の中でも希望を渇望する人間の象徴。その曖昧さが、この映画に美しさと狂気を共存させています。(50代 男性)
謎めいた寓話としても読み取れるこの作品は、一見無機的な地下空間で、人間の“根源的な欲望と孤独”を描いています。奇怪な住人に手を差し向ける主人公に、かつての自分を重ねてしまう人も多いはず。低予算ながら緻密なセットと粘土表現が世界観を完璧に完成させており、頭から離れない作品です。(20代 男性)
言葉では語れない“何か”を感じさせてくれる一本。正体不明の生き物が這い回る地下環境は、生理的恐怖と知的好奇心の両方を刺激する。主人公が触手のようなものに巻き込まれる演出はゾクっときて、幻想的な静寂と視覚的な異様さのバランスが絶妙。ラストの曖昧さが、観る人に問いかけ続けてくる映画です。(30代 女性)
映画『JUNK HEAD』を見た人におすすめの映画5選
コララインとボタンの魔女
この映画を一言で表すと?
可愛くて怖い、ストップモーションの極北を体験できる異世界ダークファンタジー。
どんな話?
少女コララインが引っ越し先で見つけた小さな扉。その先には“ボタンの目”の別世界が広がっていた。理想に思えた世界は次第に狂気に変わり、コララインは元の世界を取り戻すために戦うことになる。
ここがおすすめ!
『JUNK HEAD』のような緻密な手作業による映像美と、不穏で夢幻的な世界観が魅力。ファンタジーとホラーの境界を揺れ動く物語は、子供向けに見えて実は非常に奥深い。映像・音楽・ストーリーが三位一体の傑作です。
シティ・オブ・ロスト・チルドレン
この映画を一言で表すと?
夢を奪う男と、記憶を失った世界の迷宮で繰り広げられる怪奇ファンタジー。
どんな話?
夢を奪い、子供を誘拐する老人クランク。強靭な体を持つ主人公ワンと、孤児の少女ミエットが、消えた弟を探す中でこの奇妙な世界の核心に迫っていく。
ここがおすすめ!
独創的な美術と空気感が『JUNK HEAD』と通じる。機械仕掛けの世界、奇妙な住人たち、そして切ない人間ドラマの融合が見事。映像表現と世界観に没入したい人におすすめ。
アニメーション映画『ベルヴィル・ランデブー』
この映画を一言で表すと?
セリフ少なめ、表情と動きで語る不思議でコミカルなサイレント的アニメ。
どんな話?
自転車好きの孫がレース中に誘拐され、祖母が音楽好きの三人姉妹とともに大都市ベルヴィルで彼を救いに向かう、奇妙な冒険ロードムービー。
ここがおすすめ!
セリフよりも動きや雰囲気で物語を進めていく演出が『JUNK HEAD』と非常に似ている。ユーモアと風刺、そして温かい人間ドラマが織りなす唯一無二の世界観に惹き込まれます。
デリカテッセン
この映画を一言で表すと?
ポストアポカリプスの世界で繰り広げられる、ユーモアと狂気のカニバリズム劇。
どんな話?
食糧難の世界で、食人を隠して生きる集合住宅の住人たちと、その中に住みつく元サーカス団員。彼の優しさと純粋さが、閉鎖的な世界を少しずつ変えていく。
ここがおすすめ!
『JUNK HEAD』同様に、退廃的な未来をユーモアとアイロニーで描く作品。視覚的にも非常に美しく、ジャン=ピエール・ジュネ監督の世界観に浸れる独特な一作です。
マッドゴッド
この映画を一言で表すと?
悪夢のような地獄世界を延々と彷徨う、圧倒的なストップモーション・トリップ。
どんな話?
廃墟と化したディストピアを、ガスマスク姿の兵士が無言で旅をする。言語はなく、ただ圧倒的な映像美とグロテスクなビジュアルで語られる、破滅と輪廻の寓話。
ここがおすすめ!
『JUNK HEAD』が好きな方には絶対に刺さる1本。手作りの緻密な映像と、説明のない世界観が、観る者の解釈に委ねられる構造。ストップモーション・アニメの極北ともいえる存在です。
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