映画『ダンテズ・ピーク』の概要:SFX、VFXを駆使して本物さながらに描かれた火山の災害パニック映画。かつて仕事中に婚約者を亡くした地質学者のハリーと被害地となる町の町長であるレイチェルと、その家族との絆を深めながら描かれる脱出劇である。
映画『ダンテズ・ピーク』 作品情報
- 製作年:1997年
- 上映時間:109分
- ジャンル:アクション
- 監督:ロジャー・ドナルドソン
- キャスト:ピアース・ブロスナン、リンダ・ハミルトン、ジェイミー・レネー・スミス、ジェレミー・フォリイ etc
映画『ダンテズ・ピーク』 評価
- 点数:70点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★☆☆
- キャスト起用:★★★☆☆
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★☆☆
- 設定:★★★☆☆
[miho21]
映画『ダンテズ・ピーク』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『ダンテズ・ピーク』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『ダンテズ・ピーク』 あらすじ【起・承】
かつて火山活動の観測中に婚約者を亡くしたUSGS(全米地質学調査団)のハリー・ダルトン(ピアース・ブロスナン)は以来独り身を通していた。
ある日、上司から奇妙な記録が観測されたと連絡を受けダンテズ・ピークに向う。
「ダンテズ・ピーク」は「人口20000人以下で、全米で最も住みやすい街2位」に選ばれ、お祭りムードにわいていた。
その地でハリーは子供2人を育て、町長として働いているレイチェル・ワンダ(リンダ・ハミルトン)と出会う。
レイチェルの夫は母親と妻子供2人を捨て蒸発したのだ。
町を調査し、火山の噴火が近いと確信した彼は避難要請をするも噴火がさしせまっていると断定できる証拠や意見は認められず、やむなく撤収をする事となる。
撤収前夜、レイチェルが蛇口をひねると茶褐色の液体が出てくる。
火山から異常な兆候と判断したハリー達は町民を集めて緊急説明会を開く事になる。
しかし、ハリーが危険性を説明しようとした際に、大きな地震が起き、山からは噴煙が上がり噴火がはじまってしまう。
映画『ダンテズ・ピーク』 結末・ラスト(ネタバレ)
説明会に集まった町民はパニックを起こし、逃げ惑う事となる。
ハリーとレイチェルもレイチェルの子供2人を助けに家にと戻るが、まさかの子供達の運転で山中にある祖母を助けに行った後だった。
急いで後を追いかけたハリー達は無事ルースの家にたどり着き、逃げないと言い張るルースを説得する。
しかしすぐに溶岩が襲い始め、ハリー達はボートで湖上へと逃げる事になる。
火山の影響で酸性化した湖でじわじわ溶けていくボート。
あと少しで岸に着くと言う所で沈み始めるボート。
自責の念で身体が溶けるのもいとわず湖に入りボートを押すルース。
その行為で命を落とし、残された2人は悲しみを振り切りながら街まで戻る。
しかし既に住人も州兵もいなくなっており、助けを知らせる発信機を積み街から出ようとするハリー。
その時に一気に大爆発が起こり、火砕流が森や建物を飲み込み流しながらハリー達の車へと迫ってくる。
火の手から間一髪で廃坑へと逃れたが、瓦礫に埋まってしまう。
逃げる際に積んだ発信機を動かそうとするハリーだが、瓦礫が崩れて車内で動けなくなってしまうが最後、無事救出される姿があった。
映画『ダンテズ・ピーク』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『ダンテズ・ピーク』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
自分ならどういう逃げ方をするか自問自答する脱出劇
この映画の一番の見所はやはり、火山活動の恐ろしさ。
自然の火山の驚異さえわかれば良いと言える作品でもある。
いつどこで起こってもおかしくない災害、あなたはそれに備えられますか?を意識して見ると退屈しない。
パニックアクション映画は数多くあるが、大事な存在と持つ事を少し恐れる男が、恋愛感情・家族愛を通して危機を脱していく流れが丁寧である。
本物さながらの溶岩や噴煙は、もしも自分が直面したらと言う恐怖感がわく演出っぷり。
1997年の映画だが、SFXとVFX技術が、大げさでもなくちょうど良いさじ加減の自然なリアルさを醸し出している。
自分の住んでいるこの大地の、どこでいついかなる時に起こっても不思議ではない火山の驚異と言う物を見ると、平和ボケして懐疑的な町民と五十歩百歩の自分に気付くであろう。
被害がいきなり始まるのでなく、じわじわ兆候が生じ、敏感な者だけがその恐怖に気付いていくカウントダウンの様な怖さも見所。
災害と逃亡シーンがメインだが、人間関係も絡み合っているので、淡々とした感じはしない。適度に緊張感を持って見ている事が出来る。
被害状況の大きさに比例して深まっていく絆
婚約者を亡くしたハリーの心の傷が、レイチェルや子供達との中で薄れていき、親しい者との距離感が縮まっていくのがこの映画の中の癒しと教訓。
自分や母、子供を捨てて蒸発してしまった夫に対してのレイチェルの思いもハリーのおかげで少し和らいでいくのが良い。
ただ、二児の母親と言えど、素の状態でイヤミのない色気をかもしだすリンダ・ハミルトンに対し、婚約者を亡くしたトラウマを抱えたと言う設定のピアース・ブロスナンはもう少し枯れた男性として演じた方が見ている側の共感は得られたかもしれない。
やはり007出演の際のハンサムガイのイメージが払拭できない感じも受けたので、
枯れている度合いが深いほど、火山の様に猛々しく躍起になっていく姿が映えたと思う。
地震や火山の噴火など、自分たちの意思ではどうしようも出来ない自然災害が起きた時、私はどんな行動をするだろうかと考えさせられた作品です。
家族を助けたい、力になりたいという気持ちはもちろんありますが私のように運転が苦手で、走るのも遅くて、力も無い人間は誰かに手を差し伸べている場合ではないのかなと思いました。
危機感をしっかりと持って、一人一人が自分の身を守るための行動をすることが生き残るための第1歩かなと感じました。(女性 30代)
映画『ダンテズ・ピーク』 まとめ
リアリティに溢れていてなかなかの良作だが、日本では劇場未公開だった作品。
地震の被害など災害に見舞われやすい日本は見ておいたほうが良いと言える作品だ。
時折挟まれる地質学者としての見解もなるほどと思える。
溶岩や噴煙があまりにリアルなので、まるで本当に災害から逃げている様かのようで感情移入がしやすい。
切羽詰った状況の中で、被害状況と比例していかにハリーが家族や親しい者と関わっていく勇気が芽生えていくかを見守るのが醍醐味かもしれない。
最後まで息が抜けない緊張感のある作品。火山活動がどんな物で、どんな現象をもたらすのかを知るのにわかりやすい。
時折描かれる、火山灰の被害者や被害状況は少し目を背けたくなる痛々しさがあるので、家族で見る時は小さい子には注意が必要。
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