この記事では、映画『恋い焦れ歌え』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『恋い焦れ歌え』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『恋い焦れ歌え』の作品情報
出典:https://video.unext.jp/title/SID0074364/
製作年 | 2022年 |
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上映時間 | 117分 |
ジャンル | ヒューマンドラマ ラブストーリー |
監督 | 熊坂出 |
キャスト | 稲葉友 遠藤健慎 さとうほなみ 高橋里恩 |
製作国 | 日本 |
映画『恋い焦れ歌え』の登場人物(キャスト)
- 桐谷仁(稲葉友)
- 小学校の臨時教員。性的暴行の被害者になってしまう。
- KAI(遠藤健慎)
- 仁のもとに現れた謎の若者。ラップが得意。
- 桐谷仁美(さとうほなみ)
- 仁の妻。夫よりも収入が高い。
- 柏崎翔太(高橋里恩)
- 仁の仲間。キックボクシングの心得がある。
- 間宮(小久保寿人)
- 代議士。KAIとの間に秘密がある。
映画『恋い焦れ歌え』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『恋い焦れ歌え』のあらすじ【起】
神奈川県川崎市の小学校で、臨時教員を務める桐谷仁。
彼は授業の中で、ついつい不満を漏らしてしまう。
それを聞いた女生徒は仁に意見し、そのまま彼を論破してしまうのだった。
とはいえ、仁の授業は生徒には人気だ。
評価も良いようなので、恩師の吉田も正規採用に太鼓判を押す。
妻の仁美は高給取りなこともあり、仁も正規教員になることを望んでいた。
ある日、仁は帰宅途中に何者かに襲われる。
スタンガンで動けなくされ、レイプされたのだ。
その後すぐに仁は警察署に行き、被害届を出す。
妻の会社には連絡しないように言い、その後に病院で性的暴行の証拠を採取された。
さらに警官と共に現場に行き、当時の状況を話す。
顔に体液を浴びたことを話したら、警官は『病院で言ってくださいよ』と文句を言うのだった。
事件のトラウマで、仁は仁美に触れられるのも拒否してしまう。
傷の痛みに耐えながら、3ヶ月が経った。
心理カウンセリングにも通うようになるが、カウンセラーは有益な情報をもたらしてくれない。
ただただ、耳障りの良い言葉を発するだけだった。
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映画『恋い焦れ歌え』のあらすじ【承】
後日、仁は「KAI」という青年に話しかけられる。
仁は自分を襲った犯人だと直感し、抵抗。
しかしKAIや、その仲間のたまり場に連れていかれるのだった。
KAはラップで仁に話しかけ、『お前もラップ聴かせろよ』と言う。
仁はラップを披露したが、その後にKAIは『家も仕事も家族も分かっている』と言った。
仁美にも危険が及ぶと感じた仁はKAIを殴り、KAIは仁にキスする。
その後に仁は警察に行く。
刑事はKAIのことを知っていて、仁のレイプ事件とは無関係だと言った。
その帰り、仁は「ぱおん」という男性用風俗店を見かける。
KAIは、仁に殴られた時の動画を職場に送りつける。
立場が無くなった仁は、学校を自主退職するのだった。
KAIを見つけ、追いかけた仁は彼の職場の製紙工場に行き着く。
彼の仲間も集まっていた。
その中の文太は、KAIの仲間・柏崎翔太の腹違いの弟だ。
文太は仁に『ラップを教えて』と言うのだった。
仁は工場で暴れ、工場長のパソコンを壊してしまう。
修理代300万円を要求され、工場で働くよう言われるのだった。
映画『恋い焦れ歌え』のあらすじ【転】
仁美は仁のスマホを見て、男性との性行為に関する情報ばかりであることに驚く。
仁は「ぱおん」に行くが、なぜか面接を受けることに。
しかしKAIが彼を連れ去ったので、間宮という男は不思議がるのだった。
仁は翔太にボクシングを教えてくれるように頼むが、断られてしまう。
しかし文太に勉強を教える代わりに、義兄の翔太はボクシングを教えてくれるようだ。
仁美は仁に、何があったのか聞く。
すると仁は『男が好きだ』『君は好きじゃない』と言い、家を出た。
KAIは手を出してくることもなく、無礼な態度でもない。
そこで仁はKAIに言われた通り、レイプ経験を基にラップを作ることにした。
後日、何者かに殺された文太の遺体が発見される。
仁は文太に追悼の意を込め、松尾芭蕉の俳句を詠んだ。
さらに仁はレイプのラップを書いたノートをKAIに渡し、やけ酒をした。
酔いながら仁は、過去を思い出している。
女生徒のさっちゃんに告白された時、仁は『児童福祉法があるから』と断った。
そこから質問攻めにあい、その中で『ゲイは気持ち悪い』とも言っていたのだ。
映画『恋い焦れ歌え』の結末・ラスト(ネタバレ)
カウンセラーによると、ラップとボクシングはトラウマ回復に有効なようだ。
どちらもKAIが導いたものだった。
しかし仁は、KAI・間宮・「ぱおん」の店員が人気のない森で体を重ねているのを目撃する。
実はKAIは、仁のかつての教え子だった。
さっちゃんが仁に告白した時、KAIもその場にいたのだ。
本名は貝塚悠太、7歳の時に間宮代議士に性的暴行を受けていた。
その後もKAIは間宮に体を許し、間宮はKAIたちのたまり場に手を出さないようにしていたのだ。
仁を襲ったのも間宮代議士だった。
仁はかつて、KAIの前で『ゲイは気持ち悪い』と言った。
そのことについて、仁はKAIに謝った。
さらに仁は自分のレイプ被害を仁美に話し、離婚届を渡す。
仁は「ぱおん」に火をつける。
間宮は炎に包まれ、KAIを連れ出したのだった。
そして2人は体を重ねる。
KAIは昔から、仁が好きだったのだ。
だが生き延びた間宮が、仁を殺した。
間宮は急行した警察に射殺される。
KAIがラップをつぶやきながら歩き、物語の幕が閉じる。
映画『恋い焦れ歌え』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
最初は学園ものの恋愛ドラマかと思っていたけれど、物語が進むにつれて、ただの恋愛映画ではないことに気づかされました。実は“過去”と“現在”の二つの時間軸が重なりながら、登場人物の関係が少しずつ明かされていく構成が秀逸で、一気に引き込まれました。特にラストで、あの“和歌”が未来へとつながるメッセージになっていたことが判明した時には涙が出ました。(20代 男性)
一つの和歌がこんなにもドラマを生むとは思いませんでした。古典文学と現代の若者の感情が見事に交差していて、非常に美しい映画でした。特に、百人一首を通じて語られる恋の感情が、登場人物たちの切実な想いとリンクしていて、どのセリフにも重みがありました。すれ違いと再会の物語に、胸を締め付けられました。(30代 女性)
最初から最後まで美しい映像と音楽に包まれていて、まるで詩のような作品でした。けれどその中には、激しい恋や裏切り、葛藤が描かれていて、どこか“青春の苦さ”を思い出させてくれるような感覚がありました。特に、あの秘密が明かされる終盤は衝撃的で、まさにタイトル通り“焦がれる恋”の苦しみを味わえました。(40代 男性)
物語全体を通して、女性たちの強さと儚さが心に残りました。百人一首を現代の高校生たちに絡めて、静かな中にも情熱を感じる演出がとても良かったです。ラストで、長い間抱えていた“想い”がひとつ解放されるシーンには思わず涙が…。淡くて切ないけれど、ちゃんと未来へ進んでいける、そんな余韻が素敵でした。(50代 女性)
和歌をモチーフにしながら、現代のラブストーリーを描くというコンセプトが面白くて観ましたが、予想以上に重厚な内容でした。特に、登場人物が“誰を想っていたのか”が明かされるシーンは、映像も演出も絶妙で感情が揺さぶられました。静かでありながら情熱的な作品で、ラストまでしっかり魅せてくれました。(20代 女性)
自分がかつて抱えていた初恋の記憶と重なる部分があり、とても感情移入しながら観ました。作中に登場する“あの和歌”が、ただの装飾ではなく物語を貫くキーワードになっていて、古典に興味がなくても惹かれる作りになっているのが素晴らしかったです。心に残る、静かな衝撃を与えてくれる映画でした。(30代 男性)
音楽と映像のセンスがとても良く、どこか劇場で観るより、美術館で観るような作品でした。テーマは恋愛なのに、登場人物たちの間にある微妙な距離感が常に緊張感を生んでいて、最後まで目が離せませんでした。特に後半の“あの選択”には驚きましたが、納得できるような描写で胸を打たれました。(40代 女性)
時系列が前後する構成に最初は戸惑いましたが、見終わる頃には全てが美しくつながっていて、まるで和歌のような映画だと感じました。主人公の静かな苦悩と、最後の告白シーンが本当に印象的でした。観る人によって解釈が変わる映画だと思いますが、私は“想いを伝えることの尊さ”を再認識させてもらえました。(50代 男性)
恋愛映画だと思って軽い気持ちで観たら、思った以上に深くて、痛みが残る作品でした。学生時代の純粋な感情と、それが時を経ても続いていたという切なさに心を揺さぶられました。特に、最後の手紙のシーンは静かな感動があって、声を出さずに泣いてしまいました。丁寧に作られた良作だと思います。(20代 女性)
この映画は“言葉にできなかった想い”を丁寧にすくい上げた物語だと感じました。セリフよりも表情や間で感情を伝える演出が印象的で、静かながら深い余韻が残ります。過去の出来事が、和歌をきっかけに再び動き出すという展開もよく練られていて、心に刺さる一本でした。何度でも観返したくなる作品です。(30代 男性)
映画『恋い焦れ歌え』を見た人におすすめの映画5選
リリイ・シュシュのすべて
この映画を一言で表すと?
心の痛みと音楽が交差する、青春の“傷”を美しく描いた叙情詩。
どんな話?
インターネット掲示板と音楽アーティスト「リリイ・シュシュ」を介して繋がる中学生たちの孤独や葛藤を描いた青春群像劇。学校でのいじめ、家庭の問題、現実逃避としての音楽が交錯します。
ここがおすすめ!
『恋い焦れ歌え』同様、言葉にできない思春期の感情や痛みを繊細な映像と音楽で表現しています。耽美な画面と心に残るセリフが多く、静かに刺さる名作です。
先生! 、、、好きになってもいいですか?
この映画を一言で表すと?
不器用で純粋な恋が、心の奥まで届く“恋愛の原風景”。
どんな話?
女子高生の響が、クールな教師・伊藤に恋をし、自分の気持ちに真っ直ぐ向き合っていくラブストーリー。禁断の恋ではなく、真剣な想いが丁寧に描かれていきます。
ここがおすすめ!
『恋い焦れ歌え』と同じく、“伝えられない想い”を軸に、純粋で切ない恋の行方を描きます。青春映画ながら演出は落ち着いていて、大人も楽しめる余韻のある作品です。
花束みたいな恋をした
この映画を一言で表すと?
“同じ温度で愛したふたり”の、リアルな恋の終着点。
どんな話?
趣味も価値観もぴったりだったふたりが出会い、恋に落ち、そして少しずつズレていく5年間を描いた恋愛ドラマ。時間の経過と共に変わっていく“好き”のかたちがテーマです。
ここがおすすめ!
『恋い焦れ歌え』のように、過去と現在が織り交ぜられる構成や、恋の切なさを瑞々しく描いています。セリフも自然体で、共感せずにはいられない作品です。
今夜、世界からこの恋が消えても
この映画を一言で表すと?
“記憶が消える恋”が紡ぐ、たった一夜の永遠。
どんな話?
ある事情から、毎晩記憶がリセットされる女子高生と、彼女に恋をした少年のラブストーリー。書き記す日記だけが、ふたりの絆を繋ぎ止める鍵となります。
ここがおすすめ!
記憶や時間、伝えられない想いというテーマが、『恋い焦れ歌え』と深く共鳴。映像の美しさと切ない演出が心を打ち、観終わった後に静かな感動が残ります。
Love Letter
この映画を一言で表すと?
“届かない手紙”が、時を超えて心をほどいていく。
どんな話?
亡き恋人に送った一通の手紙が、思いがけない相手に届き、やがて現在と過去の想いが交錯していく物語。静謐な世界観の中で、初恋と記憶が優しく描かれます。
ここがおすすめ!
『恋い焦れ歌え』と同様に、過去の想いと現在の心が交差する物語構成。岩井俊二監督ならではの映像美と叙情的な演出が光る、繊細で詩的な恋愛映画です。
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