この記事では、映画『貪る。』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『貪る。』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『貪る。』の作品情報
出典:https://video.unext.jp/title/SID0084417
製作年 | 2012年 |
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上映時間 | 89分 |
ジャンル | ホラー |
監督 | グレッグ・オリヴァー |
キャスト | マルタ・ミランス カラ・ジャクソン ブルーノ・ガン タイラー・ホリンガー |
製作国 | アメリカ |
映画『貪る。』の登場人物(キャスト)
- ルーデス(マルタ・ミランス)
- 重病にかかった息子の治療費を稼ぐため、ニューヨークに出稼ぎに来たシングルマザー。
- クリステン(カーラ・ジャクソン)
- ルーデスの働くフランス料理店の女店長。
- フランキー(ブルーノ・ガン)
- ルーデスが仕事中に出会った男性。
- オリヴァー(ルイス・ハリス)
- ルーデスの息子。
- クラザーズ(デヴィッド・コンリー)
- フランス料理店へ捜査に来た刑事。
映画『貪る。』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『貪る。』のあらすじ【起】
ニューヨーク市警の刑事・クラザーズは、市内のフランス料理店で女性が死亡しているとの通報を受け、現場に駆け付ける。クラザーズが店の店員たちに、死んだのはルーデスという女性の清掃員だと聞き込みをする間、女性警官が店の地下室に入っていく。そして女性警官は地下にあるワインセラーの奥に、小さな扉を見つける。
エルサルバドルに住むシングルマザーのルーデスは、幼い息子が重病にかかり、治療費を稼ぐためニューヨークに渡り、フランス料理屋店で働いていた。女店主のクリステンはルーデスにつらく当たり、店の調理人たちとも上手くコミュニケーションが取れない中、ルーデスの唯一の救いは、母親に預けた息子と電話で会話することだった。
ルーデスはまだ薄暗い朝早くから店に出勤して店内の掃除をしたあと、閉店して皆が帰った後に片付けをしてゴミ捨てまでするというワードワークを、息子のために耐え忍んでいた。そんなある日ルーデスは、店の地下でクリステンが調理人のビリーと抱き合っている現場を目撃する。
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映画『貪る。』のあらすじ【承】
ルーデスの視線に気付いたクリステンは、「誰かに言ったらクビだから」とルーデスに忠告する。そしてルーデスは店の営業中に、裕福そうな男性客と目が合う。その後ルーデスが2階のトイレ掃除をしていると、その客がトイレに入って来る。
ルーデスは清掃中だからと客を追いだそうとするが、客はサイフから金を出して、自分の性欲処理をするようルーデスに迫って来る。ルーデスは治療費の足しになるならと、客の言いなりになることを受け入れる。
トイレから出たルーデスは、気分が悪くなり調理場の流しに吐いてしまう。すると流しの中に血まみれの肉片が浮いているのを見つけ、ルーデスは恐怖に怯える。それ以来ルーデスは、捨てようとしたポリ袋がモゾモゾと動き出したりと、店内でおぞましい妄想に襲われるようになる。
そんな時ルーデスは、店の前を歩いていたフランキーという男と知り合いになり、閉店後などに話すようになる。つらい毎日が続く中、フランキーとの語らいはルーデスの心を癒す数少ない要素だった。
映画『貪る。』のあらすじ【転】
ルーデスはその後も来店した男性客に目配せをして、トイレで性処理を行い金を稼ぐようになる。それに伴い、閉店後の店内で血に染まった顔をした男を見かけたり、自分にそっくりな顔をした亡霊のような女を見かけるなど、ルーデスの妄想は悪化していく。
ある晩地下の冷凍庫に閉じこめられそうになったルーデスは、たまらず母親に電話をかけ、故郷へ帰ると告げる。そこにビリーがやって来て、ロッカーに1人きりでいたルーデスに迫って来る。ルーデスがビリーを押しのけて店を出ようとすると、店内でクリステンが売上げを数えていた。
そこでルーデスは店の裏に回るが、血に染まった顔の男が行く手を阻もうとする。ルーデスが男から逃げようとすると、店の裏手からフランキーの呼ぶ声がして、ルーデスはフランキーを裏口から入れて助けを求める。
そしてルーデスが調理場へ行って包丁を手にして戻ってくると、フランキーは何者かによって地下室へ引きずり込まれていた。地下室から血に染まった男が上がって来て、ルーデスは階段を登って必死に2階へと逃げる。
映画『貪る。』の結末・ラスト(ネタバレ)
2階の窓から逃げようとしたルーデスだったが、階段の下から何本もの手が伸びて来て、ルーデスの足を掴み階段下へと引きずり下ろす。階段を転げ落ちたルーデスは頭を打ち、死亡する。
夜が明け、通報を受けて料理店にやって来たクラザーズ刑事が、ルーデスの母親に連絡を取ってみると、ルーデスと電話で話したのは数週間前で、息子の死亡した直後だと言われる。
ルーデスの息子・オリヴァーは重病で亡くなり、ルーデスはそのことを母親から電話で聞いていたが、息子の死を受け入れられないルーデスは妄想を見るようになる。そして店のトイレに連れ込んだ客を殺害して金を奪い、死体をポリ袋に詰めて地下の小部屋に隠していた。
更にルーデスは自分に迫ったビリーを殺害し、金勘定をしているクリステンも殺していた。そこにフランキーがやって来て、ルーデスはフランキーも包丁で刺して殺してしまっていたのだった。
女性警官はワインセラーの奥にある小部屋で、ルーデスが殺した客や、ビリーやクリステン、そしてフランキーの死体を見つける。全ては息子を失った悲しみで精神を病んだルーデスの、妄想の果ての犯行だった。
映画『貪る。』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
異国の地で働く女性が、精神的にも肉体的にも追い詰められていく姿に心が痛みました。特に、彼女が見ていた“現実”が実は幻覚だったというラストには驚かされました。序盤はスローに感じましたが、終盤に向かって加速度的に狂気が増していく構成が秀逸です。ホラーというよりは、心理サスペンスに近く、観終わった後もしばらく余韻が残りました。演出の地味さが逆にリアルさを引き立てていたと思います。(30代 女性)
異国での出稼ぎという設定にリアリティがあり、主人公の孤独感や不安が伝わってきました。ルルデスが見ていたものの正体が明かされていく過程は、じわじわと恐怖が迫るような感覚で、心理的にかなりきました。特に、息子のために頑張る姿が健気で、胸を打たれます。観る人によってはトラウマになるような描写もありますが、それも含めて力のある映画です。(20代 男性)
最初は地味な作品かと思いましたが、主人公のルルデスの行動や表情の細かさから目が離せなくなりました。静かな狂気がじわじわと迫ってきて、最終的には「現実って何だろう」と考えさせられました。ホラー的要素もあるけど、社会的な視点を含んだヒューマンドラマでもあり、いろんな意味で観てよかったです。(40代 女性)
この作品、ただのホラーではありません。貧困、移民、性搾取、精神疾患といった現代社会の闇を、ホラーというジャンルで見事に包み込んでいます。ルルデスの視点で展開されるストーリーは、彼女の内面世界の崩壊と共に恐怖へと変わっていきます。鑑賞後に深いため息が出る、そんな作品でした。(50代 男性)
終盤までずっと静かで、何が起こるのか不安にさせられ続けました。ルルデスが見ていたものが幻覚であったことがわかった瞬間、これまでのシーンの意味がすべて変わった気がして、鳥肌が立ちました。派手さはないけど、観終わったあとにズシンとくる映画。現実にいる“声なき人々”のことを考えさせられました。(30代 男性)
久々にこういう低予算だけど中身で勝負している映画に出会いました。静かで緊張感のある演出が印象的で、観ているこちらも息が詰まりそうになります。女性として、ルルデスの立場や恐怖感に共感する部分が多く、胸が苦しくなりました。リアルな恐怖と狂気の境界線を描いた良作だと思います。(20代 女性)
映像の色彩も暗くて重たくて、最初から最後まで不安な気持ちにさせられました。ルルデスの置かれた状況がとにかく過酷で、夢も希望もない…でも、それが現実なのかもしれない。観終わってしばらくぼーっとしてしまうほど、余韻が残りました。万人向けではないけれど、心に刺さる作品です。(40代 男性)
“ホラー映画”と聞いていたけど、蓋を開けてみれば心を抉る社会派ドラマでした。ルルデスの見ていた世界が幻だったという展開には衝撃を受けましたが、それ以上に彼女が追い詰められていく過程に恐怖を感じました。移民女性の視点をここまで丁寧に描いた作品は珍しく、重いテーマだけど観る価値があります。(50代 女性)
物語の伏線が終盤で一気に回収される構成は見事でした。静かに狂っていく様子を演出でじっくり見せるタイプの映画なので、ホラー好きでも好みが分かれるかも。ただ、精神的にじわじわくる恐怖が好きな人には刺さると思います。低予算でもアイデアと演技でここまで表現できるのか、と感心しました。(20代 男性)
ホラー的なビジュアルの怖さというより、精神的に蝕まれていく恐怖がとにかくリアルでした。幻覚なのか現実なのかが曖昧になっていく展開は緊張感がすごく、主人公の孤独や絶望が痛いほど伝わってきました。静かな作品なので派手な展開を期待する人には向かないかもしれませんが、心に残る作品です。(30代 女性)
映画『貪る。』を見た人におすすめの映画5選
マーサ、あるいはマーシー・メイ
この映画を一言で表すと?
洗脳と現実の境界を揺るがす、静かな恐怖が胸を締め付けるサイコドラマ。
どんな話?
カルト教団から脱出した若い女性が、家族のもとで“普通の生活”に戻ろうとするが、過去のトラウマが心を蝕んでいく。彼女が見ている世界が現実なのか幻覚なのか、観客にも判断を委ねるスリリングな構成が特徴。
ここがおすすめ!
主人公の不安定な心理が、映像と音響の演出で緻密に表現されています。観客も彼女と一緒に混乱していく感覚があり、静かで重く、それでいて引き込まれる作品。『貪る。』と同じく、心の闇を描く秀作です。
ブラック・スワン
この映画を一言で表すと?
美と狂気が交錯する、ダーレン・アロノフスキーの狂気的サイコスリラー。
どんな話?
完璧なバレリーナを目指すニナは、主役を射止めたことで心のバランスを崩し始める。自己の内面と向き合いながら、現実と幻想の狭間を彷徨う彼女の姿が、美しくも痛ましく描かれていく。
ここがおすすめ!
ナタリー・ポートマンの圧倒的な演技が作品の核。美しい映像と不穏な空気が交錯し、精神崩壊の過程を追体験させられるような臨場感があります。『貪る。』の静かな狂気を好む人には刺さるはずです。
セッション9
この映画を一言で表すと?
音と空間で恐怖を演出する、静謐な心理ホラーの傑作。
どんな話?
廃墟となった精神病院のアスベスト除去作業に訪れた男たちが、徐々に精神的に追い詰められていく。過去のテープ音声や奇妙な出来事が、彼らの心を揺さぶり、やがて破滅へと導いていく。
ここがおすすめ!
ジャンプスケアなしでここまで怖いのか、と思わされる静かな恐怖演出が秀逸。精神的に不安定な登場人物たちが、空間の力に押し潰されていく様がリアル。『貪る。』の心理描写に惹かれた方におすすめ。
ザ・マチネー
この映画を一言で表すと?
夢を追う者の希望と崩壊、その狭間にある真実を描いた静かな衝撃作。
どんな話?
ある俳優志望の若者が映画業界の裏側に引き込まれ、自分を見失っていく。現実と演技、希望と搾取の境界が曖昧になり、彼の精神は徐々に崩れていく。夢の代償として支払うものとは何かを問いかける作品。
ここがおすすめ!
映像的にも控えめだが、心理的な重圧がじわじわと押し寄せるタイプの作品。登場人物の葛藤が生々しく、心に残る。『貪る。』のように、現実と幻覚のあわいを描いた作品が好きな方にぴったりです。
エル(Elle)
この映画を一言で表すと?
被害者でありながら支配者、強く異質な女性像が鮮烈なフランスサスペンス。
どんな話?
ゲーム会社を経営する女性が自宅で襲われる事件をきっかけに、犯人を突き止めようとする中で、自身の過去や欲望と向き合っていく。加害と被害、支配と屈服の構図が崩れていくスリリングな展開。
ここがおすすめ!
イザベル・ユペールの怪演が光り、強い女性像と複雑な心理描写が印象的。セクシャルな暴力描写を含むものの、そこにとどまらず深い人間性を描く力作。『貪る。』にあった社会的テーマや内面世界に共鳴します。
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