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映画『台風クラブ』あらすじ&ネタバレ感想

1985年公開の相米慎二監督による青春映画。大型台風の襲来を機に、日頃抑圧されていた少年少女たちの感情が暴走する。教師役として三浦友和が、生徒の1人して工藤夕貴が出演している。

映画『台風クラブ』 作品情報

  • 製作年:1985年
  • 上映時間:96分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ
  • 監督:相米慎二
  • キャスト:三上祐一、紅林茂、松永敏行、工藤夕貴、大西結花 etc…

映画『台風クラブ』 評価

  • 点数:80点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★☆☆
  • キャスト起用:★★★☆☆
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★★☆

[miho21]

映画『台風クラブ』 あらすじ(ストーリー解説)

映画『台風クラブ』のあらすじを紹介します。

とある地方の中学に通う生徒たちは夜中にプールに忍び込んだりと悪戯をしながらも、恋愛で悩んだり大人の身勝手さに苛立ちを覚えたり、ごく普通の中学生活を送っていた。そんなある日、夜から大型台風がやってくるという予報が出る。丁度その朝、生徒の1人理恵(工藤夕貴)は迎えに来た彼氏の恭一の呼びかけに応えず、ふらりと東京行きの電車に乗る。担任の梅宮(三浦友和)も放課後になると理恵の行方を調べるが、責任を放棄して、何人かの生徒を学校に置いたまま施錠して帰ってしまう。

取り残された生徒たちは台風が迫る校舎の中で、日頃抑圧していた感情を爆発させる。好きだった少女に強引に迫る生徒。体育館で突如ショーを始める演劇部のメンバーたち。そしてついに台風がやってくると、生徒たちは外に出て狂ったように踊り歌うのだった。一方その頃東京に行った理恵は大学生の部屋に身を寄せていたが、突如部屋を飛び出すと家に帰ろうとする。ところが電車は動いておらず、台風の中街をさまようことになるのだった。

台風が過ぎた翌朝、理恵は復旧した電車で住み慣れた街に戻ってくる。そして丁度その頃、日頃から哲学的思考を巡らせていた恭一は突如教室の窓から身を投げる。ほぼ沼地と化したグラウンドに頭から突っ込んでしまうのだった。

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映画『台風クラブ』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『台風クラブ』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

思春期のジレンマ

理恵は家出先で出会った大学生に家出の理由を説明する。「閉じ込められたまま年とって、土地の女になっちゃうなんて、耐えられないんです」と。或いは教師の梅宮に電話で「お前もあと15年の命なんだよ(15年経てばつまらない大人になってしまうという意味)」と言われた恭一は「絶対にあなたにはならない」と言い返す。思春期の彼らは大人になりたい気持ちと、大人になりたくないという気持ちに挟まれている。日頃は学校という日常に閉じ込められることで、そのことは余り自分の中でも意識されないが、台風という非日常に触発されて感情が表面にまであがってくる。

大人への階段からは逃れられない

物語の最後、恭一は唐突な自殺に踏み切る。それは電話での梅宮との会話も頭にあったのだろう。例え一時狂うことで日常から逃れられても、結局いずれは大人になりつまらない日常に飲み込まれてしまうのだ。そのことを知っていたからこそ恭一は最後の手段に出る。その試みが成功したかどうかは作中ではっきりとは描写されない。だが沼地と化したグラウンドに頭からささった恭一は、犬神家を思わせるコミカルな格好だ。大人になることの苦しさを描いたのか、それともそれでも大人にならざるを得ない寂しさを描いたのか。私には後者のように思える。どんなにあがこうと、全ての子供は大人になる時が来る。しかしいずれ失われると分かっているからこそ、若さのエネルギーは眩しくかけがえのないものに映るのだ。そんなことが言いたいのではないだろうか。


シュールで過激で普通じゃなくて、理解は出来ないけど確かにこういう気持ちって心の中にあったかもしれないと感じるような不思議な作品でした。
台風が起こる一晩の物語を描いているのですが、登場するのはほとんどが思春期真っ盛りの若者で、日頃の鬱憤や恋愛の悩みなど思春期らしい「くだらない」ことでモヤモヤしている姿は、誰もが共感できると思います。
しかし、彼らの行動や考え方はかなり独特で偏っていて全てを理解することは出来ませんでした。
思春期のなんとも言えないモヤモヤした気持ちを映像化したような斬新な作品です。(女性 30代)

映画『台風クラブ』 まとめ

小さい頃台風が来るとわかると、妙にソワソワした気分になった経験は誰にもあるだろう。そのソワソワを思春期の苛立ちや希望、エネルギーとうまく結びつけた作品だ。大した話の筋があるわけではなく、ほとんどの尺を少年少女の乱痴気騒ぎに費やしているのだが、それがとんでもなく魅力的に映る。流石にここまでの暴走は現実にはあり得ないだろうが、それでも観客はつい自分の青春時代を思い返してしまうだろう。

相米監督お得意のロングショットの長まわしも良い効果を生んでいる。中でもやはり雨の中で踊り狂うシーケンスは圧巻だ。あえてカットを割ったりカメラを動かさないことで、少年少女の生のエネルギーをそのまま観客に伝えることに成功している。

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