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映画『セブンス・コンチネント』あらすじ&ネタバレ感想

この記事では、映画『セブンス・コンチネント』のあらすじをネタバレありで解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『セブンス・コンチネント』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。

この記事でわかること
  • 『セブンス・コンチネント』の結末までのストーリー
  • 『セブンス・コンチネント』を見た感想・レビュー
  • 『セブンス・コンチネント』を見た人におすすめの映画5選

映画『セブンス・コンチネント』 作品情報

  • 製作年:1989年
  • 上映時間:131分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ
  • 監督:ミヒャエル・ハネケ
  • キャスト:ビルギッド・ドール、ディーター・ベルナー、ウド・ザメル、ゲオルク・フリードリヒ etc…

映画『セブンス・コンチネント』 評価

  • 点数:85点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★☆☆☆
  • キャスト起用:★★☆☆☆
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★★☆

[miho21]

映画『セブンス・コンチネント』 あらすじ(ストーリー解説)

映画『セブンス・コンチネント』のあらすじを紹介します。

父母娘の3人家族の姿を3部に分けて描く。
第1部1987年。妻アンナは母を亡くした上心を病んだ弟に悩みを抱えていた。しかしそれも日々の生活の忙しさの中にかき消されて行く。夫ゲオルグは職場の上司と対立するも昇進を間近に控えていた。娘のエヴァは学校で目が見えないフリをするなど問題児であったが、さして変哲もないごく普通の家族であった。

第2部1988年。ゲオルグは上司との対立の末に昇進を勝ち取る。しかし一家は揃って外出中に事故現場を目撃する。そして直後車の洗車をしている最中に、アンナは人生の無意味さを悟り涙を流すのだった。

第3部1989年。突如オーストラリアへの移住を宣言した夫婦は夫の両親を訪ねる。そして預金を全て下ろすと、大量の工具を買い込む。家に閉じこもると、家の中の物を全て工具で壊し始める3人。電話やベルといった外界との交信手段を断つと家具や家電を壊し、服や本も全て破り捨てる。下ろしてきたお金もトイレに流してしまうのだった。全ての行為を淡々と押し進める3人。だが夫が熱帯魚の水槽を壊すとエヴァは初めて感情を爆発させるのだった。それでも遺書を残すと、唯一残ったテレビを見ながら3人は毒を飲み息絶えるのだった。

映画『セブンス・コンチネント』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『セブンス・コンチネント』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

自殺に至った理由

この作品最大の疑問はやはり、なぜ幸せな家族が自殺という結末に至ったかという点だ。彼らには身体的あるいは経済的な不自由は見当たらない。むしろゲオルグの仕事は順調だ。アンナには母を亡くした悲しみがあるし、エヴァは子供特有の変わった行動が見られるが直接の原因にはなり得ない。

ただ彼らは感情をほとんど表に出さない。映像的にも表情を意図的に映さず、その行為の方を集中的に捉えようとする。物質的な豊かさと反比例するような、感情の欠如。それこそが自殺の直接的な原因に思える。だからこそ彼らは部屋中のものを徹底的に破壊しつくす。それは単に身辺整理というよりは、消費社会への必死の抵抗として映る(中でもお金をトイレに流すシーンはそれが顕著)。

第七の大陸

タイトルの『セブンスコンチネント』は直訳で「第七の大陸」だ。実際には大陸は6つまでにしか存在せず、これが作中では「オーストラリア」と仮に呼ばれた架空の場所、もっと言えば死後の世界であることが分かる。時折映像で流れる天国のような海岸は恐らくこの「第七の大陸」を指す。だが実際に家族が向かった所は本当にこんな桃源郷なのであろうか。挿入されるイメージ映像とは裏腹に、本作のラストは不気味なテレビの砂嵐で幕を閉じる。死をもってすらこの世の生き地獄から逃れられない。そんなメッセージさえ伝わってきそうだ。


本作は、ある一家が絶望的な結末を迎えるまでを描いたミヒャエル・ハネケ監督によるヒューマンドラマ作品。
初監督作品とは思えない程非常に作り込まれていて、その完成度の高さに圧倒された。ゆったりとしたリズムの中で静かに狂気に向かっていく感じは、心に訴えかける強いものがあった。
登場人物たちの顔を全く写さない撮り方で、表情が見えないので終始一貫して不安や焦燥感に駆られた。
不条理に満ち溢れた社会の中で死に向かう人々をあくまでも中立的な立場から見ているような不思議な感覚だった。(女性 20代)


どうなっていくのか、何が起こるのかと不安な気持ちで鑑賞していましたが、何が起きたのか分からなくなってしまうような衝撃的なラストが待っていました。
この家族は一体何を求めていたのでしょう。一見幸せそうな家族がどんどん狂っていく姿は見ているだけで不安な気持ちになってしまいました。
自分たちが原因ならどうにか出来る問題も、社会や世界の在り方のせいで問題が起きると考えると抗うことは出来ず、「死」の先に家族が求める幸せがあったのかな…と2回鑑賞してそんな結論に至りました。(女性 30代)


静かに積み重ねられる日常の描写が、ラストの衝撃的な一家心中に繋がる構成は強烈でした。特に、大量の紙幣を細かく破っていく場面は、物質的豊かさが意味を失った瞬間を象徴しているようで震えました。ハネケ監督らしい冷徹さと観客への突き放し方が印象的で、決して「救い」は提示されないのに、逆に深く考えさせられる作品でした。(20代 男性)


冒頭の何気ない朝のルーティーンやスーパーでの買い物風景が、あまりに平凡すぎて逆に不気味でした。最後に一家が淡々と生活を処分し、自らの命まで整理するように終わらせる展開は、感情を揺さぶるよりも麻痺させるような感覚でした。観終わった後に「現代の幸福とは何か」を突き付けられ、しばらく考え込んでしまいました。(30代 女性)


この映画は「ドラマを見た」というより「実験映像を目撃した」という感覚に近いです。画面には感情的な演出がなく、むしろ無機質な映像が延々と続きます。それが最後の破滅的な行動に繋がるからこそ、現代社会の空虚さが胸に刺さる。幸福を追い求めることの虚しさをこれほどまでに的確に描いた作品は他にないと思います。(40代 男性)


娘を含めた家族全員で死を選ぶ姿にショックを受けました。しかも感情的な衝突や悲劇的な爆発ではなく、ただ淡々と日常の延長として描かれているのが余計に怖い。観客として「なぜ?」と問い続けるしかなく、答えは最後まで与えられません。ハネケの冷徹さに振り回されながら、現代の無意味な消費社会を強烈に意識させられました。(20代 女性)


「幸福」を象徴するはずのお金や物を破壊し尽くす場面は、資本主義そのものへの拒絶のように見えました。車を壊し、家具を壊し、最後に命を絶つ流れは、一家にとって徹底した「消去」だったのだと思います。無言の映像の積み重ねで観客に突きつけられる絶望は、エンタメ映画とは対極にある強烈な体験でした。(50代 男性)


この映画の怖さは、どこにでもある家庭を描いていることにあります。特別な不幸や事件があるわけではない。ただ淡々とした日常を送りながら、やがて全てを終わらせてしまう。観ていて「自分たちと何が違うのだろう」と考えてしまい、背筋が冷たくなりました。幸福と虚無の境界線がいかに脆いかを突きつけられます。(30代 男性)


最初は退屈に思えるほど単調な日常描写が、最後に意味を持って襲いかかってきます。特に、破壊と消費の繰り返しが「幸福」ではなく「空虚」を生んでいることを痛感させられました。家族の心中は衝撃的ですが、それ以上に「ここまで積み重ねられた無感情の生活」が恐ろしい。ハネケ作品の中でも特に心に残る一本です。(40代 女性)


一家の選択には理解できない部分も多いですが、それがこの映画の核心だと思います。観客は説明を与えられず、自分で考えるしかない。幸福や未来が全て無意味に見える社会に生きる人間が、最終的に「何も残さない」ことを選んだ。見終わった後の虚無感は耐え難いのに、どこか共感を覚えてしまう怖さもありました。(20代 男性)

映画『セブンス・コンチネント』を見た人におすすめの映画5選

累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『セブンス・コンチネント』を見た人におすすめの映画5選を紹介します。

ファニーゲーム

この映画を一言で表すと?

観客をも巻き込む、残酷で冷酷な暴力の実験映画。

どんな話?

別荘で休暇を過ごしていた一家が、突然訪ねてきた青年二人によって残虐なゲームに巻き込まれる物語。登場人物だけでなく観客までもが「なぜ?」と問い続けざるを得ない構造が特徴で、日常がいかに簡単に崩れるかを描きます。

ここがおすすめ!

『セブンス・コンチネント』同様、ハネケ監督の冷徹な視線が貫かれた作品。残酷さの中に「観客はなぜ暴力を観るのか」というメタな問いが込められており、映画そのものの意味を考えさせられる強烈な体験です。

ベニーズ・ビデオ

この映画を一言で表すと?

平凡な家庭に潜む無関心と空虚さが生み出す悲劇。

どんな話?

ビデオカメラに夢中な少年が、同年代の少女を衝動的に殺害し、その後の家族が事件を隠そうとする様を描く物語。テレビや映像に支配された現代社会の恐ろしさが、冷徹に描かれています。

ここがおすすめ!

『セブンス・コンチネント』と同じく、家族という場に潜む不気味な沈黙と社会批判が際立ちます。日常の中にある「無関心」という暴力を描いた必見の問題作です。

愛のめぐりあい(原題:L’Emploi du temps)

この映画を一言で表すと?

嘘の積み重ねの果てに、空虚さが広がっていく不穏な社会劇。

どんな話?

失業を隠し続ける中年男性が、家族や友人に嘘をつきながら日々を過ごす姿を描いた作品。日常の中で膨らんでいく不安と、逃げ場を失う人間の孤独を静かに映し出します。

ここがおすすめ!

ハネケ作品と同じく、説明を排した冷たい映像と淡々とした語り口が強烈。日常の裏に潜む虚しさや崩壊の予兆を描いており、『セブンス・コンチネント』を観て衝撃を受けた人におすすめです。

エレファント

この映画を一言で表すと?

淡々とした日常から突如現れる惨劇を描いた、衝撃の青春映画。

どんな話?

アメリカの高校を舞台に、生徒たちの日常が淡々と描かれます。しかし次第に物語は銃乱射事件へと収束し、平穏な日常が一瞬で崩壊する恐怖を突きつけます。

ここがおすすめ!

『セブンス・コンチネント』と同様、説明を排した冷徹な映像が特徴。平凡な時間の中に潜む暴力性を容赦なく突きつける本作は、観客に強烈な問いを投げかける一本です。

白いリボン

この映画を一言で表すと?

静かな村に潜む暴力と抑圧を描いた、ハネケの傑作。

どんな話?

第一次世界大戦前夜のドイツの村で、次々と不穏な事件が起きます。厳格な規律と抑圧の中で育つ子供たちが、やがて恐るべき残虐さを内に秘めていく様子が淡々と描かれます。

ここがおすすめ!

『セブンス・コンチネント』の冷徹な視点がさらに深化した作品。抑圧と無関心が生む暴力の連鎖を描き、観客に不快さと深い思索を与える必見の社会派映画です。

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この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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