映画『罪の余白』の概要:2015年公開の日本映画。娘の死の真相を追い求める父親と、その娘を死に追いやった友人との対決。賢い悪魔のような少女に、心理学者の父は勝てるのか!?
映画『罪の余白』 作品情報
- 製作年:2015年
- 上映時間:120分
- ジャンル:サスペンス
- 監督:大塚祐吉
- キャスト:内野聖陽、吉本実憂、谷村美月、葵わかな etc
映画『罪の余白』 評価
- 点数:70点/100点
- オススメ度:★★★☆☆
- ストーリー:★★★☆☆
- キャスト起用:★★★☆☆
- 映像技術:★★★☆☆
- 演出:★★★☆☆
- 設定:★★☆☆☆
[miho21]
映画『罪の余白』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『罪の余白』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『罪の余白』 あらすじ【起・承】
安藤(内野聖陽)は大学で心理学者として勤めている。
ある日、彼の携帯に何件もの不在着信が。
それは学校で事故にあったという、娘の悲劇的な知らせだった。
娘の加奈が教室のベランダにある手すりに上り、歩いているところを同級生が目撃、その後転落して死亡した。
事故か自殺か。
安藤は何故娘にそのようなことが起こったのか、真相を追究したかった。
加奈がベランダの手すりにいたのは、友人・咲と真帆からの言葉だった。
遊びのような、虐めのようなその言葉を実行するため加奈は上ったのである。
落ちた途端、小心者の真帆は悩み本当のことを言おうかと相談する。
しかし咲は「加奈が勝手にやったこと」と否定する。
心理学を専攻しながらも、加奈の自殺に気がついてやれなかったと自分を責めた安藤は、大学を休職した。
そして酒に溺れ、娘のことを考える。
ある日、同級生の菜々緖だと名乗る女子が安藤の家を訪れた。
そこで安藤は菜々緖の話を聞く。
純粋に感謝をし、話していたが、実は日記が書いてあってパソコンにパスワードがかかっていると相談した。
菜々緖は、「パスワードは加奈が見られたくないということ。そのままにしてはどうか?」と言った。
しかし聞く耳を持たない安藤は、自力でパスワードを開く。
そこには咲と真帆に嫌がらせを受けていた事実が書かれていた。
安藤は静かに怒った。
文化祭の日、学校に出かけた安藤は菜々緖を呼び出す。
出てきたのはこの間とは別人の女の子。
そう、家に来たのは咲だったのだ。
菜々緖に咲と真帆のことを聞くと、美人で賢いから気をつけた方が良いと言われる。
安藤は日記のことを学校に話す。
しかしずるがしこい咲は何とか切り抜けた。
もはや咲を止められる者はいない。
映画『罪の余白』 結末・ラスト(ネタバレ)
咲は安藤がコンビニから出てくるのを待ち伏せした。
そこで「自分たちにつきまとうにはやめろ、親子で鬱陶しい」と暴言を吐いた。
安藤は我慢できず咲の頬を叩き、馬乗りになる。
それをわざとらしく叫ぶ咲に、周囲の人は警察を呼べとざわめきだした。
全て咲の計画通りだった。
学校では安藤の頭がおかしくなったと言いふらされ、加奈に性的虐待をしていたとも言われてしまう。
その噂を聞きつけた児童相談所のスタッフも、昼間から酒を飲む安藤に疑いの目を向けた。
安藤は咲の行動を追うことにした。
休日の彼女は芸能事務所に行く。
スカウトされた咲は、そこで女優になりたいと切望したのだ。
加奈の日記には女優志望の咲の夢が書かれていた。
本当らしい。
咲が教室にいくと、席の椅子のところに手紙が置いてあった。
それは放課後残れという安藤からの指示。
授業後教室で会った二人。
安藤は「加奈がここから落ちたときどんな気分だったのか」と大きな声で問いただした。
しかし咲は唇に人差し指を当てて、言わないというジェスチャーをした。
安藤は加奈の壊れた携帯を修理に出していた。
諦めていたデータの復元だったが、何と成功する。
そこで加奈の携帯の電源をつけて写真を確認すると、咲と楽しそうに笑う加奈ばかりが写っていた。
安藤は二人に加奈の携帯から連絡をする。
明日家に来い、来て話せばもう無かったことにすると。
真帆と咲は示し合わせ、安藤のマンションに向かった。
入るとまず「録音されていると嫌だから」とベランダで話をしたいと咲は言った。
三人はベランダに出て話を始める。
しかし一向に認めない咲に、「マスコミに発表する」とおもむろに加奈の携帯を出した。
安藤は録画ボタンを押した。
追い詰められた咲は安藤にかけより、突き落とした。
安藤は入院していた。
このビデオのおかげで咲は少年院にいる。
しかし強気の出で立ちは変わらなかった。
映画『罪の余白』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『罪の余白』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
内野聖陽の演技のわざとらしさ
内野聖陽は演技力に定評がある。
しかしながら、わざとらしさが否めない。
恋愛作品にはとても向いているとは言えないもったりした演技と、いつも深刻になってしまう顔立ちがそう見せてしまっているのだろう。
彼のウィークポイントは一人演技である。
他の誰ともうまく交わっていない感じがあり、それが吉と出る作品もあるだろうが本作品ではやや裏目に出ている。
他の俳優が若く無名であることも手伝い、彼だけ異様な立ち位置になっているのだ。
そして声の小ささも気になった。
叫ぶシーンは異様に大きく、囁くような台詞は全く聞こえず、同じボリュームで見てると聞き逃してしまいそうなくらいである。
そのため他の俳優の声にあわせていると大事な主役の声を聞き逃してしまうというアクシデントに見回れてしまう。
咲役の女優の鬼気迫る演技
娘を虐めていたと思われる友人の咲。
彼女の役どころはまさに魔性の女であるだろう。
嘘をつき誤魔化しながらも、自分の欲望のために全てを自分の思うように回していくという恐ろしい役柄だ。
それを見事に演じている。
恐怖心のあるあの女性を演じるのは難しく大変だろう。
それをまさに腹が立つほどのはまり役で見せてくれた。
急に言葉遣いが悪くなり人格が変わるあたりは、見ていて鳥肌ものである。
吉本実憂さんの演技が素晴らしくて、木場咲の怖さがよく表れていたと思う。特に無邪気な笑顔と、冷めた表情のギャップが怖かった。父親にあそこまで問い詰められたら、普通だったら罪悪感を抱きそうである。でも、咲はそんな気持ちは一切なく、他者のことなど全然気にも留めていない。どういう環境で育ってきたのか、少し気になった。咲は逮捕されたが、全く反省した様子はなく、出所した後にまた何かやらかしそうで恐ろしかった。(女性 30代)
罪の意識を感じることの無い悪魔のような女に心底驚かされましたが、実際に人を殺しても何も感じない人間は本当にいるのだろうなと恐怖を感じました。
娘を亡くし娘の死の理由を突き止めたい父親と、娘を殺した張本人が何度も顔を合わせ、言葉を交わしますがこんなことは実際にあるのでしょうか?正しいことをしている人が疑われてしまうような世の中には本当に嫌気がさします。
妙なリアルさがあって気持ちが沈むような作品でした。(女性 30代)
映画『罪の余白』 まとめ
日本映画のサスペンスは個人的にとても好きだ。
ゆっくりとシチュエーションが変わり、心情や状況が理解しやすいからである。
日本らしさが随所に出ていて見やすい。
本作品の見所ももちろんその日本らしさと、ゾッとするほどの人間臭さを描いているところにある。
リアルでいながら現実離れしているドラマ。
そんな所であろうか。
次はどうなるのか、気になって恐怖さえ感じてしまうような上質なサスペンスに仕上がっている。
みんなの感想・レビュー