この記事では、映画『タロウのバカ』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『タロウのバカ』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『タロウのバカ』の作品情報
出典:https://video.unext.jp/title/SID0045692
製作年 | 2019年 |
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上映時間 | 119分 |
ジャンル | ドラマ |
監督 | 大森立嗣 |
キャスト | YOSHI 菅田将暉 仲野太賀 奥野瑛太 |
製作国 | 日本 |
映画『タロウのバカ』の登場人物(キャスト)
- タロウ(YOSHI)
- 名前も戸籍もなく、学校に通ったことのない少年。育児放棄を続ける母親と2人で暮らしており、限られた言葉の意味しか知らない。友達のエージとスギオと一緒に反社会的な遊びをして、度々人を傷付けるが、罪悪感を持たない。
- エージ(菅田将暉)
- タロウの友達。スポーツ推薦で高校に入学し、部活動での活躍を期待されていたが、怪我により断念。高校では問題行動を重ねる生徒として、教師からも心無い言葉を浴びせられ、やりきれない想いを抱えて暴力的な行為を続ける。
- スギオ(仲野太賀)
- タロウとエージの友達で、エージと同じ高校に通う少年。暴力的で無茶な行為を続けながらも、辛うじて理性を保ち続ける。同級生の洋子に想いを寄せているが、彼女の抱える問題について何もアクションを起こせずにいる。
- 吉岡(奥野瑛太)
- 準暴力集団を仕切る、極悪非道な男。人を殺すことに抵抗を感じず「生きているのか死んでいるのか分からない者は、殺すべきだ」というのが持論である。
- 洋子(植田紗々)
- エージ、スギオの同級生。援助交際を繰り返しているが、金を受け取ることよりも、その行為自体に意味や価値を見出している。
映画『タロウのバカ』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『タロウのバカ』のあらすじ【起】
準暴力集団を仕切る吉岡が運転する車の助手席には、元極道の小田が乗っている。
そして小田は、吉岡が自分を口汚く罵る言葉を、ビジネスパートナーとして黙って聞いている。
やがて車は、廃墟となった施設に到着した。
その中では、障がい者たちが粗悪な環境と待遇のもと、ひっそりと暮らしている。
部屋の中に、血を流して動かなくなっている者を見つけた吉岡は、アルバイトで入居者たちを看ている高校生エージを怒鳴り、殴った。
エージは「こいつが暴れたから」と弁解した。
小田は吉岡に、血を流して倒れている者を闇医者に連れて行くかと提案したが、吉岡は倒れている者に発砲し、射殺した。
「生きているのか死んでいるのか分からない者は、殺すべきだ」というのが吉岡の持論だった。
吉岡と小田が、射殺体を車に乗せ、山奥に埋めに行く途中、小田は吉岡に「あんた、間違ってるよ。調子に乗るな」と忠告した。
山奥で穴を掘り、射殺体を捨てると、小田は穴に向かって手を合わせた。
吉岡は背後から小田を撃ち、小田の死体を穴の中に捨てた。
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映画『タロウのバカ』のあらすじ【承】
分岐した高速道路が頭上に広がる河原で、草むらに寝転がる上半身裸の少年がいる。
少年の名前はタロウ。
15歳くらいだが、一緒に暮らす母から育児放棄を受け、戸籍もなく、学校に通ったこともない。
タロウというのも、高校生の友達・スギオが「名前のない奴はタロウだ」と言ってつけた名前だ。
タロウはスギオと、スギオと同じ高校に通うエージと3人で、暴力的で無茶苦茶な遊びをして過ごしている。
エージは、柔道のスポーツ推薦で高校に入学したが、怪我が原因でその道を諦めた。
問題行動を起こし続けるエージは、柔道を続けている大学生の兄と比較されては、教師から「学校にいる意味も生きている意味もない奴として、社会の隅っこで生きていけ」などと言われる。
スギオは、同級生の洋子が好きだ。
洋子が援助交際を繰り返していることはスギオも知っているが、ただ切ない想いを抱きながら洋子を見つめるだけの日々を送っている。
エージとスギオが学校に行っている間、タロウは河原で、ダウン症があるカップル・藍子と勇生と遊ぶ。
藍子は自作のラブソングを披露してくれる。
映画『タロウのバカ』のあらすじ【転】
エージが温めていた、吉岡を襲撃する計画を実行する日がやってきた。
襲撃の際、タロウとエージ、スギオは動物のマスクを被っていたが、吉岡にはそこにいるのがエージだとバレてしまった。
タロウたち3人は吉岡のバッグを奪って逃げ、隠れ家である建築途中の戸建て住宅で、バッグを開けた。
バッグの中には1丁のピストルが入っており、戸惑うスギオをよそに、タロウとエージは狂喜乱舞した。
ピストルはタロウが、ウエストポーチに入れて持ち歩くようになった。
エージは、吉岡とその一味からの返り討ちに遭い、高速道路からその下の川に落とされた。
何とか川から這い上がったエージは、河辺でタロウに「もう少しで死ぬところだった」と話し、タロウは「殺されちゃうかな」と呟いた後「吉岡殺そうか」と持ち掛けた。
スギオは、真っ当に生きる決意のもと、放課後一人でピアノを弾いている洋子のもとへ行き「ウリなんてやめろよ」と言い、父を連れてタロウとエージのもとに行き「もう関わらないで欲しい」と告げたが、全ての流れを止めることは出来なかった。
映画『タロウのバカ』の結末・ラスト(ネタバレ)
ある日河原には、雨に濡れながら一人で歌う藍子の姿があった。
川に浮いているのは溺れ死んだ勇生だ。
雨上がり、タロウは藍子から勇生の死を知らされる。
タロウとエージ、スギオは、吉岡たちへの襲撃を再び試みたが歯が立たず、エージは頭を負傷する。
タロウはピストルを取り出し、吉岡を射殺した。
エージはタロウに、頭の怪我が、瘤でなく陥没していることを、不思議そうに話した。
タロウは自宅にいた母が、いつものように自分を無視することに怒りを爆発させ、ピストルを取り出して暴れ、勇生は死んだし自分は人を殺したと叫んだ。
スギオは洋子を買おうとしたが、洋子はスギオへの好意と、援助交際を続ける罪悪感を吐露し、去った。
再び隠れ家に集まったタロウとエージ、スギオだったが、その夜は何かが違っていた。
寝ていたエージは突然嘔吐し、スギオは自らの頭を撃ち抜いた。
夜明け、タロウとエージは河辺にいた。
タロウはピストルを川に投げ捨てた後、エージが息絶えたことに気付く。
タロウはサッカーをする少年たちの中に乱入し、やりきれない思いを叫び続けた。
映画『タロウのバカ』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
初めて観たとき、心がかき乱されました。タロウという存在の純粋さと狂気が入り混じる姿に、胸を締め付けられます。社会からドロップアウトした少年たちの行動は、一見無軌道でありながら、彼らなりの必死さが痛いほど伝わりました。特に銃を手にしてからの展開は緊張感が高く、ラストシーンではやるせなさがこみ上げました。リアルな描写が強烈で、今も忘れられません。(20代 男性)
衝撃的でした。タロウたちの生き様があまりに生々しく、何度も目を背けたくなりましたが、目が離せませんでした。社会から逸脱した若者たちの叫びが、暴力や破壊という形で表現されていて、心に傷跡を残します。菅田将暉さんの演技も圧巻でしたが、何よりもタロウ役の子の存在感が圧倒的でした。観た後に重苦しい余韻が残り、しばらく考え込んでしまいました。(30代 女性)
青春映画とは到底呼べない、凄まじい破壊衝動を描いた作品だと感じました。タロウは生まれながらにして世界から排除されていて、名前すら持たない存在。その設定がすべてを物語っています。少年たちが銃を手に入れてからの暴走は恐ろしくもあり、哀しくもありました。人間の根源的な孤独と絶望を突き付けられる映画でした。(40代 男性)
正直、しんどかったです。暴力、絶望、孤独、すべてがあまりにリアルで、心に刺さりました。ラストでタロウが「死にたい」と叫ぶシーンには涙が止まりませんでした。社会の片隅に追いやられた子どもたちの声なき声を、真正面から描いたこの作品には大きな意義があると思います。もっと多くの人に観てほしいです。(20代 女性)
タロウたちの無邪気な笑顔と、衝動的な暴力が背中合わせで存在するこの映画に、複雑な感情を抱きました。特に銃を手にしたことで一気に崩壊していく彼らの関係性が痛ましかったです。名前を持たないタロウというキャラクターが象徴するのは、社会から存在を認められなかった少年の悲劇だと受け取りました。胸が苦しくなる作品でした。(50代 女性)
とにかく圧倒されました。自然体で演じる少年たちが本当にその世界に生きているかのようで、フィクションとは思えませんでした。暴力シーンも多く、決して万人受けする映画ではないと思いますが、あのラストの絶望的な静寂には心を掴まれました。人間の奥底に潜む「どうしようもなさ」を見せつけられた気がします。(30代 男性)
タロウの無垢な笑顔が、逆にこの物語の残酷さを際立たせていました。社会から疎外された子供たちの姿はあまりにも痛々しく、どこか他人事では済まされないリアリティがありました。銃を手にした後、仲間たちとの間に生じる微妙なズレや緊張感がリアルで、胸が締めつけられました。観た後に深く考えさせられる作品です。(40代 女性)
正直、最初はタロウたちの行動に嫌悪感を覚えました。でも物語が進むにつれ、彼らもまた「生きたかった」だけなのだと痛感しました。銃という暴力の象徴を通じて、彼らが抱える痛みがむき出しになっていく様は壮絶で、目が離せませんでした。ラストは救いがないようでいて、どこか希望を感じました。(10代 男性)
この映画を観た後、しばらく立ち直れませんでした。名前すら与えられず、世界から排除されたタロウの姿は、現代社会の闇そのものです。少年たちが求めたのは、ほんの少しの温もりや自由だったのかもしれません。それすら与えられない社会の冷たさが、痛いほど胸に刺さりました。素晴らしい映画ですが、何度も観るのは辛いです。(30代 女性)
映画『タロウのバカ』は、暴力と破壊に満ちた世界の中に、一瞬だけ見せる少年たちの純粋さがとても印象的でした。特にタロウの最後の叫びは、無力感と絶望に満ちていて、観る者に強烈な印象を残します。社会に見捨てられた子供たちの姿を赤裸々に描いた本作は、決して楽しい映画ではありませんが、大切なメッセージを持った作品です。(50代 男性)
映画『タロウのバカ』を見た人におすすめの映画5選
誰も知らない
この映画を一言で表すと?
「見捨てられた子どもたちが、それでも生き抜こうとする静かな闘いの物語」
どんな話?
母親に置き去りにされた4人の兄妹が、誰にも知られることなく東京の片隅で生きる姿を描いた実話ベースの作品です。幼い兄妹たちは助けもなく、それぞれの力で日々を乗り越えようとします。淡々とした描写の中に、深い悲しみと希望が同居しています。
ここがおすすめ!
是枝裕和監督が静かに描く子どもたちの「生きる力」が胸を打ちます。リリーフランキーや柳楽優弥らの自然な演技が圧倒的なリアリティを生み出し、観る者を引き込みます。社会の片隅にいる存在への視点が『タロウのバカ』と重なり、深い余韻を残す名作です。
息もできない
この映画を一言で表すと?
「暴力と孤独に生きる男が、少女との出会いで人間性を取り戻す物語」
どんな話?
韓国の裏社会で生きる暴力的な男と、家庭に問題を抱える女子高生との心の交流を描いた作品です。お互いに傷つきながらも、少しずつ変わっていく二人の姿がリアルに胸に響きます。粗削りな映像と演出が生々しさを際立たせています。
ここがおすすめ!
監督・主演のヤン・イクチュン自身が手掛けた渾身の一作。怒りと哀しみが渦巻く世界に希望を見出すまでの過程が圧倒的なエネルギーで描かれています。心に刺さる重いテーマながらも、どこか救いを感じさせる傑作です。
ヒミズ
この映画を一言で表すと?
「絶望の中で必死にもがく少年の心の叫びを描いた青春映画」
どんな話?
東日本大震災後の荒廃した日本を舞台に、絶望的な環境で生きる少年・住田と、彼に寄り添う少女・茶沢の物語です。大人たちからの裏切りと暴力に晒されながらも、二人は自分たちの居場所を探し続けます。心に深く刺さる作品です。
ここがおすすめ!
園子温監督による荒々しくも切実な演出が光る一作。染谷将太と二階堂ふみの圧巻の演技が、観る者の心をえぐります。『タロウのバカ』同様、絶望の中にほんのわずかな希望を見出そうとする若者たちの姿が強く印象に残ります。
リリイ・シュシュのすべて
この映画を一言で表すと?
「痛みと孤独に満ちた思春期を、美しくも切なく描いた青春群像劇」
どんな話?
地方都市に暮らす中学生たちが、現実のいじめや孤独から逃れるためにネット上でリリイ・シュシュという歌姫を崇拝する物語です。希望と絶望が交錯する10代の心の揺れを、幻想的な映像美で描いています。
ここがおすすめ!
岩井俊二監督による繊細な映像と音楽が、若者たちの苦しみと救いを静かに表現します。美しい一方で胸が締めつけられる体験になるでしょう。『タロウのバカ』に共通する、若者たちの居場所のなさを痛烈に感じられる作品です。
スタンド・バイ・ミー
この映画を一言で表すと?
「少年たちの心の成長を描いた、不朽の青春ロードムービー」
どんな話?
1950年代のアメリカを舞台に、死体を探しに旅に出た4人の少年たちのひと夏の冒険を描いた物語です。単なる冒険譚ではなく、それぞれの少年が抱える心の葛藤や成長がリアルに描かれ、温かくも切ない青春映画となっています。
ここがおすすめ!
スティーヴン・キング原作、ロブ・ライナー監督による青春映画の金字塔。子どもから大人への過渡期にある少年たちの心の揺れが普遍的に描かれています。『タロウのバカ』で描かれた「子供たちの切実な叫び」に感動した方にはきっと響く一作です。
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