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映画『ぜんぶ、ボクのせい』のネタバレあらすじ結末と感想

この記事では、映画『ぜんぶ、ボクのせい』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『ぜんぶ、ボクのせい』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。

この記事でわかること
  • 『ぜんぶ、ボクのせい』の結末までのストーリー
  • 『ぜんぶ、ボクのせい』を見た感想・レビュー
  • 『ぜんぶ、ボクのせい』を見た人におすすめの映画5選

映画『ぜんぶ、ボクのせい』の作品情報


出典:https://video.unext.jp/title/SID0076757

製作年 2022年
上映時間 121分
ジャンル ヒューマンドラマ
監督 松本優作
キャスト 白鳥晴都
川島鈴遥
松本まりか
若葉竜也
製作国 日本

映画『ぜんぶ、ボクのせい』の登場人物(キャスト)

松下優太(白鳥晴都)
児童養護施設で暮らす中学1年生の少年。5歳のときから施設におり、中学生になったら母に会えるという言葉を信じていたが、未だ母が会いに来ないことを疑問に思っている。友達はおらず、自分の気持ちや要求を言葉にしない。
坂本健二(オダギリジョー)
海辺の町のホームレス。エンジンの壊れた軽トラックを住処としている。境遇を聞かれると、故郷は名古屋で、名古屋に向かう途中でエンジンが壊れ、それっきりになっていると説明する。絵心があり、言葉は雑だが情に厚い。
杉村詩織(川島鈴遥)
海辺の町にある高級住宅地に住む女子高生。裕福な家庭で育ち、父からは医大生の姉と同様の期待をかけられている。誰にも言えない空虚さや孤独を感じては苦悩し、何かを埋めるかのように援助交際をする。坂本を慕っており、差し入れを持って話をしに坂本に会いに行く。

映画『ぜんぶ、ボクのせい』のネタバレあらすじ(起承転結)

映画『ぜんぶ、ボクのせい』のストーリーをネタバレありの起承転結で解説しています。この先、結末までのネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『ぜんぶ、ボクのせい』のあらすじ【起】

13歳の少年・優太は、5歳のときから川崎市の児童養護施設で暮らしており、中学生になれば母に会えると言われたことを信じている。

学校にも施設にも友達はおらず、気持ちや要求を口に出さない優太を心配した施設の職員・宮本が声を掛けると優太は、いつになったら母に会えるのかと訊ねた。

宮本は返答に窮した。
優太の母は、優太の引き取りを拒否しているのだ。

ある夜優太は、職員の目を盗んで自分の名簿を見ることに成功し、母の住所を知った。
優太は施設を抜け出して、母の暮らす大原に向かった。

母の家の扉をノックしても返答はなく、施錠もされていないので、優太は室内に入った。
下着姿で眠っていた母は、優太が誰なのか分からなかった。
しかし優太が「母さん」と言うのを聞いて状況を理解し、優太を忘れたことはなかったと言って抱きしめた。

母は山﨑という男と暮らしており、山﨑には優太を「親戚の子」と紹介したが、山﨑はその嘘を見抜いた。

母は優太にインスタント麺や菓子パンなどの食事を与え、優しく接したが、密かに施設に連絡し、優太を迎えに来させた。

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映画『ぜんぶ、ボクのせい』のあらすじ【承】

優太は再び逃げ、海辺の町に辿り着いた。
そこで偶然出会ったホームレスの男・坂本は、住処である、エンジンの壊れた軽トラに優太を招き、お茶を淹れてくれた。

坂本は、軽トラで名古屋に向かう途中エンジンが壊れ、そのままここに留まっているという。
そして現在、自転車を盗んでリサイクル業者に売ったり、詐欺まがいのことをしたりして生活費を得ていた。

優太は、詮索も説教もすることなく受け入れてくれる坂本のもとで、一緒に僅かな日銭や食料を得ながら生活を共にする。

2人の住処となった軽トラの中には坂本の絵が貼られており、その中の1枚を見た優太が「真っ赤な太陽」と言うと、坂本は、それは太陽ではなく「俺の心に詰まった石みたいなもの」と説明した。
そして「一生それを抱えて生きていかねばならないが、死という自由は誰にも与えられた権利だ」と語った。

坂本は母から虐待を受けて育ち、今でもその悪夢を見る。
坂本は優太に「俺と前は似ている」と話し、挙げた類似点の中の1つが「母親がクソ野郎」であることに対し優太は、自分の母は違うと否定した。

映画『ぜんぶ、ボクのせい』のあらすじ【転】

女子高生の詩織は、裕福な家庭で、規律を守り不自由なく生活しているが、援助交際をしている。
詩織は、以前から坂本を慕っており、度々差し入れを持って話しに来ていた。

そこに加わった優太は詩織とすぐに打ち解け、坂本と3人の時間を楽しむようになった。

坂本が、故郷の名古屋に向かう途中だったと聞いている詩織は、先日の大地震で、名古屋が大きな被害を受け、地震による火災も酷かったと聞いて、坂本の家族を心配した。

坂本は優太と詩織に、母が認知症だと告白し「忘れちまってるかもな。俺のことも、俺にしてきたことも」と呟きつつ、母が地震による火災に巻き込まれている姿を思い浮かべた。

その後、坂本がよく咳き込むようになったので、優太は坂本の体調を心配して、独りで日銭を稼ぎに行きたいと申し出た。

ある日、坂本には車の中で休んでいてもらい、優太が独りで浜辺にいたところ、詩織が声を掛けてきた。
そこへ不良たちが現れ、嫌がる詩織を連れて行こうとしたので、優太が捨て身でそれを阻んだ。

不良たちのリーダー格の男は、詩織が過去に付き合った男だった。

映画『ぜんぶ、ボクのせい』の結末・ラスト(ネタバレ)

優太に邪魔をされた不良たちは、坂本への嫌がらせを始めたが、坂本は黙って耐え続けた。

詩織が優太に、亡くなった母のことや、密かに抱いている将来の夢、常にある葛藤について語ると優太は、坂本と3人で名古屋に行こうと提案する。

車の中で、坂本が咳き込み喀血したところへ、何者かが放火する。
坂本は、炎の中にいる母の姿を思い浮かべつつ、逃げることを諦めた。

坂本の焼死を知った優太は、生きる気力を失い、海に入って行ったが、詩織が全力で引き戻した。

浜辺で、焚火を前に並んで座った優太と詩織は「このまま眠ったら死んじゃうかもね」と話し、賭けてみようと、眠った。
夜が明け、目覚めた2人は「生きてたね」と笑顔を交わした。
そして「名古屋に行こう」と、2時間後に駅のホームで待ち合わせる約束をして、一旦別れた。

駅前で優太が警察に捕まったとき、詩織は駅のホームにいた。

警察の取調室で、優太は無言を貫いていたが、「君が火をつけたんだな」との言葉に「全部僕がやりました」と答えた。

優太は「世の中で起きている悪いことぜんぶ、ボクのせい」と言った。

映画『ぜんぶ、ボクのせい』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)

冒頭から胸が締め付けられるような展開で、最後まで目が離せませんでした。施設で育った主人公・翔太が社会の冷たさにさらされながらも、人とのつながりを求めていく姿は本当に切なくて、何度も涙がこぼれました。特に、カスミとユウキとの出会いから少しずつ「家族」のような絆が生まれていく過程は温かく、だからこそラストの別れが一層つらかったです。翔太の「ぜんぶ、ボクのせい」という言葉が重く、社会のあり方を考えさせられました。(20代 男性)


翔太が出会う人々が皆どこか傷ついていて、その中で不器用ながらも心を通わせようとする描写がとても丁寧でした。とくに、カスミが翔太にお弁当を作ってあげる場面や、ユウキが言葉少なに優しさを見せる場面に、人間の温もりが感じられます。それなのに、結局3人の願いは現実に潰されてしまう。その残酷さとリアルさに胸が痛くなりました。「生きるって何?」と問いかけてくるような作品です。(30代 女性)


児童養護施設の描写や、家庭に恵まれない子どもが社会に放り出される現実があまりにもリアルで、ドキュメンタリーを観ているような感覚にすらなりました。翔太が悪くないのに、彼自身がすべてを「自分のせい」と抱えてしまう姿が本当に苦しくて、言葉になりません。ああいう子どもたちを救える社会であってほしいと思いました。(50代 男性)


物語全体に流れる「孤独」と「救いのなさ」がとにかく重たくて、正直、観るのに体力が要りました。でも、観終わったあとにずっと心に残る映画です。翔太が「生まれてきた意味」を探し続ける姿に、自分自身を重ねてしまいました。どこかで手を差し伸べてくれる大人がいたら違ったのに…と何度も思いました。社会の冷たさを痛感しました。(20代 女性)


自分が子を持つ親という立場だからこそ、この映画の内容が胸に刺さりました。翔太のような子が現実にもきっとたくさんいる。無償の愛を知らないまま育った子どもが、大人になったときに何を信じればいいのか。ラスト、翔太がまた一人になるシーンはあまりにも残酷でした。せめて誰か一人でも彼の味方であってほしかった。(40代 男性)


個人的には、3人の旅路が一時でも希望に包まれていたのが救いでした。カスミやユウキもまた“社会のはぐれ者”でありながら、翔太を受け入れてくれたことが嬉しかった。でも、それすらも「夢」に過ぎなかったと突きつけられるラストは、あまりにも残酷。希望を見せて、最後に奪う構成が印象的でした。(30代 女性)


タイトルに込められた意味が最後に明かされるまで、ずっと心が苦しかった。翔太が全てを背負おうとする姿勢は強さでもあり、同時に危うさでもある。彼を取り巻く大人たちの無関心、暴力、そして沈黙が、彼の言葉を「ぜんぶ、ボクのせい」にしてしまった。こういう現実が存在することを知るだけでも、この映画には価値があると思う。(20代 男性)


この映画は、社会からこぼれ落ちた人たちのリアルな痛みを描いています。翔太はもちろん、カスミもユウキも、皆それぞれに居場所を失っていた。3人で過ごす短い時間の中に“家族のような温もり”があったからこそ、別れがつらい。翔太の最後の表情が忘れられません。「生きていていいのか」と問いかけられるような映画です。(30代 男性)


翔太のような子どもが現実に存在していることを思うと、胸が苦しくなります。施設でも家でもなく、どこにも居場所がない。愛された記憶がないから、誰かに頼ることすらできない。そんな彼がようやく見つけた「家族のような人たち」すら、また奪われる。悲しみの連鎖を断ち切る術はないのかと、自問させられました。(40代 女性)


観終わったあと、しばらく言葉を失いました。映画としての完成度は非常に高いのに、心に残るのは「後味の悪さ」や「無力感」。でも、それがこの映画の持つリアリティだと思います。現代社会の陰に生きる子どもたちを、美化せず真正面から描いた勇気ある作品。翔太がこれから少しでも幸せになれることを祈るしかありません。(50代 女性)

映画『ぜんぶ、ボクのせい』を見た人におすすめの映画5選

累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『ぜんぶ、ボクのせい』を見た人におすすめの映画5選を紹介します。

誰も知らない

この映画を一言で表すと?

静かな映像で暴かれる「子どもが大人になる瞬間」の現実。

どんな話?

母親に置き去りにされた4人の子どもたちが、誰にも頼れない状況の中でひっそりと日常を築いていく。長男・明が弟妹を守ろうと必死に背伸びする姿が胸を打つ、実話に基づいた社会派ドラマです。

ここがおすすめ!

大人の責任放棄と子どもの孤立を描いたリアリティが圧倒的。『ぜんぶ、ボクのせい』と同じく、声を上げられない子どもたちの「沈黙の痛み」に寄り添った作品で、観たあとに深く考えさせられます。

万引き家族

この映画を一言で表すと?

「家族とは何か」を問い直す、切なくて温かい社会派ヒューマン劇。

どんな話?

貧困の中で暮らす“家族”が、万引きや社会の隙間で生き延びながら、捨てられた少女を育てていく。しかしその絆は血縁ではなく、法律的にも許されない――。真の絆とは何かを問う人間ドラマです。

ここがおすすめ!

『ぜんぶ、ボクのせい』と同様、“偽りの中に生まれる本当の優しさ”を描いています。子どもたちの視点から見た大人社会の冷たさや、居場所を求める思いがリアルに伝わる、是枝裕和監督の代表作です。

あゝ、荒野(前後編)

この映画を一言で表すと?

社会に見捨てられた若者たちの“闘い”と“再生”の物語。

どんな話?

未来を持てない若者・新次と、吃音を抱える対照的な青年・健二が、ボクシングを通して心を通わせていく。自分の価値を証明したい、居場所が欲しい…そんな叫びがぶつかり合う魂の青春ドラマ。

ここがおすすめ!

『ぜんぶ、ボクのせい』のように、生まれた環境や社会から取り残された人々の“希望をつかもうとする姿”に心を打たれます。肉体と心、どちらの闘いも圧巻で、深く共鳴する作品です。

夜明け

この映画を一言で表すと?

過去にとらわれた男と、過去を語らない青年が築く“仮初の親子関係”。

どんな話?

ある日現れた記憶喪失の青年を助けた男。2人は共同生活を始めるが、青年の過去には重大な秘密があった――。罪と贖罪を静かに描きながら、救済の可能性を探る人間ドラマです。

ここがおすすめ!

“救い”とは何か、“やり直す”とはどういうことかを問いかける作品。『ぜんぶ、ボクのせい』の登場人物たちと同様、逃げ場のない社会で自分の居場所を見つけようともがく姿に、胸が締めつけられます。

子宮に沈める

この映画を一言で表すと?

無関心が生んだ“最悪の現実”を描いた衝撃の問題作。

どんな話?

母親によるネグレクトの果てに起きた幼児遺棄事件を題材に、家庭内で起きる「静かな虐待」と「社会の見えない冷たさ」をリアルに描いた作品。何も起きない日常に潜む狂気がじわじわ迫ってきます。

ここがおすすめ!

『ぜんぶ、ボクのせい』が描いた「助けを求められない子ども」に強く通じるテーマ。観るのが辛くなるほどリアルな描写ですが、現実に目を向けるために必要な一本。映画としての静けさと緊張感も秀逸です。

この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ局の映画番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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