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映画『ベイビー・ブローカー(2022)』のネタバレ・あらすじ・考察・解説

この記事では、映画『ベイビー・ブローカー(2022)』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説し、この映画の疑問や謎をわかりやすく考察・解説しています。

映画『ベイビー・ブローカー(2022)』の作品情報


出典:U-NEXT

製作年 2022年
上映時間 129分
ジャンル ヒューマンドラマ
監督 是枝裕和
キャスト ソン・ガンホ
カン・ドンウォン
ペ・ドゥナ
イ・ジウン
イ・ジュヨン
製作国 韓国

映画『ベイビー・ブローカー(2022)』の登場人物(キャスト)

ハ・サンヒョン(ソン・ガンホ)
「赤ちゃんポスト」に入った赤ちゃんの新しい両親を探すビジネスであるベイビーブローカーをしている。離婚歴があり、一人娘がいる。
ユン・ドンス(カン・ドンウォン)
サンヒョンのパートナーで同じくベイビーブローカーでもある。養護施設出身で、自身も捨て子であった。
ムン・ソヨン(イ・ジウン)
ウソンの母親で、ウソンを一度は「赤ちゃんポスト」へ入れるが、ひょんなことからサンヒョンとドンスと共にウソンの育て親探しをする。
アン・スジン(ぺ・ドゥナ)
ブローカーたちを逮捕しようと、執拗に追いかける刑事。赤ちゃんを捨てる母親に対して強い不快な感情を示す。
ウソン(パク・ジヨン)
ソヨンの赤ちゃん。名前はソヨンの命名で、漢字で表記すると「羽星」となる。眉毛が薄い特徴がある。

映画『ベイビー・ブローカー(2022)』のネタバレ・あらすじ(起承転結)

映画『ベイビー・ブローカー(2022)』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『ベイビー・ブローカー(2022)』のあらすじ【起】

ある土砂降りの日に、若い女性が「赤ちゃんポスト」の前に、赤ん坊を置き去りにしていく。その様子を遠くから二人の刑事が観察をしていた。刑事のスジンは、後輩の刑事に女性の尾行を命じ、赤ん坊を「赤ちゃんポスト」へ入れる。施設の中には、若い青年のドンスと中年のサンヒョンがいた。二人は、施設の職員をしながら、赤ん坊を売る「ベイビーブローカー」の仕事もしていた。

赤ちゃんを回収すると、中にはメモが入っており、「必ず迎えに来る」というメモが残されていた。ところが、施設育ちのドンスは、母親が迎えに来ることはないということを知っていた。そんなドンスの予想とは裏腹に、翌日に母親が赤ちゃんを施設に迎えに来る。ところが、ドンスとサンヒョンは既に赤ん坊を施設内で預かっていないと伝える。そのことに気が付いた母親のソヨンは、警察に通報しようとする。仕方がなくソヨンを赤ちゃんのもとへと案内し、自分たちのもう一つの仕事を伝える。ソヨンは、そんな二人にうんざりしながらも、赤ちゃんの育て親を探す旅に出たいと伝える。

映画『ベイビー・ブローカー(2022)』のあらすじ【承】

スジンとイ刑事は、人身売買の容疑でドンスたちを逮捕しようとしており、旅に出るソヨンたちを尾行する。まずソヨンたちは、漁港へ行き、赤ちゃんを買ってくれそうな夫婦に会う。ところが、赤ちゃんの顔を見た夫婦は、赤ちゃんの顔にケチをつける。自分の赤ちゃんを馬鹿にされたソヨンは激怒し、交渉は決裂してしまう。

続いて一行は、ドンスの生まれ育った施設へ向かう。ドンスの来訪に施設の子どもたちは、大喜びで迎え入れる。施設の子どもたちの境遇について、改めて知ることになった一行。話の中で、赤ちゃんを捨てようとするソヨンと、ドンスは口論になってしまう。その日の夜にソヨンとドンスは、お互いに謝罪し和解をする。

一行が次の買い手のもとへ向かう車に誤って施設の子のヘジンが紛れ込んでしまう。ヘジンは、施設の暮らしにうんざりしており、抜け出したいと前々から思っていたのである。ヘジンの目的を知った一行は、ヘジンをひとまず旅に同行させるのであった。

映画『ベイビー・ブローカー(2022)』のあらすじ【転】

刑事のスジンは、一行を逮捕するため、おとりの買い手夫婦を用意する。ところが、この夫婦がおとりであると、ドンスに見破られてしまう。

他の里親候補が出てくるのを待つサンヒョンたち。コンビニにソヨンが一人で行った際に、刑事が待ち伏せており、ソヨンにとある提案を持ちかける。実はソヨンは、ヤクザの男であり、赤ちゃんの父親でもある男を殺害していたのである。ソヨンがサンヒョンたちの逮捕に協力すれば、ソヨンとウソンの身の安全を保証するというものであった。

サンヒョンは、ソヨンの帰りが遅いということで、ソヨンの裏切りを勘付き始める。サンヒョンたちのもとに戻ってきたソヨンは、サンヒョンたちに刑事からの提案をすべて打ち明ける。ドンスは、車に取り付けられたGPSを取り外し、車ではなく電車で移動し、ウソンの育て親候補に会いにソウルへ行くのであった。

映画『ベイビー・ブローカー(2022)』の結末・ラスト(ネタバレ)

一行がソウルへ到着すると、ウソンの育て親候補に会いに行く。人柄の良さそうな夫婦で、ウソンを大切に育てることを約束してくれる。一晩じっくり考えさせてほしいとソヨンに伝える。

一行は、その日の晩は、モーテルに宿泊する。そこでドンスは、改めて親に捨てられることの辛さを話し始める。しかしながら、ソヨンの人柄の良さを知ったドンスは、彼女を非難することはなくなった。ソヨンはウソンを抱きしめて、「生まれてきてくれてありがとう」と伝え、明日育て親候補に引き渡すことを決める。

翌朝、育て親候補に会いに行く一行。ところが、サンヒョンの姿が見当たらない。サンヒョンを除いた一行は、取引を里親候補と話を進めていくのだが、その最中に警察が突入して来て一行を逮捕する。

その後、ウソンを引き取ったのはスジンであった。ソヨンたちが出所した後に、ウソンを育てられるように手配をするのであった。

映画『ベイビー・ブローカー(2022)』の考察・解説(ネタバレ)

映画『ベイビー・ブローカー(2022)』の疑問や謎をわかりやすく考察・解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『ベイビー・ブローカー(2022)』に気まずいシーンはあるか?

『ベイビー・ブローカー』には、観る人の心に複雑な感情を呼び起こす、いくつかの気まずいシーンが存在します。例えば、赤ちゃんを特別な「赤ちゃんポスト」に預けるシーンは、子供を手放さざるを得ない状況を描いており、観客によっては非常に胸が痛む場面だと言えるでしょう。また、赤ちゃんを引き取ろうとする家族や、育てることができない母親の心情が描写されるため、どちらの立場にも同情の気持ちを抱いてしまい、見ていて居心地の悪さを感じる人もいるかもしれません。

さらに、「ブローカー」と呼ばれる赤ちゃんの売買に関わる人物たちが登場し、赤ちゃんを売るための方法を話し合うシーンもあります。このようなデリケートな話題は、命の価値観や道徳的な問題について深く考えさせられる場面であり、観る人の心に重くのしかかります。加えて、主人公たちが警察に追われる中で赤ちゃんを売ろうとする場面では、彼らの行動に対して共感と反発が入り混じり、視聴者の感情が揺さぶられることでしょう。

これらのシーンは物語を展開させる上で重要な役割を担っており、登場人物たちの葛藤や社会の現実を浮き彫りにしています。しかし同時に、観る人の心に気まずさを残す場面でもあるのです。このようなシーンの存在は、作品のテーマに深みを与える一方で、視聴者にとっては辛く感じられることもあるでしょう。『ベイビー・ブローカー』は、観る人の感情を揺さぶりながら、社会の闇に光を当てる作品なのです。

映画『ベイビー・ブローカー(2022)』がつまらないと言われる理由は?

『ベイビー・ブローカー』が「つまらない」と評される理由は、映画が扱うテーマや物語の進行方法にあるのかもしれません。この作品は、赤ちゃんの売買という非常に重く深刻な題材を取り上げており、その内容はシリアスで時に暗い雰囲気を醸し出します。テーマの重さゆえに、観る人によっては辛さを感じたり、純粋に楽しめないと感じることもあるでしょう。

また、映画のペースはゆったりとしており、派手なアクションや演出は少なく、登場人物たちの感情の機微や人間関係に重点が置かれています。そのため、物語の展開のスピード感や刺激的な場面を期待していた人には、退屈に感じられるかもしれません。この作品の中心は人間ドラマであり、登場人物たちの心の変化や絆の形成が丁寧に描かれます。しかしその描写は時として淡々としているため、感情移入がしづらいと感じる人もいるかもしれません。

さらに、物語が終盤に差し掛かるにつれて状況が複雑になり、登場人物たちの選択や行動に共感できないと感じる場面も出てくるかもしれません。このような要素が、観客に「つまらない」という印象を与える原因の一つになっているのかもしれません。

総じて、『ベイビー・ブローカー』は重いテーマを扱った人間ドラマであり、ゆっくりとしたペースで物語が進行するため、派手な展開や刺激的な場面を期待していた人には物足りなく感じられる可能性があります。しかし、この作品が提示する問題提起や登場人物たちの心の機微は、じっくりと味わうことで見えてくる価値があるのです。

映画『ベイビー・ブローカー(2022)』の最後で流れたニュースの意味は?

映画の終盤で流れるニュースは、登場人物たちのその後の状況を観客に伝える重要な役割を担っています。ニュースの中で、ソ・ソンヒョン(ソン・ガンホ演)が赤ちゃんの売買に関与した罪で逮捕されたことが報じられます。このニュースは、彼が長年続けてきた「ベイビーブローカー」としての活動が遂に表沙汰となり、社会からその行為に対する評価が下されたことを意味しているのです。

また、赤ちゃんの母親であるソ・ヨン(イ・ジウン演)が警察に出頭し、自らの罪を認めたことも伝えられます。彼女は自分の行動に責任を持ち、法の裁きを受け入れる決意をしたのです。このシーンは、映画全体を通して描かれてきた登場人物たちの葛藤や成長の過程を象徴しており、彼らがそれぞれの選択の結果と向き合う姿勢を表しています。

最後に、ニュースでは赤ちゃんが里親のもとで幸せに暮らしていることが伝えられます。この情報は、作品の中で描かれた様々な困難や葛藤の中にあっても、少なくとも赤ちゃんには新しい人生が開かれたことを示す希望の象徴となっています。

このようにニュースは、登場人物たちが直面した現実と、彼らが選び取った道を観客に伝える役割を果たしています。それは物語の結末を補完し、観客に作品のメッセージを深く印象づける効果があるのです。『ベイビー・ブローカー』という作品が提示した問題は、このニュースを通して現実世界に投げかけられ、観る人の心に残り続けるのです。

映画『ベイビー・ブローカー(2022)』に日本人キャストはいるか?

『ベイビー・ブローカー(2022)』には、日本人キャストは登場しません。この作品は韓国を舞台にした物語であり、登場人物も全員が韓国人として設定されています。主要キャストとして、ベイビーブローカーのリーダー、サンヒョン役をソン・ガンホが、その仲間であるドンス役をカン・ドンウォンが演じ、赤ちゃんの母親、ソ・ヨン役には人気歌手のイ・ジウン(IU)が抜擢されています。

この映画は、韓国の「赤ちゃんポスト」という社会問題を題材にしており、赤ちゃんの行く末をめぐって登場人物たちが葛藤し、選択を迫られる姿を描いています。物語のテーマは、韓国社会における家族や親子の問題に焦点を当てており、仮に日韓共同製作であったとしても、キャスト全員が韓国人であることに変わりはありません。

つまり、『ベイビー・ブローカー』には日本人キャストは一切登場せず、韓国人キャストのみで物語が展開されるのです。作品の内容や演出においても、日本との関連性は特に描かれていません。あくまでも、韓国の社会的背景を基盤に、家族や絆のテーマを探求する韓国映画としての性質を持っているのです。

したがって、『ベイビー・ブローカー』は日本人キャストを起用していない純粋な韓国映画作品であり、韓国の文化や社会問題に根ざしたストーリーを、韓国人キャストの演技を通して描き出しているのだと言えるでしょう。

映画『ベイビー・ブローカー(2022)』の最後の写真の意味は?

映画のラストシーンに登場する一枚の写真は、作品全体の象徴的な場面であり、登場人物たちの心の変化や絆の深まりを表現しています。写真の中には、赤ちゃんを囲んで笑顔を浮かべるソ・ヨン、ソ・ソンヒョン、そして彼らの仲間たちの姿が収められており、一時的にせよ、彼らが家族のような結びつきを感じていたことが伝わってきます。

この写真は、彼らが物語の中で経験した数々の困難や、旅の中で育まれた絆を象徴的に表現しているのです。当初はお互いを利用し合うだけの関係だった彼らが、共に過ごす時間の中で少しずつ心を通わせ、まるで本当の家族のように感じ始めた過程が、この一枚の写真に凝縮されています。写真に写る彼らの笑顔からは、短い間ではあっても共に過ごした日々が、彼らにとってかけがえのない大切な思い出になったことが伝わってきます。

さらに、この写真は物語の結末で描かれる、登場人物たちがそれぞれ選んだ道とは対照的な存在でもあります。たとえ最後には別々の道を歩むことになったとしても、共に過ごした時間が確かに存在したことを、この写真は物語っているのです。観る者にとって、この写真は彼らの旅が決して無駄ではなかったことを思い起こさせ、胸に温かさと切なさを同時に呼び起こします。

写真が持つ意味は、「家族とは何か」「絆の大切さ」といった作品全体のテーマを象徴的に表現しており、登場人物たちが一時的にでも家族のような絆を感じたことを、視覚的に伝えているのです。『ベイビー・ブローカー』という作品が提示する、家族の形やつながりについての問いかけは、この一枚の写真に集約されていると言っても過言ではないでしょう。

映画『ベイビー・ブローカー(2022)』で、ヘジンはラストにヒッチハイクでどこへ向かったのか?

映画のラストシーンで、ヘジンがヒッチハイクに乗り込み、どこかへ向かう姿が描かれます。しかし、具体的にどこへ行くのかは明らかにされていません。このシーンは、ヘジンが新たな人生を歩み始めようとしている象徴的な場面だと解釈できるでしょう。彼は物語の中で数々の辛い経験をしてきましたが、最後には自分の意志で未来を選び取り、旅立つ決意をしたのです。

ヘジンの旅立ちは、新しい始まりや希望を表現しています。これまで他の登場人物たちと共に歩んできた道のりから、彼は自分自身の道を進むことを選びました。行き先は明らかにされていませんが、その旅の中で、これまでの経験や学びを胸に、自分なりの未来を切り拓いていこうとする彼の姿が想像できます。

また、ヒッチハイクという行為自体が「未知なる場所への旅」を連想させ、ヘジンの未来が未だ決まっていないことを暗示しています。それでも彼が笑顔で旅立つ姿は、どんな困難に直面しようとも、前を向いて生きていこうとする強い意志の表れだと言えるでしょう。

このラストシーンは「新たな希望」「再出発」といった作品のテーマを象徴的に表現しており、観る者の心に、ヘジンの未来が明るいものであってほしいという願いを抱かせずにはいられません。彼の旅立ちは、誰もが心の中に秘めている、新しい一歩を踏み出したいという思いにも通じるものがあるのです。『ベイビー・ブローカー』は、ヘジンの姿を通して、人生の岐路に立つ全ての人々に、勇気と希望のメッセージを送っているのかもしれません。

映画『ベイビー・ブローカー(2022)』のラスト「4000万ウォン」の意味とは?

映画のラストシーンで言及される「4000万ウォン」は、赤ちゃんを売ることで得られる金額として、物語全体を通して重要な役割を果たしています。この金額は主人公たちが追い求める目標の一つとして描かれていますが、同時に単なるお金以上の象徴的な意味を持っているのです。

4000万ウォンという金額は、まず登場人物たちが直面する現実的な問題を表しています。ソ・ソンヒョンやソ・ヨン、そして彼らの仲間たちは経済的に厳しい状況に置かれており、この大金を手に入れることで生活を立て直すことができると考えているのです。特にソ・ヨンにとって、赤ちゃんを育てる環境が整わない中、せめて養子に出す際にお金をもらうことで、何らかの形で未来への希望を見出そうとしていました。

しかし物語が進行するにつれ、この金額が持つ意味合いは徐々に変化していきます。登場人物たちは旅を通して、家族や絆の大切さ、そして人生において真に大事なものが何であるかを学んでいくのです。最終的に、4000万ウォンというお金は彼らにとっての目標ではなくなり、金銭よりも尊い何かを見つけ出すに至ります。

この金額は、物語の序盤では登場人物たちの大きな目標として掲げられていましたが、ラストシーンではそれがいかに空しいものであったかが浮き彫りになります。登場人物たちが金銭的価値を超越した、より大切なものを発見したことを示唆しているのです。つまり、この作品は「お金がすべてではない」というメッセージを、4000万ウォンという具体的な金額を通して伝えようとしているのです。

『ベイビー・ブローカー』は、赤ちゃんの売買という衝撃的な題材を通して、家族の絆や人生の真の価値について問いかける作品です。そしてラストの「4000万ウォン」は、その問いかけに対する一つの答えを象徴していると言えるでしょう。お金よりも大切なものを見つけた登場人物たちの成長と、彼らが辿り着いた結論を、この金額は雄弁に物語っているのです。

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