映画『9 ナイン 9番目の奇妙な人形』の概要:機械が生活の一部となった現代、機械が反乱を起こし人類が滅亡するという題材の映画は多い。今作もその一つであるが、機械vs人間ではなく、機械vs人間に希望を託された人形という新たな視点で描かれたファンタジー作品。
映画『9 ナイン 9番目の奇妙な人形』の作品情報
上映時間:80分
ジャンル:ファンタジー、アクション、アニメ
監督:シェーン・アッカー
キャスト:イライジャ・ウッド、ジェニファー・コネリー、クリストファー・プラマー、ジョン・C・ライリー etc
映画『9 ナイン 9番目の奇妙な人形』の登場人物(キャスト)
- 9(浪川大輔)
- 科学者によって作られた最後の人形。未完成のままであったが、仲間の手助けによって会話が可能となる。偶然部屋で見つけたボタン型の機械を大事に持ち歩く。
- 7(斎藤恵理)
- 女性の人形。勝気な性格で、9達がビーストに襲われているところを助け出した。
- 5(落合弘治)
- 以前2に命を助けられた片目の人形。9と共に2の救出に向かう。
- 2(伊井篤史)
- 高齢の人形。9をビーストから庇い、敵に捕まってしまう。
- 1(石田太郎)
- 最初に作成された人形で、人形たちのリーダー格。
映画『9 ナイン 9番目の奇妙な人形』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『9 ナイン 9番目の奇妙な人形』のあらすじ【起】
背中に9という数字がかかれた、麻布で作られた人形は、とある静かな部屋で目を覚ましました。その部屋をよく見渡してみると、1人の老人が倒れています。その老人こそが9を作った張本人なのですが、既に息絶えているようでした。その老人は今迄9以外にも1から8という8体の人形を作ってきましたが、9はまだ未完成のままでした。その為声を出す事もできない9は、近くに置いてあったボタンのような物を何となく拾い、お腹に取り付けられていたジッパーに入れて外に飛び出しました。
外に出てからも状況は部屋の中とあまり変わらず、誰もいない、荒廃した街が続くばかりでした。すると、9は自分と同じように背中に数字が書かれた人形、2を見かけます。すると2は9の微調整をし、声を出せるようにしてくれました。そして、2は9が持っていたボタンに目をつけます。2は「あいつがいつも書いてたものだ」と意味ありげな言葉を残します。
何のことか聞こうとした矢先、何と犬の形をした機械が急に2人に襲いかかってきたのです。そしてその犬型機械は、9を庇った2と、そしてボタン型の何かを持ち去ってしまいました。
映画『9 ナイン 9番目の奇妙な人形』のあらすじ【承】
2に助けられた9でしたが、9もまた、犬型機械によって腕を傷つけられていました。そして気を失ってしまったところに、一つの影が現れました。遠くの洋館から、望遠鏡で2人の様子を見守っていた人形、5です。5は以前9と同様2に自分の命を救ってもらった過去があり、2が連れ去られたという実情にひどく心を痛めていました。
その洋館には、5以外にもリーダー的役割で最も早く作られた人形である1、そして1のボディーガードである8も暮らしていました。9は彼らに2を助けに行く事を提案しますが、1はそれに反対します。というのも、ある日機械が覚醒し反旗を翻した事によって人類が滅亡してからというもの、現在この世界には先程の犬型機械、ビーストのような機械が跋扈している為でした。事実今迄外の世界に出た他の人形、3・4・7は彼らに捕まり行方をくらましています。
しかし9は1の忠告を無視し、同じく2を助けたいと強く願う5と共に2の救出に向かいます。小さい体を利用して見事アジトに辿り着いた2人は、鳥籠に閉じこめられた2を発見します。しかし、そこに先程のビーストが現れるのでした。
映画『9 ナイン 9番目の奇妙な人形』のあらすじ【転】
絶体絶命の状況に陥った1と5でしたが、そんな2人の前に長年姿を消していた7が現れます。7は華麗な動きでビーストを倒すと、2の解放を手助けしてくれました。しかし、その時9の目に変わった窪みが映りました。何となく、取り返したボタンをその窪みに入れてみた9でしたが、それが取り返しのつかない出来事を呼び起こしてしまいます。
何か機械が動き出す音がした直後に、今迄眠りについていた蜘蛛型の巨大なロボットが発動したのです。そしてその蜘蛛が持つ不思議な力によって、2は人形から魂を吸い取られてしまうのでした。逃げ惑う中、一行は同じく行方不明であった3と4に出会います。彼等は密かに、これらの機械の研究をしていたのでした。そしてこの蜘蛛型のロボットこそが、かつて人類を滅亡させた根源のロボットである事を知ります。
更に、蜘蛛型のロボットだけでなく他の機械達も人形を襲撃します。一行は力を合わせ、何とか鳥型のロボットを倒しましたが、その行為が更に蜘蛛型ロボットの機嫌を損ねてしまいます。暴れたロボットは、7と8を誘拐してしまいました。
映画『9 ナイン 9番目の奇妙な人形』の結末・ラスト(ネタバレ)
9は咄嗟に2人を助けようと動き、7を助け出すことに成功します。しかし一歩及ばず、目の前で8の魂を抜き取られてしまうのでした。9は機械を止める為、7と共に近くにあったドラム缶を放り込み、その機械ごと辺り一帯を爆発させたのでした。犠牲を出しながらも見事機械を退けた事に喜ぶ一行、しかし、機械はまだ生き絶えてはいませんでした。
不意をつかれ、更に5と6の魂を奪われてしまいます。他の仲間達は機械を破壊しようと提案しますが、それでは捕まった仲間の魂がどうなるかわからないと思った9は、他の方法を探そうと提案します。そして何かヒントが隠されているかもしれない、と自分達が目覚めた部屋へと戻るのでした。その部屋には、一つの映像が残されていました。そしてその映像には、部屋で死んでいたあの老人の独白が吹き込まれていました。あの機械の製作者であった老人は、ある日それを軍用に奪われてしまうのでした。
そして製作者である老人の言葉通り、9はあの場に戻ってボタンの効果を止めました。9の活躍で、囚われていた仲間の魂は天国へと還り、そして残りの人形達は今後のこの世界を守って行く事を誓うのでした。
映画『9 ナイン 9番目の奇妙な人形』の感想・評価・レビュー
人類が軍事用機械によって滅んでしまっている世界で、科学者が人間の魂を転送した人形に願いを託したというストーリー。人形にはそれぞれ番号がふられており、立ち上がりから、9とかかれた人形に焦点を当てている為、ストーリーが進むに連れて、9以下の個性的な人形が登場する。キャラクターデザインは麻袋のような体にゴーグルのようなものを身に付けているというものであり、好みは分かれそうである。単純に言えば、軍事用の機械VS人間の心を持った人形達という構図なのだが、経緯が少しはしょられ気味なので、理解が追いつかない所があるが、間延びしている感自体はあまり感じなかった印象。(男性 30代)
荒廃した世界と主人公たち人形の織り成す世界感が際立っており引き込まれるつくり。特に主人公の造形は巧みで、謎だらけの世界を一緒に解明したい気になる魅力がある。示唆に満ちた話ではあるが、魂を狙う機械という設定は異質な世界にぴったりの脅威で素晴らしいアイデアだと言えるだろう。行き過ぎた科学(探求心)が世界を滅びるきっかけとなったが、探求心を持つことが人間らしさの証明でもあるという解釈を私はしたが、多様な解釈ができる映画だろう。(男性 30代)
人間に反旗を翻したロボットに滅ぼされ、荒廃した世界が舞台です。有毒ガスにより生命が限りなく減ってしまい、無機質な物ばかりが残る雰囲気が不気味です。如何にも戦闘に特化したフォルムの機械獣と、麻布人形たちの戦いが描かれています。次々に製造される機械獣に、脆く壊れやすい人形たちは頭脳戦で挑みます。人形たちが賢いのは、科学者の命を宿していることの伏線だと思います。ラストは何とも言えない気持ちになりましたが、同じ科学者から生まれた人形だと考えると、脅威を倒し世界を好転させることが亡くなった彼らの役割だったのかもしれません。(男性 20代)
みんなの感想・レビュー
退廃的で世界観が素晴らしいファンタジー映画である。
キャラクター達の個性がそれぞれしっかり作られている為、見た目的な可愛さなどとは違った滲み出る芯の強さと言う魅力がある。
世界観の設定が、マシンと人間の戦争後の世界であり、生物を枯らしてしまうガスの使用など、子供にはお勧め出来ないダークファンタジーである。
人形と言えど、魂を抜かれてしまう姿は気分の良い物では無いし、敵となるマシンも人工知能として、入り組んだ造りになっており見た目が少しグロテスクである。
映像の美しさは秀逸なので、ストーリーだけでなく映像美も堪能するとかなり素晴らしい映画と感じる。
特に建物の門の造りなど、建築物の美しさに磨きがかかっているので注目しながら観ると良い。
途中少し説明が慌しくなってしまい、状況や根源についていけないと感じる部分もあるかもしれない。
しかし、主人公の動きがサバサバしている為に、何となく流れですんなり最後まで見る事が出来る。
アクションも派手で、小さいながらもそれの何倍にもなる大きさの敵と対峙していく姿は一生懸命で胸がじんとくる。
最後に、装置のスイッチを押して魂を呼び出した後、てっきりまた死体となった姿に転送され復活されるのかと期待したが、そのまま成仏してしまったのは少し悲しい。
残された者だけで世界をまた守っていく使命の重さにどこか希望だけでなく物悲しさや不安が漂う。
映像の美しさが秀逸なので、映像だけ流していても見入ってしまう作品と言える。
最初の9が科学者によって造られる場面もどこかレトロな雰囲気が漂い、図書館や門、建築物の映像の美しさに時間を忘れてしまうかもしれない。
世界設定自体はほぼ「ターミネーター」と同じと言える。
科学者の作ったマシンが、結局は人間に反抗し、人間VSマシンになってしまった故の戦争。
そこから結局人間は滅びてしまうのだが、科学者は人としての心を転送した人形を残す、と言うのが胸にぐっと来る。
自分の引き起こした問題を、自分の分身で阻止しようとする姿が、人の愚かさを表現すると同時に人の心の素直さを出している。
結局自己責任、と言う事場も浮かぶのだが、作中で哀れな科学者の死体を見てしまうと何も言えなくなってしまう。
9番目まで造られた人形に、自分の持つ性格の色々な部分を振り分けられている所も、人の心が1色だけで済まない複雑さを表していて考えさせられる。
最後が少し急にまとめた感じになってしまい、追いつかない部分もあるかもしれない。
もう少し暗黒科学について焦点を当てて解説が欲しかったとは思う。