この記事では、映画『マジック(1978)』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『マジック(1978)』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『マジック』の作品情報

出典:https://video.unext.jp/title/SID0061955
| 製作年 | 1978年 |
|---|---|
| 上映時間 | 107分 |
| ジャンル | サスペンス |
| 監督 | リチャード・アッテンボロー |
| キャスト | アンソニー・ホプキンス アン=マーグレット バージェス・メレディス エド・ローター |
| 製作国 | アメリカ |
映画『マジック』の登場人物(キャスト)
- コーキー(アンソニー・ホプキンス)
- カードを使ったマジックに関しては、一流の腕前を持っている手品師。客前で緊張して失敗した経験を生かし、「ファッツ」という名の人形と腹話術で会話する形のマジックを披露し、人気者となる。
- ペギー(アン=マーグレット)
- コーキーの高校時代の同級生。テレビ出演したコーキーを見ていて、コーキーとの再会を喜ぶ。コーキーと同じく同級生だったデュークと結婚しているが、夫婦生活は上手くいっていなかった。
- グリーン(バージェス・メレディス)
- 人気者となったコーキーの興行を管理する、ベテランマネージャー。大手テレビ局で、コーキーのドキュメンタリー番組を制作するという企画を立ち上げる。
- デューク(エド・ローター)
- コーキーとペギーの高校時代の同級生で、今はペギーと結婚している。コーキーが自宅近くのロッジに来ていると知り、ペギーとの浮気を疑い始める。
映画『マジック』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『マジック』のあらすじ【起】
手品師のコーキーは、カードを使ったマジックが得意だったが、客前に出ると緊張してその腕前を発揮できず、散々な結果に終わっていた。そこでコーキーは恩師のアドバイスに従い、客の心を引き付けるため、腹話術の人形「ファッツ」と一緒に舞台に出るようになる。
コーキーとファッツの軽妙なやり取りは客に大受けし、コーキーは人気者の手品師となる。コーキーの専属マネージャーとなったベテランのグリーンは、大手テレビ局にコーキーのドキュメンタリー番組を制作しようと提案する。
テレビ局の代表もコーキーの舞台を見てその気になり、グリーンとの出演交渉が始まる。そこでグリーンはコーキーに、番組制作前に健康診断を受けてくれと依頼する。
大金をかけた番組制作の途中で、出演者が病気で倒れたら一大事なので、健康診断は制作前に必須の事項だった。しかしコーキーは頑なに診断を拒み、グリーンの前から姿を消す。
コーキーは生まれ故郷の田舎町へ行くと、湖畔にある貸しロッジへ向かう。ロッジを貸し出している一軒家にはペギーという女性が住んでいて、ペギーはコーキーの高校時代の同級生だった。
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映画『マジック』のあらすじ【承】
ペギーはテレビ出演したコーキーを見ていて、ファッツを連れて来たコーキーに大喜びする。一方コーキーは高校時代からペギーに憧れていたが、ペギーは同級生だったデュークという男と結婚していた。
しかしデュークとの結婚生活が上手くいっていなかったペギーは、ファッツを使って自分を楽しませてくれるコーキーに惹かれていき、デュークが出張で家を留守にしている間に、コーキーと一夜を共にする。
憧れの女性と結ばれたことで有頂天になるコーキーだったが、ロッジに戻ると「いい気になるなよ」とファッツが語り出し、コーキーもファッツに言い返す。コーキーはファッツとの舞台を続けているうちに、私生活でもファッツと会話を交わす、2重人格のような生活を送るようになっていた。
ロッジでコーキーとファッツが口喧嘩をしていると、そこにグリーンがやって来て、客前でもないのにファッツと語り合うコーキーは精神を病んでおり、それで健康診断を拒んだのだと察する。
映画『マジック』のあらすじ【転】
自分は正常だと主張するコーキーに、グリーンは「それなら、5分だけファッツを黙らせてみろ」と告げる。コーキーはそのテストに挑戦するものの、3分と持たずにファッツを抱きあげて喋らせてしまう。
グリーンは「まず医者にかかれ」と告げて、ロッジを出て行く。どうすればいいのかとコーキーが狼狽していると、ファッツは「俺を使ってあいつを始末しろ」とコーキーに命令する。
コーキーはファッツに言われた通り、帰り際のグリーンに襲いかかり、ファッツの人形で殴り倒して殺害する。そしてファッツの指示に従い、その死体を湖に沈めてしまう。
やがてペギーの夫・デュークが出張から帰って来て、湖畔のロッジにもと同級生のコーキーが暮し始めたと知り、ペギーがコーキーと浮気をしたのではないかと疑い出す。更に、グリーンが乗って来た車が湖畔に停まっているのを発見する。
コーキーを怪しんだデュークはロッジに行くと、コーキーが留守と見て部屋の中を探索する。しかし、壁際に置かれていたファッツの人形に見られているような気がして近づくと、人形は手に持ったナイフでデュークを刺し殺す。
映画『マジック』の結末・ラスト(ネタバレ)
実はコーキーはカーテンの後ろに隠れていて、密かにファッツを操作していたのだった。コーキーはデュークの死体も湖に沈め、ペギーと旅行へ出かけようと考える。だが、ファッツの言葉がペギーを傷つけてしまい、ペギーは泣きながら去っていく。
そこでファッツはコーキーに、ペギーも殺害するようそそのかす。コーキーは、俺には出来ないと反対するものの、気が付くとナイフを持ってペギーの家に潜入していた。
そしてコーキーは、血に濡れたナイフを持ってロッジに帰って来る。戻って来たコーキーを見て、ファッツは「なんだかお腹が痛いよ」と告げる。コーキーはペギーを殺そうとする自分を止めるため、ナイフで自分の腹を刺したのだった。
コーキーはファッツの人形を抱きしめ、「死ぬのは2人一緒さ」とファッツに語りかけると、その場に横たわる。そこにペギーがやってきて、玄関の外から「あなたと一緒に行くと決めた」と語りかけるが、その声に答える者は、誰もいなかった。
映画『マジック』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
人形の「ファッツ」によって精神を支配されていくコーキーの姿が恐ろしくも哀れでした。最初はコメディのように見える ventriloquist act が、次第に人形の方が主導権を握っているように錯覚させる演出が巧みで、観ていて背筋が寒くなります。恋人ペギーと逃避行するものの、結局ファッツの声から逃れられない結末は悲劇的でした。人形ホラーの原点ともいえる作品。(20代 男性)
ファッツの声がコーキーの潜在意識そのものだと考えると、この映画は「自己との戦い」を描いた心理スリラーに思えます。アンソニー・ホプキンスの狂気的な演技は圧巻で、ペギーとの恋愛シーンですら不穏さが漂っていました。ラストでファッツに完全に支配される瞬間は、観客にも絶望が伝わります。古典的でありながら今でも強烈に印象に残る一本です。(30代 女性)
人形に操られるという設定は一見ベタですが、この映画の怖さは「どこまでが本人で、どこからが人形なのか」が曖昧な点です。コーキー自身がファッツを使って本音を吐き出す場面は、人間の二面性を象徴しているようでリアルでした。最後にペギーのもとで破滅する結末は切なく、ホラーでありながら人間ドラマとしても観応えがありました。(40代 男性)
観終わった後、ただの人形劇にはもう笑えなくなりました。ファッツが喋るシーンはもちろん不気味ですが、それ以上にコーキーが彼を「止められない」ことにゾッとしました。つまり人形が怖いのではなく、人間の心の闇が具現化したのが恐怖の正体。ペギーとの短い幸福が余計に悲劇を際立たせています。まさに心理ホラーの秀作です。(50代 女性)
アンソニー・ホプキンスの演技力に圧倒されました。特にマネージャーに「5分間ファッツを喋らせるな」とテストされる場面で、耐えられず声が出てしまう瞬間は鳥肌モノです。ファッツはただの人形なのに、まるで意思を持っているように感じられ、観客までもが彼の存在を信じてしまうのが恐ろしい。悲劇的な結末を知っていても繰り返し観たくなる作品でした。(20代 女性)
ストーリーは単純ですが、人形と人間の境界を揺さぶる演出が秀逸でした。ファッツがコーキーの分身であり、抑圧された欲望を吐き出すための存在だとすれば、あの破滅は必然。ペギーに愛を告白しながらもファッツに阻まれる場面は、人間の弱さと孤独を象徴していました。恐怖と悲哀が見事に交錯した映画だと思います。(30代 男性)
この映画を観て、人間は自分の中に「ファッツ」を持っているのではないかと考えさせられました。心の奥に潜む弱さや攻撃性を隠しきれず、それに支配されてしまう怖さ。コーキーはその典型で、ファッツを通してしか自分を表現できなかった。だからこそラストの破滅は避けられないものに感じられました。心理ホラーの古典として評価されるべき作品です。(40代 女性)
最も印象に残ったのは、ペギーとのシーンです。コーキーが彼女に愛を伝える一方で、ファッツが嫉妬するように口を挟む演出は、人間関係の中に潜む「もう一つの自分」の存在を思わせました。愛と狂気の狭間で揺れる主人公は悲劇的で、観る側にも不安を与えます。静かなホラー映画として唯一無二の魅力を持っていると思います。(50代 男性)
ホラー要素もさることながら、孤独と愛をテーマにしている点に惹かれました。コーキーはペギーに救いを求めながらも、結局ファッツの声から逃れられない。つまり自分自身と折り合いをつけられない人間の悲劇なのです。ファッツがただの人形なのに観客を恐怖させるのは、まさにその心理的リアリティがあるからでしょう。(20代 男性)
『マジック』は人形ホラー映画の中でも、最も心理的に深い作品のひとつだと思います。単に「人形が怖い」ではなく、人間の心の闇が形をとったものとして描かれている。ラストでペギーがコーキーを抱きしめる場面は、救いのようでありながら絶望的でもありました。怖さと切なさが同居する傑作で、今観ても色あせない作品です。(30代 女性)
映画『マジック』を見た人におすすめの映画5選
チャイルド・プレイ
この映画を一言で表すと?
人形に憑依した殺人鬼が巻き起こす恐怖。
どんな話?
連続殺人犯の魂が人形「チャッキー」に乗り移り、持ち主の少年とその家族を襲う物語。無邪気なおもちゃが次第に狂気を帯びていく展開は、恐怖と不条理さが入り混じり、観る者を釘付けにします。
ここがおすすめ!
「人形が動き出す恐怖」を最も有名にした作品。『マジック』のファッツの不気味さに魅了された人なら、チャッキーの狂気と皮肉なユーモアにもきっと惹かれるはずです。
サイコ
この映画を一言で表すと?
人間の二面性を暴き出す心理ホラーの金字塔。
どんな話?
モーテルを営む青年ノーマン・ベイツが秘める異常な秘密に、宿泊客が巻き込まれていく物語。表向きは穏やかな青年が、実は母親の幻影に支配されているという衝撃的な真相が明らかになります。
ここがおすすめ!
「別人格に支配される恐怖」は『マジック』と共通。人間の心の闇を描いたスリラーとして必見の名作で、心理的な不安を徹底的に味わえます。
デビル・ドールズ(Dead of Night内の短編)
この映画を一言で表すと?
腹話術人形に操られる恐怖を描いた短編ホラー。
どんな話?
イギリスのオムニバス映画『デッド・オブ・ナイト』の一篇として収録された物語。腹話術師が自分の人形に支配されていく様子を描き、人形と人間の境界を揺さぶる不気味な展開が展開します。
ここがおすすめ!
『マジック』の原型ともいえる作品。人形が意思を持っているのか、それとも主人の狂気なのか、曖昧さが観る者を恐怖に陥れます。古典的ホラー好きに特におすすめです。
ブラック・スワン
この映画を一言で表すと?
芸術と狂気の狭間で壊れていく女性の物語。
どんな話?
バレエ団で「白鳥の湖」の主役に選ばれたニナが、プレッシャーと完璧主義に囚われ、次第に幻覚やもう一人の自分に苦しめられる物語。芸術と狂気が背中合わせで描かれます。
ここがおすすめ!
『マジック』と同じく「自分自身に支配される恐怖」を描いた心理スリラー。美しくも壊れていく主人公の姿は強烈で、心の闇を映し出す作品が好きな人に響きます。
ゲット・アウト
この映画を一言で表すと?
日常の裏に潜む不気味な恐怖を描く社会派ホラー。
どんな話?
黒人青年が恋人の実家を訪れた際、周囲の奇妙な行動に違和感を覚え、やがて恐るべき真実に直面する物語。日常が徐々に崩れていく不安感が観客をじわじわと追い詰めます。
ここがおすすめ!
人間関係の中に漂う違和感が恐怖に変わっていく展開は、『マジック』のペギーとコーキーの関係にも通じます。心理的な不安と狂気をじっくり味わえる近年の傑作です。






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