
結論から言うと、「アグリーシスター 可愛いあの娘は醜いわたし」は“美しさ”という呪いを真正面から突きつけてくる、極めて残酷で誠実な映画です。
2026年1月16日、MIHOシネマ編集部の映画専門ライターとして本作を鑑賞しましたが、単なるゴア映画でも、奇をてらったフェミニズム作品でもありませんでした。
これは、「可愛くなれなかった側」の心の奥をえぐる物語です。
ここからはネタバレありで、実際に観た体験をもとに感想・レビューを詳しくお伝えします。
「アグリーシスター 可愛いあの娘は醜いわたし」は何を描いた映画なのか?
本作は、誰もが知るシンデレラ物語を、“醜い義姉”エルヴィラの視点から描き直したダーク・ファンタジーです。
物語の舞台は、童話的でありながら現実と地続きの残酷な世界。美しさこそが価値であり、結婚=生存戦略という社会で、エルヴィラは王子に選ばれるため「変わる」ことを強いられます。
この時点で、すでに物語の軸は明確です。
「美しくなりたい」のではなく、「美しくなければ生き残れない」。
次の見出しでは、その歪んだ競争構造をさらに深掘りします。
ネタバレ|物語は“努力が報われる話”ではない
本作を観て最初に裏切られるのは、「頑張れば報われる」というおとぎ話の約束です。
エルヴィラは母レベッカの主導で、歯列矯正、鼻の矯正、身体改造とも言える施術を受けていきます。
- 痛みを伴う身体改造
- 「美しさ」の基準を押し付ける母親
- 無自覚に残酷な“シンデレラ”アグネスの存在
これらはすべて、エルヴィラを「努力する主人公」ではなく、
社会に削られていく被害者として描くための装置です。
次は、観ていて最も苦しくなる“母と娘”の関係について触れます。
母レベッカは“悪役”ではなく、現実的すぎる存在
本作で最も恐ろしいのは、母レベッカが完全な悪人として描かれていない点です。
彼女は娘を愛している。だからこそ、「勝てるルール」に娘を適応させようとします。
これは現代にも通じる構図です。
- 外見で評価される社会
- 成功のために“正解”を押し付ける親
- 善意が暴力に変わる瞬間
MIHOシネマ編集部として数多くの映画を観てきましたが、
ここまで“親の善意が怖い映画”は稀です。
次は、多くの人が気になるゴア描写について正直に語ります。
グロテスクなのに目を逸らせない理由
確かに本作には、かなり強烈なボディホラー表現があります。
正直、目を背けたくなるシーンもありました。
しかし重要なのは、
これらの描写が一切“見せ物”ではないことです。
痛みは必ず感情と結びついて描かれます。
「可愛くなれば愛される」という幻想のために、
身体と心が同時に壊れていく過程が、観客にも突き刺さります。
次は、シンデレラ=アグネスの描かれ方についてです。
シンデレラは“無垢なヒロイン”ではない
本作のアグネスは、いわゆる理想的ヒロイン像ではありません。
美しく、自由で、無自覚に残酷。
彼女自身が悪意を持っているわけではないからこそ、エルヴィラの苦しみが際立ちます。
「可愛い側」は、醜い側の痛みに気づかない。
この非対称性こそが、本作の核心です。
次は、観終わったあとに残る感情についてまとめます。
感想|観終わったあと、鏡を見るのが怖くなる
鑑賞後、ふと自分の顔や身体を意識してしまう。
それこそが、本作が成功している証拠だと感じました。
- 美しさは誰のためのものか
- 努力は本当に自分の意思なのか
- 「選ばれない側」は悪なのか
こうした問いが、観客の中に静かに残ります。
次は、この映画が向いている人・向いていない人を整理します。
この映画がおすすめな人・おすすめできない人
おすすめな人
- ただ怖いだけのホラーに飽きた人
- 社会的テーマのある映画が好きな人
- シンデレラの“裏側”に興味がある人
おすすめできない人
- ゴア表現が苦手な人
- 救いのある物語だけを求める人
次は、本作が刺さった人に向けたおすすめ映画を紹介します。
「アグリーシスター」が刺さった人におすすめの映画3選
THE SUBSTANCE(サブスタンス)
この映画を一言で表すと?
若さと美への執着が生む、静かで狂気的なホラー。
どんな話?
老いと向き合えない女性が、ある“再生の方法”に手を出してしまう物語。美しさが価値を持つ社会で、身体そのものが商品化されていく恐怖を描きます。 観る者に「今の自分」を突きつけてくる、非常に現代的な一本です。
ここがおすすめ!
「アグリーシスター」と同じく、美の基準に翻弄される人間を容赦なく描写。後味の悪さすらテーマに昇華しています。
RAW 〜少女のめざめ〜
この映画を一言で表すと?
成長と欲望が暴走する、痛みを伴う青春映画。
どんな話?
厳格な環境で育った少女が、自身の中に眠る“衝動”に気づいていく物語。身体変化と心理変化がリンクし、観客を不安にさせ続けます。
ここがおすすめ!
肉体とアイデンティティの関係を描く点で、本作と非常に親和性が高い一本です。
ブラック・スワン
この映画を一言で表すと?
完璧を求めた果てに壊れていく、芸術と狂気の物語。
どんな話?
完璧なプリマを目指すバレリーナが、自身を追い込み続ける中で精神を蝕まれていく心理スリラー。
ここがおすすめ!
「選ばれるために自分を削る」構造が、「アグリーシスター」と深く重なります。
まとめ|これは“他人事ではない童話”
「アグリーシスター 可愛いあの娘は醜いわたし」は、
美しさをめぐる競争に、私たち全員が加担していることを突きつける映画です。
ぜひ観た方は、コメント欄で感想を共有してください。
あなたは、どの瞬間が一番つらかったですか?






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