映画『スキャナー・ダークリー』の概要:被害者を増やし続けている麻薬物質D。その流出経路を探るため、麻薬取締捜査官のボブは、麻薬中毒者たちと共同生活を始める。しかし、ある日、ボブは同居人のバリスによって、警察に密告されてしまう。ボブはバリスの思惑を探るため、自分で自分の監視をすることになった。
映画『スキャナー・ダークリー』の作品情報
上映時間:100分
ジャンル:SF、サスペンス
監督:リチャード・リンクレイター
キャスト:キアヌ・リーヴス、ロバート・ダウニー・Jr、ウディ・ハレルソン、ウィノナ・ライダー etc
映画『スキャナー・ダークリー』の登場人物(キャスト)
- ボブ・アークター(キアヌ・リーブス)
- 麻薬取締捜査官。物質Dによる被害を撲滅するため、フレッドという偽名を使い、潜入捜査をしている。
- ジム・バリス(ロバート・ダウニー・Jr)
- 薬物中毒者。潜入捜査官に憧れ、ボブを警察に売ろうとする。
- ドナ・ホーソーン(ウィノナ・ライダー)
- ボブの恋人。コカイン中毒。その正体は彼の上司で、バリスを逮捕するためにボブを囮にしていた。
映画『スキャナー・ダークリー』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『スキャナー・ダークリー』のあらすじ【起】
現在から七年後のカリフォルニア。フレックは身体中を這う虫に悩まされていた。我慢し切れず、身体や頭を掻き毟りながらシャワー室に飛び込む。幾ら洗い流しても虫は次から次へと現れる。虫はペットの犬の身体にもいた。フレックは友人のバリスに電話をかけた。虫の正体を確かめて欲しいと彼に頼む。
警察署では会見が開かれていた。麻薬撲滅のために開発した新スーツを記者に披露する警察。小さな花を基に作られた物質D。その撲滅のために作られたスーツには、何万通りもの姿が記録されており、装着者の容姿を自由自在に変える。捜査官が着用すれば、正体を暴かれることなく潜入捜査を行える。スーツを実際に着込んで性能を披露するために呼ばれた男が立ち上がる。男の名はボブといった。司会者にコメントを催促された彼は、ぶっきらぼうに物質Dの危険性を警告して、記者会見は終わった。
車に乗ってバリスとの約束の場所に向っていたフレックは、パトカーが後ろにいるのに気付いて、一旦、道路脇に停車した。警官をやり過ごした後、彼はバリスに見てもらうため、瓶に詰めた虫を見た。しかし、そこから虫の姿が消えていた。
映画『スキャナー・ダークリー』のあらすじ【承】
バリスはフレックに物質Dの仕業だと指摘した。ニュー・パスでリハビリを受けようとする男をバリスは引き留めた。あそこは、善意を語ったただの収容所だと言う。フレックは新しい物質Dの購入ルートを見つけたとバリスに話す。ドナという女で、ボブの恋人だった。
ニュー・パスという施設は、警察にも監視が許されていない特別な場所だった。今では売人の逃げ込み口になっていると、スーツを着込んで素性を隠した捜査官は、上司に訴える。政府との契約のせいだから諦めろと上官は言い、ボブの動向を探れと命じた。彼には裏の顔があり、秘密の収入減があるという匿名の密告があったと話す。しかし、その話している相手こそ、スーツで変装したボブだった。ボブは自分を監視している者の情報を聞き出すと、捜査を始めた振りをした。
ボブは心理学者に呼び出され、物質Dに依存していないか診断を受けるよう命じられた。会見の場で失語症のような症状を見せたため薬物中毒を疑われたのだ。検査の結果、異状は認められなかった。
ボブを密告しようとしていたのは、バリスだった。ボブはスーツを着込んだままバリスに正体を明かさず、彼に何をどこまで知っているか語らせた。バリスは好き勝手語ったあと、自分には潜入捜査の才能があると捜査官に立候補したが、軽くあしらわれた。
映画『スキャナー・ダークリー』のあらすじ【転】
バリスたちと共に車でハイウェイを走っていたボブ。しかし、運転中に車が故障する。ブレーキが効かず、アクセルが固定されたまま速度が上がり続けた。エンジンを切り、どうにか難を切り抜けたものの、故障の原因は何者かが車に細工をしたせいであることが発覚した。
警察の捜査拠点で、ボブは警察が自分の部屋に仕掛けた監視カメラの操作方法の説明を受けていた。上司は、カメラの調整や角度を修正する際映り込んだ自分の姿は消しても構わないが、適度に映像内に登場しておけと助言した。ボブの正体を知っているのは、警察でも更に上層部にいる者に限られており、上司にも自分が話している相手が誰で、誰に変装しているのか解っていなかった。
ボブがバリスと共に車を調べているとフレックが現れた。彼は物質Dの副作用が進行しているようだった。フレックが帰ったあと、ボブは仲間が巨大な虫に変身する幻覚を見てしまう。
フレックは自室で自殺を図ろうとしていた。理想的な自殺をするため、正装に身を包み、最期の一杯のため高級なワインも買ったが摂取した毒は偽物だった。ベッドの上で彼は奇妙な幻覚と共に過ごした。
映画『スキャナー・ダークリー』の結末・ラスト(ネタバレ)
自室を監視していたボブは車に細工をした犯人はバリスではないかと疑っていた。彼は直接手を下さず、相手が死ぬのを傍で待つ。ボブはドナに注意を促した。
ボブはある晩、ドナを家に招いた。事が済んだ後、眠りに就き、再び目を覚ますと隣で寝ていたはずのドナの姿が元妻のそれに変わっていた。ボブは驚いた。しかし、再び確認すると女性はドナの姿に戻っていた。遂に自分も物質Dのせいで幻覚を見るようになってしまったのかと落ち込むボブ。だが、警察の仕掛けた監視カメラで確かめてみると、ドナの姿は本当に一時的に元妻の姿に変わっていた。
心理学者は薬による幻覚ではないと語る。長期に渡る二重生活で、脳がどちらが現実なのか解らなくなり、整合性を保つために嘘の情報を作り出した。ボブの脳はイカれてしまっている。そう判定されてしまった。
ボブは物質D中毒の嫌疑で解雇されてしまった。上司は彼がボブだと気付いていたが、バリスを捕えるための餌として利用していた。ボブが退席した後、上司は正体を現した。正体はドナだった。ドナはボブの治療と称してニュー・パスに連れて行く。ボブにはもう一つ、課せられた仕事があった。それはニュー・パスが経営しているという大規模農園の実態解明だった。ニュー・パスはとても慎重で、廃人に成り果てた者しか農園には立ち入らせない。ドナたちはそこでボブが魂を取り戻し、農園を告発することに賭けたのだ。
トウモロコシ畑に肥料を撒くボブ。彼が地面を見下ろすと、そこには物質Dを生み出す、小さな花が群生していた。
映画『スキャナー・ダークリー』の感想・評価・レビュー
本作は、「物質D」とよばれる強力な麻薬の蔓延が社会問題化した近未来のアメリカを舞台に、自分自身の監視を命じられた覆面麻薬潜入捜査官ボブを描いたSFサスペンス作品。
自らもDに溺れていくボブが自分を見失っていき、幻想と現実の境界が曖昧になっていく様子を、グラフィックノベルの技法を駆使した映像で表現していて見応えがあった。
アニメーションが苦手なので少し目がチカチカしたけれど、麻薬と監視の恐怖は十分に感じられる作品となっている。(女性 20代)
キアヌ・リーブスにロバート・ダウニーJr、ウディ・ハレルソンにウィノナ・ライダーととにかくキャストが豪華な今作。麻薬が蔓延した世界を舞台に描かれるストーリーは、ただ別人になり潜入捜査するという単純なものではなく、自らも麻薬に溺れてしまったり、自分を売ろうとするやつが登場したりと目が離せない展開が続くので終始楽しんで見られました。
キアヌ・リーブスは完璧なキャラクターよりも少し欠落した部分がある人間味のあるキャラクターのほうが似合うなと感じました。(女性 30代)
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