この記事では、映画『パンドラム』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『パンドラム』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『パンドラム』の作品情報
上映時間:107分
ジャンル:SF、ホラー
監督:クリスティアン・アルヴァルト
キャスト:デニス・クエイド、ベン・フォスター、カム・ジガンデイ、アンチュ・トラウェ etc
映画『パンドラム』の登場人物(キャスト)
- バウアー(ベン・フォスター)
- エリジウム号の船体整備や、航行管理を担うフライトクルー。階級は伍長。冷凍睡眠から目覚めて船内の異変を知ると、事態の解決に動きだす。
- ペイトン(デニス・クエイド)
- バウアーの隣にあった冷凍睡眠装置で眠っていた男。階級は中尉。機能不全に陥ったエリジウム号を復旧しようとするバウアーを後方支援する。
映画『パンドラム』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『パンドラム』のあらすじ【起】
宇宙進出と共に人口を増やし続けた人類は、過度な人口増加のせいで慢性的な食糧難に陥っていた。新天地を目指していたエリジウム号は、仲間の船から脱落の通信を受け取った。これで、航行可能な船は、エリジウム号ただ一機になってしまった。
カプセル状の機器に接続されていたバウアー伍長は機械から送られてくる衝撃に悲鳴を上げた。もがき苦しんでいると、異常を察知した機器が緊急停止し、バウアーを解放した。カプセル状の機器は部屋の中にあった。バウアーが辺りを確かめると、部屋には埃が積もっていて、照明の回路もショートしていた。バウアーは緊急時の灯りとなるように用意されていたサイリウムを灯して探索を続ける。すると、カプセル状の機器に封じ込められた他の人間を見つけた。傍には長期間の冷凍睡眠による注意書きが記されていた。それにより、バウアーは自分が軽度の記憶障害に陥っていることを自覚する。
バウアーの隣で眠っていたペイトン中尉が目を覚ました。少しずつ記憶を取り戻していたバウアーはペイトンに自分たちがいるのはエリジウム号であると話す。しかし、全てを思い出せていたわけではなかった。目的地も、目覚めたわけも解らない。それは、ペイトン中尉も同じだった。

映画『パンドラム』のあらすじ【承】
バウアーとペイトンはどうにか船内の電力の一部を復旧させることに成功した。船内放送で、自分たちが目覚めたことを告げるペイトンだが、何の反応もない。沈黙したままの船の状況に戸惑う二人は、クーパー少尉が眠っていたはずのカプセルが空いているのに気付いた。
部屋のドアが開かない。そこでバウアーが通気口を通って出口を探すことにした。通路の途中で、バウアーは白骨化したクーパーの遺体を発見した。通路に引っかかって身動きが取れなくなったまま死んだと思われる。それからバウアーは通気口を抜け、部屋からの脱出に成功した。しかし、通信装置が故障し、部屋で待機しているペイトンと連絡がとれなくなってしまう。
バウアーが船内の探索を続行すると、ドアを金属棒でこじ開けようとしていた女性を見つけた。女性はバウアーの姿を見ると一目散に逃げ出した。女性を追い詰め、バウアーは船の状況を尋ねようとする。しかし、女性はバウアーに襲いかかり、持ち物を検めると彼の口を塞いで靴を脱ぐように命じた。音で気付かれるとバウアーに警告する女性。直後、通路の奥から青白い光がバウアーたちに近づいてきた。あれは何かとバウアーが尋ねる前に女性は再び姿を消していた。青い光の正体は人型の怪物で、船内はその怪物たちに支配されてしまったのだとバウアーは察知する。
映画『パンドラム』のあらすじ【転】
タニスと命名された地球型の惑星。人類はその星に生存の可能性を賭けて宇宙船を飛ばした。エリジウム号もその一機だった。地球にいた頃、バウアーは妻や息子と共に、探査船の中継映像を観ていた。
バウアーは家族も船内にいることを思い出し、怪物に立ち向かうことを決意する。通信装置が復旧し、ペイトンと連絡が取れるようになったバウアーは、まずは船の動力源を復旧させると告げる。無茶をするなとペイトンをたしなめるが、バウアーはパンドラムを経験したことがあるかと問う。冷凍睡眠装置の不具合による精神疾患で錯乱したとある船の乗組員が、まだ眠っている人が入っている数千もの冷凍睡眠装置を、全て宇宙に放り捨ててしまったという事故だった。
バウアーが船の探索を続けていると通路に吊るされた人間を見つけた。まだ息がある。シェパードと名乗るその男をバウアーは助けようとしたが、シェパードは怪物に掴まってしまう。バウアーも掴まりかけたが、異国の言葉を話すフードの男に窮地を助けられる。男に礼を言い、バウアーが先を進むと、再び先程の女性が襲いかかってきた。フードの男がバウアーを助け、女と対峙する。バウアーは二人の間に割って入って、生き残るためには協力が必要だと訴える。女は地球の生態系をタニスに運ぶ生体調整課の元職員で、男は食糧を生産する農業地区の生き残りだった。バウアーは船の修理や運転を担当するフライトチームの生き残りであると自己紹介する。
一方、ペイトンの下に一人の男が逃げ込んできた。ギャロ伍長と名乗るその男は指令室から逃げて来たと言う。何があったのかと尋ねるペイトンだが、ギャロは怯えて声が出なくなっていた。
映画『パンドラム』の結末・ラスト(ネタバレ)
女の案内を受けて、動力炉を目指すバウアーは三人で力を合わせ、敵を倒しながら先を進んで行く。すると、コックの生き残りを自称する老人と出会った。
ペイトンは落ち着きを取り戻したギャロに、改めて船の状況を尋ねた。ギャロはパンドラムだとペイトンに語った。
コックとギャロはそれぞれ、バウアーたちとペイトンに船の経緯を語った。エリジウム号の乗組員は指令室の三人を残し、全員が冷凍睡眠状態にあった。起きていた三人は通信で自分たちが人類最後の生き残りであることを知り、パンドラムを起こした。殺し合いを始めた指令室の内の生き残りが、冷凍睡眠中の人間を使って暇潰しの実験を始めた。怪物はその産物だった。
バウアーが動力の復活させるのと同時、ペイトンは記憶を取り戻した。ペイトンは眠りに就く前のことを全て思い出した。自分が司令部の人員を殺し、冷凍睡眠中の人間を使って怪物を生み出したことも。バウアーはペイトンを打ち倒し、冷凍睡眠装置の脱出装置を使って船を出る。すると、そこは海だった。エリジウム号はバウアーが目覚めるよりもずっと前に、タニスに到着していたのだ。
映画『パンドラム』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
タイトルのパンドラムとは、軌道機能不全症候群という精神に作用する病気である。このパンドラムが引き起こした惨劇や、異形の生物ハンターの存在、そして、何故か冷凍睡眠から目覚めてしまったバウアーが船内に起こっている謎を紐解いていく。ハンターとの命がけの戦いや、追い込まれた人間同士の争いなど、奥深いSFサイコスリラーに仕上がっている作品。途中で、絶望的な状況に置かれたバウアーが生きていく意味を考えてしまうシーンがあるが、最後のオチに対する布石としてしっかり生きてくる。思わず安堵してしまうエンディングとなっているので、安心して頂きたい。(男性 30代)
モンスター映画とそれ以外の映画では目的がまるで違うものなので、一般的な映画の評価とは大きくずれると前置きを置いたうえで、この映画は面白かった。サスペンス形式をとったモンスター映画はそれなりに数があるが、サスペンス部分が機能していない作品が多く、きっちりと展開が用意されているだけで嬉しくなる。次第に明らかになる謎の数々もバランスよく配置されているし、モンスターもなかなか目新しい造形。オチの肩すかしも良い。モンスター映画としてはAランクだと言える。(男性 30代)
閉塞感のある宇宙船内の描写がリアルで、序盤から緊張感が途切れない。目覚めたクルーが状況を把握できないまま恐ろしい生物に襲われる展開は、「バイオハザード」+「エイリアン」のようで非常にスリリング。終盤、実は船がすでに惑星に到着していたというオチには驚かされた。SFサバイバルの良作。(30代 男性)
記憶喪失の設定が上手く機能していて、観ているこちらも何が真実か分からないまま物語に引き込まれた。敵だと思っていたものが実は元人間で、狂気と進化が混ざった存在だったという設定は背筋が寒くなる。ラストで地球が滅んでいたこと、そして新天地に辿り着いていたことが明かされる構成が秀逸。(20代 女性)
「パンドラム症候群」という精神錯乱が実は最大の敵だったというひねりが非常に面白かった。肉体的なサバイバルよりも、精神の崩壊というテーマが印象的で、ホラーとサイコスリラーの中間のような雰囲気がクセになる。見せ方が巧妙で、何度か観ると新たな伏線に気づける作り。隠れた名作だと思う。(40代 男性)
最初はただのモンスター系SFかと思っていたけど、途中から「これ何が現実で何が妄想なの?」と混乱し始める構成がクセになる。キャラクター同士の信頼が崩れたり、記憶の断片が徐々に繋がったりと、心理描写が見どころ。最終的に地球が滅亡していたという事実が明かされる瞬間、鳥肌が立った。(30代 女性)
生き残るためのサバイバルというより、人間の内面と向き合うSFホラーだった。パンドラムという病が象徴する“宇宙という閉鎖空間での狂気”というテーマにゾッとした。極限状態に置かれた人間が、どこまで正気を保てるのか。エンタメ要素と哲学的な問いがうまく融合していて、見応えがあった。(50代 男性)
自分はSFが苦手なのに、この作品は最後まで一気に観られた。閉鎖空間×記憶喪失という設定が非常にスリリングで、観ている側も「自分だったら正気を保てるか」と考えさせられた。途中で仲間の一人が実は黒幕的存在だったと判明するのも衝撃的。じわじわと真実が暴かれる過程が面白かった。(20代 男性)
女性目線で言うと、サバイバルものにありがちな“筋肉頼り”じゃなく、知恵と冷静さが生き残りの鍵になっていたのが好印象。ノラというキャラが強くて魅力的だった。宇宙空間の孤独感と、そこに潜む未知の恐怖、さらに人間の狂気まで描いていて、幅広い視点から楽しめる良作。ラストの爽快感も◎。(30代 女性)
若い頃に観てトラウマになりかけたが、再視聴すると伏線や構成の巧妙さに感心する。演出が抑えめで静かな怖さを醸し出しているところも良い。特に印象に残っているのは、パンドラム症候群によって全てを狂わせた“あの男”の存在。人間の内にある悪意が一番のモンスターだと気づかされる作品。(50代 女性)
映画『パンドラム』を見た人におすすめの映画5選
サンシャイン2057(原題:Sunshine)
この映画を一言で表すと?
「人類の運命を背負って太陽へ向かう、光と狂気の宇宙SFサスペンス」
どんな話?
太陽の活動が衰えた未来、人類は太陽を再起動させるため宇宙船イカロスIIを送り込む。乗組員たちは徐々に極限状態に追い込まれ、精神的な崩壊とミッションの危機が交錯していく。美しさと恐怖が同居する作品。
ここがおすすめ!
『パンドラム』同様、閉鎖空間における心理的恐怖とサスペンスが魅力。ダニー・ボイル監督によるビジュアルの美しさと、哲学的な問いかけが融合したSFスリラーで、観る者に強烈な印象を残します。
イベント・ホライゾン(原題:Event Horizon)
この映画を一言で表すと?
「宇宙の果てで待ち受けていたのは、人智を超えた“地獄”だった」
どんな話?
消息を絶った宇宙船イベント・ホライゾンを調査するため、救助船が送り込まれる。しかしその船内で次々に起こる怪現象は、乗組員の心をむしばんでいく。やがて明かされる、次元の歪みによる恐怖とは――。
ここがおすすめ!
密閉された宇宙船、記憶や幻覚、正気の喪失…『パンドラム』の要素がすべて詰まったようなカルト的SFホラー。血生臭くグロテスクながら、哲学的なテーマも感じられる硬派な作品です。
ザ・ディセント(原題:The Descent)
この映画を一言で表すと?
「暗闇と閉所が生む恐怖…“何かがいる”地底での極限サバイバル」
どんな話?
洞窟探検に出かけた女性グループが、未知の地底生物に襲われる。光のない空間と、仲間同士の緊張関係、そしてサバイバル本能がむき出しになる中、人間の恐ろしさも浮き彫りに。
ここがおすすめ!
閉鎖空間でのサバイバルという点で『パンドラム』と共通。地底という異なる舞台ながら、闇・孤独・狂気というテーマを徹底的に描く。息詰まる恐怖演出と心理的緊張が絶妙に絡み合う作品です。
ライフ(原題:Life)
この映画を一言で表すと?
「美しくも危険な生命体が、人類を宇宙で追い詰めるリアル系SFスリラー」
どんな話?
国際宇宙ステーションの乗組員たちが火星のサンプルから新たな生命体“カルビン”を発見するが、それは予想を超える脅威へと変貌。閉ざされた空間で繰り広げられる壮絶な生存競争が始まる。
ここがおすすめ!
リアルな宇宙環境と緻密な演出が『パンドラム』好きに刺さる一本。SFの王道を押さえつつ、ホラー要素も強く、心拍数が上がりっぱなしのスリリングな展開。ライアン・レイノルズら豪華キャストも魅力。
ムーン(原題:Moon)
この映画を一言で表すと?
「孤独が生む疑念と真実――1人きりの月面基地で起こる静かな衝撃」
どんな話?
月面基地で働く男が任期終了間近に体調を崩し、不可解な出来事に遭遇する。やがて自分が何者なのか、なぜここにいるのかという根本的な疑問と向き合うことに。静かながら深いSF体験。
ここがおすすめ!
『パンドラム』と同様、記憶・孤独・存在というテーマを巧みに扱った一人称SF。派手なアクションはないが、その分緊張感と内面描写が引き立つ。サム・ロックウェルの一人芝居が圧巻です。
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