映画『ポセイドン・アドベンチャー(1972)』の概要:1972年公開の大ヒットパニック・ムービー。アテネ行きの豪華客船ポセイドン号が転覆、乗客のほとんどが死亡した大事故を元に、生き延びるため勇気を持って行動した乗客たちの脱出劇を描く。ジーン・ハックマン主演。
映画『ポセイドン・アドベンチャー』の作品情報
上映時間:117分
ジャンル:アクション、ヒューマンドラマ
監督:ロナルド・ニーム
キャスト:ジーン・ハックマン、アーネスト・ボーグナイン、レッド・バトンズ、キャロル・リンレー etc
映画『ポセイドン・アドベンチャー』の登場人物(キャスト)
- スコット・ボリス牧師(ジーン・ハックマン)
- 「神は勇気を持って行動する者だけを助ける」を信条とする牧師。考えが背徳的だとして、アフリカに左遷となった。ポセイドン号転覆に際し、脱出組の乗客を導く。
- マイク・ロゴ(アーネスト・ボーグナイン)
- ポセイドン号の乗客で刑事。妻と共に乗船。スコットとはそりが合わず反発することが多い。妻の事を心から愛しており、恋人になる前、売春を辞めさせたくて何度も逮捕したというエピソードがあるほど。
- リンダ・ロゴ(ステラ・スティーヴンス)
- ポセイドン号の乗客でロゴの妻。元売春婦だったが、ロゴに何度も逮捕されるうちに愛を育み、結婚。気が強い。
- マニー・ローゼン(ジャック・アルバートソン)
- ポセイドン号に乗る老紳士。妻と共に、孫に初めて会いに行くために乗船。事故を機に、妻との愛を再確認しあう。
- ベル・ローゼン(シェリー・ウィンタース)
- ポセイドン号の乗客でマニーの妻。孫に会うため乗船。今は太っているが、若いころは水泳選手で、潜水競技で優勝したことがある。
- ジェームズ・マーチン(レッド・バトンズ)
- ポセイドン号の乗客。雑貨店を営んでいる。自営業と言う職業柄か、いい年だがまだ恋人もいない。控え目な性格だが、事故を通していざという時に頼りになる存在へと成長する。
- ノニー(キャロル・リンレイ)
- 兄と共に船内バンドとしてポセイドン号に乗船。事故の第一撃で兄を亡くし絶望に暮れていたが、マーチンの励ましにより、脱出組に参加する勇気を得る。
- スーザン・シェルビー(パメラ・スー・マーティン)
- ポセイドン号の乗客の少女。先にヨーロッパに着いている両親に合流するため、弟と2人で乗船。スコット牧師を信頼している。
- ロビン・シェルビー(エリック・シーア)
- ポセイドン号の乗客でスーザンの弟。乗船中に船員と仲良くなり、船の構造を色々と教えてもらった。
- エイカーズ(ロディ・マクドウォール)
- ポセイドン号の船員。事故の第一撃で片足を負傷。
映画『ポセイドン・アドベンチャー』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ポセイドン・アドベンチャー』のあらすじ【起】
大みそか、豪華客船ポセイドン号が、さまざまな目的・境遇の人々を乗せ、ニューヨークからアテネに向けて出港した。しかし航行中、クレタ島沖で海底地震が起こったと報告が入る。海底地震は巨大な津波を引き起こし、スピードを上げていたポセイドン号はその波をまともに受けてしまう。
船内のホールでは、年越しパーティーの真っ最中。津波によりポセイドン号は大きく傾き始め、ホール内はたちまちパニックとなる。ポセイドン号は転覆、真っ逆さまの状態になってしまった。
このまま救助が来るまで待とうという事務長に対し、スコット・ボリス牧師は異議を唱える。乗客のジェームズ・マーチンが「上下さかさまになっているなら救助は船底側に来るのでは」と意見し、船員と仲良くなった少年ロビンも「プロペラ部の壁が他より薄い」と助言する。スコットはマーチンと共に、他の乗客の説得に回る。
マーチンは最初の転覆で兄を亡くした船内バンドのノニーを見つける。生きる希望を失った彼女をマーチンは勇気づけ、脱出組に参加させた。他にはロビンと彼の姉スーザン、刑事のマイク・ロゴとリンダ夫妻、マニー・ローゼンとベル老夫妻が脱出組に参加することになった。スコットは上の階に取り残されていた船員エイカーズの助けを借り、ホールの巨大なツリーをはしごにして脱出組を登らせていく。上に上がり、再度スコットは乗客を説得したが、皆は事務長の方に従った。
仕方なくスコットが先に進もうとしたその時、爆発が起こり、ホールに大量の海水が流れ込んだ。乗客たちはパニック状態でツリーに登り始めたが、人数が多すぎてツリーは倒れてしまう。
映画『ポセイドン・アドベンチャー』のあらすじ【承】
生き延びたのは脱出組の10人だけだ。スコットは調理場から従業員通路を通って機関室へ行く計画を立てる。調理場を通ると、換気塔を上に登る必要がある。はしごの下は水が渦巻いている。落ちれば助からないだろう。スコットを先頭に、順番に上に登っていくが、途中でまた船が揺れ、足をけがしていたエイカーズが落ちてしまった。足のすくんでしまったノニーをマーチンが手助けする。
9人になった一行は、他の生存者たちが船医に先導されて船首へ歩いて行くのを見つける。スコットは「船首は危ない」と警告するが、船医は、スコット達が向かう船尾側の機関室は爆発したと話す。どちらの言い分を信じるべきか。ロゴともめたスコットは、1人で船尾の様子を見に行く。スコットを待つ間、マニーとベルはお互いの愛を再確認しいたわり合う。スーザンはスコットを追い、2人で抜け道を探す。通れそうなハッチを見つけ、スコットが試しに中に入る。
約束の15分が建ったがスコットが戻らない。どうするか協議しているうちに、スコットが抜け道を見つけ戻ってきた。一行はハッチを通って機関室へ続く通路にたどり着く。しかしそこは水の底に沈んでいた。
映画『ポセイドン・アドベンチャー』のあらすじ【転】
スコットは水の中を潜って向こう側に行けるはずだと言う。まずはスコットがロープを向こう側につけに行くことになった。スコットが水の中に潜って泳ぐも、途中で鉄板に挟まってしまった。ロープの動きが止まり、残された一同は不安にかられる。昔潜水の選手として優勝経験もあったベルは、スコットを助けるため、自ら水の中に飛び込んだ。ベルは鉄板をどかし、スコットと共に向こう側にたどり着いた。
ほっとしたのも束の間、ベルが突然苦しみ倒れてしまう。心臓発作を起こしてしまったのだ。ベルの死を見届け、スコットは「この人の命までも奪うのか」と嘆く。残された一行もスコットの待つ方へロープ伝いに泳いできた。マニーは泳ぎ着いた先で、妻ベルの死を知った。スコットは先を急がせるが、マニーはベルと最後の別れをするため、皆に先に行ってもらう。マニーは一瞬生きる希望を失ったかに見えたが、ベルが大事にしていたメダルを手に、ベルに別れを告げ一行の後を追ってきた。機関室まではあと少しだ。
映画『ポセイドン・アドベンチャー』の結末・ラスト(ネタバレ)
一行は機関室の一歩手前の部屋まで来た。順番に、細い渡り板から上空に赤いバルブのある通路を通り、機関室のドアへ向かおうとする。しかし、また爆発が起こり、船が突然揺れた。リンダが高い通路から落ちて死んでしまう。妻を亡くしたロゴは打ちひしがれ、どうしようもない怒りをスコットにぶつける。
爆発のせいで、赤いバルブのところから熱い蒸気が噴き出した状態になってしまっていた。スコットは神を呪い、赤いバルブにぶら下がった。熱さに耐えながら、スコットは少しずつバルブを閉じていく。ついにバルブが閉まり、蒸気が止まった。だがスコットは限界だった。ロゴにあとの先導役を託し、スコットはそのまま落下し、炎と水の中に落ちていった。
ロゴはマーチンに奮い立たされ、先導役を引き受ける。リンダとスコットの亡骸を残し、6人になった一行は機関室へたどり着いた。すぐ上の壁は船底だ。上の方から何か音がする。きっと救助隊だ!ロゴ達は何度も船底を叩き、ついに救助隊が音に気づいた。スコットが正しかったのだ。船底に穴があく。6人は無事救出されたのだった。
映画『ポセイドン・アドベンチャー』の感想・評価・レビュー
豪華客船「ポセイドン号」の乗客たちを丁寧に描写していく冒頭。映画が終わる頃には、その一人ひとりに確かなドラマが存在している。彼ら全員に苦難と成長を感じられる。パニック映画でありながら、本作はれっきとした人間ドラマである。
大津波の描写も恐ろしい。ミニチュア特撮を用いて撮影されているが、実際の映像と見紛うほどの大迫力だ。天地が完全にひっくり返った船内で繰り広げられる脱出劇もとても良くできている。最後まで全く緊張感が途切れない。
最初から最後まで映画としての面白さが詰まった一作である。(男性 20代)
アーネスト・ボーグナインの演技に迫力がありすぎて、本当なのではないかとドキドキハラハラした。70年代のパニック映画として『タワーリング・インフェルノ』と並ぶくらいに迫力と脚本に綿密さがある。同じくCGを全く使わない演出は劣らず見応えあり。
ジーン・ハックマンの演じる牧師など、それぞれが生きるために行う選択と行動に最後まで感動させられる。途中で失われる命もあるが、全員助かるなどということは綺麗事であるという現実の厳しさも教えてくれて、今ある命を大切にしようと思える。(女性 20代)
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