映画『ミッドナイト・アフター』の概要:バスの運転手のシューは、その日、休暇中だった。妻が出産するという同僚のために勤務シフトを交代した彼は、急遽乗客を乗せてバスを走らせることになった。いつものように客を目的地まで届けて仕事は終わり。終わるはずだった。しかし、道中のトンネルを越えると、異様な光景が広がっていた。
映画『ミッドナイト・アフター』の作品情報
上映時間:121分
ジャンル:SF
監督:フルーツ・チャン
キャスト:サイモン・ヤム、ウォン・ヤウナム、ジャニス・マン、クララ・ウェイ etc
映画『ミッドナイト・アフター』の登場人物(キャスト)
- シュー(ラム・シュー)
- バスの運転手。仕事中に通りがかったトンネルを抜けた際、彼の運転するバスは妙な出来事に巻き込まれた。
映画『ミッドナイト・アフター』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ミッドナイト・アフター』のあらすじ【起】
麻雀を打っていたバスの運転手のシューは仕事仲間からシフトを変わってほしいと頼まれる。女房が産気付いたため、病院に連れて行きたいというのだ。シューは借りていた金の返済を半年後に伸ばすことを条件に引き受けた。シューはバスを運転して、バス乗り場で待機した。老若男女様々な客が乗り込んだ。満席になったのを見ると、シューはバスを走らせた。
運転中、シューは交通事故を目撃した。事故に巻き込まれていたのは、シューのバスに乗ろうとして、直前で取りやめたカップルだった。本部に救急車への通報を要請すると、バスは目的地に向かって走り出した。獅子山トンネルに差し掛かったシューは、無線で他の仕事仲間に同僚の子供が生まれることを報告してまわった。道中の大学前で学生たちがバスを降りて行く。バスから降りた直後、学生の一人が体調不良を訴える。食中毒を疑ったが、一緒に食事をした友人には異常がない。ともかく、学生たちは救急車を呼ぶことにした。
映画『ミッドナイト・アフター』のあらすじ【承】
バスは目的地に辿り着いた。しかし、乗客は誰も降りようとしない。乗客には不可解なことがあったのだ。真夜中とはいえ、人や車の通りが全くないこと、それに電波は通じているのに、電話が使えなくなってしまったこと。乗客の一人がラジオを聞いてみようと提案する。ラジオを付けると、ノイズに混じって妙な音が聞こえるだけだった。チャンネルを変えても音は同じだ。乗客の一人は獅子山トンネルを通った辺りで人通りがなくなったのではと言う。消えたのは周りではなく、自分たちなのではと乗客は怯えだす。客の女が、交通事故に巻き込まれたカップルのことを根拠に、我々は死ぬために運命に集められたのではないかと言い出した。それから女は保険加入を勧め出した。こんなときにビジネスかと車内は呆れかえった。乗るバスを間違えた薬物中毒の男は、バスから降りた。
大学の寮に戻った学生たちは、電話がつながらないことと、大学に誰もいないことに不安を感じていた。こうしている合間にも学生の友人は体調を悪化させていた。友人たちが部屋に戻って来ると、白骨化した友人の姿があった。
映画『ミッドナイト・アフター』のあらすじ【転】
学生たちは誰かと出会えることを期待して高速道路を走っていた。すると、バスの中で見た男が自転車に乗っているところに出くわす。学生たちは男に助けを求めたが、男は無視して自分の家を目指した。学生たちは諦めず男を追った。しかし、学生たちは突如身体に異変をきたした。岩が砕け散ったように身体が崩壊してしまったのだ。
夜明けを待っていたバスの乗客たちの電話に着信があった。発信者は不明。恐る恐る電話に出た人たち。返事を待ったがサイレンのような大きな音が一度鳴っただけだった。乗客たちは他の乗客に電話のことを知らせた。すると、みんなが同じタイミングで奇妙な電話を受信したと言う。乗客たちは町の食堂で会議をすることにした。録音した音声から規則性を読み取り、乗客の一人が音の正体はモールス信号だと見抜いた。誰かが助けを求めている。そこまで突きとめたそのとき、二度目の電話が鳴った。わたしは閉じ込められているという文言から始まった信号はデヴィッド・ボウイの曲の歌詞を示しているものだった。信号の正体を突き止めた男は飲み物を取りに食堂に向かった。すると、突如食堂が爆発し、男の身体が炎で包まれてしまった。
乗客たちの前にガスマスクをつけた男が姿を現わした。男を捕えると日本人だった。携帯電話の翻訳機でその日本人を問い詰めると「お前たちを助けに来た」と話した。しかし、乗客たちは日本人のことを信用しなかった。日本人は乗客たちの隙を突いて逃げ出す。去り際に、日本人の男は「何としてでもお前たちを助ける」と言い残した。
映画『ミッドナイト・アフター』の結末・ラスト(ネタバレ)
乗客の一人に、恋人から電話があった。外の世界との連絡が取れたと喜んだのも束の間、乗客は恋人の言ったことに驚いた。自分が消息を絶って六年になると恋人は言った。恋人は「あの日」、香港で大爆発があって以来、海外の救助隊も支援に加わったが、見付からなかった。話の途中、電話にノイズが入り、それ以上の通話ができなくなってしまった。捜索隊は大帽山からの信号を頼りにしていた。その話を仲間に話すと大帽山に向かってみようということになった。
日本人がガスマスクをしていたことから、細菌や放射能汚染の可能性があると考えた乗客たちは、町中の店でできる限りの対策をするため物資を調達した。準備を整えた乗客たちの前にガスマスクの男の仲間が現れた。乗客たちがバスに乗り込んで大帽山に向かおうとすると、ガスマスクの男たちは装甲車に乗って追いかけてきた。辛くも追手をかわした乗客たちは、赤い雨が降りしきる中、ボロボロになったバスに乗った乗客たちは、ここに来る前のことを思い返す。バスに集まった乗客はみんな、それぞれの身に起こった嫌なことから逃れるように、バスに乗り込んだ者たちだった。これまでの生活から逃れたい。しかし、今ではいつもの日々を恋しく思っている。自分の進む道が本当に正しいのか確信も持たぬまま、夜の道を進んだ。
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