映画『チャップリンからの贈りもの』の概要:無職のエディは友人のオスマンを訪ね、寝床としてトレーラーを借りる。オスマンは妻のヌールが体を壊し入院した為、治療費の工面に悩んでいた。お金に困っている2人は、喜劇王チャップリンの棺を盗み、身代金を要求する事を思いつく。この映画は1978年に実際のスイスで起きた事件を元に作られている。
映画『チャップリンからの贈りもの』の作品情報
上映時間:115分
ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ
監督:グザヴィエ・ボーヴォワ
キャスト:ブノワ・ポールヴールド、ロシュディ・ゼム、キアラ・マストロヤンニ、ピーター・コヨーテ etc
映画『チャップリンからの贈りもの』の登場人物(キャスト)
- エディ(ブノワ・ポールヴールド)
- 刑務所に収監されていた事もある。考えなしだが、明るく陽気な性格。
- オスマン(ロシュディ・ゼム)
- エディの友人。昔、エディに命を助けられた事がある。エディの無鉄砲なところに振り回される。
- ローザ(キアラ・マストロヤンニ)
- サーカスを経営している。
- ジョン・クルーカー(ピーター・コヨーテ)
- チャップリン家に仕える秘書。元軍人。
- サミラ(セリ・グマシュ)
- オスマンの娘。
映画『チャップリンからの贈りもの』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『チャップリンからの贈りもの』のあらすじ【起】
家が無いエディは友人オスマンを訪ね、トレーラーを貸してもらう。そこには自分が所有していた本が置いてあり感動する。オスマンの娘サミラは、エディと会わない約束を破った父親を非難する。3人で食事を食べ、サミラが将来獣医になりたい話をする。だが、オスマン家にとって金銭的に難しく、獣医を学ぶ為に大学へ行かせる事は困難だった。
サミラはエディを起こし、何故居なくなったのか問いかける。エディは旅に出ていたと言ってはぐらかさそうとするが、刑務所に入っていた事をズバリ言われ口籠る。エディは何も言えずサミラを散歩に誘う。
オスマンは妻ヌールが入院している為、病院を訪れていた。家に帰るとクリスマスの飾り付けと食事が用意されていた。しかも、どこで拾ってきたのかPanasonic製のテレビまである。エディがアンテナを調整すると、喜劇王チャップリンが亡くなったニュースが流れていた。サミラが席を立った隙に、オスマンはテレビやツリーはどこから盗んできた物だとエディを非難する。エディは自分の持ち物だと言い、泥棒扱いするなと怒る。
ヌールは病気の為、数か月家政婦の仕事を休まなくてはいけなかった。医師の話だとこれから検査もしなくてはいけない。オスマンは書類を記入していたが、看護婦から治療費は家族手帳があれば補填されると言われる。だが、聞き覚えの無い名前に戸惑う。そして、オスマンは病室へ行き、ヌールからエディを家に入れた事を非難される。オスマンははぐらかし、家族手帳についてヌールに問いかける。
エディ達はチャップリンの喜劇をテレビで見ていた。そして、喜劇王が最後に息を引き取った豪邸を見る。
オスマンは保険に入っていなかった為、銀行にお金を借り入れに行く。だが、収入面から返済の心配があり、望む金額の10分の1の金額しか援助出来ないと言われる。銀行はどこもきっと同じだと言われ、闇金融は莫大な利子を支払う事になると忠告され途方に暮れる。
映画『チャップリンからの贈りもの』のあらすじ【承】
エディはオスマンにある計画を持ちかける。死んだ友達にお金を借りに行くと言い出す。その人物とはチャップリンだった。馬鹿馬鹿しい内容にオスマンは席を立とうとするが、エディはなおも言い募る。エディが刑務所に居た時の知り合いの友人に、金持ちを誘拐すると洞窟に隠し、身代金を要求する男がいた。それを見習おうと言う。オスマンは嫌がり断る。
エディはサミラと船に乗る。サミラに父親の事が好きか問われ、口籠るが好きだと答える。俺は能無しだがオスマンの頭にはアイディアがたくさん詰まっていると自虐する。サミラはエディに面白いと返す。エディは喜びサミラに、オスマンと初めて出会った外国人宿舎の話を聞かせる。
エディはサミラのバレエ教室を見守る。その眼には涙が滲んでいた。そして、チャップリンの墓を訪れる。バイクで走りながら道の様子や小屋の場所を確認する。
ある夜、サミラが母を恋しがり泣き出してしまう。それを見たオスマンは、エディに誘拐の協力を申し出る。
オスマンはヌールに会いに行く。だが、ヌールはオスマンの様子から、何か隠し事がある事に気付く。オスマンは必死に隠し、二人は喧嘩になってしまう。
オスマンが運転席に座り助手席にエディを乗せると、車は夜道を走って行く。チャップリンの墓に供えられている花をどかすと、2人で墓を掘り起こす。エディは尻込みするオスマンを説得しながら棺を引っ張り上げ、2人で車へと押し込む。別の場所に移動すると、また穴を掘って棺を埋める。
映画『チャップリンからの贈りもの』のあらすじ【転】
サミラは父親に昨日の夜どこに行っていたのか問いかける。オスマンは国道で事故があり、仕事に行っていたと話す。そして、心配するからヌールには話すなと言う。
エディ達はチャップリンの妻に棺を盗んだ事を電話する。だが、緊張から言い間違いがあったり怒鳴りつけたりと散々な電話で、妻は悪戯だと思い切ってしまう。エディ達は警察にも電話を掛けるがなかなか信じてくれず、怒ったエディが切ってしまう。
チャップリン家には同じような身代金の電話が掛かってきていたので、エディ達の電話を信じていなかった。
エディ達は夕食を食べながらテレビを見ていた。著名人の棺や遺灰が盗まれた事件を特集しており、いずれも犯人は捕まっているとの事だった。そして、チャップリンの事件についても放送しており、捜査しているとの事だった。サミラは父親達に、犯人は何故遺体を盗んだのか問いかける。エディは引きつった顔をして冗談でやったのだろうと言った。
エディは街中で美しい女性ローザに目を奪われる。声を掛けるとサーカスに招待される。
オスマンはヌールの病室を訪れる。そこでも事件の批判をしており、オスマンは居た堪れなくなる。家に帰りエディに耐えられないと伝える。遺体を返そうと話すが、エディから絶対にダメだと言われる。エディに説得され、オスマンは持ち堪える。
エディは再びチャップリン家に電話を掛ける。刑事が電話に出て、棺を持っている証拠が欲しいと言われ写真を要求される。ニュースを見た人達が棺を持っていると電話をしてくるからだ。エディはパニックを起こし、身代金金額を半分にするからすぐに寄越せと言ってしまう。刑事も譲らず写真が無いと無理だと言って電話を切られる。
エディは棺を掘り起し写真を撮る。封筒を用意し手袋をはめて写真を送る準備をした。チャップリン家に写真が届き秘書ジョンが確認を行う。棺はチャップリンの物だと警察に伝える。
エディはサミラとサーカスを訪れる。ローザからサーカスの仕事をしないか誘われる。
チャップリン家で身代金が用意され、秘書ジョンが車の運転を行い運ぶ事になる。彼は軍隊に居た事もある男で、犯人を恐れていなかった。指定された場所に着くと公衆電話に次の指示が書かれたメモがあった。エディはその姿を遠くから見ていた。次の場所ではオスマンが車に乗って待機していた。お金を置き去ったのを確認して車を動かそうとするが、たまたま立ち寄った男が張っていた警察に逮捕されてしまう。オスマンはやって来たエディに警察がいた事を話す。そして、犯罪に巻き込んだエディに怒りを覚え、家を出て行けと怒鳴る。
映画『チャップリンからの贈りもの』の結末・ラスト(ネタバレ)
オスマンは家に帰るとサミラに当たってしまう。宿舎が放火された時、エディが命がけで助けてくれたから要求を断れないと話す。サミラに学校へ行けと指示すると、残されたメモを見つける。エディからサミラへの手紙で、本をプレゼントするから勉強を頑張れという内容だった。オスマンはそれを丸めて投げ捨てる。
エディがベンチに座っていると、迷子のオラウータンがやって来る。サーカスに連れて行くと、道化師が居なくなった為、ローザから助けてくれと言われる。帽子を被らされてキスをされ、服を着替えさせられる。エディは舞台で喜劇を演じた。
チャップリン家では警察が娘に事件が進展していない事を伝える。
オスマンは看護婦に家族手帳を持っていない事を話す。オスマン夫妻は役所に結婚届を出していなかった。看護婦は驚き、ヌールの治療費が全額自己負担だと告げる。その頃、エディはこの前のサーカスの出演料を受け取っていた。
エディはサーカスの仕事を続けており、そこにオスマンが助けてくれとやって来る。エディはチャップリン家に身代金を請求するが、途中で怒り狂ったオスマンが電話を奪い怒鳴り散らす。だが、オスマンが時間指定で明日電話すると話してしまった為、公衆電話に現れた所を張っていた警察に逮捕されてしまう。
オスマンは相棒の存在を話そうとしなかったが、秘書ジョンに耳元で何かを言われエディの存在を打ち明ける。ヌールは病室でニュースを見ており、夫が逮捕された事を知る。皆が見守る中、棺が掘り起こされる。
エディ達の裁判が行われる。オスマンは釈放され、ヌール達とチャップリンの墓を訪れていた。心優しいチャップリン夫人は告訴せず、ヌールの手術費を出してくれたのだ。家族は返済を誓い合う。エディはサーカスでまた道化師として働いていた。ローザと鏡越しに微笑み合った。
映画『チャップリンからの贈りもの』の感想・評価・レビュー
身代金目当てでチャップリンの棺を盗んだ人たちのお話。生活は苦しい、娘はしっかりしているけど夢を叶えてあげるにはお金がかかる、奥さんは難病にかかり入院費が足りない、前科持ちの友人とは友情を守りたい。主人公の行いは決して褒められるものではないけれど、彼の環境を見れば藁にもすがる思いだったのが分かります。少し心が痛みます。それでもラストはハッピーエンドで良かったです。チャップリンとその家族の優しさは粋ですね。(男性 20代)
悪いことをしているのだけど、何となく共感出来てしまうキャラクターが主人公なので、見ていて暖かい気持ちになれるし最後はほっこりして優しい気持ちになれました。
チャップリンの遺体を誘拐するなんて、いくら自分の生活が行き詰まっていても想像も出来ないですよね。しかし、この作品が実話を元に作られていると知ると、驚きしかありません。
チャップリンの愛を語るために作られたような作品なので、チャップリンはもちろんその家族に対しても愛情たっぷりに描かれていたように感じます。(女性 30代)
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