映画『紳士は金髪がお好き(1953)』の概要:金持ちが大好きなブロンド美女と、イケメンに目が無いブルネット美女が、女の幸せを探し求めるラブコメディ。アメリカが誇る二大セックスシンボルの競演が目にも楽しい。劇中歌「ダイヤモンドは女の親友」は、その後多くのアーティストにオマージュされる。
映画『紳士は金髪がお好き』の作品情報
上映時間:92分
ジャンル:コメディ、ラブストーリー、ミュージカル
監督:ハワード・ホークス
キャスト:マリリン・モンロー、ジェーン・ラッセル、チャールズ・コバーン、トミー・ヌーナン etc
映画『紳士は金髪がお好き』の登場人物(キャスト)
- ドロシー・ショー(ジェーン・ラッセル)
- NYの歌手。ブルネットの美女で、冷静だが大胆な姉御肌。男の好みは見た目重視で、恋に手慣れていればなお良い。相方のローレライを心配しつつ、彼女の人の良さを愛おしく思っている。
- ローレライ・リー(マリリン・モンロー)
- NYの歌手。ブロンドで、誰もが振り返るほどの美女。ドロシーとは幼馴染で、コンビを組んでいる。お金や宝石が何より好き。金持ちでなければ、愛することも出来ないと豪語する。教養も知識も無いが、頭の回転が速く、ウィットに富んだ会話は得意。
- ガス・エズモンド(トミー・ヌーナン)
- ローレライの恋人。資産家の御曹司。金はあるが、容姿は冴えなく、気も弱い。ローレライに甘えられると、何でも買い与えてしまう。
- アーニー・マローン(エリオット・リード)
- 私立探偵。ガスの父に雇われ、ローレライの不貞の証拠を探す。ハンサムで、会話もうまいが、金持ちではない。
- ビークマン卿(チャールズ・コバーン)
- 通称ピギー。アフリカのダイヤモンド鉱山を所有する、初老の大富豪。ブロンド美女のローレライに惚れ込むが、妻の尻に敷かれている。
映画『紳士は金髪がお好き』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『紳士は金髪がお好き』のあらすじ【起】
ローレライとドロシーは、田舎町から出て来た幼馴染の二人組だ。若く美人な二人はNYで歌手として成功し、ローレライは熱心な客の金持ち、ガス・エズモンドと結婚間近。しかし、ガスの父親は息子の相手として金髪のショーガールを認めず、ガスとローレライはフランスに渡り結婚式を挙げることにした。
フランスへの船が出る日。結局、ガスは父親の邪魔が入り、NYに残ることに。ローレライはフランスで彼を待つと決め、お目付け役としてドロシーが同行した。乗客のオリンピック選手たちは早速この美女二人組に夢中になり、心配顔で船を見送るガス。さらに、船にはローレライを見張る怪しげな男・アーニーも乗っていた。
ローレライは、乗船リストの中から金持ちの名前をピックアップし始める。金持ちとの結婚こそが女の幸せだと信じ、まだ相手のいないドロシーにふさわしい男を見つけるためだ。しかし、ドロシーは金に興味が無かった。彼女にとっては、背が高くハンサムで、おもしろい男にこそ価値がある。ドロシーはオリンピック選手たちにちょっかいを出すが、厳しい体調管理が必要な彼らは、夜9時就寝で話にならない。
映画『紳士は金髪がお好き』のあらすじ【承】
ディナーを待つラウンジで、ドロシーはダイヤモンド鉱山王のピギーと知り合った。ダイヤに目が無い友人からピギーを隠そうとするが、目ざといローレライはすぐにこの話を聞きつけ、ピギーをダンスに誘う。
そこへアーニーが現れ、一人になったドロシーに話しかける。積極的に彼女を口説きながら、ローレライのことも聞き出すアーニー。ダンスが終わり、すっかり骨抜きになったピギーが戻って来るが、彼の老妻もやって来た。彼女が身に纏うダイヤ、特にブルーダイヤのティアラに目を輝かせるローレライ。
そしてディナーの時間になる。ドレスアップしたローレライとドロシーに、乗客たちの目はくぎ付けだ。しかしローレライは、ドロシーのために狙いを定めていた男性が幼い少年だったとわかり、落胆を隠せない。
がっかりし、バーで飲み直す二人の元に、アーニーがやって来た。ローレライは彼を金持ちだと踏み、ドロシーと二人にさせる。ドロシーもまた彼に惹かれ、甲板に上がった二人は、満月の下でキスをした。
映画『紳士は金髪がお好き』のあらすじ【転】
翌日。ドロシーは、アーニーが窓から自分たちの部屋を盗撮している現場を見てしまう。彼は、ガスの父親エズモンド氏に雇われた私立探偵だったのだ。狙いは、ローレライの浮気現場。ちょうど部屋では、彼女がピギーと二人きりになっているところだった。アフリカに鉱山を持つピギーが、大蛇を説明するためローレライに襲い掛かる真似をする姿を写真に撮られてしまった。
ドロシーはローレライを叱り、写真を取り戻そうと持ち掛けた。早速アーニーをバーに誘い出し、その隙に、ローレライが彼の部屋を探りに行く。しかし、部屋にはネガが無い。
次の狙いは、上着のポケットだ。暑くした部屋に彼を呼び、睡眠薬入りの強い酒を飲ませてジャケットを奪い取った。それでも見つからず、今度はズボン。水浸しにして二人がかりで脱がせると、ようやくネガを発見した。
ローレライは、すぐに船の写真屋に現像を頼む。確かに、その写真は浮気を疑われても仕方のないものだった。彼女はその写真をピギーに見せ、恩を売る。その見返りとして、彼の妻のティアラを譲るよう迫った。
二人がティアラを取りに部屋を出ると、入れ替わりにアーニーがやって来た。ボーイを買収し、仕掛けておいた盗聴器とネガを回収する。そこへドロシーが現れると、アーニーは開き直り、ローレライの不貞を責めた。しかし、ドロシーへの恋心だけは否定せず、去り際にキスをする。ティアラを手に入れて戻ったローレライは、これでもまだアーニーに惹かれているドロシーに呆れ顔だ。
パリに着いた二人は、高級ブランドを次々回り、ショッピングを楽しんだ。そしてガスの用意したホテルへ行くが、待っていたのはアーニーとピギーの妻、そして保険会社の男。彼らは、ローレライをティアラ泥棒として追って来たのだ。しかし、ローレライは頑としてティアラを返さなかった。
ピギーの妻を追い出すが、ローレライとドロシーもホテルから追い出されてしまう。アーニーは既に写真をガスに送っており、彼の名での支払いが全てキャンセルされてしまったのだ。二人は夜の町に放り出されるが、得意の歌とダンスで気分を盛り上げる。
映画『紳士は金髪がお好き』の結末・ラスト(ネタバレ)
しばらくして、ガスもまた、パリへ駆けつけた。その頃には、ローレライとドロシーはキャバレーで人気の歌手となっていた。ガスはローレライが浮気を反省していると期待するが、彼女が舞台で歌うのは、「ダイヤモンドは女の親友」だ。
歌い終わったローレライの元に、警察がやって来た。ティアラを巡る裁判への出頭命令だ。ローレライはようやくティアラを返す気になるが、肝心のティアラが荷物から消えていた。ガスに代金を弁償してもらうため、ローレライは別れ話に来た彼を誘惑し始める。
その頃、ガスの父も息子を追ってパリにやって来た。空港で、アーニーが出迎える。するとその待合室に、ピギーの姿を見かけた。彼はアフリカへ逃げたと聞いていたアーニーは、不審に思い声をかける。ピギーは、ローレライに対し「こうするしかなかった。いつか埋め合わせをする」と不審な伝言を残した。
一方、裁判での時間稼ぎには、ドロシーが一肌脱いだ。ローレライそっくりのブロンドのウィッグとホクロを着け、舞台衣装で踊り法廷の男たちを魅了する。
この変装作戦を邪魔する者が現れた。アーニーだ。アーニーはすぐに変装を見破り、裁判長に告発しようとする。しかし、ドロシー扮するローレライが“私の親友は、ある男をまだ愛している”と語ると、告発を取りやめた。
アーニーは事件を解決できると宣言し、空港へ向かう。そしてピギーを法廷に引っ立ててくると、彼の鞄からティアラを取り出して見せた。こうして偽ローレライはティアラの返却に成功した。
一連の裁判を見ていたガスの父は、これが息子の選んだ女かと不機嫌だ。しかし、いざキャバレーで息子に会うと、違う美人を連れている。この娘なら良しと思ったら、彼女もまたローレライだと名乗りだす。すると、ローレライは巧みな話術で彼の結婚観を論破し、あっという間にガスの父を魅了した。
フランスから、アメリカ行きの船が出航する。船内では、二組のカップルの合同結婚式だ。花婿はガスとアーニー、花嫁はローレライとドロシーだ。こうして、田舎町から出て来た幼馴染の二人組は、それぞれ理想の男を手に入れた。
映画『紳士は金髪がお好き』の感想・評価・レビュー
マリリン・モンローとジェーン・ラッセルの歌から始まるオープニングからすぐに引き込まれる。劇中曲『ダイアモンドは女の親友』は、オマージュとして他作品に登場したりカバーされたりしているが、耳に残る楽しい楽曲である。
マリリン・モンローは魅力的で、話し方やしぐさ、歩き方など、どこをとっても可愛らしい。色白に金髪という外見も魅惑的だった。想像よりも低い歌声も色っぽくてよかった。ジェーン・ラッセルも大人の魅力あふれる女性で、姉御肌な感じがマリリンとの対比でより際立っていた。(女性 40代)
マリリン・モンローの代表作の一つ。思いのほかにあけすけなセリフの数々に面食らった。当時としてはとんでもなく下品な映画だったのではないだろうか。この時代の映画としては展開がスピーディーなので見やすいのがいいところだろう。個人的にはなんとか頑張って最後まで観たという感想だが、歌とダンスが楽しめるならばかなり評価が上がるだろう。他のマリリン・モンローの映画も私の感想はそんなところなので単純に好みのタイプじゃないからなのかも。(男性 30代)
マリリン・モンローの出演作品を初めて鑑賞したが、特徴的な猫なで声に、腰を振りながら歩く仕草、普段のトロンとした目に、時折目を見開くような色っぽい表情。たまに世間知らずな言動が出るものの、頭の回転が速く社交性もある。自分の持っている魅力全てを駆使している姿に、一度見たら忘れられないインパクトを感じた。現代にも名を馳せるのが納得。
そして、マリリン演じるローレライの相棒は、ジェーン・ラッセル演じるドロシー。賢くてしっかりしているが、時折見せる大胆できっぱりした行動がかっこよく、作中の伸びやかな歌声もとても魅力的。
一見正反対に見える二人のコンビネーションがよく、相棒感溢れるやりとりが面白い。(女性 20代)
なんともカラフルな映画。
基本はコメディなので難しいこと考える必要はない。マリリン・モンローはただただ可愛く魅力的。ミュージカルシーンも流れを壊すことなく実に自然。
タイトルからもしかして「男はこう、女はこう」的なステレオタイプな話かと思いきや、最後に「美人も金持ちも一つの基準で判断される」とちくりと一刺し。これが山椒のように映画の味を引き締めつつ、やっぱり「ダイヤモンドは親友」なのが気持ち良い一本。(男性 40代)
マリリン・モンロー演じるローレライが本当に可愛くて愛すべきキャラクターだと感じました。女の私が見て、こんなに魅了されてしまうのだから男性が見たらたまらないでしょう。
普通の女性がやったら「やりすぎ」「下品」と思われてしまいそうな行動もマリリン・モンローがするとセクシーで愛らしくて思わずため息が出てしまいました。
ストーリーもテンポが良くてとても面白かったです。お金持ちかイケメンか女性の永遠のテーマかもしれませんね。(女性 30代)
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