映画『シン・シティ』の概要：3つのパートに分かれたオムニバス形式の作品。罪の街、シン・シティを舞台に3人の男たちが愛する者を救うため、悪に立ち向かっていく。白黒の映像に赤い血や赤い口紅のみをカラーで映す技法が斬新で話題を呼んだ。
映画『シン・シティ』の作品情報
上映時間：124分
ジャンル：アクション、サスペンス
監督：フランク・ミラー、ロバート・ロドリゲス、クエンティン・タランティーノ
キャスト：ブルース・ウィリス、ミッキー・ローク、クライヴ・オーウェン、ジェシカ・アルバ etc
映画『シン・シティ』の登場人物（キャスト）
- マーヴ（ミッキー・ローク）
- 顔に傷を負った前科者の怪力男。その姿から女性に恐れられ、今まで一度も女性経験がなかった。ゴールディを殺害した犯人に復讐を誓う。ナンシーとは友人である。
- ゴールディ（ジェイミー・キング）
- マーヴと一夜を共にした美しい高級娼婦。
- ドワイト（クライヴ・オーウェン）
- 娼婦街に顔が利くガンマン。過去の犯罪で追われる身であるため、整形して街に出戻ってきた。
- ゲイル（ロザリオ・ドーソン）
- 娼婦街のボス。娼婦の武装化やルール整備を行い、治安を維持している。
- ハーティガン（ブルース・ウィリス）
- 刑事。幼女連続強姦殺人犯からナンシーを救う。
- ナンシー（ジェシカ・アルバ）
- 幼女連続強姦殺人犯に狙われていた少女。現在は美しく成長してダンサーをしている。
映画『シン・シティ』のネタバレあらすじ（ストーリー解説）
映画『シン・シティ』のあらすじ【起】
罪の街、シン・シティはその名の通り悪がはびこる街である。
仮出所したばかりの前科者マーヴは酒場で高級娼婦のゴールディと一夜を共にし、心を許す。しかし翌朝、ゴールディは遺体となって発見される。マーヴは殺人の容疑をかけられ警察に追われながら、真犯人への復讐を誓う。マーヴは保護観察官の協力もあって、真犯人の猟奇殺人鬼ケビンと対決する。しかしマーヴは敗北する。
その後、マーヴはゴールディの双子の姉ウェンディと接触する中で、事件の黒幕が枢機卿ロアークであると気付く。ゴールディはケビンを寵愛しており、犯した罪を知ってしまったが故に口封じのために殺害されたのであった。
マーヴはケビンを惨殺し、枢機卿ロアークを襲撃する。復讐を果たしたマーヴは警察に捕まり、死刑を宣告される。処刑を目前にウェンディが面会にやってくる。マーヴはウェンディの姿にゴールディを重ねていた。ゴールディとのあの日の夜を思い出しながらマーヴは電気椅子に座り、死を受け入れるのであった。
映画『シン・シティ』のあらすじ【承】
娼婦街で顔が利くガンマンのドワイトは、整形手術をしてシン・シティに出戻ってきた。ドワイトは恋人シェリーに付きまとうジャッキー・ボーイを撃退する。ジャッキー・ボーイは復讐のためにドワイトの元恋人ゲイルを拉致しようとして拉致現場に偶然居合わせた娼婦のベッキーに銃を向ける。しかし、この娼婦街で銃を出すのはご法度である。ジャッキー・ボーイと手下たちは用心棒のミホに皆殺しにされてしまう。
しかし、ジャッキー・ボーイの死後、彼が悪徳警官であったことが判明。ドワイトたちは証拠隠滅のためジャッキー・ボーイの遺体を沼に沈めようとする。そこへ娼婦街の支配を目論むマフィアのマヌートが現れ、ベッキーの裏切りも手助けしてゲイルの拉致に成功する。そしてドワイトへジャッキー・ボーイの遺体との交換を持ち掛ける。ドワイトは交換に応じるが、遺体には爆弾を仕掛けていた。ドワイトは娼婦たちと共にマヌートらマフィアを殺し、ゲイルを救出。こうして娼婦街の均衡は保たれたのである。
映画『シン・シティ』のあらすじ【転】
刑事ハーティガンは幼女連続強姦殺人犯のロアーク・ジュニアを撃退して重傷を負わせ、誘拐されていたナンシーを救出する。しかし、ハーティガンは相棒に裏切られて重傷を負う。そして、ロアーク・ジュニアの父であり、ロアーク枢機卿の弟である、ロアーク議員によって刑務所に投獄され、ロアーク・ジュニアの罪を被って服役することとなる。
ハーティガンの無罪を信じるナンシーは一途に獄中へ手紙を送り続け、ハーティガンはその手紙を支えに獄中生活を耐えていた。しかし、数年後ナンシーからの手紙が突如途絶え、代わりにナンシーのものと思われる指が届く。ハーティガンはロアーク・ジュニアが自分への復讐のためナンシーを狙っていると確信する。
出所したハーティガンは、美しく成長してダンサーとして働くナンシーと再会する。一方、ロアーク・ジュニアは治療の副作用で全身が黄色くなった醜い姿の「イエロー・バスタード」に変貌していた。
映画『シン・シティ』の結末・ラスト（ネタバレ）
ある日、ナンシーはイエロー・バスタードに捕まり、ロアーク一族所有の農場へと連れ去られてしまう。ナンシーを救出すべくハーティガンはイエロー・バスタード一味を殺害する。無事ナンシーは助け出されたが、このままでは再びロアーク一族が復讐のためナンシーを狙うだろうと悟ったハーティガンはナンシーを送り出してから、自らの頭を銃で撃つのであった。
また別のある日、正体不明の殺し屋「ザ・マン」はパーティー会場を抜け出した女性に声を掛けていた。ザ・マンは紳士的な物腰で、その恐ろしい正体を隠しながら女性と打ち解け、心の中に入り込んでいく。ザ・マンは女性を抱き寄せて耳元で愛を囁き、女性が気を許した瞬間、女性に向けて銃を撃つのであった。ザ・マンは女性の小切手を奪って去っていく。
さらに別の日、仲間を裏切り娼婦街から逃げ出したベッキーは母親と電話をしていた。ベッキーの恐怖と不安に気付いた男がベッキーに歩み寄る。男はベッキーとエレベーターに乗り込んでいった。その男の正体とは、殺し屋のザ・マンだったのである。
映画『シン・シティ』の感想・評価・レビュー
黒と白と赤の世界。ロバート・ロドリゲスの作り上げたフランク・ミラーの世界観に震えました。
3つのエピソードのうち一番好きなのはミッキー・ローク演じるマーヴのエピソードです。
「レスラー」でも魅せたミッキー・ロークの真骨頂、強くて優しくて不器用な男がたまらなくツボ。
悲しかっこいいみたいな…。
他にもクライヴ・オーウェン、ロザリオ・ドーソンなどこの人が出ていたら観るでしょう、っていう人がいっぱいで内容はもちろん、そういう点でも大満足の映画です。（女性 40代）
DVDのパッケージを見たときはB級映画なのかなと思っていたのだが、見ると想像以上に良かった。所々でカラーが入るものの基本的に白黒の映像で物語が進んでいくため、一般的なサスペンス映画よりも不気味さを感じた。どこか古さを感じながらも、誰にも真似できない斬新な作品。それに映画ってオシャレなものなのだと、認識を新たにすることができた。オムニバス形式の物語のため、最後まで飽きることなくサクサク楽しめたのも良かった。（女性 30代）
万人受けする作品では無いかもしれませんが、個人的にはめちゃくちゃカッコ良くて、スタイリッシュでオシャレで大好きな作品です。前情報一切無しで鑑賞したので、オムニバス形式の作品であることに驚きましたが、その手法が上手くいかされていて、それぞれのストーリーに魅力を感じながら飽きずに見られました。
舞台となるシン・シティに集まるのは「普通じゃない」人ばかり。しかしそれが悪だけじゃないのが、妙に心に刺さるんですよね。
アメコミ原作ならではのハードボイルドな雰囲気満載で、とても面白い作品です。（女性 30代）
みんなの感想・レビュー
タランティーノの大親友ロバート・ロドリゲスが本気でカッコいい映画を作ったら、このような「一部の人にとっては大傑作」が出来上がった、ということですね。フランク・ミラーがどれくらい制作に関わっているのかいまいちわからないのですが、本作のカッコ良さのほとんどはロバート・ロドリゲスの手腕だと考えていいでしょう。オープニングシーンからして素晴らしいですからね。中二病万歳！って感じです。
来年公開される続編映画はあまり評判が良くないようですね。プロジェクトが難航していたにも関わらず、力技で制作に入り、むりやり公開にこぎつけたという、「見えている地雷」ですからねぇ……。本作のファンである私も、観に行くのをちょっと躊躇してしまいそうです。
ああ、なんて素晴らしいんでしょう。これぞ中二魂。本作ほど中二病患者を興奮させる映画はそうないのではないでしょうか。白黒に加工された映像は最新のアクションや演出法によって無限の彩りを持ち、登場人物は悪役すらかっこよく（特にベネチオ・デル・トロ！凄い！）、終始正義感を刺激するストーリーによって、我々はアメコミの世界の住人になったような気分を味わうことができるのです。
本作の最大の特徴は映像ですが、カッコつけのために映像を白黒に加工しているのではなく、最も憎むべき敵を強調するためのしかけ。さらに、製作者がオマージュを捧げる「フィルム・ノワール」と呼ばれる４０年代後半から５０年代にかけてアメリカで次々と制作された犯罪映画の香りがプンプンしてくるのです。正直言ってストーリーはカッコつけが鼻につく。
しかし、その分映像と俳優の演技で魅せるのです。『LOTR』の主人公がハリーポッターのせむし男版みたいな殺人鬼を嬉々として演じていたり、ベネチオ・デル・トロがかっこ良すぎる悪徳警官をノリノリで演じていたり、ミッキー・ロークが悲しき怪物を哀愁たっぷりに演じきっている。まあ、ブルース・ウィリスは他の映画でもよく見るような感じでしたが……。
とにかくカッコいいですよ。世界観を気に入れば、きっと死ぬまでに何度も見返すほどハマるでしょうし、気に入らなければ二度と見ないでしょう。それでいいんです。ロバート・ロドリゲスはそういう監督だし、日本人にとってアメコミとはそういう存在なのですから。
あ、あと、「ビッグ・ファット・キル」に桃の天然水の呪いを跳ね除けた唯一の女・デヴォン青木が出演していますよ。気づきましたか？