この記事では、映画『何が彼女をそうさせたか』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『何が彼女をそうさせたか』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『何が彼女をそうさせたか』の作品情報

上映時間:110分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:鈴木重吉
キャスト:高津慶子、藤間林太郎、小島洋々、牧英勝 etc
映画『何が彼女をそうさせたか』の登場人物(キャスト)
- 中村すみ子(高津慶子)
- 14歳の少女。父が自殺し、職を転々とする。会う人間の悪意に翻弄され、酷い生活を送る。唯一信用して一緒になった新太郎と心中を図るも、自分一人生き残ってしまう。純粋な少女だったが、様々な経験で人格が崩壊してしまう。
- 山田勘太(浅野節)
- すみ子の伯父。すみ子の存在を煙たがるが、お金のために世話をする。邪魔になったすみ子を曲芸団に売り払う。性格が悪く、汚らしい格好の男。
- 山田お定(園千枝子)
- 勘太の妻。勘太同様すみ子に酷い仕打ちをする。性格が悪く、お金に汚い女。
- 小川鉄蔵(浜田格)
- 曲芸団の団長。勘太からすみ子を買い、曲芸団の一員にする。団員を奴隷だと思っている。
- 長谷川旭光(藤間林太郎)
- 琵琶師。すみ子を女中として雇う。真意は不明だが、すみ子と新太郎の関係を知ってすみ子に襲いかかろうとする。すみ子は結果的に家を出て行って、新太郎と一緒にすみ始める。背筋の良い男。
- 矢沢梅子(尾崎静子)
- 天使園という施設の園主。新興宗教のように、収容人を洗脳する。火事になった協会に収容者を置き去りにする。悪人。
- 市川新太郎(海野龍人)
- すみ子の恋人。元曲芸団員。生活苦からすみ子と共に心中を図るも、自分一人だけ死んでしまう。すみ子が信用する男で、性格の良い青年。
映画『何が彼女をそうさせたか』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『何が彼女をそうさせたか』のあらすじ【起】
一人、とぼとぼと線路伝いに歩くみすぼらしい姿の少女がいた。彼女の名前は中村すみ子。歩き疲れたすみ子は風呂敷包みからパンを一切れ取り出し、それに貪りつく。彼女にとってその一切れは最後の一切れだった。そして、少女は再び歩き出す。
下駄の鼻緒が千切れてしまった。そんなすみ子を見て、車力の土井老人が彼女を救う。家に招き入れ、食事をご馳走する。どんぶりいっぱいに入れられた炊き込みご飯。すみ子は貪りつくようにそれを食べ尽くす。
何処へ行くのかと尋ねる土井老人。すみ子は、新田の町にいる伯父さんのもとへ行こうと思っていると答える。父から手紙を預かっていて、それを伯父さんに見せれば良いと言われていたのだ。すみ子の村には学校がなく、新田の町にある学校に通わせてもらうのだとすみ子は言う。
土井老人の家に一泊したすみ子。土井老人はすみ子が寝ている隙にすみ子の荷物を漁る。
翌日、何事もなかったように土井老人はすみ子を新田の町へと送り出す。すみ子は土井老人に感謝し、一人で町の方へと歩み始める。
映画『何が彼女をそうさせたか』のあらすじ【承】
伯父の山田勘太の家についたすみ子。手紙を渡すが、勘太も妻のお定も迷惑そうな顔をしている。手紙には、永々の失業と病気のためにとても食っていけないから娘を頼むと書いてある。
封筒と一緒にお金が入っていることに気づいた勘太とお定。二人はすみ子の父が自殺したのだと察する。お金に目が眩んだ二人は、ころっと態度を変えてすみ子を受け入れる。
学校に通わせて欲しいと言うすみ子だが、勘太達はそれを断る。子供のたくさんいる彼らにはそんな余裕などないのだ。
すみ子にとってそこでの生活は地獄のようだった。子供達の世話などをさせられ、ひどい扱いを受けた挙句にまともにご飯すら食べられない。
勘太が、すみ子の父の知り合いだという男を連れてくる。彼は小川という男で、小さい頃からすみ子のことを知っているという。勘太は、小川が教育を与えてくれるとすみ子に言う。すみ子は学校に行けるのものだと思い込み、喜びを爆発させる。
すみ子は曲芸団に売られてしまった。小川は曲芸団の団長で、すみ子は騙されてしまったのだ。
曲芸団に無理矢理連れ込まれたすみ子は、ナイフを投げられたりと酷い仕打ちを受ける。そこにいた他の団員達はみんな孤児で、親のいない身分の者達だった。
映画『何が彼女をそうさせたか』のあらすじ【転】
すみ子は字の読める団員に、勘太の家から持ち出した手紙の内容を聞く。そして、父が自殺したことを知る。
月日が経ち、曲芸団の団員として暮らしていたすみ子は、同じ曲芸団の団員の新太郎に恋心を抱くようになる。そして、隙を見て二人は脱走する。しかし、途中で道を聞きに行ったきり新太郎は戻らなかった。事故に遭って隣町の病院に運ばれたのだ。
その後すみ子は詐欺師の手下になったり、養護施設に預けられたり、秋山という名前の県会議員の女中をしたりと、職を転々としていた。結局、秋山の妻に酷い仕打ちを受けたすみ子は再び養護施設に預けられる。
3年後、すみ子は琵琶師の長谷川のもとで女中をしていた。そんなある日、すみ子は偶然に新太郎と再会する。劇団で働いているという新太郎は、すみ子に住所を渡して帰って行く。長谷川はその様子を外で見ていた。
その夜、突然長谷川がすみ子に襲いかかる。すみ子は家から逃げ出し、新太郎のもとへと逃げて行く。
映画『何が彼女をそうさせたか』の結末・ラスト(ネタバレ)
新太郎との新しい生活が始まる。しかし、職を失った二人の生活は楽なものではなかった。万策尽きた二人は心中の決心をする。
すみ子だけが助かってしまい、天使園という施設に預けられることになった。夫も幸せも全てを失ったすみ子は、新しい生活への決心をする。
教会で毎日のようにお祈りをする日々を送るすみ子。そこはまるで新興宗教のような場所で、園主の梅子はすみ子に対し、すでに死んで別の人間になったのだと訴えかける。告白を強要されたすみ子は反抗し、その夜に教会に火を放つ。梅子はうろたえて、持ち金だけを持って逃げ去る。残された収容者はそのまま放置され、梅子は彼らを無視して何処かへ行ってしまったのだ。憎い家よ燃えろと叫ぶすみ子。そのとき、すみ子の両側に警察が現れてすみ子を捕らえる。
警察に捕まったすみ子は素直に犯行を認める。燃え盛る建物を見ながら、「みんな天国へ、みんな天国へ」と叫び出す。何が彼女をそうさせたのか。
映画『何が彼女をそうさせたか』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
幼い少女が過酷な環境に翻弄され、次第に追い詰められていく過程が胸を締めつける。親族に売られるように預けられ、酷使され、裏切られる。その連鎖の果てに放火という破滅的な行動に至る展開は衝撃的だった。タイトル通り「何が彼女をそうさせたのか」を問い続ける構成が鋭い。社会の冷酷さが彼女を犯罪者にしたという視点が強く残った。(30代 男性)
無声映画ながら感情のうねりが凄まじい。彼女が搾取され続ける姿に怒りが込み上げる。特に宗教施設での偽善的な扱いが印象的で、救いの場であるはずの場所が抑圧の場になる皮肉が痛い。最後に火を放つ決断は破壊であると同時に叫びにも見えた。(40代 女性)
時代背景を考えると、ここまで社会批判を前面に出した作品は大胆だと思う。少女の純粋さが徐々に踏みにじられていく過程がリアル。周囲の大人たちの身勝手さが積み重なり、悲劇的な結末へと繋がる。観終わった後、やり場のない虚しさが残った。(20代 男性)
主人公の境遇があまりにも過酷で、観ていて辛い場面が多い。それでも彼女は必死に生きようとする。その姿が切ない。放火という行為は肯定できないが、追い詰められた結果だと感じてしまう。社会構造への鋭い告発を含んだ問題作だ。(50代 女性)
サイレント映画特有の表情演技が強烈。彼女の目の動き一つで絶望が伝わる。虐げられ続けた末に起こす行動は衝撃だが、単なる犯罪劇ではない。貧困や女性の立場の弱さが背景にあり、時代の闇を映していると感じた。(30代 女性)
タイトルの問いが観客に突きつけられる構造が見事。彼女を取り巻く環境はどこも救いがなく、信頼できる大人がいない。だからこそ最終的な破滅が避けられなかったのだろう。社会派ドラマとして非常に先鋭的だ。(40代 男性)
現代の視点から観ても胸が苦しくなる。彼女の転落は個人の問題ではなく、社会全体の責任だと感じた。ラストの放火シーンはショッキングだが、怒りの象徴として強烈。沈黙の中に込められたメッセージが重い。(20代 女性)
古い作品ながらテーマは今も色褪せない。女性が搾取される構図や貧困の連鎖は普遍的だ。彼女が絶望に追い込まれるまでの積み重ねが丁寧で、安易な感傷に逃げない。社会に問いを投げかける力を持った一作。(60代 男性)
少女の視点で描かれる不条理が生々しい。善意の仮面を被った大人たちの偽善が際立つ。火を放つラストは破滅でありながら、抑圧からの解放にも見える。観る者に強い衝撃を与える社会派作品だ。(30代 男性)
抑圧の連鎖が描かれ、観ていて息苦しい。しかしだからこそ目を背けてはいけない作品だと思う。彼女の悲劇は偶然ではなく、必然の積み重ね。ラストの炎が象徴するのは怒りか、それとも絶望か。深く考えさせられた。(50代 女性)
映画『何が彼女をそうさせたか』を見た人におすすめの映画5選
生きる
この映画を一言で表すと?
社会の歯車の中で、ひとりの人間が尊厳を取り戻す物語。
どんな話?
市役所に勤める男が余命宣告を受け、自らの人生を見つめ直す。無気力に生きてきた彼は、最後に子どもたちのための公園建設に奔走する。社会制度の冷たさと個人の覚醒を描いたヒューマンドラマ。
ここがおすすめ!
社会構造の中で埋もれる個人というテーマが共通する。静かな演出の中に強い社会批評が込められており、観る者に深い余韻を残す。人間の尊厳を問い直したい人におすすめ。
西鶴一代女
この映画を一言で表すと?
女性の転落を通して社会の不条理を暴く傑作。
どんな話?
身分違いの恋により家を追われた女性が、時代の価値観と男社会の中で翻弄される。愛、裏切り、貧困を経て彼女は次第に追い詰められていく。封建社会の冷酷さを描いた重厚なドラマ。
ここがおすすめ!
女性が社会に翻弄される構図が強烈に響き合う。時代は違えど、不条理の本質は変わらない。重厚な演出と心理描写が深く心に残る社会派作品。
蟹工船
この映画を一言で表すと?
搾取に抗う若者たちの怒りが炸裂する社会派ドラマ。
どんな話?
過酷な労働環境に置かれた若者たちが、船上で理不尽な扱いを受け続ける。やがて彼らは団結し、抑圧に立ち向かう決意を固める。労働搾取と階級構造を描いた力強い物語。
ここがおすすめ!
抑圧と怒りというテーマが重なる。個人の悲劇が社会問題へと拡張される構図が見どころ。観る者の感情を揺さぶる熱量があり、社会派作品好きには必見。
家なき子
この映画を一言で表すと?
孤独な少女の旅路が胸を打つ、感動の人間ドラマ。
どんな話?
家を失い、旅芸人とともに各地を巡る少女。過酷な境遇の中でも希望を失わず、人との出会いを重ねて成長していく。孤児の視点から社会の現実を描く物語。
ここがおすすめ!
過酷な環境に置かれた少女という点で共鳴する。純粋さと強さが描かれ、観る者の胸を打つ。苦難の中に希望を見出す物語を求める人におすすめ。
飢餓海峡
この映画を一言で表すと?
貧困と罪が交錯する、重厚な社会派サスペンス。
どんな話?
戦後の混乱期、貧困に追い詰められた男が殺人を犯す。事件を追う刑事と、罪を背負い生きる男の運命が交錯する。社会の歪みが生んだ悲劇を描く壮大な人間ドラマ。
ここがおすすめ!
犯罪の背後にある社会的要因を深く掘り下げる点が共通。単なるサスペンスに留まらず、時代の闇を鋭く描写する。重厚な社会派作品を味わいたい人に最適な一本。



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