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映画『ドッグヴィル』のネタバレあらすじ結末と感想

この記事では、映画『ドッグヴィル』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『ドッグヴィル』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。

この記事でわかること
  • 『ドッグヴィル』の結末までのストーリー
  • 『ドッグヴィル』を見た感想・レビュー
  • 『ドッグヴィル』を見た人におすすめの映画5選

映画『ドッグヴィル』の作品情報

ドッグヴィル

製作年:2003年
上映時間:177分
ジャンル:サスペンス
監督:ラース・フォン・トリアー
キャスト:ニコール・キッドマン、ポール・ベタニー、クロエ・セヴィニー、ローレン・バコール etc

映画『ドッグヴィル』の登場人物(キャスト)

グレース(ニコール・キッドマン)
ギャングに追われ、小さな町“ドッグヴィル”に逃げ込む。素性は不明。慈悲深く、人間は皆愛すべき部分がると信じる純真無垢な性格。
トム(ポール・ベタニー)
ドッグヴィルに住む無職の青年。小説家志望。グレースに心惹かれていく。
ヴェラ(パトリシア・クラークソン)
四人の子を持つ母親。美しく男を惑わせるグレースを目の敵にしている。
マッケイ(ベン・ギャザラ)
盲目の男。しかし周囲には目が見えないことを隠している。
チャック(ステラン・スカルスガルド)
リンゴ農家。武骨な性格で、よそ者のグレースをはじめのうち嫌悪する。ヴェラの夫。

映画『ドッグヴィル』のネタバレあらすじ(起承転結)

映画『ドッグヴィル』のストーリーをネタバレありの起承転結で解説しています。この先、結末までのネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『ドッグヴィル』のあらすじ【起】

アメリカ、ロッキー山脈の外れにある小さな炭鉱町、通称“ドッグヴィル”。15人しかいない小さな町に、ある日金髪の美しい女性グレースが駆け込んでくる。偶然、彼女に遭遇した小説家志望のトムは、彼女を咄嗟に鉱山の陰に匿う。すると直後、黒塗りのセダンが町を訪れ「若い女性を見なかったか?」とトムに尋ねた。トムは「知らない」と嘘をつき、その男から名刺を受け取る。

グレースはひどく怯えており、そんな彼女の姿を見かねたトムは、町の集会で、この町にしばらく彼女を住まわせようと提案する。

異端者であるグレースをなかなか受け入れられない住人たち。そこでトムは、二週間の猶予をグレースに与え、その二週間に町の仕事を手伝えば皆に認められるはずだと彼女に告げる。

トムの言葉を信じ、献身的に肉体労働に励むグレース。素直な彼女の性格に、次第に町の人間たちも心を開き始め、少しずつグレースは認められ始める。

しかしリンゴ農家のチャックだけは、なぜか彼女を毛嫌いしていた。リンゴの収穫を手伝うグレースにチャックが言う。「この町は腐っている」

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映画『ドッグヴィル』のあらすじ【承】

グレースに与えられた猶予である二週間が終わった。再び集会を開くトム。彼女をこの町に残すべきか否かを多数決で決めることとなった。公平な判断を下すため、グレースは遠くの鉱山で結果を待つこととなった。

もし賛成票が入れば、一人につき一度、教会の鐘が鳴らされる約束になっていた。1回、2回……そして15回目の鐘が鳴り、見事グレースはドッグヴィルの一員となる。

町の一員となった彼女のために、住人は手伝いのたびにわずかながら彼女に報酬を払うようになった。彼女はこれまで以上に献身的に町の仕事を手伝うようになる。そして少しずつ、トムとグレースは惹かれ合っていく。

独立記念日の夜、滅多に人の訪ねることのないドッグヴィルに警察がやって来る。警察は若い女性を探していると、一枚の手配書を掲示板に貼り去っていく。そこにはグレースの顔写真と共に、彼女がある銀行強盗事件に関与している旨が記されていた。

集会での話し合いにより、彼女を警察へ引き渡さず、これまで通り町へ匿うことが決まったが、少しずつグレースに対する町の人々の視線が冷たくなっていく。

グレースはほとんど一日中働かされ、報酬も減らされてしまう。

映画『ドッグヴィル』のあらすじ【転】

再び町へ警察がやって来る。ヴェラの家で子供たちの面倒を見ていたグレースはチャックからその事実を聞き動揺する。チャックは、警察へ黙っている代わりにグレースの肉体を求める。抵抗するグレースだったが、チャックにより力ずくで押し倒されレイプされる。

チャックはリンゴの収穫の度に、妻に隠れてグレースを求めるようになっていた。グレースはやがて諦めたようにチャックを受け入れるように。しかしある日、二人が性行為をしている場面を町の住人に見つかってしまう。

その夜、チャックの妻ヴェラに折檻を受けるグレース。ヴェラはグレースの大事にしていた陶器の人形を一つ残らず壊してしまう。

グレースは町を出て行くことを決意する。トムと運送屋であるベンの協力でベンのトラックの荷台に隠れ町を抜け出したグレースだったが、欲に目がくらんだベンにセックスを強要される。疲れ果て眠っていると、彼女が逃げ出したことに気付いた住人たちによって、再び彼女はドッグヴィルに連れ戻されてしまう。

町の住人たちの彼女への態度は常軌を逸し始め、グレースが二度と町を出られないよう彼女に首輪をつける。そして町の男たちは夜な夜な彼女の家を訪ね、グレースを犯し続けた。

トムはグレースを助けようと思いつつも、町の人間を敵に回すことができない自分に嫌気がさしていた。どうしたら彼女を助けられるだろうか。やがてトムは一つの結論に辿り着く。
以前、ギャングのボスから受け取った名刺の番号に電話をかける。

映画『ドッグヴィル』の結末・ラスト(ネタバレ)

トムの連絡を受け、あの日の黒塗りのセダンが再び町へやって来る。グレースを車の後部座席に乗せるギャングの手下たち。実はギャングのボスはグレースの父親だった。傲慢で人間の命を少しも重く見ていない父親の所業に嫌気がさしていた彼女は家を抜け出し、この町に逃げ込んだのだった。

父はこの町の人間に仕返しをするかとグレースに問うが、彼女は拒否し再び町へ戻ろうとする。しかし、車から出た彼女が見たドッグヴィルの風景は、初めて目にした頃とはすっかり見え方が違ってしまっていた。この町の住人たちも、結局は父と何も変わりがないじゃないか。これまでの自身が受けた苦渋の数々を思い出したグレースは、この町の人間をこのままにしていると、第二の自分のような被害者を呼んでしまうという結論に達する。

再び後部座席に乗り込んだ彼女は父に「この町を焼き払って」と頼む。彼女の決断により、町の住人たちは次々と射殺されていく。

そして残るはトムただ一人となった。立ちすくむトムを、グレースは自らの手で射殺する。すべてを焼き払い、誰一人としていなくなったドッグヴィル。グレースたちが去ろうとすると、遠くで犬の鳴き声が聞こえた。それはチャックの飼っていた犬が発しているものであり、ただ一匹、奇跡的に生き延びていた。

その犬を残し、町を去るグレース。その背中を追うように、犬はいつまでも鳴き続けた。

映画『ドッグヴィル』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)

本作は、ロッキー山脈の麓に孤立するドッグヴィルという村に逃げ込んできたグレースという女性の3週間の物語。
チョークで線が引かれただけの舞台のような斬新なセットが衝撃的で印象に残った。
ドッグヴィルという村の田舎特有の閉鎖的でよそ者を受け付けない感じ、人間の嫌な部分がこれでもかという程露呈し、不気味さや不穏な雰囲気が充満していた。
そして、グレースを演じた若き日のニコール・キッドマンがとても美しかった。
人間の本質が暴かれる作品。(女性 20代)


舞台のようなミニマルなセットに最初は驚きましたが、その分、登場人物たちの感情や行動がむき出しで迫ってくる構成に引き込まれました。逃亡者のグレースを受け入れた村人たちが、次第に彼女を搾取し支配していく姿は、人間の本性と集団心理の怖さを容赦なく描いています。ラストで彼女がすべてを焼き尽くす選択をしたとき、その正当性に震えながらも納得してしまう自分がいました。(20代 男性)


まるで演劇のような舞台演出に最初は戸惑いましたが、逆にその抽象的な空間が寓話性を強めていたと思います。善意を装った暴力、静かに忍び寄る差別と支配……グレースの物語は、現代社会への痛烈な皮肉に思えました。彼女が復讐に手を染めたラストは、観る者に「赦しとは何か」を突きつけます。ラース・フォン・トリアーの容赦のなさに呆れながらも唸らされました。(30代 女性)


善悪の境界をこれほど考えさせられる映画は他にありません。村人たちは最初、親切そうに見えて、少しずつ彼女を道具のように扱うようになる。その変化がリアルで、非常に不快であると同時に目を離せませんでした。グレースが最後に父親と再会し、「人間らしさ」について語るシーンは哲学的で衝撃的。すべてを見下ろす神のような視点で描かれたラストの制裁は、必然とも言える結末でした。(40代 男性)


少女グレースがたどる地獄のような運命は、フェミニズムの視点からも非常に考察しがいがあります。助けを求めた先で性的暴力を含むあらゆる搾取に遭い、声を奪われていく過程が、どこか現実の世界と地続きで怖かったです。そしてラストで彼女が一切の情けを捨てる姿には、痛みとカタルシスの両方がありました。見終わったあともしばらく心がざわつきました。(20代 女性)


本作は「人間の本質とは何か?」を極限まで剥き出しにする作品だと思います。背景のない舞台で繰り広げられるドラマは、逆に想像力をかきたて、人間の醜さをより強調していました。最初の善意が、利益のための搾取に変わる過程がとてもリアルで、他人事とは思えませんでした。ラストの復讐には賛否あるでしょうが、私はむしろ救いに感じました。(50代 男性)


物語というより、道徳の授業のような体験でした。人は集団になると、個人の良心よりも空気に流される…その構図が怖いほど明確に描かれていました。グレースがどれだけ優しくしても、村人は恩を仇で返す。その不条理に対して、最終的に彼女が行った報復は、逆説的に“人間らしさ”を取り戻す行為だったようにも思えました。演出の独創性も見事でした。(30代 男性)


ニコール・キッドマンの演技が圧巻でした。最初は静かで、どこか浮世離れした雰囲気の女性が、少しずつ精神的にも肉体的にも追い込まれていく様子をリアルに演じきっていました。ラスト、父との対話で冷徹に変貌する姿は圧巻で、彼女自身が「神」になったようにも感じました。舞台セットの潔さも、物語の寓話性を高めていて非常に効果的でした。(40代 女性)


社会の縮図のような小さな村で、弱者がどう扱われるのかを赤裸々に描いた映画です。グレースの存在が、彼らの良心を試す試金石だったのに、それが次第に搾取の対象に変わっていく流れは、本当にリアルで怖い。見終わったあと、日常の人間関係さえ少し怖く感じてしまいました。演出や構成があまりに独創的で、こんな映画は二度と作れないと思います。(20代 女性)


ドッグヴィルは、観客自身の倫理観を試してくる映画だと思います。観ていて何度も「自分だったらどうするだろう」と考えさせられました。舞台風の演出が逆に想像力を刺激し、観る者に「見ないふりをする村人」としての立場を強いる構造も巧妙。グレースの復讐が“正しい”とは言い切れませんが、あの選択を否定することもまた難しいのです。(30代 女性)

映画『ドッグヴィル』を見た人におすすめの映画5選

累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『ドッグヴィル』を見た人におすすめの映画5選を紹介します。

マンダレイ

この映画を一言で表すと?

『ドッグヴィル』の“続編”にして、アメリカ社会の根深い闇をさらに暴く問題作。

どんな話?

グレースはドッグヴィルを後にし、南部の農園マンダレイへたどり着く。そこでは黒人奴隷制がいまだに続いており、彼女は理想主義からこの体制を改革しようとする。しかし、善意の介入がもたらすものとは…。『ドッグヴィル』に続く、社会の偽善をあぶり出す作品です。

ここがおすすめ!

本作も舞台風の抽象的な演出が特徴。ニコール・キッドマンからブライス・ダラス・ハワードにキャストは変わりましたが、重厚なテーマ性と問いかけの強さは健在。人間の“正しさ”がどれほど危ういものかを鋭く描き出します。ぜひ『ドッグヴィル』とセットで観てほしい一作です。

セブン

この映画を一言で表すと?

人間の「罪」と「正義」を問う、衝撃のサスペンススリラー。

どんな話?

退職間近の刑事サマセットと新人刑事ミルズが、七つの大罪に基づいた連続殺人事件を追う物語。猟奇的でありながら深い哲学性を持ち、犯人の思想と彼らの追跡が交錯する中、倫理観が崩れていく様を描くダークで重厚なストーリーです。

ここがおすすめ!

『ドッグヴィル』同様、人間の本質や罪の意識に鋭く切り込む物語展開が秀逸。ブラッド・ピットとモーガン・フリーマンの演技も見ごたえがあり、特にラストの衝撃は強烈。善悪の境界が曖昧になる心理スリラーを探している方にぴったりの一本です。

ミスティック・リバー

この映画を一言で表すと?

過去と罪に囚われた男たちの、静かで重い復讐劇。

どんな話?

幼いころのトラウマを抱えた3人の男たちが、大人になって再会する。1人の娘の殺害事件をきっかけに、それぞれの心にしまわれた罪と痛みがあぶり出されていく。運命の皮肉と人間の弱さがじわじわと胸に迫る作品です。

ここがおすすめ!

ショーン・ペンやティム・ロビンスらの名演が心を打ちます。『ドッグヴィル』同様、人間関係の裏側に潜む暴力や支配、そして赦しの可能性に焦点を当てた作品で、観る者の感情を深く揺さぶります。静かで強烈なドラマを求める方におすすめです。

白いリボン

この映画を一言で表すと?

善と悪の境界が曖昧になる、静かな恐怖に満ちた寓話的ドラマ。

どんな話?

第一次世界大戦直前のドイツの村で、不可解な事件が続発する。純粋無垢に見える子どもたち、敬虔な大人たちの間に隠された“暴力の芽”がじわじわと姿を現していく。村を包む静寂と緊張の中、何が正義で何が罪なのかが問い直される。

ここがおすすめ!

モノクロ映像が美しくも不穏な空気を強調し、物語の抽象性と合わせて『ドッグヴィル』にも通じる寓話的な作風が印象的。ミヒャエル・ハネケ監督らしい、観る者の解釈を強く求める作品で、深く思索的な映画体験を求める方にぴったりです。

ファニーゲーム U.S.A.

この映画を一言で表すと?

観る者を巻き込む、暴力とメディアの恐怖を描いた問題作。

どんな話?

ある家族が週末を過ごすため訪れた湖畔の別荘に、2人の若者が訪ねてくる。礼儀正しさの裏に潜む狂気が、次第に家族を破滅へと導いていく。観客の“視る”行為そのものに問題提起する構成が特徴的なサスペンススリラー。

ここがおすすめ!

ハネケ監督が同名の自作をリメイクした作品で、観客の感情や倫理観を逆なでする演出が秀逸。『ドッグヴィル』同様、「善意」や「正義」の外側にある暴力のリアルを見せつける映画で、非常に不快ながら強烈な印象を残します。観る覚悟が試される一本です。

この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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