映画『ブリッジ・オブ・スパイ』の概要:『ジュラシック・パーク』『シンドラーのリスト』など、数々のヒット作を生み出してきたスティーブン・スピルバーグが描く、実在の事件を基にしたサスペンス。これまで多くの作品で監督とタッグを組んできたトム・ハンクスが正義を貫く弁護士を熱演。
映画『ブリッジ・オブ・スパイ』の作品情報
上映時間:142分
ジャンル:サスペンス
監督:スティーヴン・スピルバーグ
キャスト:トム・ハンクス、マーク・ライランス、エイミー・ライアン、アラン・アルダ etc
映画『ブリッジ・オブ・スパイ』の登場人物(キャスト)
- ジェームズ・ドノヴァン(トム・ハンクス)
- 保険を専門とするやり手の弁護士。正義感が強く、行動力がある。ソ連のスパイの弁護を任せられ困惑する。
- ルドルフ・アベル(マーク・ライランス)
- ソ連側のスパイ。芸術を深く愛しており、死を恐れていない。「不安はないか?」と聞かれ「それは役に立つか?」と尋ねるなど、達観した雰囲気を漂わせている。
- メアリー・ドノヴァン(エイミー・ライアン)
- ジェームズの妻。自国のスパイを弁護する任に就いた夫を初めは非難するが、正義のもとに奮闘する夫の姿を見て支えていこうと決意する。
- フランシス・ゲイリー・パワーズ(オースティン・ストウェル)
- アメリカ側のスパイ。スパイ偵察機に乗って、敵国上空を撮影しているところを撃墜され、捕虜にされる。
- フレデリック・プライヤー(ウィル・ロジャース)
- いわれのない罪によって投獄された学生。
映画『ブリッジ・オブ・スパイ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ブリッジ・オブ・スパイ』のあらすじ【起】
時は東西冷戦下。ソ連とアメリカは、互いに保有する核爆弾の情報が、来る戦争の勝利への大きなカギとなっていた。
ある日、ソ連側のスパイであるアベルがFBIによって身柄を拘束される。
彼の弁護を、やり手の弁護士であるドノヴァンが請け負うことに。芸術に傾倒するアベルと、初めてのスパイの弁護に戸惑うドノヴァンは、少しずつ心を通わせていく。
アベルは正確にはソ連国籍ではないが、ソ連側のスパイというだけでアメリカ国民の怒りを買う。さらにその攻撃対象は、弁護士であるドノヴァンにも向けられるようになっていく。
初公判までに証拠が揃わないため、公判の延長を求めるドノヴァンだったが、判事は「あくまで裁判は形式的なものだ。敵国のスパイなど死刑になって当たり前だ」と聞く耳を持たない。裁判は圧倒的不利な状況にあった。なんとか打開策は無いものかと、ドノヴァンは頭を悩ませる。
一方でアメリカも、スパイ偵察機のパイロットを密かに集めていた。
映画『ブリッジ・オブ・スパイ』のあらすじ【承】
判事の自宅へ向かうドノヴァン。適当にあしらおうとする判事に、ドノヴァンはある話を持ち掛ける。「たとえばこの先、自国のスパイが敵国に捕らえられた際に、アベルの存在は切り札になる。自国のスパイとアベルの身柄を交換させるんです。だからアベルを死刑にすべきではない」
翌日行われた判決でドノヴァンは見事、禁固30年の減刑に成功する。さらなる減刑を求め上訴を進めるドノヴァンだったが、アベルは彼に「気をつけろ」と警告する。ドノヴァンはいまや、アメリカ国民全員の敵だった。
その夜、ドノヴァンの自宅が何者かの襲撃を受ける。自らの家族にまで危険が及ぶさまを目撃し、ドノヴァンの正義が揺らぎ始める。
一方で、スパイ偵察機のパイロット、フランシス・ゲイリー・クーパーは、ソ連上空を撮影中に襲撃を受け、敵国のど真ん中に不時着し捕らえられてしまう。
さらに東ベルリンでは、無実の学生であるプライヤーがスパイ容疑で身柄を拘束されていた。
映画『ブリッジ・オブ・スパイ』のあらすじ【転】
CIAによって、人質解放の命を受けたドノヴァンは単身東ベルリンへと赴く。家族にはサーモン釣りに出かけると言い残して。
ソ連と東ベルリンの国境は高い壁が築かれ、両国の関係悪化を如実に表していた。
ゲイリー・クーパーとプライヤーは、それぞれソ連、東ベルリンに身柄を拘束されていたため、両国との交渉が必要だった。
アメリカ側は重要な機密を持つゲイリー・クーパーは最優先事項であるが、一介の学生にすぎないプライヤーは優先すべき事柄ではないと主張する。しかし、自らの助手と同い年であるプライヤーを、ドノヴァンは見捨てることができなかった。「アベル一人に対して、ゲイリー・クーパーとプライヤーを交換」あくまでこの主張を崩さなかった。
自国のスパイを取り戻したいソ連と、大国家アメリカと交渉を果たした名目が欲しい東ベルリン。双方の主張がぶつかり合い、交渉は混迷を極める。
その夜、ドノヴァンは電車の車窓から、国境を越えようとした市民が射殺される光景を目撃し言葉を失う。
CIAから「プライヤーは諦めろ」と命令が下されるが、ドノヴァンは独断により「アベル一人に対し人質二人。それができなければアベルは渡さない」と双国に伝える。彼は大きな賭けに出たのだった。
映画『ブリッジ・オブ・スパイ』の結末・ラスト(ネタバレ)
人質交換の当日、久しぶりの再会を喜び合うドノヴァンとアベル。しかし、ドノヴァンの胸中には一筋の陰りがあった。「仮に交渉が成功したとして、あなたは自国へ戻りどんな待遇を受けるのですか?」と尋ねるドノヴァン。「私は一切の情報を渡さなかった。だけど彼らが私を疑い処刑するなら、それは仕方のないことだ」と割り切るアベル。
「私の運命は、彼らの迎え方で分かる。抱擁を交わせば私は自由になる。何もなくただ車に乗せられるなら、私は殺される」
約束の時間が刻一刻と近づく。橋の上でゲイリー・クーパーとアベルの交換が成功し、東ベルリンではプライヤーの身柄が無事に確保された。
橋の向こう側でアベルの姿を見つめるドノヴァン。アベルは抱擁されることなく、静かに車に乗せられた。
家族のもとへ戻るドノヴァン。家族は皆、テレビのニュースに夢中になっている。ニュースでは二人の人質が無事に戻ったこと、そしてこの作戦に大きな貢献をもたらしたドノヴァンの名が告げられる。驚く家族たち。妻がそっと夫の自室を窺うと、ドノヴァンは疲れ果てベッドの上で眠っていた。
ドノヴァンはその後、功績を称えられ、ケネディ大統領の命で実に9703名もの人質解放に貢献する。
そしてアベルは自国に戻った後、無事に自由を与えられ余生を過ごした。
映画『ブリッジ・オブ・スパイ』の感想・評価・レビュー
スティーヴン・スピルバーグ監督とトム・ハンクスがタッグを組んだサスペンス映画が面白くないわけがない。派手なアクションシーンなどはないが、分かりやすく無駄のないストーリー展開と重厚感のある演技のおかげで飽きがこない。
作中では東西分裂された当時のドイツの様子がリアルに描かれている。ベルリンの壁を乗り越えて銃殺される人々と、アメリカの路地裏でフェンスを乗り越えて遊んでいる子供たちとの対比が印象的だ。
当たり前だと思っていた平和が、当たり前ではないということを考えさせられる作品である。(女性 20代)
みんなの感想・レビュー