この記事では、映画『ライフ・オブ・デビッド・ゲイル』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『ライフ・オブ・デビッド・ゲイル』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『ライフ・オブ・デビッド・ゲイル』の作品情報
上映時間:131分
ジャンル:ヒューマンドラマ、サスペンス
監督:アラン・パーカー
キャスト:ケヴィン・スペイシー、ケイト・ウィンスレット、ローラ・リニー、ガブリエル・マン etc
映画『ライフ・オブ・デビッド・ゲイル』の登場人物(キャスト)
- デビッド・ゲイル(ケヴィン・スペイシー)
- テキサス大学の哲学科教授。ハーバード大卒のエリートで、講義は大人気で常に満席である。美しい妻との間に息子がいるが、夫婦仲は冷え切っている。同僚のハラウェイと共に、死刑廃止論支持団体を主催し活動している。ハラウェイを暴行殺人した罪で逮捕され、死刑を目前に控えている。
- ビッツィー・ブルーム(ケイト・ウィンスレット)
- ニューヨークを拠点とする『ニューズ』誌のジャーナリスト。異常性愛者についての記事を発表した際、犯人の人権を擁護し、情報源を明かさなかった罪で投獄された経験がある。ゲイルから直接指名され、死刑直前のゲイルにインタビューする。単独行動を好む勇敢な美女。
- コンスタンス・ハラウェイ(ローラ・リニー)
- ゲイルの同僚の大学講師。ゲイルと共に死刑廃止論支持団体を結成し、死刑廃止のために奮闘している。活動に没頭するあまりに、女性らしい楽しみを享受することを諦めている。ゲイルの良き理解者で、性別を超えた親友。
- ザック(ガブリエル・マン)
- ニューズ誌の見習いライター。上司の指令を受け、ビッツィーのゲイル取材を手伝う。ビッツィーの厳しい扱いにもめげず、意欲的に行動する好青年。
- ダスティ・ライト(マット・クレイヴン)
- ゲイルとハラウェイが主催する団体のメンバー。常にカウボーイハットを被っている寡黙な男性。死刑廃止論の過激派。暴力行為で逮捕されたところをハラウェイに助けられ、以降、ハラウェイを崇拝している。
- ブラクストン・ベリュー(レオン・リッピー)
- ゲイルの弁護士。ゲイルとは旧知の仲。敗訴がかさんでおり、無能な弁護士と思われている。
- バーリン(ローナ・ミトラ)
- ゲイルの授業を受けている女学生。成績が悪く、単位を得るためにゲイルを誘惑する。
- デューク・グローヴァー(ジム・ビーヴァー)
- ゲイルが入所しているエリス刑務所の広報官。威丈高な態度でビッツィー達を迎える。
- ニコ(メリッサ・マッカーシー)
- ゴスファッションの女性。殺人現場となったハラウェイの自宅に住み、ゲイルの事件の博物館として経営している。
- シャロン・ゲイル(エリザベス・ガスト)
- ゲイルの美しい妻。夫婦関係が上手くいかず、スペインの愛人のもとへ通っている。ゲイルに離婚を切り出し、息子を引き取る。
映画『ライフ・オブ・デビッド・ゲイル』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『ライフ・オブ・デビッド・ゲイル』のあらすじ【起】
死刑廃止論者で元大学教授のデビッド・ゲイルは、同僚ハラウェイに対するレイプ殺害の罪で6年間投獄されている。控訴が取り下げられ、ゲイルの死刑決行が4日後に決まる。
ゲイルは、自身の半生を語るため、ジャーナリストのビッツィーをインタビュアーに指名する。ビッツィーは上司から見習いライターのザックの同行を義務付けられ、二人はテキサスへ向かう。
途中でレンタカーが故障し、ビッツィー達は足止めされる。カウボーイハットの不審な男が乗ったトラックが近くに停まり、ビッツィー達を観察した後去っていく。
翌日、死刑まで残り三日。モーテルで一泊した後、ビッツィーとザックはエリス刑務所へ向かう。広報担当のグローヴァーに案内され、ビッツィー達は面会室に入る。先に来ていたゲイルの弁護士ベリューと挨拶を交わし、ビッツィーはザックを退席させて一人でゲイルへのインタビューを開始する。
ビッツィーは、これから三日間、毎日午後3時から2時間の面会を許可されている。ビッツィーには、異常性愛者の記事を書いた際に情報源を明かさずに投獄された経験があり、ゲイルはその点を信用してビッツィーをインタビュアーに指名した。ゲイルは、事件の経緯を話し始める。
数年前、ゲイルは成績不良の女生徒バーリンを落第させる。ゲイルはあるパーティーでバーリンに誘惑され、酒の勢いで関係を持つ。バーリンはゲイルにレイプされたと訴え、証拠も揃っていたことからゲイルは逮捕される。ゲイルは2週間後に保釈され、その後、サンフランシスコから、バーリンの謝罪の手紙が届く。

映画『ライフ・オブ・デビッド・ゲイル』のあらすじ【承】
死刑まで残り二日。ビッツィーとザックの車を、カウボーイハットの男が追ってくる。ビッツィー達はオースティンへ行き、殺人現場であるハラウェイの自宅を訪れる。現在ハラウェイの家はゲイルの事件の博物館になっており、ゴス趣味の女性ニコが住み込んで営業している。ビッツィー達は、事件現場の詳細をニコから聞き出す。
ビッツィーは二回目のインタビューを開始する。ゲイルは、ハラウェイの殺害方法はゲイルが以前に書いた記事の内容に則られている、とビッツィーに説明する。ゲイルは、この事件は何者かによって仕組まれたものだと訴え、真実を暴くようビッツィーに懇願する。
6年前、保釈されたゲイルは、妻シャロンから一方的に離婚を言い渡される。シャロンは自宅を売り、息子を連れて海外へ渡る。起訴が取り下げられ、大学からも解雇されたゲイルは、酒に溺れて乱れた生活を送る。
ベリューのアドバイスを受け、ゲイルは生活を立て直すために断酒して職を得る。ある日、ゲイルは久しぶりにハラウェイに会いに行く。ハラウェイは、警官を殺した17歳の少女の死刑を止めようと奔走している。ゲイル達が主催する死刑廃止論支持団体の一員のダスティが、ハラウェイを支えている。
ゲイルは再び死刑廃止論支持活動を始めるが、バーリンの事件が原因で協会から除名される。フラストレーションが溜まったゲイルは再び酒を飲み、酔ってハラウェイの自宅へ向かう。ゲイルは目の前で倒れたハラウェイを病院に運び込み、ハラウェイが長年白血病を患っていることを初めて知る。
涙ながらに語るゲイルに、ビッツィーは心を動かされる。ザックの調査から、ベリューは二流の弁護士で、ベリューのミスによってゲイルが終身刑から死刑に判決が変更されたことが明らかになる。
ビッツィーとザックは、ゲイルへの報酬を本社から受け取るためにヒューストンへ行く。留守中に、ビッツィーの部屋に何者か侵入する。モーテルに戻った二人は、天井から吊り下げられているビッツィー宛のビデオテープを発見する。
二人がビデオテープを再生すると、手錠をかけられた裸のハラウェイが、頭にビニール袋を被せられて窒息死する様子の一部が映し出される。
映画『ライフ・オブ・デビッド・ゲイル』のあらすじ【転】
死刑まで残り一日。ビッツィー達はベリューの事務所へ向かう。ビッツィーは、ベリューにゲイルへの報酬を渡した後にビデオテープを見せるが、ベリューはテープが本物だと信じない。
ビッツィーは、カウボーイハットの男がすぐ近くまで来ていることに気付く。ザックは車で男のトラックを追うが、途中で見失う。
ビッツィーは、三回目にして最後のインタビューを開始する。ゲイルの話から、ビッツィーは、カウボーイハットの男はダスティだと知る。
6年前、ハラウェイ達の尽力も虚しく、少女の死刑が実行される。ある夜、ゲイルとハラウェイは死について語り合う。ゲイルは、ハラウェイが死を前にして男性を求めていることに気づき、二人はベッドを共にする。数日後、車中泊を続けるゲイルのもとに警察官が現れ、ゲイルはハラウェイ殺害の罪で逮捕される。
インタビュー終了後、ビッツィーは、ゲイルが無実だと確信する。モーテルへ戻ったビッツィーは、ビデオテープを何度も見返して徹夜で検証を重ねる。
映画『ライフ・オブ・デビッド・ゲイル』の結末・ラスト(ネタバレ)
翌日、ゲイルの死刑当日。テープの映像が作為的であると感じたビッツィーは、ザックと共にハラウェイの自宅へ行き、ニコに手伝わせて事件現場を再現する。ビッツィーは自らビニール袋を被って両手を拘束し、窒息間際の行動を検証する。ビッツィーは自分の肉体的反応から、ハラウェイは殺されたのではなく、自主的にカメラの前で死んだのだと確信する。
ビッツィーは、ハラウェイは、無実の人が命を奪われるという死刑の危険性を、ゲイルに罪を着せることで示そうとした、と考える。ビッツィーとザックは、ハラウェイの遺志を汲んだダスティが、ゲイルの処刑後まで原本のビデオテープを温存しているだろう、と予測する。
ザックがダスティに電話をかけて呼び出し、ビッツィーは留守になったダスティの家に侵入してテープを発見する。その場でビッツィーがテープを再生すると、ハラウェイが自ら命を絶つ様子の一部始終が映し出される。
ダスティが待ち合わせ場所に現れず、不安になったザックはダスティの家へ急ぎ、ビッツィーを連れ出す。ダスティは隠れて二人の様子を見ている。
処刑実行の数分前、ザックはゲイルの死刑を止めるために司法機関に電話をかけ、ビッツィーは刑務所へ車を飛ばす。途中で車が故障し、ビッツィーは証拠のテープを手に全速力で走って刑務所を目指す。
刑務所の前には、大勢の報道陣や、死刑廃止論賛成派と反対派のそれぞれの団体が集まっている。ビッツィーが刑務所の前に到着する直前に、ゲイルの死刑が遂行されたことが公表され、ビッツィーはその場で泣き崩れる。
ニューヨークへ戻ったビッツィーは、ビデオテープを公開する。ゲイルの冤罪について注目が集まり、死刑廃止についての議論が活発化する。ダスティは、ベリューからビッツィーが払ったゲイル宛の報酬を受け取ってイタリアへ渡り、匿名でシャロンに届ける。
ある日、ビッツィーはベリューから小包を受け取る。中にはゲイルの息子の愛用のぬいぐるみが入っており、ゲイルは離婚後はそれを肌身離さず持っていた。ぬいぐるみの中に、一本のビデオテープを隠されている。
ビッツィーがテープを再生すると、ハラウェイの自死のシーンと、その後にハラウェイの遺体に寄り添うゲイルが映し出される。ゲイルはハラウェイ達と協力し、死刑廃止論者である自身が無実の罪で処刑されることで、死刑廃止を世に訴えようとしたのだった。
映画『ライフ・オブ・デビッド・ゲイル』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
死刑制度の矛盾を描く映画は多いが、ここまで観る側の良心に揺さぶりをかけてくる作品は稀。デビッドが冤罪を装って自ら死を選び、制度そのものを告発するという構成は、見終わったあとも何時間も考えさせられた。ケヴィン・スペイシーの哀しみを内包した演技が見事。衝撃のラストが心に残る。(30代 男性)
女性ジャーナリストの視点で描かれるサスペンス構成が秀逸で、最後まで真実が見えずハラハラさせられた。ラストで“本当の真実”が明かされる瞬間、鳥肌が立った。正義と犠牲、信念と欺瞞…複雑なテーマをエンタメに昇華させた脚本に拍手。思わず誰かと語り合いたくなる一作だった。(20代 女性)
途中までは冤罪をテーマにしたよくある社会派サスペンスかと思っていたけれど、全く違った。自ら命を差し出すことで制度の欠陥を世に知らしめようとする主人公の選択はあまりに過激で、心が追いつかなかった。終盤のビデオテープのシーンには言葉を失う。とにかく、重く、そして深い。(40代 男性)
死刑制度に反対する活動家が、死刑に処されるという皮肉。その裏にある緻密な計画と、友情と信念に基づく“偽りの犯罪”がもたらす感情の揺れがすごかった。ラストの真相が分かった瞬間、涙が出た。ベティの犠牲も含め、すべてがあまりにも切ない。でも、こういう映画こそ多くの人に見てほしい。(30代 女性)
派手さはないけど、じわじわと追い詰められるような心理戦がすごかった。主人公が本当に無実かどうか、途中まで疑っていた自分を責めたくなった。記者のビッツィも観客と同じ立場で物語に入り込めるのが良い。社会に一石を投じる作品として、とても強いメッセージを感じた。(50代 男性)
ラストの展開には本当に驚いた。ベティが自ら命を絶ち、デビッドを巻き込む形で“冤罪”を作るという構図は、正義のためにここまでやるのかとゾッとした。映像や演出は静かだけど、内容のインパクトがすごい。ケイト・ウィンスレットの記者役も良くて、女性視点で物語が深まっていた。(40代 女性)
高校の倫理の授業で扱われていて気になって観たけど、衝撃的すぎた。正直、こんな方法で死刑制度に抗議するなんて思わなかった。デビッドの最後の表情が忘れられない。正しさと狂気は紙一重かもしれない。考えさせられるテーマが多くて、観終わったあとも色々と調べたくなった。(10代 男性)
心に重くのしかかる映画だったけど、観て良かった。個人的には、ベティの決断が一番衝撃だった。死を選んでまで訴えたかったこと、その覚悟に圧倒された。派手なアクションや展開はないけど、静かに突き刺さる一本。死刑制度という重いテーマを、エンタメとして昇華しているのが見事。(20代 女性)
夫婦で観て、観終わったあとにしばらく沈黙してしまった作品。フィクションでありながらも現実に起こりうる怖さがあり、死刑制度というものに真剣に向き合うきっかけをもらった。正義のために命を賭けるという行為が、本当に正しいのか、まだ答えが出ていない。深く、重く、心に残る映画。(50代 女性)
初見の衝撃が忘れられない。徐々に明らかになる“計画された冤罪”と、その裏にある信念に圧倒された。デビッドの孤独、ベティとの絆、記者の葛藤…全てが絡み合って、静かに胸を締めつけてくる。観終わってすぐ誰かと感想を語りたくなる映画。社会派サスペンス好きには必見。(30代 男性)
映画『ライフ・オブ・デビッド・ゲイル』を見た人におすすめの映画5選
ミスティック・リバー(Mystic River)
この映画を一言で表すと?
「過去の傷が引き起こす悲劇、取り返しのつかない“正義”が胸を打つ」
どんな話?
少年時代のある事件をきっかけに疎遠になった3人の男たちが、娘の殺害事件を通じて再び交錯する。疑念と怒り、過去のトラウマが交錯する中で、誰が“真実”に辿り着けるのか。心をえぐるヒューマンサスペンス。
ここがおすすめ!
クリント・イーストウッドの重厚な演出、ショーン・ペンら俳優陣の鬼気迫る演技が圧巻。『デビッド・ゲイル』と同じく、正義とは何か、人が他者を裁く意味を深く問いかけてくる作品。静かな余韻が長く残ります。
デッドマン・ウォーキング(Dead Man Walking)
この映画を一言で表すと?
「死刑囚とシスターが交わす“命の対話”が心を震わせる実話ベースの名作」
どんな話?
死刑囚に寄り添い、処刑までの数日間を共に過ごすことになったシスター。犯した罪の重さと向き合いながら、希望と贖罪を模索する二人の魂の交流が描かれる。実話を元にした感動と葛藤のドラマ。
ここがおすすめ!
人間の尊厳や贖罪、そして死刑制度への鋭い問題提起が、『デビッド・ゲイル』と強くリンク。ショーン・ペンとスーザン・サランドンの演技は圧巻。観る人の価値観を深く揺さぶる傑作です。
スポットライト 世紀のスクープ(Spotlight)
この映画を一言で表すと?
「“真実”を掘り起こすための執念が世界を変えるジャーナリズム映画」
どんな話?
ボストン・グローブ紙の調査報道チームが、教会の児童虐待スキャンダルを追う。被害者への取材を通じて、巨大な権力構造の闇が少しずつ暴かれていく、実話を元にした社会派ドラマ。
ここがおすすめ!
『デビッド・ゲイル』で描かれた報道と倫理のテーマをさらに深掘り。派手な演出はないものの、静かに燃える情熱と記者たちの誠実な姿勢が心を打つ。正義とは何かを問い直す一本。
十二人の怒れる男(12 Angry Men)
この映画を一言で表すと?
「“有罪”と決めつけたその瞬間、真実は遠のいてゆく」
どんな話?
殺人事件の陪審員として集められた12人の男たち。最初は全員一致で有罪と思われた裁判が、ひとりの疑問から少しずつ揺らぎ始める。密室劇の中で浮かび上がる人間心理と先入観。
ここがおすすめ!
死刑判決を左右する判断の重さ、人間の思い込みがもたらす危険…すべてが『デビッド・ゲイル』と通じ合うテーマ。モノクロながら色あせない、映画史に残る法廷ドラマの金字塔。
プリズナーズ(Prisoners)
この映画を一言で表すと?
「愛ゆえの暴走と倫理の狭間で揺れる、衝撃の心理サスペンス」
どんな話?
娘が誘拐された父親が、警察の無力さに業を煮やし、自ら容疑者に手をかけてしまう。果たして真実はどこにあるのか、正義の名のもとに行動する者たちの葛藤と悲劇を描く。
ここがおすすめ!
極限状態で浮かび上がる人間の“正しさ”とは何かを問う点で、『デビッド・ゲイル』の根底と重なる。ヒュー・ジャックマンとジェイク・ギレンホールの演技が光る、重厚な一作。
みんなの感想・レビュー
評価は分かれるだろうが、自分はオチ以外、つまり映画のメッセージには共感できないが映画の造りそのものには高い好感を得たという立場。死刑云々はこの際においておくとしても死ぬことで意見を通そうとするのはフェアではない。大体これって無罪と言えるのかな。と疑問にすら思う。単純に迷惑だし。メッセージは評価しないがスリリングな展開と二転三転する物語は目を離せないほどのものであり、ケヴィン・スペイシーの表情は絶妙だった。