映画『陽気なギャングが地球を回す』の概要:伊坂幸太郎の同名小説を、2006年に前田哲監督が映像化した。大沢たかお、佐藤浩市、鈴木京香、松田翔太が、ロマンを求めて銀行強盗を繰り返す陽気なギャングを演じている。海外の犯罪映画を思わせるポップな作りで、娯楽性の高い作品。
映画『陽気なギャングが地球を回す』の作品情報
上映時間:92分
ジャンル:コメディ、アクション、フィルムノワール
監督:前田哲
キャスト:大沢たかお、鈴木京香、松田翔太、佐藤浩市 etc
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映画『陽気なギャングが地球を回す』の登場人物(キャスト)
- 成瀬(大沢たかお)
- 市役所勤めの公務員。人の嘘を見抜く力があり、響野たちと組んでギャングになる。雪子を愛しているが、傷つくのが怖くて、なかなか前に進めない。チームのリーダー格。
- 雪子(鈴木京香)
- 自動車教習所の教官。正確な体内時計を持っており、秒単位で確実に動く。車の運転技術もスタントマン並み。シングルマザーで、小学1年生くらいの慎一という息子がいる。
- 響野(佐藤浩市)
- 「ロマン」という名のレトロな喫茶店のオーナー。演説の達人でとにかくよく喋る。ロマンを追い求めてギャングになった。
- 久遠(松田翔太)
- 動物をこよなく愛する大学生。スリの天才で、あっという間に人の財布を盗んでいる。「エレファント」という名のハムスターを飼っている。
- 地道(大倉孝二)
- 雪子の元夫で、慎一の父親。慎一が生まれる前に蒸発した。金に困り、数年ぶりに雪子の前に現れる。雪子から全く信用されていない。
- 祥子(加藤ローサ)
- 響野の妻。まだ若いが響野よりしっかりしており、喫茶店は彼女が切り盛りしている。
- 田中(古田新太)
- あらゆる物を作ってしまう発明家。響野や成瀬に頼まれ、銀行強盗に必要な道具を作る。「田中商会」という怪しげな店を経営している。
- 朝倉(光石研)
- 爆弾マニアの銀行員。自分の強盗計画を邪魔した成瀬を恨んでおり、復讐の機会を伺っている。
映画『陽気なギャングが地球を回す』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『陽気なギャングが地球を回す』のあらすじ【起】
派手ないでたちをした3人組のギャングが、とある銀行に押し入ってくる。年長者の響野はカウンターの上に立ち、怯える店員や客の前でビックバンについて演説し始める。その間に、成瀬は支店長の嘘を見抜いて金庫の鍵を特定し、スリの達人の久遠が金庫から金を抜く。彼らの仲間の幸子は、正確な体内時計を持っており、予定時刻きっかりに銀行前に車を到着させる。
9ヶ月前。偶然同じ銀行に居合わせた4人は、そこで爆弾騒ぎに遭遇する。犯人からの脅迫電話を受けたのは、朝倉という銀行員で、彼に指示され、店員や客は急いで店外へ避難する。しかし、成瀬はこれが朝倉の狂言であることを見抜き、雪子、響野、久遠と協力して、金を持って逃走した朝倉を捕まえる。意気投合した4人は仲間となり、ロマン溢れる犯罪を目指して、ギャングとしての活動を開始した。
そして今日、華麗な連携プレイで4000万円を奪った成瀬たちは、雪子の運転する車で逃走を図る。雪子のハンドル捌きは見事なもので、パトカーの追跡を余裕でかわしていく。しかし、山道まで逃げた時、4人の車は覆面姿の男たちに襲撃され、4000万円を奪われてしまう。
映画『陽気なギャングが地球を回す』のあらすじ【承】
4人にはそれぞれ表の顔があり、雪子は自動車教習所の教官をしながら、1人で息子の慎一を育てている。成瀬は市役所の職員で、久遠はのん気な大学生、そして響野は「ロマン」という喫茶店のオーナーだ。しかし、響野はほとんど働かず、妻の祥子が店を切り盛りしていた。
ロマンに集合した4人は、奪われた金について話し合う。今後の方針で響野と成瀬が揉めていると、久遠がおもむろに財布を出す。久遠は犯人の財布をスっており、中には「林」という男の免許証が入っていた。
一方、成瀬に嘘を見抜かれ、ひどい目に遭わされた朝倉は、ロマンの向かいのビルに常駐し、彼らの様子を伺っていた。朝倉は客を装ってロマンに潜入し、ビリヤードの玉に盗聴器を仕掛けておく。
林の身元を突き止めるため、成瀬と雪子が尾行を開始する。ボーリング場にいた林は、ガラの悪い2人組に拉致され、車で夜の山へ連れていかれる。車外へ出された林ともうひとりの男は、2人組に銃で撃たれ、林はその場に倒れる。その様子を見ていた雪子は、逃げ延びたもうひとりの男の顔を見て困惑する。
成瀬たちを探していた響野と久遠は、走行中の車内で銃声を聞く。その直後、森から男が飛び出してきて、響野が男を撥ねてしまう。響野はすぐに男を病院へ運び、男の家族と連絡を取ろうとする。しかし、男の携帯のアドレス帳は白紙だった。仕方がないのでリダイアルボタンを押すと、なぜか雪子が電話に出る。
響野に撥ねられた男は雪子の元夫の地道だった。地道は、慎一を身ごもった雪子を捨てた最低の男だ。その地道が最近になって雪子の前に現れ、「5000万円用意してくれ」と言い出す。地道は、借金のせいで神崎という男に脅されており、このままでは慎一が危ないと説明する。地道は、雪子が銀行強盗をしていることも知っていた。
地道の言葉通り、銀行強盗をする日に慎一が誘拐されてしまい、雪子は仲間を裏切った。成瀬に全てを打ち明けた雪子は、自分の嘘に気づかなかったのか尋ねる。成瀬は、「全てがわかるわけではない」と答える。
軽傷だった地道は、ロマンに連行され、神崎について聞かれる。しかし、地道も神崎の正体を知らない。成瀬は、このままでは危険だと判断し、チームの解散を決める。
映画『陽気なギャングが地球を回す』のあらすじ【転】
元の生活に戻った4人は、何となく気の抜けた日々を過ごす。市と警察は、これ以上犯罪を増やさないため、大規模な防犯訓練の計画を立てる。そんなある日、市役所にいた成瀬に電話が入る。電話で誰かと話をした成瀬は、急いでどこかへ走り出す。
同じ頃、スーパーで買い物を終えた雪子と慎一は、駐車場でピエロの面をつけた2人組の男に襲われる。雪子は後頭部を殴打されて気絶し、慎一は男たちに連れ去られる。しばらくして、成瀬が現場に到着し、雪子を抱き起こす。慎一を誘拐した犯人は、雪子の携帯に出た成瀬を、遊園地へ呼び出す。
夜の遊園地で、成瀬は謎の男に、慎一を守りたければ10日以内に1億円用意するよう脅される。男の正体は恐らく神崎で、これが単なる脅しでないことは明白だった。観覧車に乗せられていた慎一は、一旦解放され、雪子に返される。
成瀬は仕事を放棄し、田中商会へ向かう。田中には、スイッチを入れると絶対に外へ出られない車を注文していた。その後、防犯訓練が行われる予定の大手銀行を視察し、念密な計画を練る。この銀行の金庫には、2億円の現金があることがわかっていた。
成瀬の呼びかけで、4人はロマンに集まる。なぜかそこに地道がいて、雪子は不快感をあらわにする。しかし、地道を呼んだのは成瀬だった。
成瀬の計画はこうだ。防犯訓練の日の14時45分、成瀬、響野、久遠、地道の4人はアタッシュケースを持って銀行に入り、いつも通り金を奪う。15時には訓練のために警察がやってくるので、犯行は420 秒以内に終わらせる。地道はこの情報を事前に流し、神崎一味を銀行におびき寄せておく。何も知らない神崎は、偽札の入ったアタッシュケースを奪い、田中の作った車に閉じ込められる。神崎は警察に逮捕され、本物の2億円を手にした成瀬たちは、そのまま海外へ高飛びする。難しい計画だったが、この4人なら大丈夫だと、成瀬は信じていた。
ロマンでの会話を盗聴していた朝倉は、この計画を聞いて高笑いする。犯行前夜、どうしても地道を信用できない雪子は、地道に銃を突きつけ「仲間に迷惑をかけたら殺す」と、彼を脅しておく。
映画『陽気なギャングが地球を回す』の結末・ラスト(ネタバレ)
犯行当日。市内では、防犯を呼びかける派手なパレードが行われる。雪子の運転する車で銀行前に乗りつけた4人は、アタッシュケースを持って店内へ入る。
いきなり突入してきて発砲する成瀬たちに、支店長は「これは訓練ですよね?」と不安そうに聞く。成瀬は「訓練です」と笑顔で答え、金庫の鍵を渡すよう迫る。支店長は抵抗するが、体を拘束されて鍵を奪われる。成瀬は訓練用の偽札をケースに詰め、久遠は本物の現金をケースに詰める。響野は演説を披露し、店員たちの注意を逸らしておく。その横で、地道が銃を構えて店内を見張る。
7分が経過した頃、殺されたはずの林と仲間2名が押し入ってきて、成瀬たちに銃を向ける。その時、店内のトイレが爆発し、アタッシュケース型の爆弾と着弾スイッチを持った朝倉が現れる。朝倉は、成瀬に復讐するため、ここへやって来たのだ。
そうこうしているうちに15時となり、銀行前に警察が到着し、店内には訓練のための犯人役が入ってくる。朝倉と林たちがもみ合っている隙に、成瀬は銃を手にするが、地道が態度を急変させ、爆弾の着弾スイッチを奪う。そして、成瀬に銃を捨てるよう迫る。地道はついに本性を現し、神崎など最初からいないことを白状する。
地道は現金が入ったアタッシュケースを奪い、訓練用の犯人役を装って、仲間3名と外へ出る。外で待機していた雪子は、地道の裏切りに激怒するが、何もできない。地道が車に乗り込む直前、成瀬が銃を持って玄関口に現れ、地道を撃とうとする。ところが、警官が成瀬に発砲し、成瀬は肩と胸を撃たれてしまう。その間に、地道たちは車で逃走する。
雪子は瀕死の成瀬を抱きかかえ、涙を流す。成瀬は、救急車へ運ばれる直前に息絶える。と思いきや、成瀬は無傷で生きていた。成瀬に向けられた銃弾は田中が作ったもので、着弾寸前に破裂し、中から血のりが吹き出す仕組みになっていた。つまり、成瀬はここまで計算済みだったのだ。雪子は腹を立てながらも、成瀬と甘いキスをする。
地道は警察の追跡を逃れ、車内でアタッシュケースを開ける。その瞬間、地道たちの車は大爆発する。銀行内に取り残されていた朝倉が、意図せずスイッチをオンにしてしまい、ケース型爆弾が爆発したのだ。アタッシュケースは、久遠によって入れ替えられていた。そして、2億円の入ったケースは、久遠がひとりで持ち逃げしていた。
メキシコへ高飛びした久遠は、動物保護のためにその金を活用する。成瀬と響野もメキシコへやって来て、久遠を巻き込んで、また銀行強盗を始める。彼らを迎えに来た雪子の車には、慎一と祥子も乗っていた。こうして4人は再びチームを組み、陽気なギャングとしての活動を再開させるのだった。
映画『陽気なギャングが地球を回す』の感想・評価・レビュー
それぞれの持っている力を発揮し銀行強盗を働くのだが、性格やキャラが全く異なり、性別や年齢もバラバラな四人が自然と集まって、作戦を練っている姿が印象的であった。突如現れた雪子の元旦那の地道が、仲間に入るものの裏切ってしまい現金を奪って逃げてしまったが、頭の切れるリーダーの成瀬は作戦のうちであると言い、現金をすり替えていたシーンがさすがだなと感心した。その後の生活も四人らしく、わくわくした気持ちで見終えることができて、期待以上だった。(女性 20代)
疾走感のある序盤のわくわく感と後半の複雑な騙し合い、そしてその結末からして、もっと面白くなってもよさそうなもんだが、どこか上滑りな印象で芯に迫るものを感じなかった。俳優もストーリーも音楽もよいが演出がちぐはぐな印象。やりたいことのイメージを共有できていない気がする。伊坂幸太郎の作品はどれも映像化に向いた作品ではあるが折角の材料も料理人が下手では真価を発揮できないようだ。銀行強盗のシーンだけでもそれなりに面白いので時間潰しにはいいかもしれない。(男性 30代)
本作は伊坂幸太郎の小説を映像化したもので、ギャングシリーズの第一作目である。
私は、本作に登場する愉快な銀行強盗4人がとても好きだ。
原作ファンなのであらすじも結末も知った上で拝見したが、強盗4人のキャラクターが際立っていて、小説の構成や世界観が見事に映像に落とし込まれていた。
見事に騙され、更に小説にない新たな発見もあって、もう一度原作を読み返したくなった。
もちろん原作を知らなくても、陽気なギャングたちの愉快な銀行強盗姿を楽しめることは間違いないだろう。(女性 20代)
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